前代未聞の八冠達成、天才藤井の出現により将棋の人気が回復したのはご同慶の至りだが、昔からの将棋ファンの私はあることに気が付いている。それは羽生九段の復活と渡辺九段の陰りだ。正直なところ羽生九段はこの数年A級陥落もあったし成績が振るわず、さすがの羽生も年を取って息切れが出てきたかと思っていたのだが、この半年復活の狼煙を上げている。これに対し渡辺九段は名人を藤井に奪われ足元がふらつき始めた。この二つの現象は明らかに藤井と対戦したことによる刺激と後遺症だ。
頂点を極めて意欲がやや減退していた羽生に新たな目標が出現して新鮮な気持ちで将棋が指せるようになり復活してきたと見る。渡辺は密かに現在の第一人者という自負があったのが、藤井に完敗で途方に暮れているように見える。若手が台頭してきているが渡辺はまだ若い、このまま落ち込んでは名が廃ると申し上げたい。