駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

鉢合わせを避けるには

2024年01月03日 | 小考
         
  
 羽田空港でJAL機と海保機事故が起きた。詳細はまだ分からないが管制コントロールミスの可能性が高い。飛行場での離着陸はまだ人間同士の相互通信連絡でコントロールされている。地方の一日10便とか11便とかのんびりしたところでは航空管制も簡明で相互連絡不十分の事故は起きないと思われるが、それこそ一日500便1000回を越える離着陸のある羽田の管制ではヒューマンエラーが起き得る。
 管制はVHF帯域の人間音声による直接の相互無線通信で行われている。間違いを避けるためにいくつかの層に分けられ、進行段階に分けて周波数を変えて受け渡しで離着陸がコントロールされてゆく。離陸の場合はまず飛行計画報告許可のクリアランスデリバリーから飛行場内のタキシングをコントロールするグランドコントロール、次いで離陸滑走路に近づくと離着陸を指示するタワーコントロールへ受け渡され滑走路手前で離陸指示を待つ、離陸するとデパーチャーコントロールに受け渡され、一定高度に達しエアボーンになると航路指示の東京コントロールに引き渡される。
 滑走路には常に一機しか居てはならないという重大原則があり、今回はそれが守られていなかった。音声による無線通信で聞き間違い?指示間違い?があったらしい。暗いので滑走路の海保機体に気付きにくく避けられなかったと思われる。待ち合わせは同じ時刻に同じ場所で可能になるが(半世紀前上京する父親と午後五時銀座和光の角でよく待ち合わせた)、滑走路上ではこれを避けなければならない。混雑する空港での管制は人間業ではなくなっているのではないか、完璧にできるのはパウリくらいのものだろう。
  
 JALに死亡者が出なかったことは乗務員の冷静な行動の賜物と思う、感謝し称賛したい。海保の犠牲者には地震の救助に向かうところだったとのことで謹んで哀悼の意を表したい。
コメント (2)
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