朝の電車は混んでいる。それでも降りる人が居るので、乗車する時席が二つ三つ空く。どういうわけか乗車して立っている人が空いた席に座らないことがある。プラットフォームでは最前列に並んでいることが多いので、空いている席目掛けてすみませんと言いながら進むのだが、二番手に並んでいたおばさんが脱豚の如く横から前に入り込もうとする。競争相手が現れると闘争心が湧き出て、一歩のリードを生かして負けるものかと前に出て空いた席に座る。毎朝のことではないが、我ながら見苦しい争いをすることがある。たかだか十五分でも座った方が楽だしスマホも見やすい。おばさんはどう見ても私よりは若い。私と同年配の女性(お婆さん)はそこまでの行動には出ない。勿論、よぼよぼしておられれば喜んで譲る。
高々十分二十分の間のことだし、座れなくても問題なく目的地に行けるわけだから目くじらを立てることもないのだが、これが深刻な差が付くことだとラッキーや残念では済まないだろう。世の中の揉め事争いは、足りないものの取り合いから起きることが殆んどだ。聖人君子ばかりではないし弱者を抱えていればやむを得ない面もあるだろう。しかし問題なのはしばしば足りているのに欲の皮が突っ張った輩が余計に分捕ろうと力づくあるいは悪知恵を使って介入してくることだ。