駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

地方活性化には

2015年03月06日 | 小験

              

 多くの医者は卒業後大学病院研修病院出張病院(就職病院)と三カ所を移動する、中には四五カ所動く人も居るがさほど多くない。しかも四半世紀前から教授の一声はなくなったようだから思いも寄らぬ土地へ移動することは少ない。

 そこへゆくと大企業に就職した営業マンは生涯で六、七回と数多くの転勤を経験するようだ。私の知っているのは薬品メーカーのMR達だが、彼等は五年から七年毎に全国ありとあらゆる所へ移動させられる。地方の話を聞くのが好きで、岡山はどう、札幌はどうと聞いてみる。お子さんの関係もあるだろうが彼等は四十代で持ち家を建てる人が多い。面白いことにその場所は自分の出身地ではなく、出張で回った中で気に入った土地ということが多い。意外なことに首都圏は少ないというか殆どない。横浜出身者が広島に家を建てたり、大阪出身者が新潟に家を建てたりとさまざまだ。中には奥さんの引力やお子さんの意見が効いている人も居るようだ。

 いずれにしても、地方が選ばれている。別に石破さんが大声を出さなくても、生活できるとなれば地方に住む魅力は十分あるのだ。地方創世や再生は、地方に仕事をということに尽きるようだ。猫も杓子もで何かと好都合のようだから本社機能は東京で良いが、工場や本体は地方で十分やれるのではないかと経済素人の医者は思う。地場産業と言われるが、地場産業には限りもあるしどこでもとはゆくまい。会社社長重役は営業マンの声に耳を傾けてみる、あるいは営業マンの時を思い出してみるのがよいのではないか申し上げたい。

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睡眠薬代わりにもなる

2015年03月05日 | 医療

                

 今朝は穏やかな朝で、賑やかな小鳥の声を聞きながら、気持ちよく出勤してきた。

 新しい作用機序の画期的な睡眠薬が発売されたというので、その講演会を聞きに行ってきた。今までの睡眠薬は抑制性の神経伝達物質GABAを介して作用する物ばかりで鎮静作用抗不安作用筋弛緩作用などを併せ持ち、依存性や易転倒性などの問題があった。新しい睡眠薬は覚醒作用を持つアレキシン受容体拮抗薬で、より特異的に睡眠を導入し、依存性もなさそうという優れものらしい。

 らしいというのは実は講義を聞き出して15分ばかりで睡魔に襲われ、頬を抓ったり水を飲んだりして眠らないように努力したのだが、はっと気が付いたら最後のスライドという体たらくで、大部分を聞き逃してしまった。

 新薬よりも講義のDVDを売り出した方がよく眠れるのではないかと悪い冗談を言いたくなるほどの心地よい話しぶりであった。

 従来のベンゾジアゼピン系の睡眠薬は快適に眠れて良く効くのだが、依存性があり止められなくなるため、七八年前から極力使わないようにという指導がされてきた。しかし、前線医への浸透は不十分で使用は徐々に減りつつあるがまだ頻用されており、専門医は回されてきた依存中毒の患者さんの対応に苦戦しているとこぼされた。

 ちなみに新薬作りに貢献したアレキシンの発見者は日本人とのこと、嬉しい新薬だ。正直、新薬なので、果たして本当に依存がないか、未知の副作用がないかはまだ分からない。例によって私は少なくとも半年、出来れば一年ほど様子を見てから使う予定だ。

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格差社会の断面

2015年03月04日 | 小考

           

 明け方雨が降ったのか舗道が濡れていた。不快な感じは全くなく何とも気持ちよく歩けた。春の空気を感じたせいだろうか。

 格差社会と言われ出して暫く経つ。使い回されているが、今のところまだ有効な言葉のようだ。こうしたキーワードはしばしば包含する内容が端折られ、結論に短絡するために使われてやがて色褪せていってしまう。そうならないように議論を深めてゆく必要がある。格差は厳然と存在するのだから。

 経済的な格差をどのように測定したらいいか、どのように受け止めたらいいか・・・、とても数十秒や数十語では分析表現できない。ただ、この格差が増大固定することに対する懸念、不満、不安が渦巻き始めているのは確かだろう。尤も、日本社会ではまだ大問題にはなっていない。拡大しているとは認識していないと首相が質問に反論しているくらいだ。

 機会均等というマジックワードの緩和力によるものか、矢面で抵抗するのを好まない国民性に依るのか、明日は明日の風が吹くという観測によるものか・・・よく分からない。恐らく、現在の格差をさほどとは思わない人が多いのが一番の理由だろう?。

 そうした経済的な格差の他にも、実は大きな問題となる格差がある。それを十八才問題と表現したい。大人になるべき年頃の若者の姿にあまりに大きな差が生じているのだ。果たしてこういう問題に格差という言葉を当てていいものか戸惑うが、未熟で歪んだ若者と明日を託したい清々しい若者が二群に別れ差が大きくなりつつある。こうした捉え方に釈然としない方も居られると思うが、事実を直視すれば認めざるを得ない気がする。

 格差と言う言葉よりも乖離や分離の方がよいかも知れない。いずれにしても大人になる年齢の若者に社会性というか成熟度で歴然とした差が生じ始めていることに社会が気が付かねばならないと思う。

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東京オリンピックは地道に

2015年03月03日 | 政治経済

            

 東京オリンピックの招致の意味はいずこにありやと考えた。人類のスポーツの祭典を日本で目の当たりに出来るのは嬉しいことだ。それこそ一生に何度とはない僥倖だろう。世界中からのお客さんをおもてなしするのは誠に結構なことだ。

 しかし、そうした喜びに負けず劣らずオリンピックの経済波及効果にしめたと思った人の期待も大きいように見える。箱物を作り道路を整備する名分は大きく中々反対しにくい。便乗と本物の区別は難しい。高々一ヶ月間での観光客がどれほどのものか。長く見積もってもオリンピック効果による観光客の増加は半年程度だろう。勿論、持ち帰った良い印象や口コミの効果は何年も続くだろうから、積算すればかなり大きな数にはなるだろうが、巨大な投資に見合う収益が上がるだろうか。採算が取れるのは建設業とこの数年上層部に居た人達だけという恐れがありそうだ。地味でいいから、長く広く本当に役立つ設備をお願いしたい。

 勿論、経済以外の意義と効果は大きくなり得る。平和を愛する国日本を広く深く知って貰えれば、積極的平和主義は持って瞑すべしだろう。

 名分に便乗して懐を暖めようとするのをけしからんとは思わないが、持続する長期的視点が足りないのではと懸念する。目端を利かせて飛び回る油揚を狙う鳶ばかりでは、人口減少の借金大国日本がじり貧になるのは防げない気がする。

 桝添知事は相当分かってきておられるように観測する。名分を振り回す人に抗して、目端でなく地道にお願いしたい。マスコミも公務の仕業の評価を任期を過ぎてもそれこそ一生付いて回るように報道して戴きたい。そうすれば在任中の記念碑的なその場企画は減るだろう。

 忘れることがストレスの緩和や迅速な方向転換に役立つこともあるが、そうしたことは少ないし、利用されては大間違いの原因となる。忘れる認知は、医療に於いても大問題となっている。忘れないで考えた企画をと認知に直面する現場から申し上げたい。

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今朝は春は曙だった

2015年03月02日 | 自然

           

 今朝は珍しく靄が掛かっておりたかだか四五キロ先の山が煙って見えない。肌寒いけれども、これは春の曙なのだろうと思った。

 天気というものは人間の思うようにならず、日曜日が連続の雨で野外作業が出来なかった。昨日は昼食を食べに出たほかは、ぐだぐだと室内で過ごした。しかし、まあこのぐだぐだも一つの休養で、一週間の仕事の糧になるのだから由としたい。

 天気が思うように操れるようになったら、大変だろうな。まあ、夜だけ雨という手もあるとは思うが、どうやって明日の天気を決めることになるだろうか。鶴の一声?としてもたくさん鶴が出てきそうだ。思うように出来ない事象は、実は我が儘人間への貴重な諫めなのかも知れない。

 将棋名人戦が四人でのプレーオフになった。午前零時過ぎまで観て寝たが、たぶんそうなるだろうと思っていたので、驚きはない。広瀬、久保、渡辺、行方の誰が挑戦者になっても初めての挑戦になる。私は、そして恐らく多くの将棋ファンは羽生VS渡辺を見たいのではないかと思う。さてどうなるか。

 

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