アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

銅葉モミジアオイ - タイタン雄しべ

2020-07-31 18:19:19 | みんなの花図鑑
へきなんたんトピアで発見。

はじめ タイタンビカスかと思ったが、葉の色が緑色でないので、 アメリカフヨウとモミジアオイの交配種で葉が銅葉の「銅葉モミジアオイ」と考えた。 名前がちがってたら 教えてください。




で、副題のとおり、 私の関心は巨大な シベ にある。タイタンというのは タイタンビカスのタイタンと同じで 巨大なというニュアンスです(^^♪




一般に アオイ科の大きなシベは 雄しべが合着して煙突のような筒(雄しべ筒)を作り、その煙突の中を めしべの花柱が貫通して筒の先で 柱頭をアンテナのように開いています。なぜそんな複雑なことをするのか、分かりませんけど。




これが おしべたちです。 筒の外壁から 細い花糸を出しその先に葯を付けています。葯からは 数の子みたいな花粉が溢れています。




雄しべの円筒から雌しべの花柱が出てくる部分はどうなっているのだろうと、その部分を拡大して見ているのですが。。。





どうも よく分かりませんねぇ (T△T)



ポーチュラカ - 控えめ雌しべ

2020-07-31 09:23:26 | みんなの花図鑑
恥ずかしながら、この花を始めてみたとき、「スベリヒユの園芸品種」としてしか認識しませんでした。


花はずいぶん大きく豪華になってるけど、 葉っぱはどうみても スベリヒユそのままです。 「頭隠して 尻隠さず」 なのです。
それに出会った場所が 7月21日から再開した へきなんたんトピアのヒーリングガーデン花壇。 休園中は あまり手入れできていなかったのでしょう、 雑草の中に咲いてました。
あとで知ったのですが 和名も「ハナスベリヒユ」って そのまんまなんですね (^^♪

それにしても 面白い花です。 ふつうめしべといったら たくさんのおしべに囲まれて 花の中心に立ってますが、この花の雌しべは 雄しべの群れから逃げるように 端っこのほうに立ってます。




それに おしべが数の多さを誇るのに対抗して、 めしべのほうは 柱頭の大きさで勝負してるかのようです。




ひとつの花を拡大して見ました。 めしべの柱頭には 花粉がいっぱい付いています。 この花粉、ほかの花から来たのじゃなく 自分宅の花粉じゃないのかな?




赤い花のほうが 黄色い花粉が観察しやすいかな?





おしべとめしべの間に高低差を設け、一応 自家受粉しにくくしてはいるようです。 雌しべを花の中心からずらしているのも その目論見の一環でしょうか(´v_v`)

おさらい
ハナスベリヒユ。 「非常に乾燥に強い植物で、真夏の炎暑の中でも毎日花を見せる」(GKZ植物事典「ポーチュラカ」)



サッコウフジ - 源氏物語

2020-07-30 20:02:00 | みんなの花図鑑
7月30日、西尾市憩の農園にて

ツバキに夏ツバキがあるように、 フジにも 夏フジというべきものがあります。それがこの サッコウフジです。




サッコウフジにも、台湾サッコウフジと 薩摩サッコウフジとがあるようですが、 私は かつて「みんなの花図鑑」で教えてもらった「サッコウフジ」のままで (^^ゞ




マメ科ナツフジ属です。 サッコウフジは ムラサキナツフジ とも呼ばれるようです。




この濃い赤紫のグラデーションのかかった花を見ると、私はいつも、どうしてか 「源氏物語絵巻」とか 「寝殿造り」ということばが浮かんできます。
考えるに、 たとえば、同じ感じの花を咲かせる クズの花と比較してみるといいと思います。 クズの花は とても豪華なのですが、現実にある感じがします。 ところが、このサッコウフジの花は 私にとって「非現実」なのです。




サッコウフジ は 「醋甲藤」と書きます。
「醋甲」とは。。。
弱りました (ToT) 「醋甲とは」でググっても 焼酎の記事しか出てこないのです。 「醋甲藤」というのは どうやら漢名らしいのです。
こんな記事がありました↓
「醋甲藤の「醋甲」の意味は不明であるが字面と花姿を 照らしてみれば甲、つまり上部に酉(とり)の鶏冠の様に錯綜して咲く様子を醋甲と当てたのではないだろうか。」(FC2ブログ・杜の舟「紫夏藤」)



サルスベリ - 食べるための花粉

2020-07-30 11:42:00 | みんなの花図鑑

集まって咲いているサルスベリの花のひとつだけに 焦点を合わせています。
花弁の中から 黄色い花粉を付けた おしべ がたくさん伸びています。
と、ここまでは 問題ないのですが、よく見ると、黄色い葯を付けたおしべの外周に 背の高いシベが ステッキの柄のようにクルッと下を向いています。これは何でしょうか?




ステッキの柄のようにクルッと下を向いている器官も おしべ だったのです。
というか、 この長い柄の おしべ のほうが 本物のおしべだったのです。




じゃあ、 たくさんある黄色い頭のおしべは 何もの?
整理してみますと...
「たくさんある雄しべは、外側の6本は葯が紫色で長く、それ以外は葯が黄色くて短い。しかもそれぞれの雄しべでつくられる花粉は機能的にも形態的にも異なっている。授精するのは長い雄しべの花粉で、短い雄しべの花粉は花粉を運んでくれるハチの餌になる。」




そうなんだ、 この短い黄色い花粉を出すおしべは 「ハチの餌になる」ためにあるんだ。
... って。。。 うーん、 ハチは 花粉を食べるために サルスベリの花に集まってくるの??




調べてみると、 サルスベリは 重要な夏の蜜源植物らしいのです。
「夏の間、咲き続けるサルスベリは、7月から8月にかけて蜜源植物の少ない時期に、貴重な存在なのだそうです。」




では、ミツバチにとって、花粉は餌として必要ないのかというと、 なんと 花粉は ミツバチの幼虫の大切な栄養源でした \(^o^)/


クサギ - ストロー状花冠

2020-07-29 21:58:46 | みんなの花図鑑
クサギの雄しべ・雌しべは 花冠から長~く前に突き出しています。


クサギの萼は当初は袋状になっており、その中から ストロー状の花冠が伸びてきます。




ストロー状の花筒の部分は長さ2~2.5cmで花冠は5裂してやや反り返り気味に開きます。
中からは1本の長いめしべと、これまた長い4本のおしべが出ています。




おしべとめしべは 時間差で、 雄しべ活動期と 雌しべ活動期をスケジュールしています。
雄しべ活動期には めしべは そっぽを向いており、
雌しべ活動期には おしべは クルッと丸まって退避しているようです。




蜜は ストローのように長い花筒の奥にあるようです。
「どの昆虫も蜜を吸えるわけではありません。花の筒の入り口から蜜腺までの距離が最大2.5cmもあって、とても長いのです。そのため、ストローのような細長い口を持つ大型のチョウ・ガ類でなければ蜜は吸えません。蜜が吸えるのは、カラスアゲハやクロアゲハなどのアゲハチョウの仲間や、ホシホウジャク、オオスカシバなどのスズメガの仲間に限られています。」(季節のたより33 クサギ)



「1本のクサギの開花期間が1カ月以上あるとはいえ、一つの花の開花期間はたったの3日に過ぎません。 花は、花びらを開くと、雄しべを伸ばして葯を列開させ、蜜を吸いに来たチョウたちの体に花粉を付けようと努力します。 翌日には雌しべを伸ばし、やって来たチョウたちの体から花粉をもらおうとします。 3日目になると雄しべも花びらもしおれ始め、雌しべだけが突き出しているように見えます。」
(筑波大学大学院 生命環境科学研究室 渡辺研究室「僕と12人の卒論生」)




「花としては、少し触れればすぐに付いてしまう花粉を出している間は、できるだけ沢山の昆虫の体に花粉をつけた方がよいでしょう。 でも、1本しかない雌しべの先に花粉を付けるには、訪れた昆虫に比較的長く留まっていてもらった方が都合がよいにちがいありません。 花粉を出す時期には少なく、花粉をもらう時期には多く蜜が分泌されていたことになります。 調べてみると、昆虫類が多く訪れたクサギの花にほとんど蜜は残っていませんでした。」(同上)




キカラスウリ - 夜行性

2020-07-29 12:56:00 | みんなの花図鑑

ずっと花のかたちと 集まる虫を取り上げてます。 形が面白いといえば、 カラスウリ系のレースのような花の右に出るものはそうはないでしょう(^^)/




このキカラスウリは お昼ごろ撮影しました。 キカラスウリは、 カラスウリと同じく夕方咲きだし、夜活動するのですが、 カラスウリが朝方萎んでしまうのに対し、 キカラスウリはこんなふうに 昼頃まで咲いていることが多いです。




キカラスウリはもともと日本に分布する植物ですが、 熱帯の植物のように夜に活動する虫に花粉を運んでもらおうと目論んだわけです(^^ゞ
日本で夜に活動するスズメガの仲間に花粉を運んでもらおうと、 白や黄色の明るい色の花をつけたり、良い香りを漂わせるようになったというわけです。 萎む寸前の 昼時の花は ほとんど匂いませんでしたが (ToT)




キカラスウリは雌雄異株で、 この花は花の中央に雄しべの花粉が見えるので 雄花です。
おしべは 頭の部分しか見えてませんが、巨大な葯が3個 合着した形をしているそうです。




つぼみも独特です。


ペンタス - ラッパ状花冠

2020-07-29 09:43:50 | みんなの花図鑑
上から見ると 星形の(5角形)の花弁を持つので ペンタス。

前回の「ヤイトバナ(ヘクソカズラ)」とは 関連無いように見えますが、意外な類似性がありました (^^♪
まず、めしべ。 花筒から 二手に分かれて飛び出しています。(ヤイトバナのばあいは 2本の雌しべでしたが)




類似点その2: 花筒が長いラッパ型です。
このラッパ型の花筒をもつため、 蝶やハチドリに人気があります。とくに 赤いペンタスが集まって咲いていると吸蜜にやってきます。




類似点その3: 筒の中は 細かい腺毛でいっぱいです。




ここまでくると、もう分かりますね。 ペンタスと ヤイトバナは ともに アカネ科の植物でした \(^o^)/




では、 おしべは やはり 花筒の奥に隠れている?
これに関しては、 たいていは そうなんですが、 例外も たくさんあるんですよ
つまり、 ペンタスの花は 通常 上のように 雌しべの柱頭が 腺毛の中から立ち上がってますが、 そうではなく、代わりに おしべ が伸びている場合があるんですよ。
 ↓
もうひとつのペンタス - 西尾市憩の農園


ヤイトバナや ペンタスのおしべは 通常 花筒の奥に 腺毛に埋もれてついていますが、 一部のペンタスでは ↑のように、 外に突き出しているのです。 このあと、 雄しべが枯れ落ち、めしべが上がってくるのか、観察できませんでしたので、 品種が違うからなのか、仕組みはよく分からないままですけど (´∀`)




ヤイトバナ - ラッパ状花冠

2020-07-28 20:05:04 | みんなの花図鑑

永らく閉鎖されていた へきなんたんトピア(碧南市)が7月21日から再開とホームページにあったので、きょう行ってみました。もちろん 電力館ではなく、花と樹を見るために。ところが、林のあるエコパークのほうは(散策路冠水のため)行くことができませんでした。しかたがないので、ヒーリングガーデンの林のほうをいつもより念入りに探索。
おかげで、 ヤイトバナの観察ができましたよ




ヤイトバナ(標準和名:ヘクソカズラ)の花は ラッパ状花冠です。 釣り鐘型よりもっと花筒の部分が長い合弁花で、先端は5つに割れています。 筒の入り口に見える白いひも状の器官は めしべです。




花筒の中がどうなっているのか、解剖? してみました。
めしべの管が 上から下の子房まで 2本 伸びています。
花筒の内部の壁は 腺毛で覆われています。 蜜泥棒の潜入(蜜を盗むだけのアリの進入)を防ぐためと見られています。
ただし、ヤイトバナの目論見を見透かしたかのように、 赤い小さいアリは ヤイトバナの花筒の中に巣くうそうです (´v_v`)



めしべも、腺毛も、花筒の表面も、小さな水玉で出来ているようです。




これは めしべ を拡大して見たものです。




これは 雌しべの先端の柱頭部分にピントを合わせています。




めしべの管のほかに 有限長の白く長い器官がみえます(ピントが合ってませんが)。 これが おしべ で、 おしべは5本あります。 花糸は短く 花筒の壁に貼りついているようです。


増補版ノウゼンカズラ - 5の倍数

2020-07-28 15:45:17 | みんなの花図鑑
7月28日、 タントピアにて 「5番目のおしべ」を観察してきましたので その画像を追加しました。

ノウゼンカズラの花は合弁花で、漏斗形の形をしていて、先端は5つに割れています。
アリが乗ってる萼片も先の方が5つに分かれています(5裂)。
こういうのを 5数性 というらしいです。
たとえば、 フウロソウ科のゲンノショウコ。 5数性の典型で、萼片、花弁、心皮は5個、 雄しべは10個。 5の倍数で構成されています。




ところが、図鑑などによると ノウゼンカズラの「雄しべは 長短2本ずつ、合計4本 」とあります。
実物をみても、そのようにしか見えません。 いま ピントは 背の高いほうの2本に合っています。雌しべの柱頭が濃厚接触してるように見えますが (^^ゞ




こんどは 奥の2本にピントを合わせてみました。 ノウゼンカズラの雄しべは 葯がすごく大きく、そして2つの割れています。 そしてどういうわけか、 ペアの雄しべ同士でアーチを作っています、ちょうど ゴマノハグサ科のトレニアのように。




おしべが5の倍数でないのには何か訳があるのか? ちょっと調べてみたら、・・・ やはり、ありました。
花筒の奥のほうに「5番目のおしべ」らしきもの があるというのです。




今日、へきなんたんトピア(碧南市)に行ったら、 色違いの ノウゼンカズラがありました。 ちょっと触ったら 花筒と雄しべ毎(ごと) ポロっと抜け落ちたので、花筒を一部剥いで 観察してみました。 大きな葯を付けた雄しべが長いのと短いのと2対4本でアーチを作っています。トレニアそっくりです。 そして、 一番左に 小さく 葯の付いてないシベがありますが これが 「5番目のおしべ」です。
「5番目のおしべ」は 葯も付いていないことが多く、やがては 消える運命にある (現在は退化の途中)ということです。 なぜそうなったかは、 4本の雄しべが 2つ一組になって アーチを作ったりしだした? ことと関係があるのではないか・・・ 5数性を捨てて、そういう進化の方向に舵を切ったのではないかと (^^)/ (素人の推測ですが)

退化した器官や 機能を失った器官を有するものは高等である。
( 「植物形態学入門」小林萬壽男著 )

写真の虫は スマホの Google Lensアプリで検索して 一番近かった 「ヨコヅナサシガメ」かと思いましたが、もしそうなら 肉食性なので、 なぜ ノウゼンカズラの花にいるのかは、不明です。

ギボウシ - 釣鐘状の花冠

2020-07-28 10:00:23 | みんなの花図鑑
ギボウシ 「皇帝」

「ギボウシ」って面白い名前ですが、つぼみの姿が橋の柱の先端についている擬宝珠(ぎぼし)に似ているところからつ けられた名前なんですね。



釣り鐘状というと ホタルブクロとかツリガネニンジンが浮かびますが、ギボウシの花冠はそれらより 幾分広めです。「淡紫色の筒状鐘形」と表現している記事もありました。
花被片は6枚で、花被の合着部には透明線があります。



おしべは6本で、めしべはそれより長いです。 不思議なのは、 午後4時過ぎの撮影ですが、 おしべ・めしべが皆 花冠の奥方向へ向かって反り返っていることです。




ギボウシ 「ゴールデン・ティアラ」

品種の違う こちらのギボウシでも おしべ・めしべは「皇帝」と同じように反り返っています。 面白いですねぇ



壺型の花冠、 反り返って内側を向いた おしべ・めしべ、 これらの特徴は 花粉を運ぶ虫を限定するのに役立ちます。
一般的にコバギボウシでは、「媒介者は主としてマルハナバチ(丸花蜂)です」(草花と自然Blog「コバギボウシ(小葉擬宝珠)」)