アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

樹に咲く花 (50) トウグミ(唐茱萸)

2021-04-30 18:15:37 | みんなの花図鑑
前回取り上げた ナツグミは春に花を咲かせ、夏に実をつけました。



同じように、春に花を咲かせ、夏に実をつけるグミがもうひとつありました。
それがこの 唐グミです。



ところが、花を見ても ナツグミとトウグミはよく似ていて、区別がつきません。



果実も よく似ています。やはり区別がつきません。




ナツグミとトウグミを区別するには、葉の表面についている毛を見ます。
トウグミの葉の表面は こんな感じの毛が付いています。



マクロスコープで拡大したものです。
星状毛と言います。



こちらは 葉裏です。遠くから見ると銀色に光って見えるのは びっしりと毛が付いているからです。



マクロスコープで見たもの。こういう毛を鱗状毛 と言います。



場所によって、こんな風にも見えます(同じ葉です)。




参考までに、まだ青い果実の表面をマイクロスコープで見たものです。






♪ アカシアの雨にうたれて

2021-04-29 18:04:00 | みんなの花図鑑
今日は雨。そこで
マメ科の花特集、第3回は
雨に濡れるアカシア、
すなわち ニセアカシア(ハリエンジュ)の花。


♪ アカシアの雨にうたれて~
という歌がかつて大ヒットしました。
もちろん あのアカシアは このニセアカシア(ハリエンジュ)のことでしたけど。



ところで、私、今までずっと誤解してました。
♪ 「アカシアの雨」って ニセアカシアの並木を歩いているとき降ってくる雨のことだとばかり思ってました。




というか、サルトル(1905 - 1980)がマロニエの樹の下を歩きながら 思索にふけったように、
学生時代、アカシアの樹の下で雨に降られ、このまま死んでしまいたい!なんて感傷に耽ったふりをしていました(´v_v`)




「アカシアの雨」とは、アカシアに雨が降っている、とか雨の中のアカシアの花、ということではなかったのです。




雨のようにアカシアの花びらが散るさまのことだったです。




ニセアカシア(ハリエンジュ)はマメ科。花は蝶形花。
蝶形花の3種類の花弁とその機能は 「マメ科の花特集 第2回 フジ」を参照してください。
この花は 受粉の終わった花なのでしょう。舟弁の中から めしべが突き出しています。
受粉が終われば、雄しべと花弁は用済みです。
雌しべだけ残して 花は散ります。
アカシアの雨になって。





フジ - マメ科

2021-04-29 10:32:13 | みんなの花図鑑
マメ科の花特集、2回目は フジ(藤)の花。

フジ(岡崎公園)

トップ画像にいいものが無かったので、2018年4月18日に撮った岡崎公園の藤棚のフジ(五万石ふじ)を。



ヤマフジ?

岡崎わんパーク近くの里山で。
里山はいま藤の花が満開です。
里山のフジは 花穂が短いので、ヤマフジという種類かもしれません。



犬山のヒトツバタゴ自生地にて。
これもたぶんヤマフジ。フジというと、藤づるとか 藤棚のようにつる性で他の木などに巻き付いて成長するものだと思っていたのですが、里山のフジには自力で立ち上がるインデペンデントな藤がたくさんあるようです。




フジ

犬山のリトルワールドで。
施設内のフジですが、おそらく人工的に植栽されたものではなく 自生していたものではないかと思われます。



遠くなのでよく分からないのですが、どうやらこの藤も 自力で立ち上がっているように見えます。
そういえば、へきなんたんトピアのフジも 藤棚でなく、立木仕立てでした。



こちらは 同じくリトルワールドですが、藤棚のフジです。やはり 房が長いですね
(2017-5-10撮影)




蝶形花

マメ科の多くの花は「蝶形花」と呼ばれる独特の花を咲かせます。フジの花も蝶形花の典型です。
蝶形花の花弁は上方に 大きな1枚、下側に 左右2枚一組が2種類あります。
上に飛び抜けて大きくよく目立つ1枚は 「旗弁」といい、訪花昆虫に花のありかを知らせる旗(Flag)の役目をしています。
旗弁の付け根には 黄色い蜜標があります。



下側の2種類は左右2枚一組からなり、柏手を打つ時のように向かい合っています。
2種類は 重なっていて、外側の左右一組を「翼弁」、内側の左右一組を「舟弁 (または竜骨弁)」といいます。




外側の翼弁の役目は 虫が停まる足場の役目をすると考えられています。
内側の 舟弁ですが、合わさった左右2枚の舟弁の中に めしべと雄しべが入っています。




翼弁と舟弁は重なっていて、虫が外側の翼弁にとまると その重みで翼弁と舟弁が下がり、かくれていた めしべと雄しべが顔を出すという仕掛けになっています。




想定外の?小さい虫が止まっていますが、もっと大きいハチなどが翼弁に止まって 蜜標の下の蜜を吸おうとすると おしべとめしべが伸びてきて受粉するという構図です。




役目を終えた花弁とおしべは萎んでいきます。
そのむこうには 果実がもうこんなに大きく豆のかたちに成長しています。でもまだ柱頭がしっかりついています。




萼と果実が日本刀のようです。





エニシダ - マメ科

2021-04-28 18:17:59 | みんなの花図鑑

エニシダはマメ科。その花は 蝶のよう(蝶形花)。
野外民族博物館リトルワールドにて。




ところで、エニシダの名はどういう由来で付けられたのでしょうか?
そもそも、日本語なのでしょうか?

【エニシダの語源・由来】
エニシダはラテン語で「genista(ゲニスタ)」と言い、これがスペイン語に入って「hiniesta(イニエスタ)」となった。
「イニエスタ」が日本語に入って「エニスタ」と呼ばれるようになり、更に変化して今日の「エニシダ」という名前となった。
「エニスタ」からの音変化は、植物の「シダ(羊歯)」の名が影響したと考えられている。




漢字で「金雀枝」や「金雀児」と書くのは、黄金に近い黄色の花を咲かせるためであるが、紅斑のある花や白花もある。(同上)



ホオベニエニシダというのでしょうか?




マメ科の特有の花の形を蝶形花(ちようけいか)と言います。
一番大きくて 上に立っているのが 「旗弁」です。虫に花のありかを知らせるフラッグ(旗)の役目をします。




下側には2種類の花弁が左右に重なっています。
外側の左右2枚を 翼弁といいます。虫が蜜を吸うために停まる足場の役目をします。




内側の2枚は 「舟弁または竜骨弁」といって、当初は、柏手のように おしべとめしべを包んでいます。
虫が翼弁に停まるとその重みで翼弁と舟弁がたわみ、舟弁が開いて中からおしべとめしべが出てくる仕掛けになっています(^_-)-☆




このエニシダが、こんな豆を作ります (^_-)-☆
(2011-6-26 撮影@リトルワールド)← 10年前だ ∧||∧

タニウツギ、ショウキウツギ - スイカズラ科

2021-04-28 11:03:53 | みんなの花図鑑
タニウツギ

ウツギと名が付く木には アジサイ科の空木(ウツギ、ヒメウツギ、ガクウツギなど)と、スイカズラ科の空木(タニウツギ、オオベニウツギ、ハコネウツギなど)と、ミツバウツギがあります。
今日は スイカズラ科から2種取り上げます。



タニウツギは本州の日本海側に分布し、和名の由来は谷などに多く自生していることによります。
これは へきなんたんトピア・ヒーリングガーデンのタニウツギです。

(一部、看板に偽りがあり「ウツギ」となっていますが、ウツギの花は白いです)



花は紅色から淡紅色で、花冠の先端ほど紅色が薄くなります。



もう少し後に咲く仲間のハコネウツギの花は 咲き始めは白く、やがて赤に変わります。





ショウキウツギ

安城デンパークのショウキウツギです。少なくとも2か所にあり、こちらは バックにカイノキの見えるほうの植栽です。



「街路や公園に多用されるアベリア(ハナゾノツクバネウツギ)の近縁だが、ショウキウツギ属は本種のみ。」(庭木図鑑 植木ペディア > ショウキウツギ)



ひとつの花は小さいですが、花付きがよいので株を覆うように咲きます。(園芸植物・365花撰「ショウキウツギ」)




ショウキウツギというと筒状花の花冠の内部に橙色の網目模様があるのが特徴です。




蕾のときはピンクで、先進むにつれて白くなるように見えるのは「花の外側が淡いピンク色で、内側が白いことによる」のだそうです。(庭木図鑑 植木ペディア > ショウキウツギ)




ところで、なにゆえ「ショウキ」なんでしょう?
ショウキウツギの花のもう一つの特徴ですが、蕾のときにすでに 花柄の付け根に 白い毛が生えています。
こういう毛が生えているところに着目してショウキ(鐘馗)様の名をいただいたのでした (^^ゞ



果実も 一面褐色の毛におおわれています。


キモクレンとカラタネオガタマ - モクレン科

2021-04-27 18:05:01 | みんなの花図鑑
モクレン科の花をふたつ。


キモクレン

こちらは 安祥城址公園にて本日(4月27日)撮影。
奇しくも、3年前の全く同じ日に 初見して 教えて!goo で 名前を教えてもらってました(^^)/

キモクレン - 安祥城址公園 2018-04-27



果実が キュウリに似ているそうで、
英名:イエロー・キューカンバー・ツリー(黄色いキュウリの木)。




学名: Magnolia acuminata
種小名は acuminatus(鋭尖の,先が次第に尖った(cuspidatusより緩やか))の複数形か?




学名をそのまま使って 流通名も マグノリア・アクミナータ。




北アメリカ東部 原産。



カナダでは、キュウリの木は絶滅危惧種としてリストされており、カナダの絶滅危惧種法の下で保護されています。(英語版wiki「Magnolia acuminata」を機械翻訳)





カラタネオガタマ

こちらは 安城デンパークで昨日(4月26日)撮影。



以下、デンパークの解説板より

《今が見ごろの植物》
カラタネオガタマ
学名 : Magnolia figo
 モクレン科 常緑小高木
 中国南部原産



花びらが厚くクリーム色をした花は、お世辞
にも綺麗とはいえせんが、バナナのような甘
い香りがします。次々と咲くので、2週間程は
辺り一面に香りが漂います。




カラタネオガタマという名前は、中国原産と
いう意味のカラタネ(唐種)と、神事に用いら
れたオガタマ(招霊)に似ていることに由来し
ます。




立てばシャクナゲ!座ればボタン?

2021-04-27 10:44:52 | みんなの花図鑑
「立てばシャクヤク...」 っていいますが、こちらは シャクナゲ。


場所は 野外民族博物館リトルワールド。
シャクナゲ といっても、ツツジ属(ロードデンドロン)の植物で、この花など 確かに ツツジ(躑躅)を思わせます。




シャクナゲにも 西洋と日本とがあり、看板によると これはセイヨウシャクナゲ らしいです。
日本シャクナゲのほうは 葉の裏が褐色になっているということです。



シャクナゲの雄しべを拡大してみて驚きました。葯の頭に穴が開いている!

(該当部分の拡大図)
シャクナゲのおしべは この穴から花粉を出すのでしょうか?


詳しく調べている方のblogがありました。
「普通、葯と言うものは、内側に花粉があって、葯が開裂し裏側がめくれて花粉が出て来るのだが(中略)シャクナゲの葯は開裂しないらしい。

 調べてみると、開裂しないのではなく、上の部分が蓋の様に開くのだそうである。ツツジ科植物の多くはこう言う形の葯をもつとのこと。他に、ナス属やヒメハギ属にもこの手の葯があるらしい。」(RakutenBlog・我が家の庭の生き物たち「西洋シャクナゲ(クリソマニカム) (6)」)





シャクナゲの蕾は こんなふうにくしゃくしゃです (´∀`)





座れば ボタン?

ボタンの花というと ふつうこのような八重咲きの花を思い浮かべますが・・・



8世紀に中国から薬用植物として渡ってきたときは 一重咲き種だったものと思われます。



八重咲きの花弁というのは 主に おしべ が変化したものと言われてます。
ツバキの園芸種などでは おしべが全部 花弁に変わってしまっているものもありますが、このボタンでは まだ雄しべが残っているようです。



シャクヤクとボタンはよく似ていますが、葉で区別するのが一番わかりやすいようです。


(出典:タキイネット通販「シャクヤクとボタンのちがいとは?」)






樹に咲く花 (46の2) ベニバナトチノキ、トチノキ

2021-04-26 18:12:20 | みんなの花図鑑
安城デンパークのベニバナトチノキは 「樹に咲く花 (46) トチノキ、ベニバナトチノキ」でつぼみの状態を報告していますが、わずかの間に だいぶ開花してきました。



ベニバナトチノキ

ベニバナトチノキは ムクロジ科トチノキ属の落葉高木。
近寄れないので、コンデジの望遠側で。



紅色には濃いものから薄いものまで幅がある。(みんなの花図鑑)




ヨーロッパ原産の西洋栃の木 (セイヨウトチノキ)と北アメリカ原産のアメリカ紅花栃の木(アメリカベニバナトチノキ)の交配種である。(同上)




西洋栃の木 (セイヨウトチノキ)はフランス語名のマロニエとして親しまれている。(同上)




ひと房だけ、こんな色をしていました。




トチノキ

トチノキのほうは さらに背が高く、近づくことが出来ません。
水気を好み、適度に湿気のある肥沃な土壌で育つ。(wiki 「トチノキ」)




大木に成長し、樹高25m、直径1mを超えるものが少なくない。葉も非常に大きく、全体の長さは50cmにもなる。(同上)




一つの花序の中に雄花と両性花をつけます(花序のほとんどが雄花で下部の一部が両性花)。




雄花はクリーム色の花にみえます。ピンクの花が雄しべと雌しべのついている両性花ということです。






樹に咲く花 (48) キリ科のキリ

2021-04-26 08:00:24 | みんなの花図鑑

キリは キリ科。至極当然なように思うが、これが昔は ゴマノハグサ科だったらしい。
豊田市で撮影。



かつてシソ目ゴマノハグサ科には キリ属のほかに、ツタバウンラン、キンギョソウ、アゼナ、フジウツギ(ブッドレヤ)などの唇形の花をもつ属が含まれていましたが、これらは新しい分類体系で 別の科に移され、キリ属はキリ科として独立したのだそうです。



かつてのゴマノハグサ科(シソ目)の花には唇形の花が多いですが、それらとは 大きさが違いますよね




キリの花は 高いところに咲いていて、上の花のように 花弁と雄しべがすっぽり抜け落ちて地面に落下していて、気が付くことが多いです。




花はあっというまですが、果実は 花弁と雄しべが抜けてから、じっくりと時間をかけて大きくなっていきます。












今度は・・・

豊田安城自転車道を通って 安城市の桐の木までやってきましたが・・・




このとおり、去年の果実の抜け殻が大量についているばかりでした。
株によって、こんなに 時期が違うんですね