アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ハイビスカス(ブッソウゲ)- アオイ科

2022-08-31 06:00:06 | みんなの花図鑑
ハイビスカス

日本でハイビスカスというと フヨウやムクゲとは別の花としていますが、じつはどれも アオイ科 Hibiscus(フヨウ属)の木なのです。
フヨウの学名は Hibiscus mutabilis
ムクゲ の学名は Hibiscus syriacus
で、私たちがふつうに「ハイビスカス」(和名でブッソウゲ)と呼んでいる種類のこの花は
学名では Hibiscus hybridus (交雑種のヒビスクス(フヨウ属))
または Hibiscus rosa-sinensis (支那のバラのヒビスクス)なんです。。


名札によると 「サマーブリーズ®」というシリーズの一つが「ラーゴブリーズ」というオレンジ種のようです。




ハイビスカスのおしべとめしべです。
黄色い花粉をつけているほうが、おしべが束になってできた中空の筒。
この中を雌しべの花柱が伸びてきて 筒の先端で柱頭(赤い5つの毛羽だった球)を展開してます。




この花では雌しべの柱頭と雄しべの葯が 長いおしべ筒の先で今にも自家受粉しそうに近づいてます。




ほら!
柱頭にたくさんの花粉が付いてますが、他の花から運ばれた花粉のように見えません。これは自家受粉ではないでしょうか?
ハイビスカスの蜜は花筒のいちばん奥のところにあります。




アゲハチョウなどが来て蜜を吸おうと花筒の奥に口吻を伸ばそうと翅をばたつかせると雄しべの花粉がすぐよこの雌しべの柱頭に付くという訳です。




ブッソウゲ

別の日、別の場所で撮ったブッソウゲです。(鞍ヶ池植物園)
先ほどのハイビスカスよりもっと花弁とシベの部分が離れています。
こうなると Google Lens で検索しても ハイビスカス とは言わなくなり、ブッソウゲに候補名を変えてきます。




でも、分からないのはその機能というか必要性です。
こんなに離れてると、いくら大きなアゲハチョウでも、蜜を吸おうと花弁の奥に顔を突っ込んでも、翅はシベ部に届かないと思います。





フウリンブッソウゲ

そしてこの極限が フウリンブッソウゲと言われる花弁部とシベ部が離れていて独立した花のように見えるブッソウゲの一種です。
(氷見市海浜植物園にて)



こうなると、花弁や その基部に分泌される蜜はもはや虫の餌としてのみ存在意義があるとしか言いようがない気がしてきます。

垂れ下がった長い雄しべが風にゆれる様子は、風鈴からぶら下がる短冊が揺れる様子によく似ています。それゆえ、フウリンブッソウゲはもはや虫媒花ではなく、風に吹かれてぶら下がったシベが揺れるのを利用して受粉する風媒花ではないかという説が有力視されているそうです。




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フィランサス 'フェアリー' ‐ コミカンソウ属

2022-08-30 06:00:08 | みんなの花図鑑

あれ!? コミカンソウが植えてあるぞ?!
と思ったのは、7月のこと。
場所は 安城デンパーク・秘密の花園。




でも、野草のコミカンソウが植えてあるはずないから、コミカンソウ属の何か園芸品種ではないのかと思い、アップしたのは7月24日のこと。
アップする前にGoogle Lens で調べてみたのですが、「コミカンソウ属」までしか分かりませんでした。
そのとき、さざんかさんに教えてもらったのが MS Edgeブラウザによる画像検索。
そこに出て来る画像で、一番似ているのは「フィランサス・フェァリー」でした。





コミカンソウの花と同じで、枝の下を向いて咲いています。





フィランサス(Phyllanthus)は属名でコミカンソウ属のこと。
コミカンソウ属はかつてはトウダイグサ科に収められていましたが、今は独立してコミカンソウ科。




フィランサス(Phyllanthus)は 雌雄異花。ひとつの株に2種類の花をつけます。
これまで出てきたのはすべて雌花でした。
花がいかに小さいか、上のほうにいる小ぶりのアリと比べてみてください。
子房の周囲には蜜が出ています。




最後になりましたが、雄花です。
本家のコミカンソウですと、雌花の先に雄花が付くのですが、’フェアリー’ では 葉の上に雄花、葉の下に雌花と咲き分けているようです。



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朝と午後のスイフヨウ - アオイ科

2022-08-29 06:00:03 | みんなの花図鑑
朝のスイフヨウ

朝の咲き始めは純白のスイフヨウです。




フヨウの学名は Hibiscus mutabilis
属名は日本語では「フヨウ属」ですが もともとは ハイビスカス属。
「種小名 mutabilisは「変化しやすい」(英語のmutable)の意。」(wiki 「フヨウ」)




そしてスイフヨウ(酔芙蓉)の学名は Hibiscus mutabilis cv. Versicolor
学名のcv. は cultivar の略で、基本の植物を交配させて人工的に作られた植物すなわち園芸品種のことです。
園芸品種名の Versicolor は 種小名によく使われていますが、「色変わりする」くらいの意味なんでしょうね
(鳥のキジの学名が Phasianus versicolor でした)












午後の酔芙蓉

花の色が朝は白、午後はピンクに、夕方には紅(濃いピンク)色に移ろい、酒に酔うように色が変化するので酔芙蓉と名が付きました。



同じ属のムクゲが 韓国の国花なのに対し、フヨウはやはり中国の花の雰囲気があります(国花ではありませんが)。




色が変化するのは「アントシアニンの合成によるものです。日照によってアントシアニンを合成する酵素が増え、花弁部分に蓄積されて赤みを増していきます。」(BOTANICA「スイフヨウとは?花の色が変化する理由は?」)




夕方には紅色(濃いピンク)に。




酔芙蓉は八重咲き種と言われてますが、よくみると、おしべ筒からおしべが出ており、半八重であることが分かります。




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これはコキア(ホウキギ)ですか?

2022-08-28 06:00:10 | みんなの花図鑑

ちょっとお尋ねします。バッタが止まっている花壇の草ですが、これは何でしょう?




コキアのようにも見えるのですが、一本の茎が枝分かれして球形になっているのでなく・・・





一本一本が独立していて垂直に上に伸びています。




花はこんなです。




赤くなっている花は部分部部分でした。












〔参考〕紅葉したコキア

















う~ん、やはりコキアなのかなぁ






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ダイズ、黒豆 - おらが畑

2022-08-27 06:00:07 | みんなの花図鑑
ダイズ

大豆(英名:Soybean)の花なんて見たことありますか?!
咲いていても たいていは葉に隠れていて気が付きませんよね (^_-)-☆




「ダイズ種子には苦み成分であるサポニン (Saponin) (ダイズサポニン)が多く含まれており、人類の主食にまではなっていないが、植物の中では唯一肉に匹敵するだけのタンパク質を含有する特徴から、近年の世界的な健康志向の中で「ミラクルフード」として脚光を浴びている。」(wiki 「ダイズ」)




「両性花なので自家受粉可能であり、自家採種のしやすい植物である。」(同上)
というか、「花が開いたときは もう受粉が終わってるんだ」(農林水産省「ダイズの花を観察しよう!」pdf)




「その反面、連作障害を起こしやすいため、次の年は輪作を行ない、違う作物を作付けし、連作を避けるか、連作を行なうために消毒や土壌改善を行う等の対策を練らねばならない。日本国内においては、このことが栽培規模拡大への障害のひとつとなっている。」(同上)














黒豆

黒豆(くろまめ)といっても、マメの皮が黒いだけで、「栄養成分的には通常のダイズと同等」なんだそうです。(wiki 「黒豆」)




ただ、枝豆として食べても大豆より黒豆のほうが味が濃いような気がします !(^^)!




大豆の画像と比べてみると、個体差かもしれませんが、黒豆の花のほうは花柄が長いですね










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キンミズヒキとダイコンソウ - 鉤花?

2022-08-26 06:00:05 | みんなの花図鑑
キク科の 鉤(かぎ)状の棘をつける花の話題です。

キンミズヒキ

キンミズヒキはバラ科キンミズヒキ属の多年草で、名前は「細長い黄色の花穂を「金色のミズヒキ(タデ科)」にたとえたもの。なお、ミズヒキはその花穂を水引にたとえたものである」(wiki 「キンミズヒキ」)
黄色と白の水引(wiki「水引」より)




「タデ科のミズヒキは赤と白の花をつけ「水引」の名も納得できるが、この花は金色(黄色?)の水引のイメージは全く感じられない。」(野の花賛花「キンミズヒキ(金水引)」)




雄しべは8~15本。萼片は 5個。




左上が蕾です。蕾の萼片の先に、今日のテーマである鉤(かぎ)状の刺がはやくも見られます。




萼片の鉤状のトゲがテーマですが、一応 「雄しべは約12個、2個のめしべは萼筒に包まれ、ふつう1個だけ成熟する(野に咲く花)」(松江の花図鑑「キンミズヒキ」)




出ました!これが果実です。
「果実は痩果で俵形、径3 mmほどの大きさがあり、永存性の萼筒に包まれたまま成熟する」(wiki「キンミズヒキ」)




「萼筒の上縁に副萼片が変化したものといわれる長さ3 mmのかぎ状の刺があり、衣服や動物の毛に付着して運ばれ、種子が散布される」(同上)
思い付きですが、花のときから付いている萼片が変化して鉤を持った果実に変化するのだから、鉤花(かぎばな)という呼び方もありかと思いました。もっとも「鉤花」は 「すみれ(菫)」の古名として使用済みとのことですが。





ダイコンソウ

このダイコンソウの花は8月上旬に撮ったものですが、もう花後に近いです。
くたびれた花しかなかったので、単独で取り上げるのをためらってましたが、秋近くなってキンミズヒキを取り上げるついでに よく似た感じのバラ科の花として 連立して?取り上げます。




「雄しべと雌しべは多数ある。花柱に関節があり、ここでねじれている。(野に咲く花)」(松江の花図鑑「ダイコンソウ」)



「花のあと花柱はのび、関節から上は脱落し、先がカギ形に曲がったそう果になる。」(同上)




仲間にオオダイコンソウがありますが、そちらはやや楕円の球果だそうです。




「花が終わると、花柱が伸び、関節より上は落ちる。」(三河の植物観察「ダイコンソウ」)




「集合果は球形。果実は長さ約3㎜、有毛、花柱の残った先が鉤状になり、動物などにくっついて散布される。」(同上)

以上、鉤花 2題でした。






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スイレン - 於大公園

2022-08-25 06:00:03 | みんなの花図鑑
スイレン

於大公園(東浦町)の薬草薬木園の池のスイレンです。
妖しげな蛍光色で眼を惹きます。




スイレンは漢字で「睡蓮」です。花は開いて閉じてを3回繰り返します。昼間目覚めて、夜閉じるというサイクルの夜閉じる=夜「睡眠する」ととらえて、「睡眠する蓮」→「睡蓮」なんですって。




「属名の Nymphaea は、「水の妖精」を意味するギリシア語の νυμφαία (nymphaia) に由来する」(Wikipedia「スイレン属」)



「観賞用のスイレンは、耐寒性の有無に基づいて温帯スイレンと熱帯スイレンに大別されることが多い」(同上)






熱帯スイレン

オニバス池の熱帯スイレン。




「熱帯スイレン (熱帯性スイレン, tropical water lilies) は耐寒性がなく、地下茎は塊状で直立する」(同上)




「花は水面から抜き出て咲く。昼咲き (day blooming) の種と夜咲き (night blooming) の種がある。」(同上)




「'サザン・チャーム' (Nymphaea 'Southern Charm')
昼咲き性。花弁は青色で基部が淡黄色。」(同上)





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白と赤のサルスベリ - 樹に咲く花54

2022-08-24 06:00:01 | みんなの花図鑑
久しぶりの<樹に咲く花>シリーズです。前回は約一か月前に取り上げたクサギの花でした。


サルスベリ(白)

涼しそうな白のサルスベリ。
サルスベリは漢字で「百日紅」と書くように7月から9月までと花期が長いです。




もちろん白いのは花弁だけです。
中心のシベの集団は 白も赤も同じ色のようです。




蕾が開きだしたところ。シベがくるくる無造作に巻かれています。マンサクの花弁にもこんな時期がありました。




開いた花。雄しべに2つのタイプがあり、中心の黄色い花粉の集団と外側に大きく伸びてカールしている黒っぽい花粉の集団。





サルスベリ(赤)

こちらは赤というよりピンクのよく見るサルスベリ。
中心の黄色い花粉の集団は花粉がこぼれて自身の花糸を伝っています。




なぜ2種類の雄しべがあるのかということですが、黄色い花粉のほうは不稔性(生殖能力がない)で、虫の餌として機能しているのだそうです。




長い黒っぽい花粉の雄しべが本来の雄しべで、やや大型のハチが黄色いおしべの花粉の上に止まると、長いおしべがハチの背中や翅に本来の花粉が付くという仕掛けになっているのだそうです。




これが ハチの餌用花粉。





背の高いのが本来の雄しべ。




本来の雄しべの葯は黒っぽく、花粉粒がどんな色をしているのかよく分かりません。




もちろんはじめから長短役割の違う雄しべがあったのでなく、長いことハチと接する過程でこんな風に役割分担するようになったんでしょうね。




長い下を向いた稔性の雄しべの葯は(黒っぽくしか見えないが)地味な紫色で、ハチにありかを知らせ食べてもらう疑似雄しべ?のほうは 黄色で上を向いて派手です。




右が本物の雄しべで、左が雌しべです。
おしべの花糸は細いですが、雌しべの花柱は太くて丈夫そうです。
本物のおしべとめしべは同じくらいの高さにあります。そうしないと同じハチの背中に付いた花粉を受け取れないから。




めしべも本物の雄しべと同じようにカールしてハチの背中に当たりやすいように下を向いています。






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アオイ科のオクラ

2022-08-23 06:00:05 | みんなの花図鑑

オクラの原産地はアフリカ北東部(エチオピアが有力)と言われています。




「日本語名オクラは、英語名 “okra” (オクラ)からの借用語(外来語)で、その語源はアフリカのガーナで話されるトウィ語の “nkrama” に由来する。」(Wikipedia)




アオイ科の花に共通する特徴ですが、雄しべは合着して雄しべ筒を作っています。
その雄しべ筒の中をめしべが貫通しているのがアオイ科のシベの共通した特徴です。




オクラの雄しべですが、花糸部分がなく、雄しべ筒の壁に葯(花粉の袋)が付く恰好をとっています。




めしべのほうですが、雄しべ筒から先に伸びることなく筒の入り口で柱頭を作っています。
4つの柱頭は別れることがなくくっついています。
これでは自家受粉してしまうではないか? と思いますが、それをあらかじめ狙っているようです。
「オクラは、雄しべが雌しべにまきつくようにしてついているので、基本的には、開花と同時に自動的に受粉ができているので、人工授粉の必要は、ありません。」(オクラの受粉|オクラ-品種不明 PlantsNote QA)




アオイ科の花は裏から見るときれいな花が多いです。




このオクラもやはり美しい2色咲きです。




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ラバテラ(ハナアオイ)バイカラー - アオイ科

2022-08-22 06:00:10 | みんなの花図鑑

花蕊を見て分かる通り、ハイビスカスとかアオイ科の花の特徴です。
ムクゲにも似てるけど、花弁と花弁の間に隙間があるので、ムクゲではないようです。




むしろゼニアオイを立ち上がらせたような雰囲気です。


名前は ラバテラ ’バイカラー’ 。
ここに掲げる画像は 昨年の5月下旬、西尾市憩の農園で撮ったものです。




’バイカラー’ という品種は 大輪のピンクの花で、花の中心が濃ピンク色となる2色咲き品種です。




別名(和名)はハナアオイ。
「ハナアオイはアオイ科ゼニアオイ属の栽培種。ラバテラ属に分類されていたこともあり、ラバテラとも呼ばれる。」(三河の植物観察「ハナアオイ」)





花期は4~7月。(同上)





花弁と花弁の間には隙間があります。ここは モミジアオイに似ています。




アオイ科に特徴的な花蕊の構造をしています。
おしべの花糸が合着して筒状になり・・・




その筒の中をめしべの花柱が貫通して筒の先に突き出て柱頭を展開しています。






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