アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

カキツバタの歌、ハナショウブの歌

2023-06-30 16:00:01 | みんなの花図鑑
三河(安城市)野寺の本證寺のハスはちょっと早すぎました。きょうはお堀に一緒に咲いていたカキツバタと安城デンパークで撮ったハナショウブを。


カキツバタ
カキツバタとハナショウブの見分け方は・・・ カキツバタは、外側の大きな花びらの付け根に白色の筋があります。 ハナショウブは、外側の大きな花びらの付け根に黄色の筋があります。 カキツバタは水辺が好きです。ハナショウブは意外と乾いたところでも生育します。




カキツバタというと、三河八橋で詠んだカキツバタの歌が有名です。 伊勢物語「東下り」の一節を現代語訳でどうぞ↓

「ある男が自分の身をこの世には不要なものと思い込んで京を離れ東国に住む場所を探すために友としている人を一人二人を連れ立って旅に出た。
旅の途中、三河の国の八橋で乾飯を食べた時、沢に咲いた『かきつばた』の花を見て、一人が『かきつばた』の五文字を五七五七七の頭において和歌を詠めというので、決められた文字を一字ずつ頭において、いわゆる「折句」として詠んだ。」というもの。



 
その和歌がよく知られている以下の「折句」です:
ら衣 (着)つつなれにし ましあれば るばる来ぬる び(旅)をしぞ思ふ



 
<現代語訳>
着続けて柔らかく身に慣れ親しむものとなった唐風の着物のように 慣れ愛おしい妻が住んでいる都をあとにして、はるか東国まで来てしまった旅路をしみじみとやるせなく思う。





ハナショウブ

ハナショウブの一般的な開花時期は5月下旬~6月上旬で、アヤメ属の中では一番遅いです。 (カキツバタは 5月中旬~下旬) (アヤメは5月上旬~中旬、ダッチアイリスは4月中旬~5月中旬)




カキツバタはすでに「万葉集」に登場していますが、ハナショウブのほうはそれより遅く江戸時代に市民権を得たというのが定説ですが、実はすでに「万葉集」に登場する「はなかつみ」がハナショウブ(あるいはハナショウブの原種のノハナショウブ)を指していたのではないかとする説があります。


 
「はなかつみ」の歌は 平安時代に…

みちのくの あさかの沼のはなかつみ かつみる人に恋やわたらん
(古今和歌集第14巻巻頭詠み人知らず)
(陸奥にある安積の沼には、花勝美という花が咲いているという。遠い国に咲く花のように、ちらりとお見かけしただけのあなたに、私は恋しつづけるのであろうか)(「日本の固有植物に学ぶ自然のしくみと共生の知恵」.pdf より)

と歌われていました。
安積の沼は現在の福島県郡山周辺で、三河よりもはるか東方に位置します。その安積の沼がすでに平安時代に登場し、このあと「はなかつみ」と結びつけて歌われるようになったのは驚きです。 (ただし 郡山市では「花かつみ」を「ヒメシャガ」のこととしていますが)



.




ハス - 三河野寺・本證寺

2023-06-29 16:00:00 | みんなの花図鑑
↑これは何でしょう?? 答えは記事の中ほどに (^_-)-☆


本證寺は愛知県安城市野寺の碧海平野にあり、二重の堀(内堀・外堀)や土塁が巡ることなどから「城郭寺院」とも呼ばれています。




本證寺は 北の上宮寺、東の勝鬘寺とともに三河三か寺と呼ばれ、浄土真宗本願寺派(当時)(以下、一向宗とも)の有力寺院でした。




三河三か寺は三河の沖積平野(すなわち水田地帯)で農民を門徒に一種の共同体(一揆)を作っていました。




いっぽう、新興勢力の武士は洪積台地(当時は雑木林や荒れ地)に城や砦を構えていました。




三河三か寺は すでに松平広忠(家康の父)の代に守護使不入の特権を得ていました。
岡崎城に年貢を納めることを免除されていたのです。




主食のコメは当然沖積平野の水田地帯でしか取れませんから、新興勢力の武士たちは既存の一向宗に対し既存権の侵害を試みようとします。




三河一向一揆の発端には諸説ありますが、永禄6年(1563年)に松平氏家臣の菅沼定顕に命じて上宮寺の付近に砦を築かせ、上宮寺から兵糧とする穀物を奪ったことが発端となったといいます(上宮寺発端説)。



不入特権を主張する三河三ヶ寺と、教団の利権を解体して三河国統一を目指す徳川家康との対立が深まり、守護使不入の特権が侵害されたことに端を発して、本證寺第十代・空誓(蓮如の曾孫)は、上宮寺や勝鬘寺と共に檄を飛ばし、本願寺門徒を招集して菅沼氏の砦を襲撃しました。これがのちに三河一向一揆とよばれる 家康三大危機のはじまりです。





↓ 見出し画像の答えです
ハスの花中心部




雌しべ




雄しべ




1560年の桶狭間の戦い後、岡崎城へと戻った家康は、三河の既存勢力を配下に置く三河の領国化政策を進めていました。しかし、この政策は三河の農民や寺院にとっては過酷な収奪と言えるものだったわけです。




一向宗徒と家康の戦いは家康の家臣をも2分する戦いになりました。たとえば、本多正信は、それまで松平氏に仕えていましたが、一向一揆の時には一揆側について、家康と敵対します。
石川康正と数正の親子は 父が一揆勢に、子が家康側について戦っています。




渡辺守綱は熱心な一向宗門徒だったため、「三河一向一揆」の時には家康に背いて一揆側に与します。その後、家康に帰参してからは槍を使った優れた戦術で戦功を上げ、「徳川十六神将」に数えられました。




現代とは違って当時は信仰が重要視されていたため、主君と信仰の間で揺れる家臣たちの心情も理解できたのかもしれません。家康にとって、「三河一向一揆」は信仰の恐ろしさを知らされる戦いになったと言えます。



.



アルストロメリア・プルケラ - ソバージュ(野生の)

2023-06-28 16:00:00 | みんなの花図鑑

私はアルストロメリアの花が好きですが、この赤いプルケラはもっと好きです。




花色は赤で縁が緑色、花被片の内側に褐色の筋状の条斑が入る。(植物写真館「アルストロメリア・プシタキナ」)
ブラジル北部原産。(三河の植物観察「ユリズイセン」)
アルストロメリアの原種という言い方をされることがあります。




「南アメリカなどで野生化しており、日本でも野生化したものが各地で見られ、三河地域の山道の道端などでもときどき見られる。」(同上)
このプルケラは竹藪にあったものです。
むかし?女性の髪形で「ソバージュ」っての流行りましたが、ソバージュ(Sauvage)ってフランス語で「野生の」って意味なんですよね




ユリズイセン科アルストロメリア属
ユリ科からユリズイセン科に分離された。(同上)




学名は2つあり
Alstroemeria pulchella L.f.

Alstroemeria psittacina Lehm.mark
です。




属名のAlstroemeria(ユリズイセン属)はリンネの友人のスウェーデンの植物学者「アルストメーア男爵」の名からとされています。




種小名の pulchella はラテン語で「美しい、かわいらしい(英 pretty) 」の意。
psittacina は、ラテン語の「psittacinus(オウム色の、色とりどりの)」」の意。




.

ネムノキ - 安城市総合運動公園

2023-06-27 16:00:00 | みんなの花図鑑

こちらのネムノキは安城市総合運動公園のソフトボール場の観覧席から後ろを向いて撮ったネムノキです。




「安城市ソフトボール場」といえば分かり易いのに・・・
ネーミングライツを売って2019年から10年間は「DENSO BRIGHT PEGASUS STADIUM」という名前が表向きです。




「デンソー・ソフトボール・スタジアム」とかのほうが分かりやすいと思いますけど "(-""-)"




ところでネムノキの葉は暗くなると葉を閉じて休眠します。(就眠運動)




葉の付け根の少し膨らんだ部分「葉枕」( ようちん)が、光の強弱でふくらんだりしぼんだりするために、葉が閉じたり開いたりすると説明されています。




暗くなると 葉を閉じるのは水分の蒸散を避けるためといわれています。




朝になると葉を開くのは光合成をするためです。





.

ガクアジサイ - 雨に歌えば (2)

2023-06-26 16:00:00 | みんなの花図鑑
私の好きなガクアジサイ 第2回は 柳川瀬公園(豊田市)で出会ったガクアジサイです。


ガクアジサイは漢字で書くと「額紫陽花」。花の周囲の装飾花を額縁に見立てたわけですね




「額縁」は中に絵や書を入れてそれを引き立てるためのもの。中身がなくちゃ額縁もただの枠。




ところで、アジサイは四葩(よひら)と呼ばれますが、それは装飾花の萼片の数が4枚のことが多いからなんですね。
でも、この装飾花は萼片が 5枚あります。




このアジサイの装飾花も5枚の萼片があります。




いっぽう、両性花のほうは萼片が目立たず、5枚の花弁がよく分かります。




装飾花の花柄は両性花の中から伸びています。




両性花のつぼみ。手毬(てまり)のようで可愛いです。



最後にふたたび装飾花。この装飾花では5枚の萼片とともに、やはり5枚の花弁がしっかりついていますね。

よひら いつひら のお話でした




.

これは何でしょう?!

2023-06-25 16:19:01 | みんなの花図鑑
お詫び
きょうは、「ガクアジサイ - 雨に歌えば」の第2回の予定でしたが、あまりに代わり映えがしないので、一日置くことにしましたm(_ _)m

さて、これは何でしょう?!

ある花の一部です。


左に見えるのは舌状花の一部です。これがヒントです (^_-)-☆
答えはつぎの画像のあとで。







↓ 答えです

よく見るヒマワリでした。英名:Sun Flower 学名:Helianthus annuus
そして 「ひまわり」は イタリア語で I Girasoli なのでした!

ヴィットリオ・デ・シーカ監督の『ひまわり』(1970年)
ちなみに イタリア語の girasole は、girare(回転する)+ sole(太陽)から作られていて、日本語名同様「太陽に向かって回転する」という意味でした\(^o^)/


おさらい
ヒマワリはキク科キク亜科の花です。
1枚目と2枚目の画像は 大きなヒマワリの花のうち、花弁に一番近いところを拡大したものでした。
キク亜科の花はたくさんの小花の集合で出来上がっていて、花弁のように見えるのも一枚一枚が舌状花と言って花の一枚の花弁だけが極端に大きくなったものです。ヒマワリの周囲を飾る黄色い花弁の集団は舌状花の集団だったのです。
舌状花の中におなじみの粒々の小花の集団があります、やや褐色の花ひとつひとつを筒状花といいます。
筒状花は周辺部から中心に向かって時期をずらして開花していきます。

というわけで、1枚目と2枚目の画像は 筒状花のいちばん最後の花姿でした。
もういちど確認しますと・・・

星形の花弁(先が星形に割れた花冠)の中にあるのは雌しべの柱頭です。白い粉状のものが付いていますが、すでに受粉が終わって柱頭もしな垂れかかっています。



ここは筒状花の集団を 少し中心のほうへ移動したところで、画像の中ほどに柱頭が成熟して受粉待ちの状態の花が多数見えます。
この画像では見えにくいですが、雌しべの柱頭(ひつじの角のようにカールした器官)は 黒褐色の筒の中から出ているように見えます。濃く褐色の筒は雄しべが合着して筒になったもので、これまでの画像にこれが見当たらなかったのは すでに役目を終えて脱落していたためです。
雄しべ筒は星形の花弁の中から伸びています。





雌しべの柱頭のアップ画像です。
カールしているのは柱頭部分ですが、本来の柱頭部分はカールの外側だけです。カールして内側になっている部分には毛が生えていますが、これは雄しべ筒の中から花粉を押し上げるとき使われたブラシです。




あるヒマワリの花の筒状花の中心部です。
画像の真ん中に、いままさに柱頭になる部分を出したばかりの小花が3本ほどあります。
その横には まだカールしてない花柱を持った花も見えます。
雄しべ筒がはっきり見えませんが、このヒマワリは全体が雄しべ期を過ぎて雌しべ期に入りだした時点の花と思われます。




別の花を見ています。
右側が 雄しべ期、左側が 雌しべ活動期の花たちです。
カールした花柱の柱頭側(上側)にも毛が生えてきて花粉を受粉しやすく成熟してきています。




筒状花の中心部です。
中心はまだ蕾の状態です。蕾の横から出ているへら状の器官は萼片でしょうか?
画像の左側では星形の花弁の中から 雄しべ筒が煙突のように伸び、煙突の先に花粉を出しています。
この花粉を押し上げているのが未成熟な雌しべの花柱です。




これは 雄しべ筒の先端のマクロ画像です。雄しべ筒の先端の弁の中に見えるのが花粉です。




欄外

エイゼンシュテイン監督『戦艦ポチョムキン』ポスター
きのうの「ワグネル 武装反乱」のニュースは第2の戦艦ポチョムキンになるかとちょっと期待しましたが・・・
あえなく消滅して、ちょっと残念でしたね "(-""-)"






.

ガクアジサイ - 雨に歌えば (1)

2023-06-24 16:00:00 | みんなの花図鑑
柳川瀬公園(豊田市)まで散歩の途中で出会った、私の好きなガクアジサイです。


額アジサイの中でも、好きな色はこんな色になります。



額アジサイの中心部にある両性花。



花弁は5弁。葯は青、花粉は白。






つぼみがまた可愛いですね。





こちら周囲の装飾花。



花弁のように見える器官は萼片。萼片は4枚で、ここからガクアジサイのことを四葩(よひら)と呼んだりします。



四葩(よひら)の中には やはり5枚の花弁があります。そしておしべもそれなりに付いています。





別の場所で出会ったガクアジサイ。




明日は柳川瀬公園(豊田市)で出会ったガクアジサイを紹介します。



.

ツキヌキサイコ - トウダイグサ科?

2023-06-23 17:00:00 | みんなの花図鑑

JA産直で、切り花で出回っています。面白い形をしています。




ブプレウルムという学名(Bupleurum rotundifolium )由来の名前があるんですが、「ツキヌキサイコ」という和名のほうが分かりやすいです。「ツキヌキ」というのは、ツキヌキニンドウのように、茎が葉を突き抜けているからです。




「ツキヌキサイコ」の「サイコ」とはまた聞いたことのない名前ですね。サイコバスとかサイキックとかサイコロジーのサイコでしょうか?




調べると、全然違ってました(ToT)
「サイコ」は「柴胡」と書き、漢方の生薬のことでした。静岡県三島が良質な柴胡の大集荷地であったため、ミシマサイコと呼ばれるようになりました。本州から四国・九州の日当たりの良い山野に自生してましたが、乱獲により絶滅危惧種となっており、野生のミシマサイコはほとんど消滅しもっぱら栽培品が主となっています。(かわたペインクリニック「漢方の生薬⑤柴胡(さいこ)」より)




私は何年か前はじめてこの生け花を見たとき、トウダイグサ科の植物ではないかと直感しました"(-""-)"
トウダイグサ科の植物を2、3 お見せしますと・・・

杯状花序と言って、こういう風に杯(カップ)のなかに雄しべと雌しべがごちゃごちゃ入っているんですよ。ユーフォルビアも仲間です。




そういうわけでトウダイグサ科の植物ではないかと思ったのですが、実際は予想に反してセリ科なのでした(ToT)




「花は複散形花序である。一段目の花序には、花弁状に見える緑色をした数枚の小総苞がつき、その中心部から、黄緑色の小花が散形花序をなしている。」(wiki「ツキヌキサイコ」)




さらに近くに寄ってみると、こんな風に黄色い花弁の中いっぱいに2つの柱頭をもった子房が出ているのが分かります。

セリ科と言われれば、たしかにフェンネルなど一部のセリ科の花にも似ています。

フェンネル



.

ネムノキ - 梅雨の晴れ間に

2023-06-22 17:00:00 | みんなの花図鑑

ネムノキの花のふわっとした塊は、ひとつの花ではなく、 20個ほどの小花が集まった頭状花序です。



ネムノキはマメ科の木ですが、全くマメ科らしからぬ花を咲かせます。
ネムノキは、西はイランから東は日本までのアジアに広く見られる樹なんだそうで、翻っていえば、ヨーロッパやアメリカ大陸には分布してなかった樹なんですね。
でも、CMのこの木なんの木?はハワイ・オアフ島のモンキーポッド(アメリカネムノキ)だそうですから、まぁ、ネムノキ亜科の木は世界中どこにでもあるんでしょうね




先がピンク色をしているのが雄しべ、数は少ないですが雄しべより長く先まで白いのが雌しべです。




学名は Albizia julibrissin
属名のAlbiziaは18世紀にネムノキ属をヨーロッパに導入したイタリア、フィレンツェの貴族F. d Albizziの名から。
種小名の julibrissin も東インド地方でこの木をこう呼んでいたことかららしく、和名の「ネムノキ」ほど樹に即した命名がされてません (´v_v`)




はじめ、雄しべの花糸は縮れています。



それがこのように真っすぐになるのだから不思議です。
中心に一本だけ高い位置から雄しべを放射状に出している花があります。これが頂生花です。そして頂生花だけが蜜を持っているとされています。背が高く見えるのは雄しべの花糸が途中まで合着しているからです。




ネムノキの花は雄性先熟なので、雄しべが先に花粉を出します。




基部が白く先が赤くなっており先端に丸い小さな葯が付いている雄しべは、約30本あるそうです。





ところで副題の「梅雨の晴れ間」ですが、私は 「梅雨の雨が一時的に止み、太陽が顔をだしているとき」の意味で使っているのですが・・・
実は 「梅雨の晴れ間」の類語は「五月晴れ」だってご存じでした?!(^^)!
「五月」というのは「陰暦5月」のことだから、五月晴れとは「陰暦5月の雨の晴れ間」つまり「梅雨の晴れ間」と同義になるんですって?!
・・・なんだか振り込め詐欺にあったみたい "(-""-)"





.

アガパンサス って何科?

2023-06-21 16:39:29 | みんなの花図鑑
何か?!って喧嘩売ってるのではありません。


このアガパンサスは2年前の今日撮ったものです。田んぼの真ん中の農具を納める倉庫の屋外にあり、撮りやすいので気が付くと毎年撮ってます。



これもそう。

アガパンサスは 属名で、和名は ムラサキクンシラン。でもクンシランとは色も科も違うのであまり使う人はいません。
学名は Agapanthus africanus
種小名の通り、南アフリカの原産です。
通販でもよくアガパンサス・アフリカヌスの名のほうで販売されています。
属名の Agapanthus の由来は よく解説にあるように、ギリシャ語の「アガペー(ἀγάπη)」と「アントス(ἄνθος)」が元になっています。アガペーが「愛」でアントスが「花」なので全体で「愛の花」の意味だと。



んで、ここからが今年撮ったもの。
どう?毎年同じころ撮ってますが、撮り方が変わってきてませんでしょうか?

属名の Agapanthus の由来についての解説は、語源のひとつ「アガペー」について「神の、人間に対する自発的、無条件的絶対愛。無償の愛」のように解説が付くことがありますが、これはキリスト教文化(唯一神、単一神)からの定義で、ギリシャ文化(複数神?多神教?)における「アガペー」とは大きく意味が異なることに注意したいものです。



ギリシャ神話では、全能の神ゼウスに言い寄られた虹の神イリス(英:アイリス)が、ゼウスの妻ヘラ(最高位の女神)に頼んで空を自由に翔けることができる虹に姿を変えてもらいました。そのとき地上にこぼれた酒の雫から咲いたのがアガパンサス(愛の花)だったと言われているのです。
キリスト教文化ではアガペーは「無償の愛」などと訳されていますが、ギリシャ文化的にはむしろ「神々の愛」とでも訳したほうがいいような気がします。
ゼウスはことあるごとに女神に色目を使ってるし、浮気されて復讐に走る女神もしょっちゅうです。「神々の愛」はもっとディオニソス的なものでした。




先ほど「クンシランとは色も科も違う」と言いましたが、ちょっと訂正です。アガパンサス・アフリカヌスは 新エングラー体系=ヒガンバナ科、クロンキスト体系=ユリ科、APG体系のⅡではアガパンサス科、Ⅲではヒガンバナ科といろいろに分類されてきているのです。




アガパンサス属(Agapanthus)は花が子房上位であることから長らくユリ科に分類されてきました。
多くの園芸書では今でもユリ科となっています。
しかし、従来のユリ科が巨大で雑多な系統を含むことは明らかであり、これを細分してもう少し扱いやすい形にしようというのが植物学者の共通した見解です。
「結論から言ってしまうと、アガパンサスはアガパンサス科として独立させるのが適当です。ネギ科とヒガンバナ科をすべて含めて広義のアガパンサス科(ヒガンバナ科と呼ぶ方が適当でしょうが)とすることもできますが、ネギ科、ヒガンバナ科ともにいろいろな形質でまとまりがよいので、アガパンサス科が単型科(一つの属からなる科)になってしまっても、3つに分けた方がよいように思われます。」

(説明、図ともに「系統分類学 アガパンサスはユリ科?ヒガンバナ科?ネギ科?」より)




最後に、またおととしの画像。やはり昔のほうが よく見える?
クンシランのほうもいちおうヒガンバナ科ですが、分類法によってはユリ科に分けられることもあり、また原産地もアガパンサスと同じく南アフリカで、アガパンサスを「紫のクンシラン」と呼ぶのもあながちお門違いではないのですね。




.