アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ワレモコウ - こまい花28

2020-08-31 20:03:58 | みんなの花図鑑

秋の七草のひとつ、バラ科のワレモコウの花は独特です。




ひとつひとつの花は2㎜程度の小さな花です。どういう状態になっているのでしょうか?




ワレモコウの小花は 「3密状態」です。花弁のように見えるものは 萼です。4枚の萼片からなってます。
中からシベらしきものが出ていますが、位置によってついているものが違います。
上のほうの小花は 咲きの白いシベが出ています。真ん中は 先の黄色いシベが咲いています。下のほうは つぼみの状態です。
これを見ると、どうやら上から順に咲きさがっていくようです。




先の白いシベは めしべ のようです。
ということは、その下の先が黄色いシベは おしべですね。先が黒くなっているシベは おしべが花粉を出し切った後でしょうか?




どうやらそのようです。
めしべが活動するときは同じ位置のおしべは花粉を出し終わっています。花粉を出している小花は 成熟した雌しべより常に下にあるので、自家受粉しにくくなります。


ヒメアメリカアゼナ - こまい花27

2020-08-31 12:21:19 | みんなの花図鑑

昨日の「ウリクサ」と一緒に 田んぼの畦に生えていたアゼナ科のひとつです。
ほんとは他の種類もあったのですが、花の部分しかとってなくて・・・
後で分かったことですが、アゼナ類を区別するのは 葉による区別が最も分かりやすい、ということです。



アゼナ属


アゼナ類の葉による区別 (写真は 三河の植物観察 各記事より借用しました)

東北農業研究センター 「アゼナ類の区別の仕方について」より (ただし 4番目は 三河の植物観察「ヒメアメリカアゼナ」より引用)

アゼナ 葉は葉柄がなく、全縁(鋸歯がない)。卵状楕円形で5本の平行脈が目立つ。

アメリカアゼナ 葉の基部が葉柄状に細くなる。葉に明瞭な鋸歯がある。

タケトアゼナ 葉の基部が丸く葉柄はない。葉に鋸歯があるがやや不明瞭。

ヒメアメリカアゼナ 葉は対生し、長楕円形で、はっきりした鋸歯が葉に2~3対つき、上部の葉の基部は円形、下部の葉の基部は楔形。(三河)







肝心の葉の写真がありませんが、最初うまく撮れていなかったので、後日撮り直しに行ったら、すでに刈り取られていました (ToT)
でも、花も整理して比較してみると、これは ヒメアメリカアゼナ と分かりました (^^)/




「花柄の長さが苞葉の2~3倍と長いのが特徴である」(三河の植物観察「ヒメアメリカアゼナ」)




花冠の中を覗いていると・・・




何やら おしべではないものが 動いています。虫の幼虫でしょうか? とっても小さいです (^^♪




ウリクサ(野生のトレニア) - こまい花26

2020-08-30 21:01:28 | みんなの花図鑑
<こまい花>シリーズもいつの間にか26回になりました。きょうは<こまい花>24 でやったトキワハゼと同じところ(田んぼの畦)に生えていた アゼナ科のウリクサです。ちょっと面白い発見をしました、そのご報告です (^^♪


アゼナ科というのは比較的新しい科で、「旧分類ではゴマノハグサ科に含められ、APGⅡ(2003年)ではオオバコ科に移されたが、APG III(2009年版)ではアゼナ科として独立した。」(三河の植物観察「アゼナ科」)

アゼナ科の植物は 下表のように アゼナ属、アゼトウガラシ属、スズメノトウガラシ属、ハナウリクサ属の4属がありますが、今回取り上げる ウリクサ は 最後のハナウリクサ属を代表する植物です。

(同上)




ウリクサは日本全国、朝鮮半島、中国、東南アジアの田んぼの畦や庭の隅などで見かける野草です。他のアゼナ科同様、立ち上げるよりも匍匐して伸びるほうが主の一年草です。春に芽を出して夏~秋にちっちゃな花を咲かせてのち枯れる一年草です。




唇形花で長さは7mm~8mmで非常にちっちゃいですが、白地に紫色がグラデーションのように入り、かわいらしいです。
上唇は先が浅く2裂します。
下唇は下唇は3裂し、中央が他より大きくなっています。




通常、下唇の中央の花びらにちょこんと濃い紫の帯が入りますが、これは昆虫に蜜のありかを示すガイド(蜜標)だとされています。
おしべは4個あるそうですが、そのうちの長い2本が見えてます。この画像では 勢いよく外に飛び出しています。




さ~て、ここからが本題です。一つ前の画像で 勢い良く花弁の外に突き出ていた長いほうの おしべ2本が 手を結ぶようにアーチを作っています!




このアーチ型をしたおしべ、どこかで見ましたよね !(^^)!
そうです、花壇や園芸コーナーのトレニアと同じ「しぐさ」をしているのです。




トレニアと似ているなんてちょっと世界が違うように思われませんか? 私も最初はそう思いました。
ウリクサは アゼナ科の ハナウリクサ属に属してます。ウリクサ属ではないのです。じゃ、ハナウリクサってなんだ?!
勘のいい方ならお分かりのように、ハナウリクサとは トレニア のことだったのです (´∀`)
こうして 大きさこそ違え、おしべが同じようにアーチを作るとなると、奥のほうに見える 雌しべの柱頭も トレニアのように「触ると閉じる」のかもしれませんね \(^o^)/


ユーフォルビア・ダイアモンドフロスト - こまい花25

2020-08-30 09:54:14 | みんなの花図鑑
あっという間に8月ももう終わりですね。実際は、暑くて暑くて8月が永遠に続きそうですけど。
これは 8月10日にデンパーク(安城市)で撮ったものです。


集まって小さな白い花を咲かせているから ダイアモンドフロストなんでしょうけど、実は あの白いものは花びらじゃないんですよ(´・ω・)
白い花のように見える部分は、ポインセチアと同様で、苞(ほう)と呼ばれる花序のすぐ下にある葉です。




で、その花序ですが、杯(カップ)のような器官から めしべ、おしべ、腺体などを生産する(花を咲かせる)ので、「杯状(カップ状)花序」といわれてます。
杯状(カップ状)花序はダイアモンドフロストの専売特許ではなく、ユーフォルビア(Euphorbia)属の花に一般的なものです。それどころか、ハツユキソウ(Euphorbia marginata)、ショウジョウソウ(Euphorbia cyathophora Murray) も大きな杯状花序ですし、ニシキソウの仲間も小さな杯状花序なのです。(ニシキソウ属はトウダイグサ属(Euphorbia L.)と近縁で、そこに含められたことも多い)
前置きがとても長くなりましたが、ユーフォルビアの杯状花序を見ていきたいと思います。
上の画像はカップの中から 雌花(めしべ)が産まれてくるところです。雌性先熟といって 雌花~雄花と時期をずらして生れてきます。




上の画像は ひとつ前の画像で生まれてきた雌花(めしべ)がカップの外に飛び出して 果柄を折り曲げてぶら下がっています。
上の画像の花の部分を少しトリミングしてみましょう。




雌花(めしべ)が場所を空けたそのカップの中で 雄花(おしべたち)が産まれて来ています。





今度は上から見てみます。
カップの口に(円周に)袋状についているのは 蜜腺です。ニシキソウの仲間などでは 蜜腺の周囲に白い付属体と呼ばれるエプロンのような器官がついていて目立ちますが、ダイアモンドフロストではそれらしき器官は無いようです。(要確認)

いずれにしても、一口に 杯状花序といっても それぞれ趣向を凝らしているので 花序は面白いです \(^o^)/



これは何でしょう? - 食べごろ!

2020-08-29 19:44:19 | みんなの花図鑑
これは あるアオイ科の花の花芯の部分です。これは 何の花でしょう?



これは食べる部分です。つまり果実です。
エジプトでは紀元前から栽培されていたとか。




これは 蕾でしょうか?




蕾と花です。もうお分かりですね (^^)/




はい、全体像です。答えは オクラ でした (^^♪





オクラの花は アオイ科の花の中でも さわやかさでピカイチですね




見出し画像は、このオクラの花のシベの根元を写したものだったのです。
見出し画像を見ると 何やら花粉のようなものが落ちていますが、このあたりに蜜が出ているはずなのですが・・・
もっとも <花外蜜腺>といってオクラの萼の部分に蜜腺があり、アリは これを求めて集まってくるようです。


トキワハゼ - こまい花24

2020-08-29 11:45:45 | みんなの花図鑑
ニシキソウの仲間を探して田んぼの畔を歩いていると、これでもかと名前の知らない小さな花に出くわします。


田んぼの畔には、<こまい花>たちがいっぱい。そのなかで名前の分かるのは、右側のピントの合ってるほうのトキワハゼくらい。
あと少なくとも2種類、トキワハゼよりさらに小さい花が名前を明かさず写真に撮られるのを待ってます (´∀`)




まずは 大きいほうのトキワハゼ。よく似た草にサギゴケがあります。どちらも ハエドクソウ科サギゴケ属の植物。
トキワハゼ・・・新分類(APGⅢ)ではゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)からハエドクソウ科に移された。サギゴケ科とする見解もある。(三河の植物観察「トキワハゼ」)

では、両者の違いは・・・
トキワハゼは「常盤(トキワ)」の名が示すように春から秋まで咲きますが、サギゴケは春から初夏にしか咲きません。




大きさも違います。トキワハゼのほうが小さい。




上唇は紫色~淡紫色、先端が白っぽく、小さく2裂する。(三河の植物観察「トキワハゼ」)




下唇は白色~淡紫色、黄色と赤褐色の斑紋がある。(同上)




雄しべは4個で下側の2個が長い(2長雄しべ)。雌しべは1個、柱頭は上下に2裂する(触ると閉じる)。子房上位、2室、中軸胎座。(筑波大学の花「トキワハゼ」)
幼虫みたいなのは??
白いクモがいますか?
分からないことばかりです (´・ω・)



ヤハズソウ - こまい花23

2020-08-28 22:19:21 | みんなの花図鑑
ハギの仲間ですが、この花はホント小さいです。


愛知県緑化センターの実習舎周辺ですが、このあたり、キツネノマゴがいっぱい生えています。この花はキツネノマゴに紛れて咲いていて、しかも花の色と大きさも、ある程度似ているので、近くに行ってみないとまず見つかりません。
蝶形の花と 脈線のはっきりしした葉を見れば、すぐハギの仲間では、と分かります。
「ヤハズソウ」のヤハズは「矢筈」、すなわち弓矢の弦にかける矢羽のことで、葉を引っ張ると斜上する支脈に沿って矢筈状に切れることから。

矢筈の紋所の一つ「丸に違い矢筈」
(goo辞書「矢筈(やはず) の意味」より)



花は葉腋に1〜2個つき、淡紅紫色で長さ約5mm。萼は果期に長さ3〜3.5mmでまばらに伏毛がある。(野に咲く花)(松江の花図鑑「ヤハズソウ」)




ヤハズソウによく似た草に マルバヤハズソウがあります。ヤハズソウの茎に生える毛は下向きに付きますが、マルバヤハズソウの毛は 上向きにつくそうです。もちろん名前のとおり 葉が丸いのも識別点ですが、丸いかどうかは 比較の問題なので、茎の毛を見たほうが分かりやすいと思います。




旗弁は淡紅紫色、紅紫色の筋模様が放射状につく。長い翼弁と舟弁は白色、舟弁の内側の先が茶色になる。(三河の植物観察「ヤハズソウ」)



ハギ(赤と白) - こまい花22

2020-08-28 18:19:55 | みんなの花図鑑
クズ、オミナエシと秋の七草をつづけてきたので、種類がよく分かりませんが 総称で<ハギ>。
見出し画像は ハギの花を撮っていたら、蛾が吸蜜にやってきました。



まず<赤い萩> 晩夏によくみる ミヤギノハギ。 場所は 愛知県緑化センターの日本庭園。
ハギの花はマメ科の典型的 蝶形花で、
上の5枚のうち一番大きいのが 旗弁。これはここに花があるよ、と虫に知らせるためのフラグの役目をするので。
下にあり、左右に翼を広げているのが 翼弁。中央で突き出しているのが 舟弁(竜骨弁とも)でこの中におしべ・めしべが入っています。



ミヤギノハギは 園芸品種で、本州日本海側の多雪地帯に分布するケハギから選抜されたという説が有力ですが、ケハギの花は大きいそうなので、もしかしたら、このハギは ミヤギノハギ ではないかもしれません。計ってみてないけど、このハギはとても小さくアレチヌスビトハギを一回り大きくしたくらいです。
蝶形花に 蛾が来てました。




慌てて写真を撮りましたが、吸蜜しているときは集中しているので、これくらい近づいても逃げません。




向きが 上を向いてますが、これは受粉が終わったとみられる花です。花弁の色が紫になり、シベが舟弁から顔をのぞかせてます。




この花は 紫色でシベが見えてますから、たぶん 受粉の終わった花だと思います。蛾が一生懸命蜜を吸ってます。 蜜って 受粉後も出続けるんでしょうか !(^^)!




つぎは、白い花のハギ。

日本庭園とは別の場所に 白花のハギがありました。




ミヤギノハギの変種で シロハギ というのがあるから、それかもしれないです。(不案内ですみません)




この花はきれいな<雄しべ筒>が見えてますね。花が白だと 雄しべ筒さえも 優雅に見えますね (^^♪




シラハギの学名を見て驚きました。こんなにあるのです (´v_v`)
[学名]
Lespedeza nipponica Nakai 'Japonica'
Lespedeza japonica L.H.Bailey 'Japonica'
Lespedeza thunbergii(DC.)Nakai subsp. thunbergii form. albiflora(C.K.Schneid.) H.Ohashi、
Lespedeza japonica L.H. Bailey 'Albiflora'







オミナエシ - こまい花21

2020-08-28 09:49:27 | みんなの花図鑑
昨日 クズの花をアップしたので、関連して <秋の七草>をあと2つほど。まず、ひとつひとつは<こまい花>のオミナエシから。



愛知県緑化センターのロックガーデンにて。
オミナエシは オミナメシ とも呼ぶそうですが、どうもこの「メシ」とか「エシ」が何に由来するのかはっきりしていないらしいのです。
「メシ」の意味は不明であるという。子供の頃にはままごとでこの花を器に盛ってご飯(黄な粉ご飯)に見立てていた。ご飯の意味でも良いのかもしれない。(岡山理大・植物雑学事典「オミナエシ」)




オミナエシ(女郎花 Patrinia scabiosifolia)は、合弁花類オミナエシ科オミナエシ属 の多年生植物。秋の七草の一つ。(wiki「オミナエシ」)
オミナエシ科 : APG植物分類体系ではマツムシソウ目のスイカズラ科に含まれるが、オミナエシ科として分離してもよいとしている。(wiki「オミナエシ科」)




黄色の花を散房状に多数つける。(野に咲く花)(松江の花図鑑「オミナエシ」)




花は直径4mmくらいで、花冠は5裂し、筒部は短い。筒部の下の子房には小苞が接している。雄しべは4個。花柱は1個。(同上)




スイカズラ科オミナエシ属
オミナエシ属やカノコソウ属、ノヂシャ属などの子房は3室あるが、1室のみが結実する。(同上)



クズ - 三重奏

2020-08-27 20:08:55 | みんなの花図鑑

クズの花は咲き上るタイプで、一つの花で3様に楽しめます。




一番上の藤色のまだ開いてない部分。
中央の赤くて旗弁の黄色い眼玉のような模様が目を惹く部分。
そして、一番下の咲き終わった部分。
それぞれの部分だけでも 楽しめます。



一番上の藤色の部分。




中央のいちばん目につく部分。




最後は 咲き終わって紫色になった部分。
まだ蜜を出しているのでしょうか、アリが来ています。




クズの花も 一つ一つ見れば、マメ科の蝶形花ですね。
もちろん黄色い眼玉模様の旗弁が一番目立ちます。旗弁のほかは 画像に写っている 翼弁と舟弁(竜骨弁)です。この舟弁の中に おしべとめしべがあるはずなのですが、なかなか見ることができません。


〔欄外〕みんなの花図鑑掲示板 2017年8月のある日 「クズ」で検索結果の一部