アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

6月も もう終わりです

2022-06-30 05:00:05 | みんなの花図鑑
早いもので6月も もう終わりです。一年の半分が過ぎてしまいました。
駆け込みで6月の花を無作為に5種類取り上げます。


アガパンサス

アガパンサスはAPG IIIでは、ヒガンバナ科アガパンサス亜科の植物。
ネギ科、ユリ科で分類される場合もあります。




交差点の一角に学区福祉委員会が運営する花壇があって、今年も6月はこのアガパンサスが通る人の目を楽しませてくれました。
たくさん植えてあるので、涼しそうです。



属名でもあるアガパンサスはギリシア語のアガベ(愛)とアンサス(花)の2語からなり、「愛の花」という意味です。














ニゲラ

ニゲラ・ダマスケーナ(Nigella damascena )はキンポウゲ科の植物。
和名はクロタネソウで、球形状の果実の中に沢山の黒い種が入っており、そこからクロタネソウと命名されました。




属名のニゲラ(Nigella)も 種子の「黒い」ことからつけられました。



種小名のダマスケーナ(damascena)はシリアの首都ダマスカスからヨーロッパにもたらされたことを指しています。
花弁のように見えるのは萼片で 花弁は退化しています。



花の時から見られるモジャモジャの葉が果実になってもついているので不思議な格好をしています。





シモツケ

シモツケはバラ科シモツケ属。
学名 Spiraea japonica



種小名が japonica ですが、シモツケは日本、朝鮮半島、中国に分布する落葉低木です。



左のつぼみ、この中から 右のようなたくさんのシベが伸びてくるのですね













バラ

6月9日と 6月23日、愛知県緑化センターで撮影。




「ロージー・カーペット(Rosy Carpet)」という品種です。




花持ちがよく、晩秋まで咲き続けるため、長い期間花を楽しむことができます。






















ブッドレア

ブッドレアは属名で、世界中で約100種があるそうです。
これは6月23日、愛知県緑化センターで撮ったブッドレアです。




私がはじめてこの花を知ったのは 神戸六甲山のドライブウェイやガーデンテラスなどでした。

ブッドレア(フサフジウツギ) - 神戸六甲山



その時見たブッドレアは最も一般的なダビディ種(バタフライブッシュ)でしたが、このブッドレアは上へ向かってやや段々咲きのような咲き方をしています。




通販カタログを見てると 「ブッドレア ‘フラワーパワー’」という品種がありますが、どちらかというとそちらに近い咲き方です。













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ネジバナとハゼラン - ラン科と非ラン科

2022-06-29 06:00:01 | みんなの花図鑑
きょうはランの名が付かないけれどラン科のネジバナと、ランが付くけれどラン科ではないハゼランの話題です。


ネジバナ

まず、ネジバナ。ラン科ネジバナ属。
つい先だっても矢作川の河川敷のネジバナを取り上げましたが、これは豊田安城自転車道の草地の中。




ネジバナは土手や草地、ゴルフ場のラフや公園の芝地などによく生えてます。
要するに、腹ばいになって撮影するのにちょうどいい平坦な草地の上です。




ところで、ネジバナの花はなぜ、らせん状に咲いているのでしょう?




よく言われるのが、訪花昆虫が訪れる頻度によりねじれの度合いが変わるという説です。
すなわち、ハナバチの訪れる頻度の低い環境のネジバナは、ねじれを小さくして、沢山花をつけているように見せ、ハナバチが訪れやすくしているということです。



しかし、ねじれが少ないと花と花が近づいて訪れたハナバチが隣の花に移動しやすくなり、自家受粉しやすくなります。自家受粉では、結実率も低いそうです。
そのため、ハナバチが頻繁に訪れやすい環境では、ねじれを大きくして咲くことによって自家受粉しにくくしているというのがこの説です。




別の説もあります。
片側に花が一列に咲くと花の重みで茎が曲がってしまうのを防ぐため、花自身が調整して、らせん状に捻じっているのだという説です。







ハゼラン

いまではどこにでも見られる野草ですが、ハゼランは、熱帯アメリカ原産の1年草で、明治時代に観賞用として導入された外来種なのだそうです。




ラン科ではないのですが、何科だとお思いですか?




スベリヒユ科でした !(^^)!
スベリヒユという野草は

こんな野草で、これの園芸品種が

上のポーチュラカです。
でも、ハゼランのめしべは丸い子房がはっきりしていてそこからひょろっと柱頭が伸びているのに対し、スベリヒユやポーチュラカのめしべは子房が見えません。




それにしても、ランでもないのになぜ「ハゼラン」なのでしょう?
諸説あるようです。
花がはじける(はぜる)ように次々と咲く様子からという説。
秋になると直径1~3㎜ほどの小さな実が、「爆(は)ぜ」て周囲にはじけ飛ぶからという説。
赤い丸い果実を、はじける線香花火に例えたという説。

「ハゼ」のほうは上の説で分かりましたが・・・
「ラン」の名がついたのはなぜでしょうね?




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ナワシロイチゴ - 猛暑の夏が来そうです

2022-06-28 06:00:03 | みんなの花図鑑

梅雨も記録的な早さで明け、今年の夏は猛暑の予報です。




自転車で風を切って・・・と行きたいところですが、熱風が向こうから襲ってきます。




小河川のコンクリートブロックの継ぎ目からナワシロイチゴがどんどん伸びて、真っ赤な実を実らせています。




水分補給によく熟したのをむさぼるように食べます。




痛いとげがあるから気を付けて!




そしてよく熟した実は 触っただけでポロリと落ちちゃうから、やさしく採ってね (^^ゞ




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ナンテン - 樹に咲く花 41

2022-06-26 06:00:10 | みんなの花図鑑

6月23日、愛知県緑化センターにて。
一枚だけ 紅葉している葉があったので、その葉をバックにして、ナンテンの花の観察。




6枚の純白の器官は花弁、対応して6個の黄色いおしべ。
ナンテンにもつぼみのときには萼はありますが、開花する時に萼は剥がれ落ちてしまうそうです。
「蕾には、花びらの周りにうろこ状のたくさんの萼(外花被片)があります。萼片は、輪状に多数付き、内側の2輪が6個の花弁になるそうです。」(しろうと自然科学者の自然観察日記「ナンテンの花が、」)




ナンテンの花についている赤い虫。ダニでしょうか?
Google Lens でこの部分を拡大検索すると 筆頭に「ツツガムシ」を挙げてきます。
なかでもアカツツガムシはこのようにきれいな鮮紅色をしているそうですが、体長1mmと小さすぎます。
いろいろ検索してみて暫定的にアカダニではないかと思いました。
アカダニの最大の特徴は外見が赤いことで、アカダニは植物の花粉をエサとして増えていくダニなのだそうです。




めしべは花の中心の長楕円形の棍棒状のものがそれです。





「ナンテンの花粉はハエによって媒介されるらしい。
   ハエがいない環境の良い場所では、人工受粉をしないと実がならないことになる。」(小さな園芸館「ナンテン」)




受粉すると 雄しべと花弁は落ち、雌しべの子房が緑色になってきます。
棍棒型をしていますが、秋まで時間をかけて丸く赤くなっていきます。



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八重ザクロとアジサイ - 樹に咲く花40

2022-06-25 11:28:07 | みんなの花図鑑
ザクロ





八重の花弁でも、萼は多弁化しないんですね 。
下に落ちると タコウインナみたいなアレです(^^♪




八重の花弁は 雄しべが花弁化して出来たと言われています。




たしかに こんなにたくさんの数の花弁を作りだす 元の器官といったら 雄しべくらいしかない?




と思ったら・・・




下に落ちている花を拾ってよく見たら、花弁の奥のほうに 雄しべは残っています!
では ザクロでは八重の花弁は 何が変化して出来たのでしょう??






アジサイ(ハイドランジア)

紅いアジサイの花のラベルに「ハイドランジア」と書いてあったので、ハイドランジアという品種のアジサイかと思ったら・・・




「ハイドランジア(Hydrangea)」というのはアジサイ属の属名 だったんですねぇ




でも、園芸ではそんな学名由来の名前のことには触れないで、
「ハイドランジアはアジサイの仲間で、咲き方はてまり咲き、日本にあったアジサイを海外で品種改良したものです。」
なんて言い方してるようです。つまり、ガクアジサイとハイドランジアがあります、と (´v_v`)




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アベリア ‘エドワード・ゴウチャー’ - 樹に咲く花39

2022-06-24 15:00:00 | みんなの花図鑑
アベリア ‘エドワード・ゴウチャー’

ピンク色をしたアベリアです。
愛知県緑化センターで 6月9日と6月23日に撮りました。




ピンク色をしたアベリアは 白のアベリアから作出された園芸品種で、主なものには
アベリア ‘エドワード・ゴウチャー’ Abelia × grandiflora cv. Edward Goucher’

アベリア・シューマニィー Abelia Shumannii
とがあるようです。




アベリアは中国原産のシナツクバネウツギ(Abelia chinensis)と同属のユニフローラ(Abelia uniflora)の雑種であるとされています。
花弁の模様が ショウキウツギとそっくりです。

安城デンパーク 4月25日

安城デンパーク 5月2日

















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ハンゲショウ - 夏来にけらし

2022-06-23 19:35:15 | みんなの花図鑑
ハンゲショウ

春すぎて夏来にけらし白妙の
 衣ほすてふ天の香具山
  持統天皇



ハンゲショウはドクダミ科の植物。




「名前の由来は、半夏生(太陽の黄経が100°になる日。グレゴリオ暦で毎年7月2日頃)の頃に花を咲かせることに由来する説と、葉の一部を残して白く変化する様子から「半化粧」とする説がある。」(wiki 「ハンゲショウ」)




2022年7月2日は『半夏生(はんげしょう)』、七十二候の一つ『半夏生(はんげじょうず)』です。
半夏とは烏柄杓(からすびしゃく)という植物の別名で、この毒草が生ずる季節という意味です。
半夏生は夏至から11日目です。




「また、葉の片面(表面)だけが白くなることから古くはカタシログサ(片白草)とも呼ばれている。」(同上)




ハンゲショウは、茎の上部の数枚の葉は下半分が白色となって目立つ。
この葉の色から「半化粧」の名が生まれたというのがもう一つの説。








コミスジ

















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ちょっと変わった果物や野菜

2022-06-23 16:54:03 | みんなの花図鑑
(トケイソウとワルナスビに 本日撮った画像を追加しました)

トケイソウ

トケイソウ科トケイソウ属に分類される植物は、熱帯アメリカを中心に約400~500種が自生しているといいます。





6月9日 愛知県緑化センターにて
いわゆるパッションフルーツ(クダモノトケイソウ)は果物。はるか昔インドネシアにいるとき、私のいちばん好きなジュースがこれでした。





学名:Passiflora
強いて和訳すると 「受難花」といったところでしょうか
「彼ら(16世紀、原産地である中南米に派遣されたイエズス会の宣教師ら)によればこの植物はキリストの受難を象徴する形をしており、花の子房柱は十字架、3つに分裂した雌蕊が釘、副冠は茨の冠、5枚の花弁と萼は合わせて10人の使徒、巻きひげはムチ、葉は槍であるなどと言われた。」(wiki「トケイソウ」)




水滴がついていますが、蜜ならシベの軸に沿って生えている毛(?)の内側にあるので、蜜ではないようです。


以下、6月23日に撮った画像を追加します

ハチが来ていました。




このハチ、かなり長時間花を訪れていたらしく、頭と腹回りは花粉で まっ黄色でした!(^^)!













ポポー

ポポー(ポーポー)はバンレイシ科アシミナ属の果物。



花は紫の花弁です。(↑ 同じ株を 4月に撮影)




「ポポーはバンレイシ科の果樹のうちで、唯一、温帯原産です。」(NHK趣味の園芸「ポポーの基本情報」)



「果実の中には、ビワのような大きなタネがあり、香りが強くクリーミーな部分を食べます。(中略)熟した果実は落果するので、落果したもの、あるいは落果直前の果実を収穫してほどよく追熟してから食べます。」(同上)





アリウムとネギ坊主

あとに出て来るのがネギ坊主と同じ表現をすれば、アリウムはニンニク坊主といったところ。



アリウム(allium)はラテン語で「ニンニク」




種苗店では、ジャンボニンニクと呼ばれています。



以下、6月23日・愛知県緑化センターにて












こちらは とうの立ったネギ、すなわちネギ坊主。








ジャガイモ(ナス科)

野菜のジャガイモ。



ジャガイモはナス科です。



黄色いバナナの房みたいなのが雄しべの葯(花粉筒)。



雄しべの輪の中心から先に伸びているのがめしべ。





ワルナスビ(ナス科)

最後に・・・
野菜ではありませんが、ナス科のワルナスビ。



そのシベは 先ほどのジャガイモと瓜二つです。いや、ナスふたつというべきか(^^♪






以下、6月23日に愛知県緑化センターで撮った画像と差し替えます。














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テンニンギクとハルシャギク - キク科のシベ

2022-06-22 06:00:03 | みんなの花図鑑
畑にはテンニンギク、空き地にはハルシャギク。
今年もキク科のシベが面白い季節がやってきました(^^♪


テンニンギク

Google Lens に名前を聞くと、まず「テンニンギク」を第1候補に挙げてきます。
天人」とは仏教の用語で、
「欲界六天および色界諸天などに住む」生命体のことで、「容姿艷麗で頭には華鬘(けまん)をつけ、羽衣を着て飛行しながら、楽を奏し、天華(てんげ)を散らし、天香を薫じて仏をたたえ、瑞雲(ずいうん)とともに下界に下るという。」
(精選版 日本国語大辞典「天人」の解説より)

まぁ、俗にいう「天女」を想像すればいいでしょうか?
花が天女を思わせるように美しいということでしょうか?




Google Lens が挙げた 2番目の候補は「 Gaillardia x grandiflora グランディフローラ」というものです。
グランディフローラの和名は「オオテンニンギク」となっています。
テンニンギクとオオテンニンギク(グランディフローラ)の違いは何でしょう?
簡単にいうと、テンニンギクが一年草、オオテンニンギクが宿根草ということらしいです。
また、オオテンニンギクとテンニンギクの交配種もよく栽培されていて、種苗会社のカタログでは、これらを「ガイラルディア」と呼んでいるようです。
ここでは 広義のテンニンギクということにしておきます。
テンニンギク「原産地は北アメリカで、日本へは明治時代の中期に渡来し、逸出したものが本州の近畿地方から九州にかけて野生化し、砂浜などに生えるキク科テンニンギク属の一年草です。」




さて、キク科の花は頭状花序といって、たくさんの小花が蜜に集まって全体に大きな花を構成しています。
とくにキク亜科の花は 花序中心部の筒状花集団と外周の花びらのような舌状花の小花とで構成されています。
テンニンギクの仲間では中心部の筒状花はブラシのような花弁?の中からおしべが集まってできた雄しべ筒を成長させます。




外周部の舌状花も同じで、ブラシのような花弁?の中から雄しべ筒を伸ばし、次のステップで雄しべ筒の中から雌しべを成長させます。




雌しべが雄しべ筒の中から上に伸びるとき 雄しべ筒の中にある花粉を外へ押し出します。




まず周辺部の舌状花が成熟し、つぎに筒状花の集団の外縁部から中心に向かって開花していくようです。




一見自家受粉しているように見えますが、花粉を押し上げるときは雌しべはまだ成熟していなく、成熟して柱頭を展開するとき柱頭はYの字型の内側にあるので、外側の花粉は原則まとわりつきません。




ハエが来ていました。



吸蜜に夢中で、近づいても逃げません。




チョウかハチのほうがもっと絵になるかもですけれど…



ハエも寄ってみると、複眼が精巧なIC製品のようです。







足の先に 花粉が付きました。










ハルシャギク

キク科キク亜科キンケイギク属(Coreopsis)。
ハルシャギクの「ハルシャ(波斯)」はペルシャのこと。
と分かれば、これはペルシャからシルクロードを渡ってきたのかな?
そう思いたくなりますが、実際は・・・




「北アメリカ原産。古くから知られた園芸植物で、全国的に広く逸出、野生化している。」(日本帰化植物写真図鑑)




「舌状花は8個内外、上半部が黄色、中心部が紫褐色のものが多い。」(同上)




「筒状花は暗赤褐色で冠毛はなく、花床には鱗片がある。」(同上)




舌状花(中心の筒状花の集団)は周縁部から順に中心に向かって咲いていきます。
小花はクレーターみたいな花被片に守られています。
中心はまだ開花してないので全体として外輪山を持つカルデラ火山のようです。




雄しべ筒の中を伸びてきた雌しべは成熟するとひつじの角のように柱頭を展開します。





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