イロハモミジとオオモミジ、それに ヤマモミジは日本に自生するカエデで、もみじの園芸品種のほとんどはこれらをかけ合わせて作られたものと言われています。
そのうち ヤマモミジは 日本海側に自生することが多いので、私たち太平洋岸でよく見る モミジ葉系のカエデは イロハモミジとオオモミジということになります。
ところが この2つのモミジ、葉を見てもよく似ていて区別ができません。
下のモミジの葉の画像、どちらがイロハで どちらがオオモミジか、分かります??
答えは 左が イロハモミジ で、 右が オオモミジ です。
樹名板があったから、名前が分かるのですが、無かったら、反対にとらえていたかもしてません。
もちろん、葉による区別の仕方もちゃんとあります。
上の比較図は「 仲田種苗園 >モミジ生産 > モミジの見分け方」よりお借りしてきたものですが、そこの解説によると、イロハモミジは 外周のギザギザが2重の「重鋸歯」なのに対し、オオモミジのギザギザは一重の「単鋸歯」という違いがある、というのです。
たしかに、上の画像では 重鋸歯と 単鋸歯 の違いがはっきりしていますが、私たちが見た 葉の画像では 鋸歯の違いはとても識別しにくいです。こうして私たちは図鑑等でハッキリ違いが分かるのに、実物を見ると区別できないというジレンマに遭遇してきました。
ところが、先ほどの記事「モミジの見分け方」のつづきに、実は もっと簡単な見分け方があることが書いてありました。
下の画像を見てください。
左は 翼果の翼(プロペラの部分)が どちらかというと水平に出ているのに対し、右は ブーメランのように下へ垂れ下がっています。
左のプロペラが水平に近いほうが イロハモミジ で、右の 逆U字型に曲がっているのが オオモミジ だったのです。
これなら 分かりますよねぇ
それでは、愛知県緑化センターのあちこちにあるモミジを判別して見ましょう。
日本庭園のモミジ
空気がいいので きれいに紅葉しています。これは イロハモミジ でしょうか? オオモミジでしょうか?
葉の下のほうに 翼果があります。
もっとよく見える翼果を写してきました。
水平です。
ということは イロハモミジ ですね (^^)/
イロハモミジと分かって見上げる紅葉は また格別 です \(^o^)/
こちらは赤が濃い個体です。
こちらは 紅葉と黄葉のアンサンブルです。
その拡大ですが、イロハモミジと言われると、葉のギザギザが複雑で「重鋸歯」にみえてきます (´∀`)
ロックガーデンのもみじ
こんどは ロックガーデンにあったカエデです。 葉の切れ込みが深いので、 これも モミジであることは分かるのですが、漫然と葉を見ていても イロハか オオモミジか は分かりません。
翼果を調べます。
またも水平の翼です。
水平の翼だから、これも イロハモミジ でしょうね
そういわれてみれば、葉の鋸歯のほうも・・・
鋸歯ですが、複雑なギザギザをしているように見えます。
芝生広場のもみじ
調子に乗って 応用問題です。
葉のギザギザを見ると なんとなく 単鋸歯のように見えます。ということは オオモミジ でしょうか?
でも、翼果を見ると、明らかに 翼は水平に近いです。 これは やはりイロハモミジ のようです。
不思議なことに、同じ株から、こんな葉をつけている枝も伸びています。
答えは 樹名板のとおり、イロハモミジの園芸品種 ’アカノシチゴサン<赤七五三> ’ ということでした。
翼果を見なければ、こんなの絶対分からないですよね
造園実習園のもみじたち
もうひとつ見てみましょう。 造園実習園にあった まだ若いもみじです。
葉を見ると、鋸歯があまり複雑ではありません。
案の定、葉の下の翼果をみると ブーメラン型に翼が垂れ下がっています。この木は オオモミジに違いありません。
ここで一つ問題が ・・・
これは 樹木見本林のフウの近くにあったもみじですが・・・
真っ赤に紅葉しています。でも 色では判別できません。
葉のかたちを見ると 葉先のほうは 重鋸歯のように見えますが、枝元のほうは 単鋸歯のように見えます。
翼果はどんな? と探したのですが、果実が見当たりません Orz
実は 愛知県緑化センターには すごい数のカエデ類が植えてあり(自生も沢山あるでしょう)ますが、果実のついていないカエデの木のほうが多いんです。
翼果がないと 素人には 簡単に イロハモミジと オオモミジを区別することができません。
葉柄に毛があるか、ないか、とか、別の簡単な判別法があるとよいのですが、まだ見つけていません。