パソコンの技法は無数にあります。
そういうことができると知っていても、実際の用途に出会わなければ試してみる気にはなかなかなれません。
カードやシールをつくるのに、「ラベル屋さん」という便利なソフトがあります。
同じものを一度に印刷するなら Excel がいちばん作りやすいと思っていたのですが、「ラベル屋さんは簡単便利」という、講習会で聞いたOさんの声が頭に残っていて、使ってみようかという気になりました。
入り口でメニュをよくみて、どうすれば何ができるのかを確かめてから手をつけるという、普通の手順を面倒がる習癖が、このうっかりユーザーにはついてしまっているので、使ったことのないソフトには、まず苦手意識が先走ります。
「ラベル屋さん」には「差し込み印刷」機能があって、あて名を別ファイルから読みこんで、シール1枚ずつに違う宛名を印刷してくれます。
違う名前を差し込めるなら、差し込むファイルを全部同じ名前にしておけば、差し込み印刷で同じカードが出来上がる、そうだこれでやってみようかと、妙なことを思いつきいたのです。
しかし、「ラベル屋さん」では、1枚のシールに文字や絵を書きこんで出来上がったら全面にコピーすれば、たちどころに多面印刷ができるのでした。
実は、ワードの差し込み印刷が、何度試しても文字の配置が思うようにいかず、宛名印刷は Excel で作った簡易プログラムで間に合わせていました。
「ラベル屋さん」で差し込み印刷というメニュに出会い、これなら差し込みが使えそう、思いどおりにならなかったあいつを何とか使いこなしてみたいという願望が頭をもたげ、使う必要のない技法への回り道に誘われてしまったのでした。
いつかどこかで経験を得たいという願望が、ときに頭のはたらきの邪魔をすることもあったのです。