「緊デジ」という言葉が目の前を横切りました。
きんデジと読む、経済産業省が実施する「コンテンツ緊急電子化事業」の略称でした。
「キンデジ」では何のことか見当もつかない、金色のデジカメかと思ってしまうなどと言ってみたところで、つけられた名前は変えられません。
これは、国内の出版物を2012年の1年間で6万冊電子化することを目指し、電子化に伴う制作費用を国が補助するもので、2012年5月に出版社からの申請受付を開始し、2012年11月30日には受付を終了、2012年12月14日現在で463社が承認されているといいます。
すでにニュースではなくなっていました。
半年の間に申し込め、遅れれば補助金は出さないというよくある手で、バラ撒き先をバタバタとかき集めたようにも見受けられます。
事業を受託している「日本出版インフラセンター」からは、こんな公告も出ています。
「タイトル申請については、12月20日(木)をもって締め切らせていただきますので、お早めの申請をお願い致します。
なお、補助金事業ですので、上限を超える場合の申請については、お受け出来ない場合もありますので、予めご了承頂きますようお願いいたします。」
国の予算を用意した範囲内だけ最初に補助して、あとは自助努力でおやりなさいという、もう慣れ親しんだ共通の手段です。
これが出版という永遠に続く事業にも、なぜあてはまるのかと考えてみたら、補助金は電子化費用金額の50%(条件によっては3分の2)となっているのを見て、電子化システムを大急ぎで買わせようというのかと気づきました。
この方法、産業活性化には確かによいのですが、急いで作ったものにろくなものはありませんから、これからシステムのメンテナンスやバグ退治に携わる人は、さぞご苦労なこととお察しします。
文章は、読点のありなしで意味ががらりと変わることもあります。
某国の憲法の修正条項のように、コンマのありなし2種類のものが使われるという椿事も起こらないとは言いきれません。
電子化されたデータの校正には、どんな優れたシステムが用意されているのでしょうか。