新聞で今日の『新・日曜美術館』が堀文子さんだと知り、ややコーフンするも、子どものお迎えや家事などで、穴あき視聴となり、ちょっと残念。でも半分以上は見られたのでヨシとする。
堀文子さんは89歳の日本画家。たいへんかわいらしい絵を描かれる方である。彼女の植物や生き物を描いた絵を、雑誌か何かでちょっこっと見たのが、2年くらい前だろうか。まっすぐに一目惚れである。スコーンと胸に入って来たのだ。愛と喜びに溢れている構成と形と色彩。でもたいへんクールで、きっちりと丁寧に描かれている。
その作風と同様に、ご本人のキャラもかなり素敵な方である。
天真爛漫なのに自分というものをわきまえておられる。突然思い立って海外に出かけ、あるいは移り住んでしまうほどに大胆で奔放だけれど、大病後は自分の足で歩ける範囲で行動し、他人に頼ったり迷惑をかけることをよしとせず、自分をけっして甘やかさない。
日日、発見と成長を求める。自分の出来る範囲で行動し、感覚を曇らせないよう、注意深く生活する。自分なりの生死観や人生観をお持ちである。「あんなに綺麗でかわいい絵を描ける人なんだもの、さもありなん」と、深く納得。
人生の半ばで伴侶を亡くされ、精神を病むほどに気を落とされたが、外国でニワトリ売りの老婆が、暑い中腐らないように、わざとニワトリを半死半生の状態にしておくのを見て、命の残酷さとダイナミズムを発見される。
好んで花を描かれるが、「私はけっしてロマンチックな思いで花を描いてるんじゃないの。(メシベとオシベを指して)ひとりの女を大勢の男が取り囲んでわいわい云ってるのって、たいへんで、オソロシイことじゃないですか(笑)」
堀さんの見つめるのは、いつも命。花も枯れ草も微生物も、すべからく命を見つめて、その生命力に驚く堀さんの感動する心がある。
蜘蛛の巣の美しさに、絶賛を惜しまない堀さんは、もちろん「人間<蜘蛛」な人なのだ。「こーんな素晴らしい美しい物は、とっても人間には創り出せませんって! 蜘蛛の方が人間より、だんぜんエラいです!」と、自信満々に断言される。
堀さんは紅葉する木々を評して
「神様はね、植物が死ぬとき(秋の紅葉のとき)、こんなに美しく色鮮やかにされるのよ! 死って、けっして惨めで悲しいことじゃないのよ。命をまっとうすることは、きっと美しくて素晴らしいことなんじゃないかしら」
「私、5ミリでもいいから、昇りながら死にたいです。描いたことのないものをふるえるように描きたいと思います」と語る堀文子さん。実にブラボーな89歳である。
(次回の「新・日曜美術館」は「こんぴらさん」(の障壁画)なので、なんとしても見逃せない)
堀文子さんは89歳の日本画家。たいへんかわいらしい絵を描かれる方である。彼女の植物や生き物を描いた絵を、雑誌か何かでちょっこっと見たのが、2年くらい前だろうか。まっすぐに一目惚れである。スコーンと胸に入って来たのだ。愛と喜びに溢れている構成と形と色彩。でもたいへんクールで、きっちりと丁寧に描かれている。
その作風と同様に、ご本人のキャラもかなり素敵な方である。
天真爛漫なのに自分というものをわきまえておられる。突然思い立って海外に出かけ、あるいは移り住んでしまうほどに大胆で奔放だけれど、大病後は自分の足で歩ける範囲で行動し、他人に頼ったり迷惑をかけることをよしとせず、自分をけっして甘やかさない。
日日、発見と成長を求める。自分の出来る範囲で行動し、感覚を曇らせないよう、注意深く生活する。自分なりの生死観や人生観をお持ちである。「あんなに綺麗でかわいい絵を描ける人なんだもの、さもありなん」と、深く納得。
人生の半ばで伴侶を亡くされ、精神を病むほどに気を落とされたが、外国でニワトリ売りの老婆が、暑い中腐らないように、わざとニワトリを半死半生の状態にしておくのを見て、命の残酷さとダイナミズムを発見される。
好んで花を描かれるが、「私はけっしてロマンチックな思いで花を描いてるんじゃないの。(メシベとオシベを指して)ひとりの女を大勢の男が取り囲んでわいわい云ってるのって、たいへんで、オソロシイことじゃないですか(笑)」
堀さんの見つめるのは、いつも命。花も枯れ草も微生物も、すべからく命を見つめて、その生命力に驚く堀さんの感動する心がある。
蜘蛛の巣の美しさに、絶賛を惜しまない堀さんは、もちろん「人間<蜘蛛」な人なのだ。「こーんな素晴らしい美しい物は、とっても人間には創り出せませんって! 蜘蛛の方が人間より、だんぜんエラいです!」と、自信満々に断言される。
堀さんは紅葉する木々を評して
「神様はね、植物が死ぬとき(秋の紅葉のとき)、こんなに美しく色鮮やかにされるのよ! 死って、けっして惨めで悲しいことじゃないのよ。命をまっとうすることは、きっと美しくて素晴らしいことなんじゃないかしら」
「私、5ミリでもいいから、昇りながら死にたいです。描いたことのないものをふるえるように描きたいと思います」と語る堀文子さん。実にブラボーな89歳である。
(次回の「新・日曜美術館」は「こんぴらさん」(の障壁画)なので、なんとしても見逃せない)