教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

出力200%は達成可能なのか?

2013-02-02 01:22:07 | 科学
宇宙戦艦ヤマトに
「エネルギー充填120%」
というセリフがよくでる。
よく、というか、ほぼ毎回。

最近はビビッドレッド・オペレーションで
「ビビッドエンジン、出力120%・・・ 出力150%・・・ 200% ファイナル・オペレーーーション!」
という。
こちらもまたほぼ毎回。

さてここで問題になるのは出力200%という言葉。
この100%を上回る出力というのは、はたしてありうるのだろうか?

10年以上前に読んだ、とあるSFを科学的に検証してみました系の本では、これは非科学的だと切って捨てていた。
たぶんSF好きな人の多くは、非科学的だという点においては反論できないと思われる。

しかし!

わたしはこれにあえて反論したい。

どうやって?

もちろんこれから説明する。



出力100%。
この定義はいったいどこから来ているのだろうか?

なにも情報がない中でこれだけから推測すると、連続稼動運転できる限界出力を100%と定義したのではないかと思われる。
つまりビビッドエンジンでいうと、フュージョンする前にしばらく戦っても信頼性面で問題ない出力の上限が100%という意味になる。

しかし!

ごく短時間でいいから通常性能以上のものがほしいこともまあよくありがちだ。

たとえば兵器なんか特にそうだろう。
兵器の仕様の定格を守って敵に負けたら、兵器を破壊されパイロットを失ったら、むしろそのほうが問題だからだ。
時にはぶっ壊れるのを覚悟のうえでオーバードライブせざるを得ないこともあろう。

さてそこで問題になるのが、オーバードライブしていいのかどうなのかということだが・・・?



そもそもモノの定格とは何で決まっているのだろうか?

多くは、それは発熱による温度上昇でスペックが決まることが多い。
ビビッドエンジンだって熱損失の一部はエンジンの温度上昇として無駄になるに違いない。

だが、フルパワーを出したからといって、すぐに温度上昇するわけでもない。
冷却能力がプアだったとしても、材料の比熱と質量によりディレイを伴って温度上昇が発生する。
だったら、温度上昇が上限に達しない限り、短時間ならフルパワーを出してもいいということだ。
(エンジンの場合は温度上昇でなく機械的な磨耗速度で決まる面のほうが強いかもしれん。その話はこのあとすぐ)

ちなみに最近のインテルのCPUだって、短時間だけ電源電圧を上げてクロックアップするなんて機能があるとかいうのも聞いたことがあるが、それと同じリクツだ。



ところで、温度上昇したら何がまずいのだろうか?

温度上昇したら材料の劣化が指数関数的に速くなるからまずいのだ。
材料は融点を超えなければぎりぎりまで使えるなんてものではない。

これは温度ではなく電圧にしても何にしても同じだ。
かける電圧を定格から10%上げると寿命の期待値は半分になる、みたいになる。

「ビビッドエンジン、出力200%」
これは何を意味するか?

単純計算で、定格を10%超えれば消耗が倍になると仮定する。
そうすると、10%10回分ということで、消耗は2の10乗倍、すなわち1024倍になる。
仮に出力200%を1分間使ったら17時間分の消耗が発生するのだ。

それが許容できるなら、出力200%という運用はありうる。

だってアローン倒せないと人類はめちゃくちゃになるんだから、しかたないじゃない。
ねえ?



本当は出力200%を常時使えるような、現ビビッドエンジンの200%でしか出せない出力を100%で出せるような、そんなエンジンを作ることが真の解法ではある。

しかし!
動力の供給側を太くすることは可能かもしれないが、
運用上の都合で重量も前と同程度でなければならず、
巨大なヒートシンクをつけるわけにもいかないから冷却能力の向上も見込みがたい、
そんな状況で倍も出力を上げろと言われても・・・
エンジニアはスネるだけだろう。