DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

ブダペストから(6)

2013-08-30 09:47:14 | ButsuButsu


恥ずかしい話だが、ブダペストでゴッホのポピーの絵を見るまで、この花のことは何一つ知らなかった。

中国では虞美人草とも呼ばれ、日本ではヒナゲシ、フランスではコクリコと、様々な呼び名を持っている。

というか、それぞれ違う花だと思っていた私は、花オンチもよいところである。

ケシ科ということで、見ていると魅惑されてしまうような気がする。

とても小さな実をつけるところから芥子粒(けしつぶ)という言葉が生まれたとされている。

なるほどな、と思う。

4月から6月に花が咲く。

原産は欧州だ。

慰め、いたわり、思いやり、七色の愛、、、といった花言葉が並ぶ。

どんな思いを持ってゴッホはこの花を描いたのだろうか。

不遇であった彼の生涯を思う時、咲き乱れるポピーの赤色は彼の情感につながっている気がしてならない。

ある意味で、狂気とも言える。

風景画家は、バランスを大切にする。

ブライアンの絵を見ていると、重力に支えられた安定性がある。

人はそれを見て、心の安心を得る。

ゴッホの絵は、どこかその安定性を欠いている。

少しの不安。

それは色彩であったり、バランスであったり、うつろいであったりする。

逆に言えば、その不安定さが見る人の心をつかむ。

人は皆、不安定な世界に生きている。

気候の変化、時間の変化、心の変化、など。

ゴッホは、そのような機微を、意図しないで描いてしまう。

そこに彼の天性の無邪気さがある。


8月29日(木)のつぶやき

2013-08-30 05:10:02 | 物語