B.LET'S 

「滝本Bログ」滝本祥生のブログです。B.LET'SのHP→http://blets.jimdo.com/

安否が気になる

2019-10-19 10:26:00 | 日記
先週末の台風のニュースを見ていて、上田の知り合いの安否が気になっていた。

SNSで情報を集めて、どうやらその方の住居周辺は大丈夫なようだった。
おそらく、その人も無事だと思えた。

それでも状況は不明で、大変な時にお見舞いメールなどしたらご迷惑かもと逡巡していた。


すると、知り合いの老紳士から電話が入った。このブログにも、何度か書いたおじいちゃん。


「少し前から入院していてね」 

「え⁉︎」


検査の結果が悪ければもっと長引く。
この2日は検査でご飯が食べられなくて、お腹がすいたそうだ。
声は元気そうだけど。
96歳の体を心配しないわけにはいかない。

いろんな人の安否が気になっていると、ふと、お友達のご婦人のことを思い出した。


その方は現在、70代前半で、長くお付き合いする彼氏がおられる。
その彼氏から最近連絡がないと、安否を心配されていた。
彼の年齢が80代前半だと知っていた私も、話を聞いて心配になった。


彼のおうちには奥さんがいらっしゃるので、連絡したいけどできない。もしも彼が病気などで動けない状況にいたりしたら。メールを送っても奥さんが見るだろう。それは不本意だった。彼のおうちを一緒に守ってきたとも言えるのに。
世間でいう「不倫」という関係を長年続けてこられていた。



「最後に連絡があったのはいつなんですか?」

「半年くらい前」


半年間の音信不通。
若者のカップルなら「自然消滅した」と言える時間でも、何十年、辛酸を嘗めてきた大人のカップルには短すぎる時間だろう。
関係に終わりがくるとしたら、死別するときしかあり得ない。
 

死別。
「安否を確認する方法は、ひとつだけあるの」
そのご婦人は言った。

彼の先祖代々のお墓がある場所を知っている。そこに名前が刻まれているかどうか。名前が無ければ、彼はまだ生きているということ。

ご婦人は、勇気を出して見に行ってくるという。

「友達が付いて来てくれるから大丈夫」と強がるその人が、たまらなく健気に見えた。


墓地で、友達と一緒に緊張しながらそっと墓石の名前を確認している彼女を想像する。まるで片思いの先輩の不在を確かめようと、靴箱を覗く女子高生のようだと思った。
でも、墓碑銘と靴では、結果の衝撃が違いすぎる。
その想いが、倫理を否定しているとは、わたしには思えない。


お墓に、彼の名前は無かったそうだ。
彼が生きておられたことと、安堵する彼女に、私もほっとした。

大切な人が、生きている。



時間ばかりがたって、我慢できずに上田市に住む知人に連絡をしてみた。
不安を紛らわそうとそのままシャワーを浴びた。

出てきてスマホを確認すると、「元気にしています」と、連絡が入っていた。

嬉しくて、そのまま返事を入力していると、96歳の紳士から「明後日、退院します」と電話が入った。
私の髪からはまだボタボタと滴がたれている。

どうやら老紳士の検査の結果も良かったみたい。



また雨は降るし、月日は流れる。
不安は絶えないけれど、でも、みんな元気そうだ。