ラン科オニノヤガラ属の「クロヤツシロラン(黒八代蘭)」。秋にアキザキヤツシロランに似た小さな花を咲かせ花後に草丈が25~30センチに伸びる。花は地表スレスレに咲き地表近くに生息する昆虫に受粉の手助けをさせ、果実は高い位置で裂開して種子を風に乗せて散布する。
この時期に野山を歩くと樹々が美しく紅葉しているが足元でも草が様々な色に色付いている。写真はゼンマイ科ゼンマイ属の「ゼンマイ(薇)」。日本全土の山野に生育する落葉性シダ植物で春の若芽が山菜として好まれる。栄養葉は2回羽状複葉となり大きく拡がる。晩秋になると緑色の葉が次第に黄葉し最後は茶色くなって枯れる。これは奥高尾“大平林道”のもの。
中山中学校裏手の山道に群生している「コウヤボウキ(高野箒)」。キク科コウヤボウキ属の落葉小低木で山野の陽当たりの良い林縁などに生育している。晩秋に本年枝の先端に直径2.5~3センチの頭花をひとつ付けるが、稀に写真のようにふたつになることもある。頭花は10数個の筒状花から成りその舌状花の先端はカールしている。
上柚木郷戸緑地に生育している「ヌルデ(白膠木)」。ウルシ科ヌルデ属の落葉小高木で雌雄異株。7~8月に枝先に円錐花序を出し果実は秋に稔る。ヌルデは寒冷地では鮮やかに紅葉するので“ぬるでもみじ”という季語もある。当地では写真の程度が精一杯でこの後は落葉する。右に見えているものは虫えい(虫こぶ)の“ヌルデミミフシ”でヌルデシロアブラムシによって形成される。
昭和記念公園で見頃になっている「イチョウ(公孫樹・銀杏)」。イチョウ科イチョウ属の落葉高木でここは“かたらいのイチョウ並木”と名付けられている。この日は平日にも関わらず開門と同時に朝から多くの人がここに押し掛けた。私は10年前に立川シティハーフマラソンに初参加したがこの並木道は思い出の道でもある。マラソンコースは公園東隣りの陸上自衛隊立川駐屯地の滑走路をスタートし立川市内を走ってから13キロ手前で砂川口から公園に入る。そして公園を1周半した19キロ過ぎにこの並木道を走る。ゴールまで残り2キロの踏ん張りどころでこのように美しい黄葉の中なら疲労の身体に少し気が紛れるがレースは3月なので葉は全て落ちている。私はここを合計6回走った。
中山地区の農道脇で見られる「ミツバアケビ(三葉木通)」。アケビ科アケビ属のつる性落葉木本でアケビの葉が5小葉になるのに対して本種は3枚の掌状になる。果実は液果で長さは8~10センチ。熟すと自然に裂開し白い果肉の中に黒い種子が多数ある。同属のアケビは小葉が5枚あり、またアケビとミツバアケビの自然雑種のゴヨウアケビは小葉が5枚だが果実は稔らない。
別所地区の丘の上から松木日向緑地(東京都立大学)を眺めると色付いた樹々がとても良い感じ。しかしその中にナラ枯れの「コナラ(小楢)」が何本も見える(例えば写真中央上部及び右側など)。ややくすんだ茶色に見える樹がコナラで今年被害を受けた樹は葉がかなり残っており、昨年までに被害を受けたものは葉が落ち幹や枝だけになっている。目視しただけでこの写真にはざっと20本のナラ枯れがある。今この緑地では被害にあった樹の伐採作業が行われているが、その業者に確認したところ伐採対象は今年2月時点での被害樹木で遊歩道や校舎の近くにあるものだけに限り100本程度とのこと。今夏に新たに発生したナラ枯れや緑地内で人が入らないような森の奥のものを含めると、本数はその倍の200本近くになるのではないかとのことだ。
ショウガ科ハナミョウガ属の「ハナミョウガ(花茗荷)」。関東地方以西の山地に生育する多年草で花期は6月頃。写真は若い果実で長さは1.5センチほど。この後、冬には赤く熟す。これは高尾山の登山道脇のもの。
高尾山“4号路”で見られる「ツルギキョウ(蔓桔梗)」。キキョウ科ツルニンジン(ツルギキョウ)属のつる性多年草で初秋に直径1.5センチほどの釣鐘状の花を咲かせ果実は晩秋に稔る。果実は直径1センチほどの液果。中には細かい種子がある。
ウラジロ科ウラジロ属の「ウラジロ(裏白)」。山地のやや乾燥した山肌などに生育しており葉裏が白いのが名前の由来。ウラジロは毎年一段ずつ成長するのでその段を数えれば年齢がわかる。1年目は渦巻き状の芽が1対立ち上がり、2年目は前年の2枚の葉の間から葉柄を伸ばしてその先端から新たに2枚の葉が出る。3年目も同じように葉が出て積み上がっていく。写真では左側が2段目の葉で中央には葉柄が伸び右側に3段目の葉が拡がっている。1段目の葉は既に枯れており日本では3段くらいで終わるようだ。
正月の注連飾りや餅の飾りに使われるので良く知られているが、これはそれは2枚の葉を夫婦に譬え次の代に夫婦ができまたその次の代に夫婦ができるというように子孫繁栄の縁起物とされている。