小山内裏公園“内裏池”付近の雑木林に生育している「クロヤツシロラン(黒八代蘭)」。ラン科オニノラガラ属の多年性菌従属栄養植物で9~10月に地面スレスレに目立たない花を咲かせ花後に茎を伸ばして草丈は15~20センチになる。当地では下柚木や鑓水の竹林に生育しているがここは広葉樹林下。タケの葉ではなくコナラなど落葉樹の葉が地面を覆っている。去年の晩秋にここや小山田緑地の広葉樹林下でこの果実を見つけ、竹林以外でも生育することを知った。先々月の花期にはここで見つからなかったが、今はこの周りに10株程度果実が伸びている。
キジカクシ科(←スズラン科←ユリ科)ジャノヒゲ属の「コクリュウ(黒竜)」。オオバジャノヒゲの園芸品種で寒さに強く日陰でも育つためにグランドカバーとして良く利用されている。花は白いが果実は葉と同じような暗緑色になる。
1ヶ月前は背丈がわずか4~5センチで花を咲かせていた「アキザキヤツシロラン(秋咲八代蘭)」。花後はグングン背が伸びて果実が熟す頃には30センチほどになっている。果実はラグビーボール形で長さ2センチほど。縦に裂開し中から長さ1~2ミリの綿くずのような種子を飛ばし始めている。アキザキヤツシロランはラン科オニノヤガラ属の菌従属栄養植物で自身では葉緑素を持たずクヌギタケ属やホウライタケ属など特定の菌種とのみ共生している。これは下柚木の雑木林のもの。
ナス科オオセンナリ属の「オオセンナリ(大千成)」。南アメリカ原産の一年草で江戸時代末期に観賞用に渡来した。草丈は50~80センチで7~9月に薄紫色の花を咲かせ、花後に萼片が袋状になり丸い液果を包む。果実がたくさん出来るセンナリホオズキよりも大型になるので名付けられている。
キョウチクトウ科(←ガカイモ科)ガガイモ属の「ガガイモ(羅摩)」。陽当たりの良い山野に生育するつる性多年草で地下茎を伸ばして拡がっていく。夏に葉腋から花柄を出し先端に集散花序を付ける。花序には直径1センチほどの花が10数個ある。結実率は低くその果実に遭遇するのは稀。果実は長さ10センチほどで裂開すると中からたくさんの種髪が出てくる。
バラ科バラ属の「ハマナス(浜茄子)」。海岸の砂地などに生育する落葉低木で夏に赤い花を咲かせる。ナス(茄子)の字が当てられているが、ナスには見えない。この果実が甘酸っぱいのでナシに譬えて「ハマナシ(浜梨)」としたものが転訛したという説が有力のようだ。
鑓水のバイパス沿いに植栽されている「ヒイラギモクセイ(柊木犀)」。モクセイ科モクセイ属の常緑小高木でギンモクセイとヒイラギの雑種とされている。雌雄異株で日本では雄株だけが確認されている。葉にはヒイラギのような尖った鋸歯が見られ花には微香がある。小さな花の直径は8~9ミリ。
サトイモ科ハンゲ属の「オオハンゲ(大半夏)」。山地の常緑樹の林床に生育する多年草でカラスビシャク(ハンゲ)よりも大きく花茎は50センチほどになる。花期は5~8月で果実は長さ4~5ミリの液果。中に種子が1個ある。
キク科モミジバハグマ属の「キッコウハグマ(亀甲白熊)」。草丈10~30センチの多年草で花期は9~11月。閉鎖花がほとんどだがこの時期には開放花を付ける。頭花は直径8~9ミリで3つの小花からなる。咲き初めは雄性期で雄蕊は束状になり先端に葯がある。花粉を放出し終えると雄蕊群の中から雌蕊が現れ柱頭が2裂する。写真では見にくいが右上の小花に雌蕊が見える。これは高尾山“3号路”のもの。この日は4号路やびわ滝コースでも開放花が見られた。
クロウメモドキ科ナツメ属の「ナツメ(棗・夏目)」。夏に直径4~5ミリの小さな花を咲かせ果実は秋に熟す。果実は長さ3センチほどの楕円球形で中に種子がひとつある。果実は食用になりドライフルーツになどにも利用される。種子や樹皮を乾燥させたものが生薬の“大棗(たいそう)”で、滋養強壮、鎮静、催眠などの作用がある。その名前は芽が出るのが遅く夏になってから新芽を出すことに由来している。