現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

ジュブナイル小説の可能性

2016-12-15 09:08:23 | 考察
 ジュブナイル小説は現在はヤングアダルト小説と呼ばれていますが、狭義の意味では1960年代後半から1980年代前半に、主に中学生向け学習誌(中一時代とか中二コースという名前でした)の付録として書かれた作品群のことです。
 筒井康隆や眉村卓といった後に一般文学でも活躍する一流の作家が、中学生のために書き下ろしたエンターテインメント作品で、代表作は「ねらわれた学園」、「なぞの転校生」、「時をかける少女」などです。
 これらの作品は、今の言葉でいえばメディアミックスに向いていて、NHKのドラマになったり、角川で映画化されたりしました。
 内容は、作者たちの得意とするミステリーやSFに、少年少女の友情や淡い恋心をうまく加味していて、今のライトノベルと違って、かなり読み応えのあるものでした。
 他の記事に書いたように現在の児童文学では少年小説が死に絶えているのですが、こういったかつての
ジュブナイル小説のような作品であれば、男の子たちの読者を奪還できるのではないでしょうか。
 仮に小説単体ではあまりもうからなくても、現在では映画、ドラマに限らずアニメ、ゲーム、マンガなどメディアミックスする手段はたくさんあるので、全体としてはそうした作品の書き手に十分ペイできるだけの印税を提供できるでしょう。
 しかも、こうした読書体験をした男の子たちが大人になった時には、新たな文学の読者になることも期待できます。
 かつて筒井康隆のジュブナイル小説を読んでいた子どもたちが、成長して彼の一般文学の読者になったように。

 
細菌人間 (筒井康隆SFジュブナイルセレクション)
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金の星社
 

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フリースペース

2016-12-15 08:31:09 | キンドル本
 ギグスという架空のスポーツの話です。
 ギグスは、低重力カプセルの中で空中を飛びまわってやる立体的なバスケットボールです。
 ギグスのスーパースターは、日本の少年のケンです。
 デリバリーピザ屋でバイトをしているリュウは、ひょんなことからケンと知り合います。
 二人とも中学三年生ですが、それぞれの事情で、ともに学校へは通えていません。
 ピザを運んできたときのチップを受け取る受け取らないを、エアフォッケーのゲームで決めることになります。
 ゲームでの熱戦を通して、二人は仲良しになります。
 ギグスの年間チャンピオンを決めるファイナル・シリーズは、トウキョウとロセンゼルスで行われています。
 リュウはケンに誘われて、ファイナル・シリーズのツアーに同行することになりました。
 はたして、優勝の行方はどうなったでしょうか?
 そして、MVPを獲得するのは誰?。

 (下のバナーをクリックすると、スマホやタブレット端末やパソコンやKindle Unlimitedで読めます)。

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平野 厚



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宮澤清六「燻蒸された原稿」兄のトランク所収

2016-12-15 08:20:28 | 参考文献
 大正十三年に印刷された賢治の詩集「春と修羅」の印刷用原稿の数奇な運命について、賢治の弟の清六さんが証言しています。
 長い間行方不明だった原稿は、昭和二十年八月十日の花巻空襲で焼け残った蔵の品物を整理している時にひょっこり出てきたそうです。
 序文をはじめとした初頭の七枚は焼失してしまいましたが、火災から三日間の間に煙に燻蒸されて狐色に焼きあげられた紙の上にインクの色も濃いセピヤに変わって、丸善の原稿用紙で百五十枚に賢治の独特のペン字で丹念に書かれた詩集の生原稿が生還したのです。
 これらの原稿は、今でも花巻の宮沢賢治イーハトーブ館で見ることができます。


兄のトランク (ちくま文庫)
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筑摩書房
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