森少年のおじいさんの話です。
おじいさんは、父親が亡くなったために学校をやめて少年電報配達員になりました。
真夜中に電報を配達しに行く仕事で、墓場で怖い思いをしたり、小説家の先生に受賞の知らせをして五円(賞金の百分の一で、少年電報配達員の一晩の賃金の六倍以上)もらったりしました。
おじいさんは、そのまま郵便局に勤め続けて、定年の時に四百五十枚も挨拶状を出したのに、誰も返事をくれないのでがっかりしていました。
しかし、しばらくして、いつかの小説家の先生が、長いそしてかつての少年電報配達員のまじめさや努力をほめた返事をくれました。
「最後の部分に、「あなたがわたしにはこんでくれた電報やゆうびんは、ほとんどが福音でした。ありがとう。」と書いてありました。おじいさんは四百五十分の一の福音に目を細めていました。」
他人が、自分が思っているほどこちらに気をかけてくれていないということは、自分の経験でも多々感じるところです。
そんな時、遠い昔のことを覚えていてくれたことは、どんなにうれしいことでしょうか。
こうしたささやかな喜びに敏感なのも森少年の特長なのですが、この作品はたんなる思い出話になっていてもう一つの出来だと思います。
おじいさんは、父親が亡くなったために学校をやめて少年電報配達員になりました。
真夜中に電報を配達しに行く仕事で、墓場で怖い思いをしたり、小説家の先生に受賞の知らせをして五円(賞金の百分の一で、少年電報配達員の一晩の賃金の六倍以上)もらったりしました。
おじいさんは、そのまま郵便局に勤め続けて、定年の時に四百五十枚も挨拶状を出したのに、誰も返事をくれないのでがっかりしていました。
しかし、しばらくして、いつかの小説家の先生が、長いそしてかつての少年電報配達員のまじめさや努力をほめた返事をくれました。
「最後の部分に、「あなたがわたしにはこんでくれた電報やゆうびんは、ほとんどが福音でした。ありがとう。」と書いてありました。おじいさんは四百五十分の一の福音に目を細めていました。」
他人が、自分が思っているほどこちらに気をかけてくれていないということは、自分の経験でも多々感じるところです。
そんな時、遠い昔のことを覚えていてくれたことは、どんなにうれしいことでしょうか。
こうしたささやかな喜びに敏感なのも森少年の特長なのですが、この作品はたんなる思い出話になっていてもう一つの出来だと思います。
![]() | 少年時代の画集 (児童文学創作シリーズ) |
クリエーター情報なし | |
講談社 |