ウィーンモダン展図録 クリムト シーレ 世紀末への道 国立新美術館 | |
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19世紀末から20世紀初頭におけるウィーンの芸術(絵画だけでなく、建築、工芸、デザイン、ファッション、家具、日用品なども)が、伝統的な様式からモダーンな様式に変わっていく様子が、年代を追いながら要領よくまとめられています。
ウィーン・ミュージアムが改装中とのことで、これだけのまとまった展示がウィーンへ行かなくても見られるのは、非常にラッキーです。
副題には、日本でも人気のあるクリムトやシーレが掲げられていますが、この展示会(あるいはこの時期の芸術運動全体)において、もっとも重要な人物は、建築家のオットー・ヴァーグナーでしょう。
展示を順番にじっくりと見ていくと、彼の出現の前後で様式が伝統からモダーンに変わっていったことがよくわかります。
彼が伝統的な建築だけでなく絵画にも、建築の手法を取り込んだことにより、ウィーンの芸術は、いわゆる職人技から、創作理論を持った芸術運動に変貌しています。
これは、ル・コルビュジエ(その記事を参照してください)の場合とまったく同様です。
児童文学の世界でも、かつての「現代児童文学」(定義などは他の記事を参照してください)は、良し悪しは別として創作理論がありました。
実作と理論(評論)が両輪として存在していたわけです。
しかし、現在の児童文学の世界では、「本になる、ならない」「売れる、売れない」だけが唯一の価値基準で、実作をリードするような創作理論は存在しません。
つまり、今の児童文学は、芸術活動というよりは経済活動の一部として存在していると言えます。