2017年公開のアメリカ映画です。
レイプされ、さらに焼き殺された娘の事件の捜査が進展しないことに業を煮やした母親が、町外れの寂れた街道にある三枚の広告看板(これがタイトルになっています)に、自費で警察を糾弾する意見広告を出します。
この看板を巡って町は緊張状態になりますが、それに拍車をかけるように広告において名指しで批判された警察署長が自殺します。
末期の膵臓がんを患っていたことが自殺の理由で看板とは無関係なのですが、それによって看板を巡る対立はさらに激化します。
アメリカの地方の町の荒廃、人種差別、警察の腐敗と怠惰、州を超えての犯罪に対する無力化、プアーホワイト(白人貧困層)の疲弊、野放しの銃器、ドメスティック・バイオレンス、家庭崩壊、教育崩壊など、現代のアメリカの抱える恥部を、これでもかこれでもかと鋭くえぐっていく作品です。
主役の母親を演じたフランシス・マクドーマンドが、「ファーゴ」(その記事を参照してください)に続いて二度目のアカデミー主演女優賞を獲得しました。
前作のユーモアあふれる女性警察署長役から一転して、一切妥協しない氷のように頑なな女性を好演しています。
また、怠惰な警官役のサム・ロックウェルが、若いプアーホワイトたちの現状と絶望の典型を熱演してアカデミー助演男優賞を受賞しました。