近所に越してきた同じクラスの女の子とそのダウン症のお姉ちゃん(六年生で同じ学校の支援学級に通っています)と友達になる、小学四年生の女の子が主人公の物語です。
最初は同じクラスになった女の子と友達になりたかっただけなのですが、次第にそのお姉ちゃんとも仲良くなっていきます。
その過程で、初めは全然知らなかった、ダウン症についても理解(病気のことだけでなく、時には差別されることがあることも含めて)を深めていきます。
といっても、過剰に深刻にならずに、明るいタッチで描けています。
書きにくいことも、あえてはっきりと書く力強さのようなものも感じました。
また、障害のことだけでなく、誰しもがいろいろな問題(親から勉強を強要されている男の子が登場します)やコンプレックス(主人公は背が高いのがコンプレックスで、母親にボーイッシュなヘアスタイルにしたいと言えない悩みも抱えています。主人公と仲良しの男の子は逆に背が低いことが悩みです)を抱えていることも描いているのが、特に優れている点です。
そのため、一人一人が違っていていいんだという、多様性を認め合うラストが、中学年の読者にもしっくりと読み取れます。
パン作りやクッキー作りなどの女の子が中心の場面も出てきますが、その一方でサッカーのリフティングのシーンなどで男の子たちも出てきてバランスが取れています。