1969年公開のアメリカ映画です。
当時アメリカン・ニューシネマと呼ばれた、低予算の新しい感覚を持った映画群の代表作の一つです。
アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞を受賞しました。
テキサスから、女性相手の売春を目当てに長距離バスでニューヨークに出てきたカウボーイ姿の青年と、都会のどん底で暮らすネズミというあだ名をった足の悪い男との奇妙な友情を描いています。
極寒のニューヨークで体調を崩したネズミは、暖かいフロリダへ行くことを夢見ます。
カウボーイは、売春相手(男性)を殺す(?)までして、フロリダ(マイアミ)行きのバス賃を手に入れます。
あれほど夢見たフロリダ(マイアミ)に到着する一歩手前で、ネズミは亡くなります。
目を開いたままで死んだネズミの目を閉じてやって、彼の体を支えながら、バスに乗ったまま終点のマイアミに向かうカウボーイの、放心したような表情が忘れられません。
この作品では、二人芝居と言ってもいいほど、ジョン・ボイト(カウボーイ)とダスティン・ホフマン(ネズミ)の二人の名優(この映画では残念ながらノミネートだけだったのですが、その後アカデミー賞主演男優賞をそれぞれ受賞しています)の演技が、全編にわたって繰り広げられます。
特に、ダスティン・ホフマンの演技は、あざといとさえ言えるほど上手く、こすっからしい小男を演じていて、見ていて圧倒されます。
一方、ジョン・ボイトの方は、少しマヌケなお人よしの大男を、まるで本当の彼自身かのように、すごく自然に演じています。
ニューヨークの廃墟ビルに暮らす二人の底辺での生活が、これらの演技によって恐ろしいほどのリアリティをもって描かれています。
全編に流れるニルソンの「うわさの男」も、作品の雰囲気にピッタリで、心に残ります。