谷崎潤一郎賞を受賞した短編集の表題作です。
四十前後の子どものいない専業主婦(?)が、隣家の六十代前半にも七十代にも見える老婦人が弾く拙いピアノの調べ(リストの「愛の夢」しか弾きません)に、なんとなく心が惹かれ、その家を訪ねて週二回二時間あまり、ピアノの練習に付き合うようになります。
主人公が通いだして十三回目に、とうとう「愛の夢」を通して弾けるようになった老婦人と主人公は拍手をし合い、口づけを交わします。
そして、それ以来二人は交流をやめてしまいます。
ピアノの練習に立ち会っている期間には、二人はお互いをテリーとビアンカという仮の名前で呼び合い、それぞれの私生活にはいっさい立ち入りません。
作品の背景には、東日本大震災と福島第一原発事故が通奏低音のように漂い、人の縁の不思議さとはかなさが端正な文章で描かれています。
私は不勉強のため、2011年3月11日以降の世界を描いた児童文学作品をまだ読んでいませんし、自分でも書いていませんが、この作品のような静かな表現方法もあるのだなとおおいに参考になりました。
四十前後の子どものいない専業主婦(?)が、隣家の六十代前半にも七十代にも見える老婦人が弾く拙いピアノの調べ(リストの「愛の夢」しか弾きません)に、なんとなく心が惹かれ、その家を訪ねて週二回二時間あまり、ピアノの練習に付き合うようになります。
主人公が通いだして十三回目に、とうとう「愛の夢」を通して弾けるようになった老婦人と主人公は拍手をし合い、口づけを交わします。
そして、それ以来二人は交流をやめてしまいます。
ピアノの練習に立ち会っている期間には、二人はお互いをテリーとビアンカという仮の名前で呼び合い、それぞれの私生活にはいっさい立ち入りません。
作品の背景には、東日本大震災と福島第一原発事故が通奏低音のように漂い、人の縁の不思議さとはかなさが端正な文章で描かれています。
私は不勉強のため、2011年3月11日以降の世界を描いた児童文学作品をまだ読んでいませんし、自分でも書いていませんが、この作品のような静かな表現方法もあるのだなとおおいに参考になりました。
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