現代児童文学

国内外の現代児童文学史や現代児童文学論についての考察や論文及び作品論や創作や参考文献を、できれば毎日記載します。

安岡章太郎「吉行淳之介のこと」文士の友情所収

2017-02-24 11:42:23 | 参考文献
 この文章は、吉行が亡くなった後で発行された彼の全集の月報に書かれたものです。
 最近は著名な作家が亡くなってもあまり全集が発行されませんが、90年代ごろまでは必ず発行されていたように記憶しています。
 70年代の全集ブームの時には、37歳で亡くなって作家として完結した仕事を残せなかった柏原兵三でも、全集とまではいかなくても作品集は発行されています。
 この文章を書いた安岡も2013年に亡くなっていますが、はたして全集は発行されるのでしょうか?
 2009年に同じ「第三の新人」の一人の庄野潤三が亡くなった時には、全集が発行されたら必ず購入しようと思っていましたが、未だに発行されていません。
 もっとも、安岡や庄野(もちろん吉行も)たちは、70年代にすでに個人全集が発行されていますが、その後の作品も含めてきちんと全体を網羅した全集を出してほしいものです。
 やはり、文学が消費財と化している現在では、過去の作家の全集を出しても商売にならないのかもしれません。
 もしかすると、今後は大江健三郎や村上春樹ぐらいにならないと、没後に全集は編まれないのかもしれません。
 児童文学の世界でも、大石真や今西祐行や古田足日などはお亡くなりになる前に全集が発行されています。
 しかし、2011年に急逝した後藤竜二などは、息子さんの話によると全集の予定はないそうで、「現代児童文学」の申し子ともいえる彼の生前の仕事の全体像をきちんと評価されることなく、やがては忘れられていくのかもしれません。
 そういった意味では、何度も全集が編まれ、学会までがある宮沢賢治は稀有な存在なのでしょう。

文士の友情: 吉行淳之介の事など
クリエーター情報なし
新潮社

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