言葉はよくありませんが、よく言われた教えです。
利口ではない人ほど不平不満をよく口に出す、ということです。
マイナスの発言をすることで、本人にとっても周囲にとっても何もプラスになることはありません。
ただ雰囲気を悪くし、より気持ちが暗くなるだけです。
皆、それぞれの立場で不満を抱えて生活しているのが普通であると思います。
すべてが完璧な環境でまったく不満がない人はほとんどいないでしょう。
不満があるのであれば、それを少しでも改善しようとすることが必要であって、陰で不満を言っても何もよいことはありません。
口に出して言うのであれば、せめてユーモアをこめて言うべきです。
「愚痴」とは仏教の用語で、無知という意味です。
真理に明るくないということで、煩悩のなかでも特によくないとされる「三毒」の一種です。
「三毒」とは、貪・瞋・癡(とん・じん・ち)です。
それぞれ、欲望をむさぼること、怒ること、知恵のないことをあらわします。
つまり、欲望にまみれて怒ってばかりいる利口でない人が、最も「たちがわるい人」ということになります。
その「たちが悪い人」が不平を口に出すのでしょう。
相手に不満がある場合、怒りの感情でいうのではなく、落ち着いて言えば相手も聞く耳を持つはずです。
また、自然環境など不満を持っても何も改善されないようなことであれば、黙っているべきです。
与えられた環境の中で精一杯の努力をするだけです。
私がよく試合で選手に言うことは、マイナスの発言をするな、ということです。
マイナスの発言は周囲に良い影響を与えないからです。
たとえ言葉で発しなくても、不満を持つ態度や行動も同様です。
レースで負けて泣いていることがどのような影響を周囲に与えるかを考えれば、人前で泣くことはできないはずです。
チームの一員として恥ずかしいことをしない、ということにもつながります。
不平をもらすことは、その人の無知をさらすような恥ずかしいことでもあるのです。
私自身、これからもこの教えを忘れずに気をつけていきます。
竹村知洋