私たちは高校教諭として水泳部の指導を行っています。
私たちと水泳部員は、教員と生徒という関係です。
担任や授業、クラブ活動、寮生活においてもその関係は保たれており、卒業後も同様です。
良い関係を築くことは大切なことですが、それ以上に馴れ馴れしい関係にはなりません。
これは高校のクラブ活動を行っていくうえで重要なことです。
私たちは教員として生徒に接する以上、常にそのことをわきまえていなければなりません。
入学直後、ほとんどの生徒は挨拶や返事を満足にすることはできません。
馴れ馴れしい言葉の使い方をすることも見受けられます。
そのような生徒も学年が上がるにつれて自分の立場を理解して私たちと接するようになります。
上級生が下級生を指導することでそれを自覚するわけですが、それが受け継がれていくのは私たちが教員として生徒に接しているからです。
もちろん時代の変遷とともに接し方が変わっている部分もありますが、根本的には相違ありません。
卒業後に挨拶に来るOBもたくさんいますが、私たちにとってはいつまでたってもかつての教え子であり、卒業生にとって私たちは先生です。
私たちが最も喜びを感じるのは、教え子が卒業後に立派な社会人としての姿を見せてくれることです。
学生時代はどうであれ、一人の大人として成長した姿を見ることができるというのは教員としての最高の喜びです。
これはクラス担任や授業を受け持った生徒にもあてはまることですが、やはり水泳部の一員として同じ目標を抱いて努力したという経験は生涯忘れることはありません。
私自身もそうですが、水泳部での経験が人生そのものの自信につながっているともいえます。
練習や上下関係の厳しさを思い出せば、社会人として働いていることのつらさにも耐えることができます。
私たちが教育者として水泳部の指導を担っていくということは、高校時代という人生の大切な時期にとって大変有意義なことであると考えています。
竹村知洋