暇つぶしエンジニアリング (旧:休日限定エンジニアリング)

アマチュア無線とエンジン付オモチャいじりの日記です。

原付スクーター エンジン不始動

2024-07-26 21:44:05 | オイル臭い部屋

原付スクーターの修理応援依頼があった。

スズキの原付で車種は良く解らないが、アドレスかセピアあたり

だろう。

走行中にエンジンが止まりそれっきりというもの。

スタータは回るが全く反応しない。

プラグに火が飛んでいない。

IGコイル周りの配線に接触不良となる状態は確認できない。

CDIがコイルにビルトインされているタイプのようであり、これを

交換してみるしかない。

その前に、ピックアップコイルも点検してみたが、これといった

不具合もなさそう。

コイルは新品を購入するまえに、手持ちの中古品で使えそうな

ものを試してみることにした。

CDIが内臓されているのかどうかも解らないが、テスターを当てた

感じではコイル単体ではないようなので、物は試しで闇雲に配線を

してみた。

すると奇跡的にもスパークするではないか。

何用かも解らないものを繋いだにも関わらずラッキーだ。

 

火が飛ぶようになったので、エアクリーナーケースからパーツ

クリーナーを吹き付けて初爆を確認しようとしたが、全く掛から

ない。エーテルを吹いても全く反応なしだ。

プラグを外してシリンダー内に直接エーテルを吹いてみたが、

それでも爆発してくれない。

 

コンプレッションゲージでの測定はしていないが、圧縮はまあ

まああるような気がする。しかし、マフラーから出てくる排気は

少ないような感じもする。

 

外から出来ることは可能な限り行ったので、ヘッドを剥ぐってみる

ことにした。

そしてシリンダー内を覗いてみると、引っかき傷があった。

そしてピストンも酷い状態になっていた。

単なる焼き付きによる傷とは違い、何か遺物を嚙み込んだような

傷がついていた。

すると外したシリンダーの掃気ポートに、何やら虫のようなものが

あった。

虫ではなく、ピストンピンを止めているサークリップのようである。

原因は解らないが、外れて噛み込んだのは間違いなさそうだ。

そして、ヘッドガスケットを見ると、なんと抜けた跡がクッキリと

ついているではないか。

しかもこのガスケット、他車のものを流用いたのかボルト穴の

ところが長穴になっていることに加えて、ボアの部分が楕円形に

なっているではないか!

一度分解したことがあるものと推測できるが、オーナーさんは

ネットで購入した中古車のため、過去に何があってどのような

整備が成されたのかも解らない状態だ。

 

いずれにしてもこれではエンジンが動く訳がない。

 

オーナーさんはどうゆう見立てで判断したのかは解らないが、

ピストンがダメだということでスタンダードサイズのピストンと

シリンダー等一式が持ち込まれていたので、これに交換すること

としたのだが・・・

持ち込まれたシリンダーの加工が酷いものだった。

ポートの角が抉れておりガタガタの状態だ。

面取りもさていないので、このまま組めばピストンをつけること

になりそうなので、ポートの面取りと。ピストンスカートの面取り

そしてピストンピンが入るのボス部分の磨きを行ってから組み上げた。

 

更にヘッドガスケットが抜けていたので、オイルストーンでの研磨

を行った。

 

そしていざエンジン始動

 

試運転をしてみてビックリ!

なかなかの加速を見せてくれた。

さすが7psクラスのエンジンを搭載しているスクーターだけのことは

ある。これなら日常の足としても全く不満がないと言えそうだ。

 

今回の原因としては、CDI内臓IGコイルの不良とエンジン内部における

ピストンピンのサークリップ脱落によるカジリ込みである。

しかし、少し疑問が残るのが、CDIが不良になるまで、このピストンで

エンジンが掛かっていたというのが信じがたいのだが・・・

でもオーナーさんは走行していてエンジンが止まったと言っているので

止まった主原因はCDIの不良なのだろう。

 

新品とは言え、加工状態のよろしくないシリンダーではあったが一応の

対策も取っているので、しばらくは問題なく走行できるだろう。

 

 


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