Cache-Cache ~かわいいかくれんぼ~

日々の生活の中で“見つけた”なにげない事柄を、
子供たちの育児日記と一緒に・・・

絵本地獄

2012年04月03日 | 子育て日記

ここ何ヶ月でしょうか、気が付くと見かける
「絵本地獄」という言葉。
はて、どこかで見た記憶がと、気にはなるのですが
日々の雑多に押されて、それ自体忘れてしまうことを繰り返していました。

先日、ふとしたときに
「ああ、あの本だ~!」
と、思わず大きな声で口にしたものですから、家族から変に思われたことでしょう。

言わずと知れた本のようで、今は、小さな子を育てているお母さんには
大変評判のようですね。
この本がブレークしたきっかけになった漫画は見ていませんが、
その漫画家の連載は、だんな様が愛読しているSJに載っていたので
面白くて毎回楽しみにしていました。

さて、その絵本地獄ですが、幼い頃、家にありました。
いえ、これと同じかどうかは憶えていませんが、似たような本だった気がします。
そして、この本の正当な使い方に倣って・・・
いえいえ、読み聞かせはされていません。
ただ、本棚にあっただけでした。
なので、残念ながら当時の幼い私自身は、阿鼻叫喚することはなく
どちらかと言えば、お化け屋敷に一人で挑むような、怖いもの見たさに似たものを
憶えています。

当時はホラーブームとか、夏場の怖い話みたいなのが流行って
いたのもあって、もうこの絵本では、恐怖は感じられなかった気がします。
確か、現実に怖い事件が起きて、世間が震撼していた時代でしたし
ノストラダムスの大予言のほうが恐ろしく
生きているうちに(それも大人になったばっかりの頃に)起きるのかと
もう絶望的な気持ちで信じていましたから。

で、こんな皮肉れた子供にさせてはならないのと、
わが子たちはどんな反応を示すのかという、結局は興味本位で
この本を購入しました。

お姉ちゃんは、時すでに遅しな感があり。(でも、怖がっている様子はなくもない)
そして、期待の男の子二人。
二人の反応が見たくて、逸る気持ちを抑えながら情感溢れる
読み聞かせを行いました。

ああ、本当にこれは・・・
効果覿面。

新2年生になる長男が途中で逃げ出す程です。
3歳児にいたっては、閻魔様という言葉を聞くと、
効き目がありすぎるので、気をつけないといけません。
あまりの効果に、驚いています。

しかしながら、本にもあるとおり、こういう畏怖のようなものは
私たちに本来備わっているのですが、今はそれを感じる機会が身近に無くなりました。
都市の発展があり、暗闇が消え、そこの住人たちは追いやられてしまったのですね。
いや、もしかしたら、近未来に近づくことで、畏怖を消そう、打ち勝とうとしたのでしょうか。
自分たちの未熟さや、限界を認めたくなかっただけなんじゃないかと
母となった今、この本を読んで思った次第です。

科学が発展することは大きな利益がありますが、必ずしもそれが全てではない。
むしろ大きなリスクを背負うこととか・・・
自分たちが回収できないほどのものは、持っちゃいけないんだと
あらためて思いました。

黒澤監督の【夢】という作品の中のひとつに
鬼が出てくる章があります。
今なら、地獄とはあの世界なんだろうと思います。
でも、あれはあの世ではなくて、現実に起こりうる、いえ、起きつつある世界なんですよね。
少なからず、本にも登場するように、地獄にはまだ一縷の救いがありそうですが
現実の世界は、そう都合よくはいきません。

絵本地獄は、畏怖とは何か、戒めとは何かを
考えさせる一冊でした。

「嘘ついたら閻魔様に舌を抜かれる」

こういう言葉が生き続ける世の中は、まだ救いがあるのかもしれませんね。