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観音さまのお導きにより、
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たどり着いた釜石大観音。
ご本尊は魚籃観音さま。
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この場所に、はたしていったいなにがあるというのか?
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とりあえずお祈りとかしてみました。
ん? 中に入れるみたい。
嗚呼、なるほど。
胎内巡りができるのかぁ。
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ということで階段をのぼりました。
たのむ、エレベーターにして。
だって、
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ねえ?
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展望台なう
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海がステキ。
って、あ
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ここに登ってきて、ようやく導かれた理由がわかりました。
そう、あの日、3.11……
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観音さまはすべてをこの場所で見ていたのです。
観音さまの字は、音を観ると書きます。
そう、ここから、この場所で、震災のすべてを、亡くなられたすべてのヒトの悲鳴と無念を聞いていたのです。
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押し寄せる津波も、流される家屋やニンゲンも、そして多くの生き物の命も。
ただあるがままに見つめる。
そして、
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いまも変わりなく。
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そっかー、クマルをここに導いてくれた理由がわかりました。
自分になにが出来るのか?
一度はみんなそう思ったよね?
義捐金を送ったヒトは大勢いました。ボランティアで働いたヒトも大勢いました。
なにも出来ずにいたヒトもいるでしょう。
しょせん他人事と、自分中心の生活を送っていたヒトも大勢いたはず。
だからといって、どっちが正しいとか悪いとかじゃない。
だって義捐金を送ったから、自分はいいことしたって満足してたり、ボランティアしたってことで自己満足してたりだったら、結局それって、自分のためにしてるだけであって、我関せずとたいしてかわりないもん。
といってそのことを責めてるわけじゃない。
観音さまは、そんなヒトを責めたりなんかしない。
ただあるがまま見つめているだけ。
そして魂を正しい場所へといざなうだけ。
そう。ここに立って。ひと時も休むことなく。
だから、なにかをやったからもういいや、じゃない。
何千万の寄付したから、自分に出来ることは全部やった、じゃない。
亡くなったかたや、いま生きているニンゲンの魂が、正しい方向へいけるよう、ただ祈る。
自分たちに出来ることって、それだけなんだ。
いまを生きるって、そういうことなんだ。
過ぎ去った過去を嘆いていては、その「いま」をおろそかにしてしまう。
始まってもいない未来を不安がっていても、同じく「いま」を生きていない。
観音さまはそのことをクマルに教えてくれました。
なかなか復興しない苛立ちもあることでしょう。
経済のことしかあたまにない政府に憤りを感じていることでしょう。
でも、不満や苛立ちはなんの解決策にもならない。
いまあるがままを受けとめ、そして「いま」という連続した時間を生きていくしかない。
そうだ。みんながんばって「いま」を生きていこう。
クマルもがんばる。
いままでは心願成就のことばかり祈ってきたけど、今度は、自分の利益以外のことを全力でお祈りする。クマル、そう決めた。
江戸三十三観音。
坂東三十三観音。
秩父三十四ヵ所。
これだけ巡ったクマルだけど、まだまだ修行するよ。
そして祈る。
観音さま、どうもありがとう。
いつかあなたのおそばにいけることをねがい……合掌(-人-)
願わくば この功徳をもって あまねく一切に及ぼし 我らと衆生と 皆 共に仏道を成ぜん(-人-)
つづく
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