SpiMelo! -Mie Ogura-Ourkouzounov

L’artiste d’origine Japonaise qui mélange tout sans apriori

プログラムノート

2022-03-24 21:47:00 | Info Concert-コンサート予告

(前回のブログのまたまた続き)

写真は文中に出てくる、アーチスト安藤福子さん作の黒いドレス。


〜〜プログラム・ノート〜〜


私が3月27日、フランス・フルートオーケストラのコンサートのために書いた曲は、次の4曲です。



-La reine du tabou en robe noire

黒いドレスを着たタブーの女王〜安藤福子さんへのオマージュ (世界初演)


この奇妙なタイトルの由来。2019年に、パリ在住で仲の良かった服飾アーチストの安藤福子さんが日本に永久帰国するということで、パリのアパルトマンの掃除をしていたときに、なんとトイレから黒い布が出て来たんですって。そしてその布で私の舞台衣装を作ってくださった。


ずっと私の音楽活動を見守って来てくださった彼女は、私が「ずっと音楽のタブーに挑戦するように地下を掘ってきた」のだと言う。確かにそれは輝かしいスターダムを駆け上ったミュージシャンたちと私の通って来た道の違いかも知れない。しかしどのような道を通ろうとも、芸術的な高みに辿り着くことが出来るのであれば、どう言う訳かそこは同じ次元である筈なのである。


そのドレスには「トイレというタブーな場所から出て来たこの布で作ったドレスで、一番の高みを目指す」という願いが込められている。その時の話が強烈に印象に残っていて、いつかこの題材で曲を書きたいと思っていた。


だから曲想的にはブラックミュージックやプログレッシブロックやヒップホップなど、割に反抗的?な音楽が基調だと思う。


私にしてはいっぱいいっぱい音符を書いてあるつもり()だが、アンサンブルによる自由即興に任せる場所が二箇所ある。楽しみ!



-You don’t know this spring 

あなたはこの春を知らない〜キース・ジャレットへのオマージュ (世界初演)


パリの2月は冬と春の入り混じったような微妙さが好きな季節であるのだけど(特に今年のように春の度合いの多い2月は。)昨年の2月までに数人の親しい人々や尊敬する人が亡くなってしまった。

まだまだ寒い2月の公園で「この人たちはこの春を知ることはなかったんだな」という想ったことで、この曲を構想した。


はっきり言ってこのイメージを楽譜にするのは難しかったし、最後まで難航した。


キース・ジャレットへのオマージュにしたのは、ジャレットのピアノソロ即興で、彼が流れに完全に乗っているときに天に昇って行くような感覚があって、その彼の弾き方や和声感がこの曲のイメージを助けたから。その彼ももうピアノが弾けなくなってしまった。

即興箇所は、奏者に冒頭と最後の「you don’t know...」を4ヶ国語で音楽に合わせて即興的に発音してもらうところと、中心部分の4和音で私がアドリブソロをとるところ。多分ピアノでやろうかな。


-Spiral Melody 

スパイラル・メロディ


香川県多度津町という田舎で小学生だった頃、(季節は春だった)、学校の授業中に、音楽室からみんながリコーダーで一斉に「グリーングリーン」だったような気がするけど、練習しているのが私のいる教室の窓から聴こえてきた。その音たちが春の光と風と相まって、スパイラルになっていた、そんな私的な原風景から生まれた、スケッチ的な曲。


今回は、私のアドリブ部分のバックで、数音しか出ない小さいリコーダー型のペンを数人のフルート奏者に持ち替えてもらい、即興演奏してもらう予定。



-Ondulation

オンデュラション〜波動〜チック・コリアへのオマージュ


元は即興アトリエの生徒たちのために書いた曲。

なので私にしては珍しく4/4拍子、8小節単位の割り切れる曲。


完全なジャズコンセプトで、とにかく誰にでも簡単に即興のインスピレーションが生まれるよう!という願って生まれた曲なので、とにかく色々考えずにフランス語でいうs’éclater(夢中に楽しんで)が出来る曲。

非常に影響されているチックコリアの明るい精神とリズム遊びによるヴィルトゥオジティーみたいなのが強く出ているので、相方アタが「おい、これお前チックコリアへのオマージュって、副題つけるべきだろ!」と言ったので素直にそうしました()


実際に生徒たちはこの曲が大好きで、レッスンに来ると笑顔満開でこの曲が譜面台の一番上に乗っていたりして、「こらっ、宿題のタファネルゴーベールは?ケーラーのエチュードは??あっ、オンデュラションをかくれのみにして下に隠してある!!なんたるちあ!これ、いい加減に年貢を納めなさい笑」となる。


今回は、この単純明快な曲をせっかく上手いプロ奏者たちに演奏していただくということで、各楽器細部まできっちりアレンジし、アドリブ部分は一箇所で思いっきりソリストがs’éclater出来るようしぼってあります。


ちなみにこの曲にワザと難しいパッセージを書き足し、生徒が奮闘しているのを横目に「タッファネルゴーベールをちゃんとやってたら1年後に吹けるようになるかもねー笑」っなんて、嫌いな野菜を食べさせるためには色んな作戦があるのです。ってどんな先生や!


前置き、めちゃくちゃ長っ(笑)


ということで、日本語で書いてもしゃーないのですが、コンサートは3月28日(月)19時、パリ南郊外のヴィルジュイフ音楽院です。


メトロⓂ️7番線Paul Vaillant Couturier から徒歩1、2分です。



(続き) 巨匠の話。

2022-03-24 20:30:00 | Essay-コラム
木管フルートを演奏するMax Cillaさん。

(前回のブログはこちら。)


しかし、ブルガリアのアコーディオンの巨匠ペーター・ラルチェフさんがそうだし、マルティニークの伝統フルート奏者マックス・シラさんもそういう感じがするのだけど、その道の巨匠は、「自分」と「他人」という垣根さえも取り払ってしまう。


例えば自分の音楽を作曲する、他人の音楽を演奏する、といった時にはそこに「それぞれの利益」が生まれてしまったりして、例えばそれは私が「自分の曲の作曲に忙しいから他の人の編曲はやりたくない」と思った壁のある心理であったり、演奏家に対して高圧的な作曲家や、自分に曲を書いてもらうために媚を売る演奏家とか、それは人間の当然の心理だし、先ずは強烈なエゴがあることこそ芸術の源なのだ、という相反する真理もあるのだけれど、

こういう巨匠と一緒にいると、そもそもそこに私とあなた、私の音楽、あなたの音楽、という垣根がなく、「私達が一緒に音楽をすることが使命なのだ」という感覚になる。そもそもどこにも「私」の音楽のために、などというエゴが存在しない。


きっとこの人たちはただ本物の音楽をやる使命のみを信じているんだ。


ペーターさんが「私があなたを信じていることを、もっと信じなさい」と、謙遜することさえエゴであると啓示したのと同じように、マックスさんのアレンジを引き受けた瞬間も、彼の存在がその使命を啓示したからであり、そこにはどこにも損得勘定はない。私は直感的にそれを分かっていた。


私はこの音楽を伝えなければならない、理由はないけどただそれが分かる。


本当の巨匠は、どこにも驕りがなくて、その存在だけで、このエゴに溢れる世界から一次元世界を引き上げてくれるのだ。


この世界にいて、別世界と繋がっているこんな人たちと出逢え一緒に演奏できることに、とてもとても感謝したい。


やっとアレンジが全曲終わって分かったのは、私がもっと深くこの音楽を理解するために、それは必要だったということだ。


じゃないと、マックスさんとの出会いは単なる表面的でエキゾチックないわゆる「出会い」だけで終わっていたのかも知れない。


カリブ海のアンティーユ諸島というところは、アフリカ音楽とラテン音楽が混ざり合った「アフロ・ラテン」の音楽が基調だ。その中で島の歴史によって、色んな差が出てくる。マックスさんの出身地はフランスが支配したマルティニーク島であり、領主フランスが地元の音楽を禁止するなど、いろんな確執を経て、それでも伝えられてきた音楽なのだそうである。


私がアレンジしたマックスさんの曲は


-Danse des bambous バンブーダンス


底抜けに明るい、これぞカリブ!な曲。

簡単そうに聴こえるのに、実際にアレンジするとかなり強固なストラクチャーや面白い和声進行が隠されていて難航。そこがマックスさんの個性であると思われる。


-L’habitation Rochelle ロシェルの住人


知らないけど、音楽から感じられるのはおそらく「ロシェルの住人」に何かが--例えば殺戮とか災害など--が起こったのだろう。

時々フルートが泣いている様な哀しげな表現をする。


フルートの感動的な冒頭の祈りの部分は、シンセサイザーとパーカッション、ハープで色付けしているハーモニーを、フルートオーケストラによる色々な奏法で置き換えてみた。一体どんな音がするのか経験がないので、私自身も合わせ当日のお楽しみ。その後、パーカッションとマックスのフルートのトランスで祈りが昇華、浄化される。


この曲はマックスさんに「これやりましょう!」と提案したほど、私が一番好きな曲である。


-Réminiscence レミニッサンス〜回想〜


典型的な70年代的なラテンジャズで、こういう曲は単純に見えて懐が深いので、どのような即興をしても全部素晴らしく鳴ると思う。けど実はきっと即興でどこまでも高みを極めることが出来るのも、こういう曲の醍醐味なのだ。コルトレーンカルテットの黄金期のモード奏法のように。


ところで、マックスがこのコンサートに連れてくる2名のパーカッション奏者の動画を、同僚Cが「ヤバいで!」というメッセージ付きで送ってきたのだけど、それが、本当にめちゃくちゃヤバい!!こんなとんでもなくすごい人達と演奏できるの?!リズム狂の私としては、興奮冷めやりません!


私がこのコンサートのために書いた曲のプログラムノートは、次回のブログに書きますね。


(次回ブログに続く)


再会と出会い

2022-03-24 14:22:00 | Essay-コラム

来週月曜のフランス・フルートオーケストラとのコンサートについて、なんともトンデモない成り行きのコンサートなので、忘備録として書いておくことにした。


一昨年のある日、長年連絡を取っていなかったパリ音楽院時代の師、ピエール=イヴ・アルトーからいきなり電話があった。コロナ禍でコンサートが無く、FBYouTubeに色んな演奏動画を作っては貼っていた最中であった。


「最近のミエのやっている事に注目している。素晴らしいと思う。ぜひ自分が音楽監督を務めているOFF(フランス・フルートオケの略称)に曲を書いてもらいたい。そして即興で共演して欲しい」


作曲はずっと自分のプロジェクトや生徒たち、身近な人に書いていたけれど、正式な委嘱は人生初である。えー、ほんとに私で良いんですか?ジャズで良いんですか?えっ、ジャズでなければならないと?それなら嬉しいです!ぜひぜひやりましょう、という話になった。


その後、このプロジェクトは、ピエールイヴの昔からの友人だという、フランス領カリブ諸島のマルティニークの巨匠、伝統フルート奏者のマックス・シラさんの作品と私の作品で折衷し、二人がフルートオケバックに共演するという、面白い展開になったらしい。


今年に入ったとある日、マックスさんから電話連絡が来た。


「お知り合いになれてとても嬉しい。しかし私は最近目が見えんでねぇ。。。楽譜が書きたくても書けんのじゃよ。。。」


この電話が、コンサート4ヶ月前。え?!じゃあいったいフルートオケの楽譜はどうなるのだろう?!と考えるも、まあ自分の作曲にめちゃくちゃ忙しいので、気になったけれどあまり考えないことにする()


コンサート3ヶ月前。マックスさんの自宅に招待していただいた。彼が製作しているという様々な音程の竹製のフルート、ヨーロッパのロマン派期のフルートのような木製のキーの極端に少ないフルートで、マルティニークの音楽やキューバ音楽を、たくさん目の前で吹いてくださった。


仙人のような容貌のマックスさんは、75歳を超えていて、目がほとんど見えないようだが、自在なアンブシュアとこのようなフルートではめちゃくちゃに難しいであろう運指を自在に操り、ものすごく楽しそうに、まるで私のことをずーっと昔から知っていたかのように、まるでフルートというおもちゃが大好きな子供のように、いっぱいいっぱい目の前で演奏を披露してくれた。


この人も即興をし始めたらやめられない人種らしい。


実際に聴く彼のリズムはホンモノで、彼の愛情のこもった音とお話しに耳を傾けていると、そのピュアな魂に圧倒されてしまった。


で。ここからが肝心な話。


「これらの曲はどのように記譜されるんでしょう?まさかぜーんぶ覚えていらっしゃるんですか?!」


「私には独特の記譜法があってだね。。。ド、とかレ、とかアルファベットで書いて、矢印で音高を表す。。。」



なんとかーーー()!!!


それって、目が見えないからって言うか、もともと楽譜書けないんじゃん!


「え、ええと、それじゃあフルートオケの人たち、読めないんじゃないですか?結構コンサート迫ってますけど、一体誰がアレンジを。。。」


(言いにくそうに)だから、今、アレンジしてくれる人を探しておってだね。。」と私の顔をピュアに凝視するマックスさん。


わ、私?やっぱり私しかいないってか?!そーだよねー、いかにもそういう状況じゃん苦笑!!


「。。。分かりました、、、分かりましたよ、、あなたの音楽は素晴らしい。だから私がやりましょう。でも、ちょっといくらなんでもギリギリじゃあ、、、私まだ自分の作曲もまだ全部終わっていませんし、このヴァカンスはブルガリア旅行が入っています。アレンジがいつスタート出来るかまだ分かりません。ピエールイヴに電話して、このコンサートをもっと素晴らしくするため、日程を後倒しに出来ないか聴いてみません?」


で、二人で一緒に電話するも、無慈悲にも師匠の返事は「ノン!それ無理。」であった笑 無言で顔を見合わせる私たち。万事休す、もうやるしかないみたい。


私、この人じゃなかったら絶対引き受けてなかったと思う。


この人の存在や音楽が、ホンモノでなければ。


その話をアフリカン・パーカッションの同僚Cにしたら


「ミエ、君はきっと「橋」なんだよ。記譜音楽と、伝承伝統音楽の間の。それこそが君の使命だ。その二つを芯から分かっている人にしか、それは出来ないんだ」


さすが、物分かりの早い親愛なる同僚C。そんなカッコよく言うてくれたら覚悟は決まったやろ()



というわけで、それからブルガリアでの「らるちぇにっつぁトリオ」の配信録音は控えているわ、万博事業の終了に伴う事務作業は山積み、慣れない自分の作曲を全部終わらせなきゃならないめちゃくちゃなストレス、その上なぜか本人を前に編曲を反射的に引き受けてしまったわで、前代未聞の大わらわな日々が始まった訳です。


果たしてめでたく全てが終わって、来週月曜、師匠とのコンサートでの再会はなるのか?!


(長いので次のブログに続。)


« Trio Ralchenitsa » A concert from Bulgaria on YouTube (free!) らるちぇにっつぁトリオYouTube無料配信コンサート、今週日曜です!!

2022-03-17 10:01:00 | Info Concert-コンサート予告

皆様こんにちは。


You can watch our concert (free!) on YouTube this Sunday✨ 


ついに今週末日曜に決定いたしました!どうぞお見逃しなく🎶


日時/ 3月20日(日)

日本時間17時と20時の2回配信


Ce dimanche, vous pouvez regarder ce concert sur YouTube gratuitement...le 20 Mars matinée à 9h et à 12h(heure française)


らるちぇにっつぁトリオ〜YouTube無料配信コンサートfromブルガリア


Trio Ralchenitsa ~A concert from Bulgaria (Pleven)😃🇧🇬


リンクはこちらです(時間が来たら自動的に開演します)↓

(プレミア交換は終わりましたが、3月24日現在アーカイブ公開中です!!)





2021年度日本万博記念基金助成 

国際文化交流事業採択記念スペシャルCD

〜ブルガリアと日本の架け橋〜


2021 The Japan World Exposition 1970 
Commemorative Fund Grant program 


~The bridge between Bulgaria and Japan~


らるちぇにっつぁトリオ


Trio Ralchenitsa 


ペーター・ラルチェフ (アコーディオン)

Petar Ralchev (accordion)


ミエ・ウルクズノフ (フルート)

Mie Ogura-Ourkouzounov (flute)


アタナス・ウルクズノフ (ギター)

Atanas Ourkouzounov (guitar)


日本万博助成事業国際交流事業/らるちぇにっつぁトリオ〜ブルガリアと日本の架け橋〜

ブルガリア屈指のアコーディオンの巨匠、ペーター・ラルチェフと、フランス在住日本人フルート奏者ミエ・ウルクズノフ、ブルガリア人ギタリスト作曲家アタナス・ウルクズノフという世界的な顔ぶれがタッグを組む、前代未聞のトリオ。

各人の即興、作編曲能力をフルに活用し、日本ではまだ馴染みの少ない鮮烈なブルガリア音楽に、日本のお馴染みの楽曲を交えてお届けする、国境を超えた驚愕の1時間。一体どんな音楽が出てくるのか?!それは聴いてのお楽しみ!!なんと無料?!それはあの日本万博基金助成採択プロジェクトだからこそ。こんな機会はまたとありません。どうぞお見逃しなく😊


:::::Program::::プログラム


1. ラザルスキ・ダンス (ペーター・ラルチェフ) Lazarski Tanz (Petar Ralchev)


2. 永遠のカヴァル (ミエ・ウルクズノフ)Eternal Kaval(Mie Ourkouzounov)


3. 證誠寺の狸囃子(日本民謡)/白うさぎ(ブルガリア民謡)〜ブルガリアン・リズムでの変奏 (らるちぇにっつぁトリオ編)Sho-jo-ji (trad.Japanese)/Zaichenceto biyalo (trad.Bulgarian)on Bulgarian rythme (arr. Trio Ralchenitsa)


4. 少女は薔薇の花を摘む(ブルガリア・ロドッパ地方民謡/ペーター・ラルチェフ編)Brala moma ruja cvete

(trad.Bulgarian, arr. Petar Ralchev 


5. 人生のメリーゴーランド(ハウルの動く城テーマ久石譲 /ミエ・ウルクズノフ編 

Merry-Go-Round of life(Joe Hisaishi/Arr. Mie Ourkouzounov)


6. ラズミサウ〜反映(ペーター・ラルチェフ) Razmisal(Petar Ralchev)


7. カラフル・スケッチ (アタナス・ウルクズノフ) Colorful Sketches (Atanas Ourkouzounov) -Allegro malicioso

-Rubato melanconico

-Presto preciso


8. プロシュカ〜赦し(ペーター・ラルチェフ) Proshka (Petar Ralchev)


録音/ニコライ・ミハイロフ

Recorded by Nikolay Mihaylov


2022 22627日 ブルガリア・プレヴェン国立芸術学校大ホールにて

26,27 February 2022 At the Bozhko Shoykov hall, Pleven National school of arts Panayot Pipkov 


カバーデザイン/進藤一茂

Cover design Kazushige Shindo


使用楽器/ヴェルトマイスターアコーディオン、マテキフルート+頭部管フォリジ18K&木管サクライ、アンドレアス・キルシュナーギター

Instruments/Weltmeister accordion, Mateki flute+Faulisi 22K&Sakurai wood headjoints, Andreas Kirschner Guitar


Special thanks to Konstantin Shotev, Milena Gramova-Mihaylova, Stephanos Demetriou 


Have a good concert!

Bon concert!

それではお楽しみください!


ミエ・ウルクズノフ らるちぇにっつぁトリオ







ウクライナでの戦争について

2022-03-12 20:26:00 | Essay-コラム

私は人類への怒りと無力に震えている。


今ごろになって核兵器が炸裂するのが怖いだって?


今頃になってウクライナの原発をロシアに支配されたのが怖いだって?


何回も私達にはチャンスは与えられていたはず。


私は日本人としての目線で言いたい。


あの311日にあれだけの原発事故が起こって、それでもなぜ原発を再稼働した?


日本が、世界に先立って反原発を提案していれば、私たちの立場だって少しは変わっていたと思う。


その前に、世界で唯一の被爆国が、なぜ原発を推進する?


あれは戦争では1番の兵器になりうると、誰だって想像が付いたはず。


その被害がどういうものかも、私たち2回も核の被害を受けた立場ならば、世界の他の国々の人たちよりもっと痛みを分かったはずなのに。


それよりも目先のお金、権力、利権、又は便利さの方がずーっと大切だったんだ。


私たちが核戦争を恐れてウクライナを見殺しにしなければならないのは、私たち人類自身が作り出してきた恐怖のせいだ。


私欲を満たす手段を失うことへの恐怖。


誰がある日突然、狂人がそれを破壊するかも知れない、あるいはボタンを押すかもしれないと、そんな想像力も奪われるほどに利権に目が眩んでいた。


村上春樹が確かチェーホフの本からの文章を参照していた。


「物語に登場した武器は必ず火を吹かなければならない」と。


彼がその論に抗った新しい物語を創ったように、私たちも実際のこの過酷な世界で核を乗り越えられるのだろうか。


防衛や均衡をいい理由にして、世界中の大国は核兵器を廃絶してこなかった。


私達は今ごろになって、その代償を払っている。 


人類が自ら作り出した利己主義の癌は炸裂する。今やその最大の致命的なガンはプーチンだが、そのちょっと前のガンは(第二次世界大戦まで遡る必要さえない)セルビアの市民の頭に爆弾を落としたアメリカを中心とする西側諸国であり、イラクに理由をこじつけて戦争を仕掛けたアメリカだ。


シラク大統領が核実験のボタンを押した日のことだって、私は昨日のことのように覚えているる。広島出身の友人達は怒り狂って、パリのオペラ座でハンガーストライキをすると言っていた。


相方のアタはロシアとモルダヴィアの境界のロシア派独立小国家を訪れたことがあって、いつもその話をせがんで聞かせてもらうのだけど、そのような独立したことも国際的に承認されていない国々の悲哀は私の想像を絶するものだ。世界にはこのような存在さえ無視され続けられている状況の地域が無数に存在している。


8歳の娘は、今ウクライナ人の親友のために泣いて、プーチンを心底憎んでいる。


だからこの機会に日本が世界唯一の被爆国であること、核兵器の恐ろしさも伝えた。


怖さで泣きながら娘は「ママ、でも学校で戦争のことって習わないよ」って言うから、


「じゃあ図書館に行きなさい。戦争を知りなさい。情報を出さず学ばさず、知らないものに付け入るのが独裁者だから」


私も娘と同じ歳ごろに、幸いなことにたくさんの戦争関連の本を読んだから、原爆のことも知ることができた。


だから私が小学校のとき、担任の先生が社会科の授業で


「広島は、この日は晴れて雲のあながあいていたの。だから飛行機がやってきて、ばーん!って原爆を落としちゃったんだよー笑」とまるでジョークのように笑いながら言って、クラスの子の大多数が笑ったのを今でも覚えている。


幸い私は知っていた。そしてこの無知の風景の恐怖を、未だに鮮やかに覚えている。


目を開けて、知ること。忘れないこと。痛みを感じること。そして世界中で起こっていることは国を超えて全てが繋がっていることを理解すること。まずはそこからしか始まらないんじゃ無いかと思う。



PS 現在、日本万博助成文化交流事業に採択された、「らるちぇにっつぁトリオ〜ブルガリアと日本の架け橋〜」国際文化交流公式グループページが盛り上がっています!!

是非みなさん、この機会にご観覧、ご参加ください!!

こちらです→