世の中には、自分の都合のいいように法律の条文を読み替えたり、適用したりできる人種というのが存在します。一般人ならば、お役所とかお役人の言い分に「そりゃ違うんじゃないか?」などと思ったりしながらも、従わざるを得ない、というのが世の常ではないかと思います(笑)。それは権力によって、逆らえないというような構図が出来ているからですよね。金融庁の銀行検査とか、そういうのでも同じようなものではないでしょうか?たとえ解釈の違いだとしても、法律の条文通りにやってなければ、刑事罰を問われることが有り得るのです。
ホリエモンの虚偽記載というのも、似たような面がありますね。意図はなかった、そんな解釈であるとは知らなかった、グレーゾーンであっても違法であるとは思わなかった、色々と理由はあるにせよ、民間人であれば「厳罰」というのを食らってしまう可能性はあるのです。
では、政治家の場合ですと、どうなのでしょうか?権力の座にあるものたちが、同じように責任を追及されたりすることがあるでしょうか?まあ、会見での口ぶりから見て、かなりのアレだなと思ったね。政治家としては、やはりああいう態度で対応するのが本物だね。
「馬鹿なことを言っちゃいかんよ、キミ。ワシを誰だと思っているんだ」みたいな、漫画の世界でしか登場しない「悪い政治家像」というのがあるわけですが、ついついそれを思い浮かべてしまいました。テレビの「水戸黄門」で、もしも悪代官と悪徳商人と暴力的な手下どもが倒すべき相手の時、水戸黄門が存在せずに本当の単なる「越後のちりめん問屋」のオッサンしかいなければ、間違いなく勝てないと思うが、どうだろう。「悪を暴くんだ」とか意気込んでも、助さん角さんや矢七もいなけりゃ由美かおる(笑)もいないので、手下に殺されると思う。運良く手下たちからは逃げおおせて、悪代官がどれ程悪いことをやっていたかを別なお役所に訴え出ても、悪代官が「ワシは何も悪くない。お前こそワシを陥れる為によからぬことを謀ったのであろう」とか言って、否定するのは間違いないのだ。悪代官の証言を覆し尚且つ自分の方を信じてもらえなければならないのですよ。悪代官といえども、社会的地位や権力は上なのですから、多くは勝てないのだろうな、と思うな。やっぱり、水戸黄門のような、「圧倒的権力」や「絶対に負けない武力」なんかを持っていることが条件になり、普通の人々には持ち得ない種類の権力なのですよね。
寄り道が長くなってしまいましたが、事務所費について考えることにします(あくまで個人的見解です)。
そもそも政治資金規正法での想定は、全くの別であったと思われます。まず、元の条文を見てみます。ちょっと長いので、途中省略します。
第十二条
政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合には、四月以内)に、第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。
一 すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項
イ 中略
二 すべての支出について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費以外の経費の支出(一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が五万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日
このように、第12条第1項第2号で、全ての支出について
①総額
②総務省令で定める項目別の金額
③総務省令で定める経費以外の経費支出
というのを報告することが決められています。
ここで、③については1件当たり金額が5万円以上のものについてだけでよいことになっています。受取者の住所と氏名、目的、金額、年月日を全て書かねばならないのですね。5万円未満であれば、総務省令で定める経費以外の経費として総額だけ記載すればよい、ということだと思います(提出書類の書式に従う―何号様式という―ものになるかと思われます)。報道されているのは、②の部分の開示資料ではないかと思われます。
では、総務省令に定める項目とか経費というのは、何か、というのを見てみると、次のようなものでした。
政治資金規正法施行規則
第七条
法第十二条第一項第一号 に規定する総務省令で定める項目は、個人が負担する党費又は会費、寄附(法第五条第二項 の規定により寄附とみなされるものを含む。以下同じ。)機関紙誌の発行その他の事業による収入、借入金、本部又は支部から供与された交付金に係る収入及びその他の収入とする。
2 法第十二条第一項第二号 及び法第十八条第三項第二号 に規定する総務省令で定める項目は、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費、組織活動費、選挙関係費、機関紙誌の発行その他の事業費、調査研究費、寄附・交付金及びその他の経費とする。
第八条
法第十二条第一項第二号 に規定する総務省令で定める経費は、人件費、光熱水費、備品・消耗品費及び事務所費とする。
項目別ですが、見ての通り、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、組織活動費、選挙関係費、機関紙誌発行その他の事業費、調査研究費というのは明確に区分されています。事務所費というのは、普通の考え方をすれば、「土地・建物」的な物体としての事務所を維持運営するに当たり必要な経費であるとしか思えませんね。交通費だとか、活動報告とか、そういったものは全くの別な項目であろうと思いますね。議員本人が明確に知らないとしても(=間違えた解釈をしていたとしても)、会計責任者が間違えずに正しく出来ていれば問題ないのでしょうけどね。
で、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費以外の経費支出については、5万円以上であれば、払った相手先(受取者)の住所、氏名、目的、金額、年月日とか、領収書添付が必要になる、ということです。つまり、「事務所費」というのは、こうした面倒からは外されている、ということなんですよね。それ故、小細工はしやすく、隠蔽にも使われやすい、ということなんでしょうか(笑)。
繰り返しになりますが、第7条の項目区分を見れば、どこからどう見たって事務所という物体を維持する為に必要な経費であるとしか考えられず、切手購入代金というのは本来的にはちょっと疑問に思えたりするわけですが、まあ総務省見解では妥当である、ということなのでしょう。
総務省見解としては、国会答弁で、次のものを事務所費として示しているようです。
『事務所の借地損料、地代、家賃、公租公課、火災保険金等の各種保険金、電話使用料、切手購入費、修繕料その他これらに類する経費で事務所の維持に通常必要とされるものをいう』
で、年間5千万円使うとして、複数事務所の家賃や償却資産税、火災保険料なんかがかかるであろう、というのは分る。電話代や修繕費も分る。でもね、火災保険料がべら棒に高いとも思えんよね?電話代で毎月10万円使っても、年間120万円しかならない。家賃と併せてザッと2000万円だとしても、3000万円は何に使ったんでしょうか?ということだわな。切手代?(爆)だよね。→良かったね、郵政公社
誰かさんだったか、切手代が200万円くらいはある、とか答えてたような記憶があるのだけれど、それっぽっちじゃダメなんじゃないの?
支援者に毎月報告書を郵送するとして、1人当たり年額80×12=960円、支援者1万人で、960万円の切手代ということになりますね。そうでしたか。切手シートを何枚くらい買うのでしょうね、毎月。貼る作業も大変だろうな~(爆)毎月1万枚とか貼るのだから。そもそも、こんなに大量なのであれば、別納とかだろうけど。大量発送の郵便物に切手が貼られているのを見たことはないですけどね。
毎年、2000万円とか3000万円とか何に余分に使ったのか?他に組織活動費や事業費があるにも関わらず、ですからね。適当に「政治活動にはお金が色々とかかるんだ」とか言っておけば、どうせ何も知らないバカな庶民なんかは何も言えないはずだ、とか思っているのかもしれないですね。
政治団体が一つであっても、事務所は一つじゃないということはあると思うので、言ってみれば連結決算みたいに全部を合算していることはあるのでしょう。それは分るけれども、事務所費中で最大であると思われる地代家賃等よりもそんなに多くかかる経費というのは、一体何なのでしょうね?謎なわけです。
ここで、あることをお知らせしたいと思います。ただ、野党が喜んでしまうかもしれないな・・・・
政治資金規正法に従って、みなさん「正しく書いたんだ」ということを信じてあげることにしましょうよ。彼らが一様に、「恥ずべきことなんか一切ない」とか言ってるんですから、それを信じてあげることにしましょうよ。「後ろめたいこと」は、全くないそうですから。
そこで、「じゃあ、帳簿見せてくれ」って言えばいいんですよ。だって、何も悪い事もしてないし、後ろ暗いこともないわけでしょう?ならば、正々堂々と帳簿を見せることはできますよね?それを証拠として提出し疑念を振り払えば、即、あらぬ疑いをかけていた人たちを見返せますよ?どうです?できないなんてことはないですよね?
帳簿の数字を足していけば、必ず数千万円が何に使われたか判明するでしょう。これがですね、領収書の有無には無関係なんですよ、帳簿ってのは(笑)。事務所費の中身は報告義務はないですし、5万円ルールも生きていますから、総務省に提出された資料だけでは中身が判らないように出来ているのですけど(公開されるのは報告書の要旨だけ、他は閲覧ならば可能、それでも全部じゃないけど)、元となった帳簿ならば全て書かれているはずです。この帳簿というのは、結構役立つのですよ。
<ところで、閲覧というのは、書き写したり、写真撮ったりしてもいいのでしょうか?昔は携帯にカメラ付いてるなんてことが想定できなかったので、「公開情報」と言いながらも実際に総務省まで行って、そこでしか見れない資料なんてのは、殆ど公開されてないも同然ですよね。でも、今なら写真撮れば一発だもんね。昔は、なるべく人目に触れないように、嫌がらせのような閲覧ルールを作って、「公開してるじゃないか」というアリバイ作りと、よっぽど詳しいとか熱心な人しか見に来れない、という情報封じの両方を狙っていたんじゃないでしょうか?(勘繰り過ぎ?、笑)政治資金規正法の改正が昨年行われたばかりで、早くもまた改正を検討?って、一体全体昨年に何を検討し何を変えたのか、と思うわな。そん時、何で検討しなかったのですかね、と。>
政治資金規正法には次のように規定されています。
第九条
政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあつては、その職務を行うべき者。第十五条を除き、以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 すべての収入及びこれに関する次に掲げる事項
(中略)
二 すべての支出(当該政治団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた支出を含む。以下この条、第十二条及び第十七条において同じ。)並びに支出を受けた者の氏名及び住所(支出を受けた者が団体である場合には、その名称及び主たる事務所の所在地。次条第一項及び第十二条第一項第二号において同じ。)並びにその支出の目的、金額及び年月日
こうなっているんですよ。総務省への報告義務はなくても、帳簿の記載は義務なのですよ。
で、この帳簿は政治資金規正法施行規則の規定で、
第六条
法第九条第一項 に規定する会計帳簿の種類は、次のとおりとし、その様式及び記載要領は、別記第六号様式に定めるところによる。
一 収入簿
二 支出簿
三 運用簿
となっていて、帳簿は決められた様式になっているのです。なので、これを見せてくれ、と言えば、一発ですよ。見せられない理由はないですよね?
しかも、9条違反は罰則があるんですよ(第24条)。虚偽報告も、不備も、いずれも罰則適用です。
あと、会計責任者が勝手にやったんだ、とかいう言い逃れも、必ずしも議員が助かるとは限らないということは言っておきましょう。それは、次の条文に書いてありました。
第二十五条
次の各号の一に該当する者は、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一 第十二条又は第十七条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかつた者
二 第十二条、第十七条、第十八条第三項又は第十九条の五の規定に違反して第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかつた者
三 第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者
2 前項の場合(第十七条の規定に係る違反の場合を除く。)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、五十万円以下の罰金に処する。
ここで言う政治団体代表者とは、議員本人であることが多いでしょう。で、会計責任者の選任及び監督について、相当の注意を怠っていれば罰金刑ということですよね。大した罰ではないですが、それでも一応罰則適用になりますので、議員本人の責任を問われる場合はあるでしょうね。
いずれにしても、元になっているはずの「支出簿」を証拠として提出せよ、という要求が最も有効でしょう。もう紛失してどこに行ったか分らないとか、よくありがちな手ですけれど、こういう紛失劇も「間違いなくクロ」という証拠でしょうね。なので、この言い訳は使われないと思いますよ。偶然にも帳簿が消えうせるなんてことは、まず有り得ないでしょうな。
帳簿を見せられない―という頑なな拒否であるとすれば、それもやっぱり「クロ」判定間違いなし、ですね。法定の帳簿を見せられないはずはないんですよ。奥の手としては、総務省は調査権限がある程度あるので、総務省に多少はやらせることはできますね。故橋本元総理の一件で、平成研の残高がメチャクチャだったので、総務省が直せと言ったはずですよね。
第三十一条
総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、この法律の規定により提出された届出書類、報告書若しくはこれに添付し、若しくは併せて提出すべき書面(以下この条において「報告書等」という。)に形式上の不備があり、又はこれらに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、当該報告書等を提出した者に対して、説明を求め、又は当該報告書等の訂正を命ずることができる。
法律には、こうやって書いてあるんですよ、一応。でも、本当に適用したりするでしょうか?そんな勇気が総務大臣にあるのか?
日本の政治は、果たして良くなっているというか、進歩しているのでしょうか?
どうなんでしょうね。
ホリエモンの虚偽記載というのも、似たような面がありますね。意図はなかった、そんな解釈であるとは知らなかった、グレーゾーンであっても違法であるとは思わなかった、色々と理由はあるにせよ、民間人であれば「厳罰」というのを食らってしまう可能性はあるのです。
では、政治家の場合ですと、どうなのでしょうか?権力の座にあるものたちが、同じように責任を追及されたりすることがあるでしょうか?まあ、会見での口ぶりから見て、かなりのアレだなと思ったね。政治家としては、やはりああいう態度で対応するのが本物だね。
「馬鹿なことを言っちゃいかんよ、キミ。ワシを誰だと思っているんだ」みたいな、漫画の世界でしか登場しない「悪い政治家像」というのがあるわけですが、ついついそれを思い浮かべてしまいました。テレビの「水戸黄門」で、もしも悪代官と悪徳商人と暴力的な手下どもが倒すべき相手の時、水戸黄門が存在せずに本当の単なる「越後のちりめん問屋」のオッサンしかいなければ、間違いなく勝てないと思うが、どうだろう。「悪を暴くんだ」とか意気込んでも、助さん角さんや矢七もいなけりゃ由美かおる(笑)もいないので、手下に殺されると思う。運良く手下たちからは逃げおおせて、悪代官がどれ程悪いことをやっていたかを別なお役所に訴え出ても、悪代官が「ワシは何も悪くない。お前こそワシを陥れる為によからぬことを謀ったのであろう」とか言って、否定するのは間違いないのだ。悪代官の証言を覆し尚且つ自分の方を信じてもらえなければならないのですよ。悪代官といえども、社会的地位や権力は上なのですから、多くは勝てないのだろうな、と思うな。やっぱり、水戸黄門のような、「圧倒的権力」や「絶対に負けない武力」なんかを持っていることが条件になり、普通の人々には持ち得ない種類の権力なのですよね。
寄り道が長くなってしまいましたが、事務所費について考えることにします(あくまで個人的見解です)。
そもそも政治資金規正法での想定は、全くの別であったと思われます。まず、元の条文を見てみます。ちょっと長いので、途中省略します。
第十二条
政治団体の会計責任者(報告書の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、毎年十二月三十一日現在で、当該政治団体に係るその年における収入、支出その他の事項で次に掲げるもの(これらの事項がないときは、その旨)を記載した報告書を、その日の翌日から三月以内(その間に衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の公示の日から選挙の期日までの期間がかかる場合には、四月以内)に、第六条第一項各号の区分に応じ当該各号に掲げる都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければならない。
一 すべての収入について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに次に掲げる事項
イ 中略
二 すべての支出について、その総額及び総務省令で定める項目別の金額並びに人件費、光熱水費その他の総務省令で定める経費以外の経費の支出(一件当たりの金額(数回にわたつてされたときは、その合計金額)が五万円以上のものに限る。)について、その支出を受けた者の氏名及び住所並びに当該支出の目的、金額及び年月日
このように、第12条第1項第2号で、全ての支出について
①総額
②総務省令で定める項目別の金額
③総務省令で定める経費以外の経費支出
というのを報告することが決められています。
ここで、③については1件当たり金額が5万円以上のものについてだけでよいことになっています。受取者の住所と氏名、目的、金額、年月日を全て書かねばならないのですね。5万円未満であれば、総務省令で定める経費以外の経費として総額だけ記載すればよい、ということだと思います(提出書類の書式に従う―何号様式という―ものになるかと思われます)。報道されているのは、②の部分の開示資料ではないかと思われます。
では、総務省令に定める項目とか経費というのは、何か、というのを見てみると、次のようなものでした。
政治資金規正法施行規則
第七条
法第十二条第一項第一号 に規定する総務省令で定める項目は、個人が負担する党費又は会費、寄附(法第五条第二項 の規定により寄附とみなされるものを含む。以下同じ。)機関紙誌の発行その他の事業による収入、借入金、本部又は支部から供与された交付金に係る収入及びその他の収入とする。
2 法第十二条第一項第二号 及び法第十八条第三項第二号 に規定する総務省令で定める項目は、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費、組織活動費、選挙関係費、機関紙誌の発行その他の事業費、調査研究費、寄附・交付金及びその他の経費とする。
第八条
法第十二条第一項第二号 に規定する総務省令で定める経費は、人件費、光熱水費、備品・消耗品費及び事務所費とする。
項目別ですが、見ての通り、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、組織活動費、選挙関係費、機関紙誌発行その他の事業費、調査研究費というのは明確に区分されています。事務所費というのは、普通の考え方をすれば、「土地・建物」的な物体としての事務所を維持運営するに当たり必要な経費であるとしか思えませんね。交通費だとか、活動報告とか、そういったものは全くの別な項目であろうと思いますね。議員本人が明確に知らないとしても(=間違えた解釈をしていたとしても)、会計責任者が間違えずに正しく出来ていれば問題ないのでしょうけどね。
で、人件費、光熱水費、備品・消耗品費、事務所費以外の経費支出については、5万円以上であれば、払った相手先(受取者)の住所、氏名、目的、金額、年月日とか、領収書添付が必要になる、ということです。つまり、「事務所費」というのは、こうした面倒からは外されている、ということなんですよね。それ故、小細工はしやすく、隠蔽にも使われやすい、ということなんでしょうか(笑)。
繰り返しになりますが、第7条の項目区分を見れば、どこからどう見たって事務所という物体を維持する為に必要な経費であるとしか考えられず、切手購入代金というのは本来的にはちょっと疑問に思えたりするわけですが、まあ総務省見解では妥当である、ということなのでしょう。
総務省見解としては、国会答弁で、次のものを事務所費として示しているようです。
『事務所の借地損料、地代、家賃、公租公課、火災保険金等の各種保険金、電話使用料、切手購入費、修繕料その他これらに類する経費で事務所の維持に通常必要とされるものをいう』
で、年間5千万円使うとして、複数事務所の家賃や償却資産税、火災保険料なんかがかかるであろう、というのは分る。電話代や修繕費も分る。でもね、火災保険料がべら棒に高いとも思えんよね?電話代で毎月10万円使っても、年間120万円しかならない。家賃と併せてザッと2000万円だとしても、3000万円は何に使ったんでしょうか?ということだわな。切手代?(爆)だよね。→良かったね、郵政公社
誰かさんだったか、切手代が200万円くらいはある、とか答えてたような記憶があるのだけれど、それっぽっちじゃダメなんじゃないの?
支援者に毎月報告書を郵送するとして、1人当たり年額80×12=960円、支援者1万人で、960万円の切手代ということになりますね。そうでしたか。切手シートを何枚くらい買うのでしょうね、毎月。貼る作業も大変だろうな~(爆)毎月1万枚とか貼るのだから。そもそも、こんなに大量なのであれば、別納とかだろうけど。大量発送の郵便物に切手が貼られているのを見たことはないですけどね。
毎年、2000万円とか3000万円とか何に余分に使ったのか?他に組織活動費や事業費があるにも関わらず、ですからね。適当に「政治活動にはお金が色々とかかるんだ」とか言っておけば、どうせ何も知らないバカな庶民なんかは何も言えないはずだ、とか思っているのかもしれないですね。
政治団体が一つであっても、事務所は一つじゃないということはあると思うので、言ってみれば連結決算みたいに全部を合算していることはあるのでしょう。それは分るけれども、事務所費中で最大であると思われる地代家賃等よりもそんなに多くかかる経費というのは、一体何なのでしょうね?謎なわけです。
ここで、あることをお知らせしたいと思います。ただ、野党が喜んでしまうかもしれないな・・・・
政治資金規正法に従って、みなさん「正しく書いたんだ」ということを信じてあげることにしましょうよ。彼らが一様に、「恥ずべきことなんか一切ない」とか言ってるんですから、それを信じてあげることにしましょうよ。「後ろめたいこと」は、全くないそうですから。
そこで、「じゃあ、帳簿見せてくれ」って言えばいいんですよ。だって、何も悪い事もしてないし、後ろ暗いこともないわけでしょう?ならば、正々堂々と帳簿を見せることはできますよね?それを証拠として提出し疑念を振り払えば、即、あらぬ疑いをかけていた人たちを見返せますよ?どうです?できないなんてことはないですよね?
帳簿の数字を足していけば、必ず数千万円が何に使われたか判明するでしょう。これがですね、領収書の有無には無関係なんですよ、帳簿ってのは(笑)。事務所費の中身は報告義務はないですし、5万円ルールも生きていますから、総務省に提出された資料だけでは中身が判らないように出来ているのですけど(公開されるのは報告書の要旨だけ、他は閲覧ならば可能、それでも全部じゃないけど)、元となった帳簿ならば全て書かれているはずです。この帳簿というのは、結構役立つのですよ。
<ところで、閲覧というのは、書き写したり、写真撮ったりしてもいいのでしょうか?昔は携帯にカメラ付いてるなんてことが想定できなかったので、「公開情報」と言いながらも実際に総務省まで行って、そこでしか見れない資料なんてのは、殆ど公開されてないも同然ですよね。でも、今なら写真撮れば一発だもんね。昔は、なるべく人目に触れないように、嫌がらせのような閲覧ルールを作って、「公開してるじゃないか」というアリバイ作りと、よっぽど詳しいとか熱心な人しか見に来れない、という情報封じの両方を狙っていたんじゃないでしょうか?(勘繰り過ぎ?、笑)政治資金規正法の改正が昨年行われたばかりで、早くもまた改正を検討?って、一体全体昨年に何を検討し何を変えたのか、と思うわな。そん時、何で検討しなかったのですかね、と。>
政治資金規正法には次のように規定されています。
第九条
政治団体の会計責任者(会計責任者に事故があり、又は会計責任者が欠けた場合にあつては、その職務を行うべき者。第十五条を除き、以下同じ。)(会計帳簿の記載に係る部分に限り、会計責任者の職務を補佐する者を含む。)は、会計帳簿を備え、これに当該政治団体に係る次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 すべての収入及びこれに関する次に掲げる事項
(中略)
二 すべての支出(当該政治団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた支出を含む。以下この条、第十二条及び第十七条において同じ。)並びに支出を受けた者の氏名及び住所(支出を受けた者が団体である場合には、その名称及び主たる事務所の所在地。次条第一項及び第十二条第一項第二号において同じ。)並びにその支出の目的、金額及び年月日
こうなっているんですよ。総務省への報告義務はなくても、帳簿の記載は義務なのですよ。
で、この帳簿は政治資金規正法施行規則の規定で、
第六条
法第九条第一項 に規定する会計帳簿の種類は、次のとおりとし、その様式及び記載要領は、別記第六号様式に定めるところによる。
一 収入簿
二 支出簿
三 運用簿
となっていて、帳簿は決められた様式になっているのです。なので、これを見せてくれ、と言えば、一発ですよ。見せられない理由はないですよね?
しかも、9条違反は罰則があるんですよ(第24条)。虚偽報告も、不備も、いずれも罰則適用です。
あと、会計責任者が勝手にやったんだ、とかいう言い逃れも、必ずしも議員が助かるとは限らないということは言っておきましょう。それは、次の条文に書いてありました。
第二十五条
次の各号の一に該当する者は、五年以下の禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一 第十二条又は第十七条の規定に違反して報告書又はこれに併せて提出すべき書面の提出をしなかつた者
二 第十二条、第十七条、第十八条第三項又は第十九条の五の規定に違反して第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に記載すべき事項の記載をしなかつた者
三 第十二条第一項若しくは第十七条第一項の報告書又はこれに併せて提出すべき書面に虚偽の記入をした者
2 前項の場合(第十七条の規定に係る違反の場合を除く。)において、政治団体の代表者が当該政治団体の会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときは、五十万円以下の罰金に処する。
ここで言う政治団体代表者とは、議員本人であることが多いでしょう。で、会計責任者の選任及び監督について、相当の注意を怠っていれば罰金刑ということですよね。大した罰ではないですが、それでも一応罰則適用になりますので、議員本人の責任を問われる場合はあるでしょうね。
いずれにしても、元になっているはずの「支出簿」を証拠として提出せよ、という要求が最も有効でしょう。もう紛失してどこに行ったか分らないとか、よくありがちな手ですけれど、こういう紛失劇も「間違いなくクロ」という証拠でしょうね。なので、この言い訳は使われないと思いますよ。偶然にも帳簿が消えうせるなんてことは、まず有り得ないでしょうな。
帳簿を見せられない―という頑なな拒否であるとすれば、それもやっぱり「クロ」判定間違いなし、ですね。法定の帳簿を見せられないはずはないんですよ。奥の手としては、総務省は調査権限がある程度あるので、総務省に多少はやらせることはできますね。故橋本元総理の一件で、平成研の残高がメチャクチャだったので、総務省が直せと言ったはずですよね。
第三十一条
総務大臣又は都道府県の選挙管理委員会は、この法律の規定により提出された届出書類、報告書若しくはこれに添付し、若しくは併せて提出すべき書面(以下この条において「報告書等」という。)に形式上の不備があり、又はこれらに記載すべき事項の記載が不十分であると認めるときは、当該報告書等を提出した者に対して、説明を求め、又は当該報告書等の訂正を命ずることができる。
法律には、こうやって書いてあるんですよ、一応。でも、本当に適用したりするでしょうか?そんな勇気が総務大臣にあるのか?
日本の政治は、果たして良くなっているというか、進歩しているのでしょうか?
どうなんでしょうね。