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サブプライムに怯える世界市場

2007年08月10日 22時07分07秒 | 経済関連
えー、本日の日経平均は大幅下落ということで、大爆笑。
これも、自分に損失を蒙るわけでもないので笑って見ていられますが、直にゲンナマ握り締めて参加していれば、そりゃ泣くわな。ECBは15兆円規模の緊急供給を実施したとのこと。

NIKKEI NET(日経ネット):特集 サブプライム問題

(以下に一部引用)

【ベルリン=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は9日、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題を契機とした信用不安の発生・拡大を防ぐため、欧州金融市場に約948億ユーロ(約15兆4000億円)を緊急供給した。高リスクのファンドの解約申請や金融株の下落が続く中で、市場不安を緩和するのが狙い。ECBによる大規模な緊急資金供給は2001年の米同時テロで金融市場が世界的に動揺して以来初めて。米国とカナダの金融当局も協調する姿勢を示している。

ECB当局者は緊急措置の目的を「市場のひずみの微調整だ」と説明。サブプライム問題との関連については「コメントできない」と述べた。直接的な言及を避け、市場の不安を緩和する意図とみられる。

◇◇◇


えらく大規模な資金供給だったらしい。元々米国のローンなのだから、欧州なんてあんまり関係なさそうだろうと思うのですけど、博打場に金を突っ込んできた連中が世界中にいて、ちょっと火傷した、ってなところでしょうかね。中には結構ヤラレた方々もいたようですが、リスクを取っていたんだからしょうがないわな(笑)。日本では、野村が700億円超の損失とか言ってたが、他ではデカい損失額はあまり聞かないですね。不幸中の幸いですね。


これで日銀の利上げは遠のいたであろうが、日銀というのは本物の○○なので、「アッと驚くためごろう~利上げ」に踏み切ってくるかもしれない。2月の時みたいに。まあ、ここで利上げしようものなら、世界中の笑い者だろうけど。
日銀の考えでは、「日本経済の状況を見れば利上げは当然」というトンデモな屁理屈らしいですからね。

サブプライム問題は、
・日本経済に対して影響は限定的(極めて軽微)
・利上げは日本経済の状況で決まるもの
ということでしょうから、日銀の理屈からすると利上げしない理由というものは存在し得ないでしょう。サブプライム問題?んなもん関係ないよね、ってこと。

元々「8月利上げ説」を散々唱えていた日銀とか日銀応援団のエコノミストの方々が大勢おられましたので、ここでやらない理由というものを的確に示してくれることでしょう。サブプライム問題で利上げは見送り、っていう説明であるとすれば、日本の金利政策は何に基づいているのか、ということになりかねないでしょう。

話はちょっと飛びますが。

サブプライムローンの焦げ付きなんて、全然大したことないはずだったのでしょう?別に、信用不安を全世界に来たすほどのことでもないはずでしょう。延滞率が上昇した、って言っても高々2~3%に過ぎないのだし、払えなきゃ担保に入ってる住宅をぶん取ればいいだけなんだし(笑)。経済学の教科書嫁ってFRBやECBに言ってやって下さいよ、「米国の貸出を見習え&サブプライムローンはエライ」派の方々は。
ノンバンクの貸出金利は正しく評価できている、とか、貸出金利は価格と一緒で市場が決めるのが正しい、とか謳ってた方々は、是非とも経済学的な理屈を発表してもらいたい。マーケットで決めるのが正しいんでしょ?ならば、サブプライム層への貸出市場は需給に基づいてきちんと機能しているんだということを、経済学理論に基づいて主張したらいいんじゃないですか?何故、FRBやECBの余計な手出しは無用、マーケットに任せておけ、と言わないのか不思議です。
他には、貸し手であるサブプライムローン業者が倒産すれば借りられなくなる、だから貸し手を救済するのが正しい、とか言わないのでしょうか?(笑)ああ、市場が貸し手を大量に破綻させるのは正しいから、これは別にいいのか。規制のせいじゃないからね。

「貸金業者の○割が倒産する、そうなれば借りたい人たちが借りられなくなる、だから規制するな」という理屈は、何といいますか、かなり適当なのかもしれないですね。そうそう、サブプライムローンの貸し手が大量に破綻しているようだし、ヤミ金が大儲けできるんですよね?初等的経済学理論によれば。
上限金利規制反対の時ばかりではなく、今こそ名乗り出て、同じように講釈を垂れて欲しいもんです。全世界のマーケットに大きな動揺をもたらしたようですので、経済学的理屈を出せばきっと喜ばれると思いますけど。

ドイツの中堅銀行も、アクサグループでも、パリバ傘下でも、軒並み損失蒙りました、ってことらしいです。博打に参加して、「かっぱぎ」のお先棒を担いでいたところは、それもやむを得ないでしょうな(爆)。
これは一種の天罰覿面ってやつかもしれんね(←ダメな議論)。「いい気味だ」という声が聞えてきそうです。


参考記事:
消費者金融における個人の負債について

今度はGRIPSかよ~貸金業の話

ま、貸す方も借りる方も経済学の理屈に合致しているのだから、市場で決めればいいだけ、とか金科玉条のように言う人々はいるでしょう。サブプライム・モーゲージというのは、債券化して市場での評価を受けているし、リスクも分散されているんですよね?それがこのザマというのは、一体どういうことでしょう?リスクは全世界に分散されている、だから大丈夫、ってことですかい?それとも、不安は全世界に広がったということですか?収縮する時というのは、あっという間なんですかね。幻想に支えられていたのが急に醒めるとこうなってしまう、ということなのでしょうか。よく判りませんが。

この記事にも書いたが、債券に買い手が付かなくなる臨界点のようなものがあるが、それは通常判らないだろう。サブプライム・ローン関連の債券は、価格が下落していくとしても、本来全損ということにはならないはずなのだ。けれど、みんなが不安に思って買い手が付かなくなれば、価格が暴落してしまう。価格というシグナルは、ある水準の利回りまでは機能しているが、臨界点を超えると価格が付かなくなってしまうことによって機能を失うということなのか。それがファンドなどの「価格が算出できなくなる」というような事態ということかと思ったのだがどうなんだろうか。

それにしても、延滞率の高々2%ごとき上昇で貸し手の全部が倒産するわけでもあるまいに、「追い貸しせよ!」とか言ってあげたらいいんじゃないですか?リスクが高いので貸金から借入を断られる零細・個人事業主を取り上げて、「借りられれば事業が継続できるのに、資金調達できなくなったことで倒産に追い込まれる」とか、もっともらしく主張していたマスメディアとかいくつもあったでしょ?同じようなもんですよね。延滞率は以前に10%超程度だったのが今年13%くらいになった(しかも担保取ってるし)、という程度でしかないんじゃありませんか?信用不安に備えるとか言う前に、「もっと貸してやれ」とアドバイスしてあげたらよろしいんじゃないでしょうか(笑)。


日本の消費者金融市場において、貸し手のリスクが顕在化してしまうと同じ道を辿っていたかもしれない、ということは考えられたであろう。あのまま行けば、貸金業者やクレジットカード会社などが発行していた社債等債券とか株式は暴落してもおかしくない状況が生じる可能性があったかも。貸金の株式や社債等を保有していた銀行や保険会社等は、今回の米国のサブプライムローン関連で出た損失と同じく、将来時点で大きな被害を蒙ることになったかもしれない、ということだ。多数の金融機関にそれらの損失が及べば、信用不安に繋がるということなのだろうと思う。これを防ぐことができたのであれば、それだけで十分良かったと言えるのかもしれませんよ?