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2009年01月06日 15時03分30秒 | 経済関連
オレの言うことなど誰も聞いてない(笑)。まあしょうがないんだけどさ。
しつこく何回も何回も言ってるのにね。

で、今頃になって、こんな話が出される、と。

昨夏の原油高騰、米リセッション入りの決定打に=著名エコノミスト ビジネスニュース Reuters

(一部引用)

カリフォルニア大学サンディエゴ校のジェームズ・ハミルトン教授は、原油価格高騰により消費需要が冷え込む結果となり、特に自動車産業が手痛い打撃を受けたと指摘。「住宅関連や金融関連の問題がトップストーリーではなかったと言うつもりはない。直接の引き金になったのはその2つだった。しかし(原油価格の高騰により)われわれが直面する問題が耐えられる範囲内から、耐えられない大きさにまで拡大してしまった」と述べた。さらに「今回のリセッションが07年末に始まったと考えるなら、原油価格高騰もその要因の1つとして考慮しなくてはならない」と述べた。

 (中略)

IMFのブランチャード氏は今回の景気後退に関して、原油価格高騰がもたらした影響はこれまでの景気後退期に比べて小さく、特に1970年代の景気後退期と比べると、原油価格高騰による直接的な影響は約3分の2にとどまったの見方を示した。賃金の伸縮性が増し、インフレ期待が抑制されたこと、さらに経済の原油依存度が低下したことなどにより、米経済の抵抗力が増したため、としている。しかしブランチャード氏は、原油価格の高騰が米経済にとって悪材料となったのは事実だとし、「原油価格の上昇はスタグフレーションを引き起こした。インフレ率が上昇し、生産が低下する結果となった」と述べた。

 (中略)

住宅市場の崩壊は、06年第2・四半期から07年第3・四半期までの間、米国の経済成長率を1%ポイント以上引き下げる要因になってきた。しかしその影響はその後やや後退し、リセッションが始まったとされる07年末以降の押し下げ幅は0.90%ポイント程度に低減していた。

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05年末に予想した米国住宅市場下落というのは、そんなに間違ってなかったのかも。
やっぱ、06年第2Qから始まっていたらしい。しかもこれ以降、07年第3Qまでの間では1%の下押し要因ということだったのが、07年末以降には住宅投資のマイナス寄与が低減していった、ということらしい。住宅投資のマイナスは確かに響いたけれども、これに追い撃ちをかけたのが、「原油高だった」というわけだ。詳しくは元のロイター記事をよくお読み下さい。


だから言ったでしょう?

08年6月>日本の協力で世界経済を救うべき

『このまま原油高が続けば、本当に米国経済は大ダメージとなるよ。
インフレと需要低下を防げない。冬が来る前に、一度先物市場が崩落して調整局面を迎えてもらわないと、このまま値上がりを続けてしまうだろう。具体的な例でいえば、米国の自動車産業は売れない状態が今よりも更に悪化してしまうだろう。アメ車の敬遠は更に酷くなってしまうだろう、ということ。
FRBの打つ手にも限界がある、って前にも書いたけれど、米国単独の金融政策では残された手段は少ないと思う。ドル高をすぐに演出するのも難しいのと、新興国通貨の相対的下落はそれらの国々でのインフレが悪化するので、是正しづらい。直接的に原油価格を下げる方法はないのですから、先物市場で売りで対抗するくらいしかない。』

インフレと需要低下を防げないって言ってるのに、そういう警告を無視するからだろ?
アメ車が売れなくなって自動車産業にダメージだと言ってるのに、軽視していただろ?


『物価上がる→消費抑制→業績悪化→賃金抑制ということになってしまえば、経済成長には繋がらないのです。現状では「物価上がる」の時点なので、今後に続く「消費抑制」のダメージを軽減しておかねばならんのです。その為に、財政政策を使うんですよ。』

賃金見通しとかも、大体書いたような感じだったでしょう?

事後的にそうだったね、って判ったところで、遅いんだよ。
オレが書くと陰謀論とか言われちゃうんだけど、それはそれでもいいですよ。けど、行動しなけりゃ、こうなってしまう、ってことでしょうね。コメントに対しては、原油価格のことなどで答えましたが、結果的にはOPECが減産を続けたにも関わらず大幅下落となってしまったというわけですな。だが、下がったのは、破局が決定的となってからだった。時すでに遅し、だったけど。だから、ビッグ3の深刻な危機を迎えてしまったというわけだ。



大体、政府も日銀も見通しが甘すぎなんだって。
どこを見てるんですかね?
息の長い成長だあ?
ふざけるなよ、ってことなんだわ。
何でそんなに鈍感でいられるのかが全く理解できない。


オレが財政支出を使うべきだ、と言ったのは4月時点ですよ?

08年4月30日>勝負に打って出る気力はないのか?

たったの3兆円だったが(笑)、それでもこれから見舞われる減速を少しでもカバーして、需要減を防ぐべきだとは思ったんだよ。


偶然にも同じ日には、日銀の「経済・物価情勢の展望」(2008年4月)が出されていたらしいですよ。
この中で、日銀が何と書いていたか?以下に引用してみる。

先行き 2008 年度から 2009 年度を展望すると、概ね潜在成長率並みの緩やかな成長を続ける可能性が高い。すなわち、2008 年度前半は、住宅投資が次第に回復に向かうものの、米国を中心とした海外経済の減速やエネルギー・原材料価格高の影響などから、景気は減速を続けるとみられる。その後は、海外経済が次第に減速局面を脱し、エネルギー・原材料価格高の影響が薄れてくるとみられるため、成長率は徐々に高まっていく可能性が高いと考えられる。その結果、2008 年度の成長率は前回見通し対比で下振れ、1%台半ば程度になるとみられる。また、2009 年度の成長率は1%台後半程度になると考えられる。ただし、海外経済や国際金融資本市場を巡る不確実性、エネルギー・原材料価格高の影響など景気の下振れリスクがある。

こうした先行きの経済の姿は、以下のような前提やメカニズムに基づいている。 第1に、海外経済は、減速はするものの、新興国を中心に成長を続け、そのもとで輸出は引き続き増加する可能性が高い。第2に、企業部門は、設備・在庫・雇用などの面で調整圧力を抱えていない。こうしたもとで、設備投資は、中長期的な需要を見据えた投資が続くことから、大企業を中心に引き続き増加するとみられる。もっとも、原材料価格高等を背景に企業にとって厳しい収益環境が続くことや、資本ストック循環という観点からみると、これまで数年にわたって設備投資が高い伸びを続けてきたことから、伸び率は緩やかなものとなるとみられる。第3に、家計部門では、雇用者所得が緩やかに増加するもとで、個人消費は底堅く推移するとみられる。企業の人手不足感は強く、雇用者数は増加を続けると考えられる。賃金についても、労働需給がタイトな状況が長期化することから、じわじわと上昇圧力が加わっていくとみられる。もっとも、中小企業を中心に収益が伸び悩むもとで、人件費抑制姿勢は根強く続き、賃金の伸び率は緩やかなものにとどまると予想される。第4に、緩和的な金融環境が、引き続き民間需要を後押しするとみられる。短期金利は、潜在成長率や物価上昇率との関係からみて、引き続き極めて低い水準で推移している。国際金融資本市場の動揺が続いているが、欧米に比べ、信用スプレッドの上昇は総じて小幅であり、金融機関への影響も限定的である。こうしたもとで、金融機関の貸出姿勢は総じて緩和的である。ただし、中小零細企業や非製造業の一部で金融緩和の程度は幾分後退しており、この状態は当面持続する可能性が高い。

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私の理解でまとめると、
・08年度前半は世界経済減速はあるものの1%台半ば、09年度は1%台後半の成長
・概ね潜在成長率並みの緩やかな成長の可能性が高い

この理由としては、
①世界経済は減速するものの新興国成長で輸出増加の可能性が高い
②設備・在庫・雇用面で調整圧力を抱えていない
③設備投資は伸び率は緩やかになるものの大企業中心に増加する
④雇用者所得が緩やかに増加、個人消費は底堅い
⑤企業の人手不足感は強く雇用者数増加、労働需給はタイトな状況が長期化
⑥賃金は上昇圧力が加わるが、中小企業を中心に伸び率は緩やか
⑦緩和的金融政策が民間需要を後押しする
⑧信用スプレッド上昇は小幅で影響は限定的、貸出姿勢は総じて緩和的(一部後退感あり)

ということだそうです。
4月時点では潜在成長率程度だったものが、08年度はかなりのマイナス成長、09年度もマイナスか良くてもゼロ程度という大幅下方修正ですか。漫然と高給を取って、肩書きばかりが偉い連中ってのは、本当に無能といいますか役立たずなんですね。見てみろよ、昨年末の惨状を。

①の輸出増加は、×
②の調整圧力が大幅にあって、大量に切られたわけで×
③設備投資は厳しいんじゃないの?どうよ?△
④雇用者所得が増加だって?ホントか?×
⑤労働需給がタイト?だったら派遣先はごまんとあるだろ×
⑥賃金上昇?そりゃ、日銀の連中だけの話なんじゃないの?×
⑦余りに緩和的で経団連の連中が「利下げしてくれ」ってお願いするくらいだった(爆)
⑧大手商社までもがCP買取をFRBに申請するくらい余裕の資金繰り(爆)

オレが同じ日に、「このまま行くと酷いことになるよ」と感じている時、日銀や政府の連中なんてのは、こんな「ゆとり(笑)脳」で口から出まかせを並べておくわけですから、道理で日本経済がダメになってるわけです。
成長率見通しなんて、こんなの数字が一致しないことはよくあるから別にどうってことはないんだけど、そうじゃなくて「経済」全体の現状に対する方向感覚と言いますか、これこそ「フォワード・ルッキング」な感性というか、そういった危機意識みたいなものがまるで欠けていることがマジで危険なんだ、と言ってるわけですよ。

まだまだ大丈夫、問題ないよ、とか言って、病状悪化を見過ごしてしまって、何らの手を打つことを考えないという姿勢そのものが、極めて危険だって言ってるんです。輸出が円高で減少したからといって、別に日本経済には致命傷にはならない。マイナス要因にはなるよ、そりゃ。だからといって、純輸出の大きさが決定的ダメージをもたらしたりはしない。危険度の認識としてはそうだろうと思う。けど、調整の過渡期には問題が発生するわけなんですよ。それを乗り越えねばならんわけで、その時にはコストもエネルギーもそれなりにかかるわけ。その不安定な時期をどうにか抑制しないと、全体に対する悪影響というのがでてしまうことだってある。振幅を小さくするように心掛けるべきだということ。
それに、元々がデフレ体質を抜け切ってないわけで、離脱に失敗するとリバウンドでもっと大変になるかもしれないぞ、って百万回言ってきたんだよ。


そもそも認識が甘すぎるんだわ。
悪い言い方をすると「親方日の丸」みたいなもんで、別に生活に困りはしないし、民間みたいに日々是決戦みたいにはなってないから、のんびりと「経済分析」でもやって、それで大した責任を負うこともなく漫然とやっていても通用するから、なんじゃありませんかね?死活問題なんかじゃない。間違えたって、食べるに困るわけでもない。いい商売ですな。羨ましい限りですよ。

日銀は7月時点でもまだ、08年度の実質成長率見通しを1.2%程度と予想していた。10月末時点になってようやくゼロ近くに落ちてしまうかも、という認識になったのだよ。リーマン破綻で、急にケツに火がついたというだけ。
春先にはインフレ懸念があったので利下げを直ぐに実行することは難しかったとしても、やれることは他にもあった。利下げに踏み切るべき時期を逃したというのもあったしな。結局、後手後手で、悪化してから動き出そうとするから全てが遅いんじゃないの?


これも、授業料ってやつですか。
いかに政府日銀が愚かなのかを知らしめるために、多くの国民に犠牲を強いている、と。


絶望大国、ニッポン。