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続・激化する「経産省vsエクソン・モービル」闘争と翻弄されるイラン問題

2010年10月14日 21時56分12秒 | 外交問題
(前の続きです)


⑤これらの連携プレーの意味するところ

アザデガン撤退報道、エクソン・モービル撤退報道、そして4社撤退の会見、これらのタイミングと意味合いというものを考えれば、上述したような、経産省とエクソン・モービルのバトルという構図が浮かび上がるわけである。そして、INPEXを撤退に追い込むという、イラン制裁法と7月のCISADAの適用という圧力カード、この意味と日米関係をよく観察し考えておく必要がある。

そもそも、副長官が大仰に発表した、ロイヤル・ダッチ・シェル、トタル、ENIなどは、前から撤退が予定されていたものだ。それは、7月にEUで決議されたイランに対する制裁措置で、エネルギー関連投資を禁止する、ということになったからだ。欧州の企業はこの適用を受けてしまうわけで、別に米国のCISADAには直接関係なく、EUで禁止されたのだから撤退するよりなかったわけである。だから、スペインのレプソルも撤退を決めていた。以前からの報道で殆ど名前の出てきていなかったスタトイル(ノルウェー)が、やや目新しかったというくらい。

それに、イランの核開発に最も責任を負うべきなのは、米国をはじめとする「6カ国協議の枠組み」を構成していた国々に決まっている。イランへの接近を警戒した米国は、日本は勿論のこと、韓国をも外させるという思惑が働いていたわけで、イランの人口規模やGDPの大きさというものが、これらアジア諸国と結び付けばどうなるか、というのを警戒しないわけがない。
安保理常任理事国である5カ国とドイツという、いわばかなりの利害関係者で構成していたわけで、自分たちの失敗を尻拭いするべきなのは当然ではないか、というのがまずある。日本を外しておいて、協力してくれも何もないだろう、という話である。


もうひとつは、中国と米国の裏取引の事情、というものがあるかもしれない。

米国サイドの「イランからの撤退要求」というのが報じられたのは、28日以降だった。
イランへの制裁強化、というのを、矢鱈と強調しなくてもよさそうな時期だったはずだ。アフマディネジャド大統領の国連演説に、無性に腹が立ったので報復的に制裁措置を強化する、というものでもあるまい。

9月半ば頃には、イラン側が「協議に応じてもよい」と、やけに軟化姿勢を示してきていたはずで、それなのに「今から制裁強化」というのは腑に落ちないわけである。

そうすると、米国は中国との間で「アザデガン油田の権益を完全に中国サイドに移すことを認めましょう、日本には放棄させますから」という約束をしていても不思議ではない、ということです。その為の方便ならば、一つや二つ使っても、何ら問題ない、ということなのでは。
中国側が尖閣問題というもので米国に多大な利益供与をしてくれたわけですから、米国だって何かお返しをしなけりゃならないでしょう?

米国は、イランが協議に応ずる、という軟化姿勢を知っていながら、敢えてここに来て「イラン包囲網」を強化するようなフリをしつつ、日本には権益放棄を迫った、ということでは。
ロシアは、S300の売却を延期ではなく完全契約破棄として、イラン制裁に同調を示しつつ、原発稼働には何らの制限も受けていない。また、イランに展開する中国の石油企業は、制裁対象として「名指し」を国務省から受けているわけではない。スタインバーグは、中国企業に制裁を課すとは明言しなかった。

このようなダブルスタンダードを「6カ国協議の枠組み国」に認めている以上、米国の方針にだけ従うなんてのは無意味である。日本にとっては不利益は多いが、利益はない。


更に奇妙なのは、イラン側からの「同情」である。
日本が権益を放棄せねばならないのは、欧米の圧力のせいだから「気にするな」みたいに、言っていることである。
日本の立場は、分かるよ、理解しますよ、ということを殊更言うのは、割と疑問なのだな。イランのこれまでの姿勢とかから見れば、「日本の核施設だってヘンだろ」とか散々文句を並べることはあっても、逆は殆ど見かけないからね。
もしもアザデガンに関して、中国側からの資金提供や何らかの有利な条件など、見返りがある場合であれば「日本が放棄するのは仕方がないよ、気にしなくてもいいよ」とおべっかを言うに決まっている、ということである。それが人間というものだ(笑)。



つまり、経産省とエクソン・モービルのバトルに端を発しているかのように見える出来事も、大きな流れの中の一つの要因でしかないのではないか、ということである。一断面という話でしかない。

イランとその石油を巡る、米国の石油メジャーや中国の巨大石油プロジェクトなどが絡み合って、外交や密約が動いているのかもしれない、ということだ。いずれにおいても、日本は毟り取られ、搾取される側になるのが悲しいのだけれども。


勿論、沖縄、そして普天間基地移転問題、というのも、そういう文脈の中にあるのではないか、という疑いが、私の中に芽生えつつあるのである。



激化する「経産省vsエクソン・モービル」闘争と翻弄されるイラン問題

2010年10月14日 21時33分17秒 | 外交問題
突然降って湧いたように「エクソン・モービル日本撤退」の報道が、10月1日の読売新聞朝刊の見出しを飾った。これを見た時、「んんっ?」と引っかかるものがあったのだが、それはパッと思い至らなかった。

ただ、前日のブログに、アザデガン油田からの撤退という石油関連の記事を書いたばかりだったから、どうして「このタイミングで」というのが気になっていた。またしても米国の圧力に屈したのだな、という思いはあった。
一体、どういう流れで、こうした撤退報道が出されたのか、それを辿ってゆくと日米の石油を巡る争いの構図が見えてきたのだ。


①「アザデガン油田撤退」報道で日本のエネルギー政策に敗北感

直接的にはエネルギー庁なんかの管轄ということなのかもしれないが、淵源を辿れば「通産省」と石油メジャーとの確執ということになるのだろうか。
アザデガン油田は、日本が権益75%であったものを泣く泣く10%にまで縮小し、これに代って中国が権益を獲得したという経緯がある。今回は、その残り僅かの10%さえも放棄しろ、ということを米国サイドから要求された、ということである。

9月28日の新聞報道で、イラン制裁強化の為に、このアザデガン油田からの撤退を米国が要請した、と報じられた。翌29~30日にかけて、関連報道が出されたわけだが、政府方針がどうやら「撤退で固まりつつある」というような観測が出された。これは中国と日本との「尖閣問題」で、米国側からの協力と圧力というのがあったが為、という見方はあった。尖閣問題では、クリントン長官発言を出してよい、という替わりに、アザデガン油田からは撤退するという取引のようなもの、ということだろう。外務省的には、そういうのを率先して推進しようとするかもしれない。日本が尖閣問題での支援を仰ぐのと引き換えに、イラン問題では米国に協力するよりない、という譲歩を強いられたということである。これは、平たく言えば外務省の大失敗というか、大幅な失点による不利益である。


②エクソン・モービル撤退の裏側の事情

表向きとしては、日本市場というのは非常に厳しい、というものである。それはまあそうであろう。現実に、ガソリンスタンドは大幅に店舗数が減少した。経営的にも苦しんでいる。しかも、日本は今後少子化、車離れ、ガソリン消費減(ハイブリッド普及など)、ということが言われているわけで、ガソリンスタンドが旧来のままで生き残れるというのは非常に厳しいわけだ。
そう考えると、スタンド経営から撤退したい、という企業の意向というものは、そう突飛なものではないだろう。だが、タイミングというものが重要なのであって、それが何故10月1日だったのか、というのは、何らかの意味というものがあるかもしれない、ということである。

すると、エクソン・モービル系の日本子会社である東燃ゼネラルには、ある問題があったのである。これこそが、石油メジャーと経産省との紛争を象徴する火種であるのだ。


③「エネルギー供給構造高度化法」の存在

参考>エネルギー供給構造高度化法について

和歌山県有田市にある東燃ゼネラルの設備が、今年7月に施行された法律(制定は21年7月)に引っ掛かりそうだ、というのが発端のようである。しかも、10月末日までに経産省に計画書を提出しなければならない、ということになっていた。平成26年までに設備を追加する等を決めて報告しなければならない、ということであったらしい。
この法律をクリアする為の新たな設備投資には、500億円規模という巨額が必要になりそうだ、ということが大問題となったわけである。法律の適用を回避できれば、こうした出費はなくて済むけれども、経済産業省が「うん」とは言わない。
そこで、エクソン・モービル側の強烈な工作が始まり、経産省側が応戦して、両者の静かな紛争が勃発した、ということであろう。


④弱みの「INPEX」と「雇用」を衝かれた経産省

元々は官業の石油公団からの歴史を背負っているわけで、「通産」閥の一派であるには違いないであろう。未だに経産省が筆頭株主であり続けているわけだし。そこで、経産省叩きに好都合なものとして、イラン制裁問題が急浮上したわけである。
恐らく石油メジャー(エクソン・モービル)のロビーは、アザデガン油田に出資しているINPEXを制裁対象企業とするように、米国政府筋に働きかけたのではないか。
大義名分は立つ、ということである。
撤退か、さもなくば、制裁か。
経産省は窮地に立たされることになった。防戦一方となったのである。

更に、日本国内産業、特に日本の最も心情的に弱い部分である「雇用」を見事に狙い打ちしてきたのが、先の「エクソン日本撤退」というセンセーショナルな一報であった。国内産業振興や中小企業支援を重要視してきた経産省の、まさに「痛い所」を衝いたということだ。ガソリンスタンドの経営主体というのは、多くが地域に根差した中小企業が主だろう。万が一、それら雇用が失われるような事態になれば、人口の少ない地方においては大打撃となるのは必至だ。そういう意味においても、急所を攻撃された経産省には衝撃が走ったに違いない。


④唐突だったスタインバーグ国務副長官のブリーフィング

9月28日以降に「イランからの撤退要請がわかった」、更に30日には「イラン撤退という方針を固めた」と報じられたわけである。その報道を目にしたので、あの怒りの記事を書いたのだが、その後に行われた(日本時間との時差がるから、かなり後のはずだ)のが、スタインバーグ副長官のブリーフィングだった。

欧州石油4社、イラン撤退に同意 米国が制裁対象から除外 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

(以下に引用)

【ワシントン=犬塚陽介】米国務省は9月30日、米国の対イラン経済制裁に歩調を合わせ、国際石油資本(メジャー)の英・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェルなど4社がイランの石油産業からの撤退に同意したと発表した。米国はイランに協力的な海外企業に対する制裁を検討しているが、4社はこの制裁対象から除外された。
 日本政府系企業の国際石油開発帝石もイラン南西部のアザデガン油田からの完全撤退を決めているが、今回の制裁対象除外リストには含まれなかった。クローリー米国務次官補(広報担当)は日本側とこの問題について協議していることを認めたが、詳細への言及は避けた。
 国務省によると、撤退に同意したのは、ロイヤル・ダッチ・シェルのほか、仏トタル、ノルウェーのスタトイル、イタリアのENIで、イランのエネルギー業界への投資をやめることも約束したという。
 米国は包括的なイラン制裁を実施するため、7月に新たな制裁法を施行。イランのエネルギー産業に2000万ドル(約16億7千万円)以上を投資する企業に対し、独自の制裁を科すことが可能になった。
 スタインバーグ国務副長官は記者会見で、4社の決定を歓迎し、「国際社会はイランに対する旧態依然とした取り組みを放棄せねばならない」として他の企業も追従するよう要求した。
 また、スイスを拠点とするイラン国営石油の子会社NICOを制裁対象に加えることも発表した。


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はっきり言えば、この日に発表しなければならないほどの重大事ではなかった。しかも、通常であればPJ(笑)が済ませる程度の内容のことを、殊更大袈裟に副長官にブリーフィングさせるというのも、ちょっとよく判らなかった。しかも記者からの質問には、一部が判らずに助っ人(まあ、官僚みたいな役回りの人だろう)が答えていたりするという、お粗末な会見となっていた。
(一応、国務省のHPで会見は目を通しました)

どうせやるなら、もっとみっちり下準備(つまり、副長官に対するレクチャー)をさせてから開いてもよかったものを、やけに慌てて開催。んー、どうしてなんだろう、と、思うわけである。付け焼刃的だったように見受けられたのである(いや、ガイジンじゃないし、英語はあんまり判らないから、あくまで個人的印象というだけなんですけどね)。
で、内容というのが、シェルなどの大きな石油企業が撤退に同意したよ、というものだ。これは、言い換えると、「日本の企業だけじゃないんだよ」というのを強調したい、ということでもあるわけだ。確かにそうだ。日本だけじゃない。

(続く)



続々・異様な抽出?~検察審査会の度重なる訂正

2010年10月14日 14時24分21秒 | おかしいぞ
知らなかったけど、またまた訂正だったんですと。
もうここまで来ると、アホだな、といいますか、何をどう信じろと言うつもりなのでしょうね。
「若すぎる検察審査会」メンバーも異様だが、ここまでバカな検察(?、法務省?)の事務局とやらも、本格的に異様としか思えないわけだが。子供でもできることが、大の大人が何人がかりかでやって、しかも前回の訂正の際には十分確認をしていたはずであろうに、それができていない、というのは尋常ではないよ、ということである。


小沢氏の審査員、平均34・5歳 年齢は議決時で統一 - 47NEWS(よんななニュース)

(以下に引用)

 東京第5検察審査会の事務局は13日、資金管理団体の収支報告書虚偽記入事件で不起訴とされた民主党の小沢一郎元代表を強制起訴すべきだと議決した審査員11人の平均年齢について、議決日の9月14日時点では34・55歳だったことを明らかにした。

 事務局は12日に平均年齢を当初明らかにしていた30・90歳から33・91歳に訂正したばかり。審査員はほぼ半数が互い違いに任期6カ月で入れ替わることから、これまで明らかにしてきた平均年齢は二分される就任日の時点で算出していたという。

 事務局によると、11人の就任日は、6人が5月1日、5人が8月1日。平均年齢をめぐって二転三転となった対応に、担当者は「就任日時点では実態にそぐわないと判断した。今後は議決日時点で統一したい」と釈明している。


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昨日書いた記事で計算しなおすと、合わないよ、と書いた。
その時はうっかり気付かなかったけれども、最初の起訴相当の議決を出した時の平均年齢が34.27歳だったのに、37歳の人を足して計算しなおすと、何と再び全く同じ「34.27歳」になってしまっていたんだと。笑えるな。まあ、ぼくもうっかりしていて、気付いてなかったよ(笑)。


で、また慌てて、再訂正を発表したんだそうで。
議決時点での年齢ではなかったんだ、というような、言い訳にすることにしたんだと。ふーん。
ま、いいけど、初回の議決が34.27歳、2回目の議決が34.55歳となるような、更に「異様に偏った」抽出になっている検察審査会というのは、百万回に1回とか起こりますかね?

これほどまでに、平均年齢が34~35歳に収まる可能性なんて、そうそう起こるものではありませんよ。


裁判官にお尋ねしたい。いや、他の法曹の方々とかでもいいんですけどね。

まず第一に、犯罪者が自己の罪を回避したりしようとする時に、ウソをつくということがありますね?
そうすると、法廷証言なんかが変遷したりするわけですよ。
さっきはこう答えたのに、今度は別な答え、みたいな。
そういう証言なんかが二転三転するような場合って、その人を信用できますかね?
たった今、こう言っていたものを、舌の根も乾かぬうちから、今度は別なことを言う、みたいな場合って、信用性というものはどうなんでしょうか?
特に、矛盾を指摘されたり整合性がないと言われた後になって、前言を翻すってのは、どうも怪しいわけですよ。検察審査会についての発表が、信用できうるものなのかどうか、ということですな。もしも何かを隠したいのだとすると、それは検察サイドに何があるのか、という話なんですわ。


それから、判決なんかでは「大体、9割くらいで、アウトなら、アウト」みたいな、かなりいい加減といいますか、大雑把な水準ですよね?
99.99%アウトなら、残りの可能性が0.01%セーフかもしれない、ということであっても、判決としてはアウトですよね?

今回の検察審査会のメンバーの年齢構成というのは、まさしくそういう状態に近くて、例えば抽出された11人の平均年齢が1回目に35歳以下かつ2回目にも35歳以下(最後に訂正された場合でも該当する)となるような確率となると、モンテカルロ法なんかで計算しなけりゃ分からんだろうけど、恐らくあっても一万回に1回くらい、ということでしょうよ。つまり、9999回は起こらない、というような現象なのだ、ということですよ。裁判の判決レベルで行けば、「陰謀(と取られても仕方ない)」レベルが99.99%、本当に検察サイドの言い分が正しくて「ただの偶然」というのが0.01%、ということなら、ほぼ間違いなく判決は「アウト」の判定なのではありませんかね?


今、検察サイドが発表している事象というのは、そういう水準の出来事なのだ、ということなんですよ。

これを、裁判官はどう思いますか?