昨日の記事にコメントを頂戴しましたが、どうも当方の意図というのが理解されないようですので、少し補足しておきたいと思います。
コメントは以下の通りでした。
米国債を売れば円高が進だけだと思いますが…
それと、ターゲット価格に関する発言をすることが問題なのは事実ですが、上下ともに許容しない場合でないと、投機の対象とはなりにくいです。今回、82円より円を買い進む場合、政府は敵になるだけです。
この記事(昨日の飯田言説についての補足)でも触れましたので、そちらも見て頂ければと思います。
では、個別の論点について、お答えしていきたいと思います。
①日本政府が保有する米国債を売却すれば円高が進む
必ずしもそうではないのではないか、というのが、当方の考え方です。
まず、円高になるには、短期的には「売却したドルを円に替える」ということを前提とする、ということでしょう。当方はそのような「円に戻す」ということを想定しているわけではありません。ですので、売却したドルがドルの紙幣のまま(或いは普通の銀行口座の残高という数字)で残っているのであれば、それは「円買い」にはなりえず、円高を招いたりはしないでしょう。
ただし、ドルをユーロ、ポンドやカナダドルなんかに交換してしまいますと、「ドル売り」要因となりますから、ドル安を招いてしまうことになります。見掛け上は。それが相対的に円高、ということになりますが、それはごく短期的な見方であれば、ということです。
②「82円より円を買い進む場合」…
これも、そりゃそうですよ、普通は、という話でして、そんな当たり前の事態を想定しているわけではありません。
はっきり言って日本の財務省及び日銀が、断固たる決意で「絶対に許しません」ということであるなら、前から何遍も言っているように、刷って売れば防衛できる、というのはごくごく当たり前な話です。売られるのに対抗するのは容易ではありませんが、円高を円安にするのはそれより簡単ではあるでしょう、という話です。
ただ、国際的な環境(政治的、経済的、その他モロモロ)として、日本の円売り介入がそこまで許容されるような状況ではないでしょう、という話をしているわけです。円売り介入をすれば円安誘導を実現できるか、という、可能性の問題を議論するなら、それは売ればそうなりますよ、ということに違いはないでしょう。しかし、これを現実に日本政府が実行に踏み切れるのか、というと、そうはならないのではないか、ということです。大規模な円売りをせよ、とか、ドルペッグにせよ、というのを求めるのは、要求としては可能でしょうけれども、実際の政策実行という面から見れば相当に厳しいでしょう(もっと言えば絵空事でしょう)、ということです。
そのような円売り介入を伴わずとも、実行可能な方法はないものだろうか、というのを考えているということなのです。
③「米国債売り」をどうして提案するのか
現状まで、簡単に言えば米国債は買われてきました。だからこそ金利は、4%→2.4%程度、ということで低下してきたわけです。
そうすると、これを利用するべきではないか、ということですね。
何故2.4%とかの金利になっているのかと言えば、誰かが「お得だ」とか「欲しい」と思うからであり、ならば、米国債は買われるであろう、というのが根底にあって、すると、金利の違いではどうでしょう、という話です。
もし日本の持つ米国債を売ると、これまでの需給からすると普通は米国債の値下がり(売りが多くなるので)=米国債金利上昇、ということになるはずであろう、と。
すると、2.5%であっても米国債を買いたい、という人たちが大勢いたわけですから、これが3%となっているなら、どうでしょう?
もっと金利が付くのだから、2.5%よりも価格が安いので3%の方がお得だ、と考えるのではないでしょうか、ということです。
だとすると、①のような理由で一時的にドル安が起こったとしても、米国債買い資金が(海外から)入ってくる限り、ドルは買われるということになるはずですから、ドル安が補正されるのではないでしょうか、ということなのですよ。米国債を売る、ということは、そういうことを意図しているわけです。為替介入という手法を取らずとも、米国債を売れば、金利上昇でドル買いが発生するのではないですか、ということです。
日本政府がこれまでの為替介入で買ったドルは、現在の水準だとかなりの為替損を食らっているはずです。
そうではあっても、米国債で益出ししてそのマイナスを少しでも回収し、他の資産に分散(実物資産とか、他通貨の国債等でも可では)しておくことが、日本にとって必要、ということです。
まあ、米国債の利益が出ようと、為替損は数十兆円規模でしょうから、焼け石に水でしょうが(これも輸出系の大企業の連中が政治力を発揮してそうさせたようなもんだ、その損失は国民負担なんだけど、何故か企業のお偉方は黙ってるわけだ)、それでもドルにこだわるよりはマシだし、少しでもプラスを得た方がマシではないかなと。
コメントは以下の通りでした。
米国債を売れば円高が進だけだと思いますが…
それと、ターゲット価格に関する発言をすることが問題なのは事実ですが、上下ともに許容しない場合でないと、投機の対象とはなりにくいです。今回、82円より円を買い進む場合、政府は敵になるだけです。
この記事(昨日の飯田言説についての補足)でも触れましたので、そちらも見て頂ければと思います。
では、個別の論点について、お答えしていきたいと思います。
①日本政府が保有する米国債を売却すれば円高が進む
必ずしもそうではないのではないか、というのが、当方の考え方です。
まず、円高になるには、短期的には「売却したドルを円に替える」ということを前提とする、ということでしょう。当方はそのような「円に戻す」ということを想定しているわけではありません。ですので、売却したドルがドルの紙幣のまま(或いは普通の銀行口座の残高という数字)で残っているのであれば、それは「円買い」にはなりえず、円高を招いたりはしないでしょう。
ただし、ドルをユーロ、ポンドやカナダドルなんかに交換してしまいますと、「ドル売り」要因となりますから、ドル安を招いてしまうことになります。見掛け上は。それが相対的に円高、ということになりますが、それはごく短期的な見方であれば、ということです。
②「82円より円を買い進む場合」…
これも、そりゃそうですよ、普通は、という話でして、そんな当たり前の事態を想定しているわけではありません。
はっきり言って日本の財務省及び日銀が、断固たる決意で「絶対に許しません」ということであるなら、前から何遍も言っているように、刷って売れば防衛できる、というのはごくごく当たり前な話です。売られるのに対抗するのは容易ではありませんが、円高を円安にするのはそれより簡単ではあるでしょう、という話です。
ただ、国際的な環境(政治的、経済的、その他モロモロ)として、日本の円売り介入がそこまで許容されるような状況ではないでしょう、という話をしているわけです。円売り介入をすれば円安誘導を実現できるか、という、可能性の問題を議論するなら、それは売ればそうなりますよ、ということに違いはないでしょう。しかし、これを現実に日本政府が実行に踏み切れるのか、というと、そうはならないのではないか、ということです。大規模な円売りをせよ、とか、ドルペッグにせよ、というのを求めるのは、要求としては可能でしょうけれども、実際の政策実行という面から見れば相当に厳しいでしょう(もっと言えば絵空事でしょう)、ということです。
そのような円売り介入を伴わずとも、実行可能な方法はないものだろうか、というのを考えているということなのです。
③「米国債売り」をどうして提案するのか
現状まで、簡単に言えば米国債は買われてきました。だからこそ金利は、4%→2.4%程度、ということで低下してきたわけです。
そうすると、これを利用するべきではないか、ということですね。
何故2.4%とかの金利になっているのかと言えば、誰かが「お得だ」とか「欲しい」と思うからであり、ならば、米国債は買われるであろう、というのが根底にあって、すると、金利の違いではどうでしょう、という話です。
もし日本の持つ米国債を売ると、これまでの需給からすると普通は米国債の値下がり(売りが多くなるので)=米国債金利上昇、ということになるはずであろう、と。
すると、2.5%であっても米国債を買いたい、という人たちが大勢いたわけですから、これが3%となっているなら、どうでしょう?
もっと金利が付くのだから、2.5%よりも価格が安いので3%の方がお得だ、と考えるのではないでしょうか、ということです。
だとすると、①のような理由で一時的にドル安が起こったとしても、米国債買い資金が(海外から)入ってくる限り、ドルは買われるということになるはずですから、ドル安が補正されるのではないでしょうか、ということなのですよ。米国債を売る、ということは、そういうことを意図しているわけです。為替介入という手法を取らずとも、米国債を売れば、金利上昇でドル買いが発生するのではないですか、ということです。
日本政府がこれまでの為替介入で買ったドルは、現在の水準だとかなりの為替損を食らっているはずです。
そうではあっても、米国債で益出ししてそのマイナスを少しでも回収し、他の資産に分散(実物資産とか、他通貨の国債等でも可では)しておくことが、日本にとって必要、ということです。
まあ、米国債の利益が出ようと、為替損は数十兆円規模でしょうから、焼け石に水でしょうが(これも輸出系の大企業の連中が政治力を発揮してそうさせたようなもんだ、その損失は国民負担なんだけど、何故か企業のお偉方は黙ってるわけだ)、それでもドルにこだわるよりはマシだし、少しでもプラスを得た方がマシではないかなと。