検察審査員名簿の公開請求をせよ、と昨日書いたのだが、方法を少し思いついたので、追加しておく。
が、その前に、司法サイドが「ヤバい」と考えるであろう事態について、想像してみたことを書いておこう。
あくまで私個人の考えた架空のドラマの筋立てと思っていただきたい。
こんな話だ。
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まず、幽霊検察審査会を作っておく。ここのメンバーは有名無実の「名ばかり」審査員であって、審査報酬をもらえるという為だけに存在しているようなものである。ここのメンバーには、法務省or検察or裁判所or弁護士(特に検察や裁判所を退官したようなOB)の縁故知人等の、恣意的人選を行えるものとするのだ。
原則的には、クジ引きで審査員が決められるということになっているのだが、ここのメンバーだけはクジで選定した審査員には「いささか問題があった」ということで排除し、別な審査員を選ぶわけである。ここに恣意性の余地があって、更には補充員という、あってもなくてもあんまり関係なさそうな人もいるわけである。そういう人にも報酬が払われる、ということにしておけば、架空の面子だろうと縁故だろうと、事務は自分たちの手の内の中にあるわけだから、どうにでもなるということだ。内輪で回せる、ということである。そういう大変便利で都合のよい「幽霊検察審査会」が元々存在していた、ということだ。
で、特に議決に大きな影響力を持たせたいという、稀な局面がやってきたわけである。どうにか議決を支配したい、と。
その時に、ハタと思いついたのが、この「幽霊検察審査会」を使う、という手だった。ここのメンバーは出し入れが自由自在にできる、と知っていたのである。恣意的なメンバーを取り揃えるということも可能だと事前に判っていた。
そうなると、議決を左右できるどころか、意図的に作り出せる、ということさえも可能なのだ。こうして、この「幽霊検察審査会」の出したとされる議決が発表されたわけである。この構図を描いた人間たちの中には、強制起訴にさえ踏み切れるならば、政治生命を断つくらいは可能だ、と安易に考えていたふしがある。「市民感覚」という名の下に、正当化することなどそう難しいことではない、と思っていたのであろう。これこそが「民意だ」「世論だ」と、いつものお得意の大義名分を掲げてさえいれば、誰も文句は言えまいというものだ。
しかし、思わぬところに落とし穴があったわけである。ウソを塗り固めると、綻びがどこかに顕れてしまったのだ。ひとを騙して、信用させようと思えば思うほどに、妙なウソをつこうとする。権威を高め、正しさを強調しようとすればするほど、出鱈目や矛盾が噴出してくる、ということになる。
その綻びが公になれば、日本という国の司法に対する信頼が根幹から揺らぐという、大変な事態になってしまうのである……
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こんな話が現実にあるなんて、誰も思わないであろう。
だが、何故第5検察審査会が2度ともあれほど若い平均年齢だったのか、という疑問は、普通では考えられない何かがあるのではないか、と思わせるのである。
さて、話は変わって、世の「違法だ」ということを殊更厳しく追及する方々というのがおられるわけである。確かに、法は守るべきだ。それはそうだけれども、用い方、適用の仕方、というものは、必ずしも一様ではないように思うわけである。罪や罪人を作りだして、それを恣意的に懲罰する為に用いられるのは、大変危険であるのだ。
マスコミは、違法なのだから、違法なのだ、罰せられて当然だ、みたいな話をよく作り上げるわけである。糾弾する係が、マスコミに与えられている役回りということなのだろう。
では、ここで一つ、問題を出そう。
裁判員経験者をマスコミが引っ張り出してきて、取材したり、会見をさせたりしているわけだが、それは問題がないことなのか?
▼裁判員裁判法 第百二条
何人も、被告事件に関し、当該被告事件を取り扱う裁判所に選任され、又は選定された裁判員若しくは補充裁判員又は選任予定裁判員に接触してはならない。
2 何人も、裁判員又は補充裁判員が職務上知り得た秘密を知る目的で、裁判員又は補充裁判員の職にあった者に接触してはならない。
3 前二項の規定の適用については、区分事件審判に係る職務を行う裁判員又は補充裁判員の職にあった者で第八十四条の規定によりその任務が終了したものは、併合事件裁判がされるまでの間は、なお裁判員又は補充裁判員であるものとみなす。
102条第2項は裁判員だった人への接触禁止規定となっており、取材というものが「職務上知り得た秘密」に抵触しないかどうかは、はっきりしていないわけである。だが、マスコミはこういのを「違法だ」とは決して言わないわけである。取材という大義名分さえあれば、通用すると思っているのだ。
実際、漏らした側の人間がたとえ「秘密漏示罪」となろうとも、「取材する側」は許されると思っているわけである。けれども、この裁判員への接触禁止規定は、取材する側に適用されるわけで、マスコミはそういうのを自ら「違法行為だ」と騒いだりはしない、ということである。違法かもしれないけれど、「みんなやってる」みたいなものだ。取り立てて違法性を追及したりしないわけである。他人の違法は徹底追及、マスコミ自身の違法行為は知らぬふり、という、何とも都合のよい話だ。
話が大きく逸れたが、検察審査会に戻ろう。
検察審査会メンバーの公表を迫る方法として、他の手を思いついた。それは、「検察審査員候補者予定者名簿」の情報公開を自治体に求める、という手続き(拒否されれば裁判)を行う、というものである。
どうしてか?
自治体は行政機関だから、情報公開法の対象となるから、だ。
もう一つは、審査員当人とは限らないわけで、予定者名簿ならば、公開される可能性が全くないわけでないから、だ。
そして、最大のポイントは、人数である。
名簿登載者は100人ずつ、合計400人しかいない。4群から、合計22名を選ぶわけだから、20代、30代の人の数なんて、たかが知れているわけである。
条文で確認してみよう。
▼検察審査会法 第九条
検察審査会事務局長は、毎年九月一日までに、検察審査員候補者の員数を当該検察審査会の管轄区域内の市町村に割り当て、これを市町村の選挙管理委員会に通知しなければならない。
○2 検察審査員候補者は、各検察審査会ごとに、第一群から第四群までの四群に分け、各群の員数は、それぞれ百人とする。
▼検察審査会法 第十条
市町村の選挙管理委員会は、前条第一項の通知を受けたときは、当該市町村の選挙人名簿に登録されている者の中からそれぞれ第一群から第四群までに属すべき検察審査員候補者の予定者として当該通知に係る員数の者(公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第二十七条第一項 の規定により選挙人名簿に同法第十一条第一項 若しくは第二百五十二条 又は政治資金規正法 (昭和二十三年法律第百九十四号)第二十八条 の規定により選挙権を有しなくなつた旨の表示がなされている者を除く。)をくじで選定しなければならない。
○2 市町村の選挙管理委員会は、前項の規定により選定した者について、選挙人名簿に記載(公職選挙法第十九条第三項 の規定により磁気ディスクをもつて調製する選挙人名簿にあつては、記録)をされている氏名、住所及び生年月日の記載(次項の規定により磁気ディスクをもつて調製する検察審査員候補者予定者名簿にあつては、記録)をした検察審査員候補者予定者名簿を調製しなければならない。
○3 検察審査員候補者予定者名簿は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。
このように、最初の名簿作成は自治体選挙管理委員会となることから、そちらに公開請求することは可能。この取扱は、当然のことながら、行政訴訟となり、行政事件訴訟法の適用となる。原則的には、国も検察庁も手出しできない。被告は自治体だからだ(笑)。
最悪の場合、名簿の一部公開だけであっても、仮に氏名以外とか、生年月日の年月だけとか、そういう情報だけでも価値があるわけである。どうしてかって?
考えれば判るはずですよ(笑)。
まあ、最大でもたった400名なのだから、完全ローラー作戦でしらみつぶしに一人ずつ当たって、審査員になったかどうかを取材して確認することは可能となる。
第五検察審査会の検察審査員は、実在していたのか、それが誰なのか、そういうのを確認できうる方法、ということになるだろう。もしも検察サイドで非常にマズいということがある場合には、これが大問題となるだろう。隠せば隠すほど、疑惑はより確実に深くなってゆくだろう。クロに限りなく近づく、ということである。
何らやましいことがない、というのであれば、「説明責任を果たせ」という理屈と同じで、名簿の情報公開を拒む理由などないはずであろう(笑)。
それと、また追加ですが。
東京第五検察審査会の事務局の所在地って、どこにあるんですか?
地裁の中ですか?
第五検察審査会の事務局長というのが、誰なのか、教えてもらえませんか?
これを秘匿する意味なんてありませんよね?
平均年齢の訂正をしたよね?
13日>
続・異様な抽出~愚か者の悪巧み?
14日>
続々・異様な抽出?~検察審査会の度重なる訂正
この発表って、誰が行ったのですか?
主体のない記事なんですよ。これも司法記者クラブか何かの、癒着体質の顕れですかね?
「第五検察審査会は」って主語は、主体のない「顔なし」状態であり、これこそ異様なわけですよ。
普通なら、「東京地検の○○検事は~」とか、「最高検の○○は~」というふうに、発表の主体が明らかにされるわけなんですよ。
これまで「東京第五検察審査会」の事務局長を見た人って、いますか?
会見の姿を見たことがないわけです。
こんなに間抜けな訂正とか、計算ミスとか、度々やっていながらにして、何の釈明も咎を受けるでもないわけで、おかしいでしょう?
それでいて、未だに「名無しの権兵衛」ですかね?
神隠しにでもあったか?名前を取られたか?(笑)
東京第五検察審査会の事務局長を明かせないはずがない。
即座に出てきてもらって、記者会見をやらせるべきだ。
最高裁判所の指名があったんですよね?
それとも、最高裁までもが、一枚噛んでますかね?(笑)
最高裁と検察庁という、司法の枢要においてでさえ、司法崩壊ですかね?
まさか、想像通りの幽霊審査会というわけではありますまいね?
ここまでひた隠しにする、実態のなさ、というのは、本当に異常ですよ。
第一審査会の手嶋総務課長さんとやらに、誰が訂正の発表をしろと言ったのか、確認でもすればいいんだよ。
第五の誰、というふうに回答できるはずだ。
今度は、その人に確認すればいいんだからさ。