東電のやつらは、2兆円からの資金を調達したはずなのに、それがもう空っぽにでもなったと言うつもりなのか。
役員報酬を大幅減額せよ、とか、東電社員の給料を下げないと税金投入など許せない、などという世間の風当たりが強まったことに反発して、「俺らが働かないとどうなるか、目に物見せてくれるわ」というつもりなのかもしれない。
とことん性根の腐った組織というのは、こうなる、という見本みたいなものだ。これは、TEPCOさんの、一流の取引、言い換えると「ブラフ」であろう。停電で自らのありがたみを強調するような組織が、今度は下請け虐めで業務を滞らせて困らせれば、彼らの正当性と存在意義を示せる、という安易な策ではないかと思う。
そういう連中には、普通に言うだけでは通じないので、強権でもって成敗でもしない限りは、改心など無理なのでは。「水戸黄門の印籠」のようなものが必要だ、ということかと(笑)。
財界の発言力と影響力を総動員して、やってきたのだから、こんなのは大したことではないわな。東電の上層部にとっては、あくまで「政治」だから。世の中、政治で決まるんだよ、ということでしょうな。人事でも何でもそう。政府を動かすことだって、政治家を動かすのだって、同じさ。
ま、いいよ。
やりたいなら、やってこいや。
とことん、やってこい。
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asahi.com(朝日新聞社):東電、協力企業へ代金支払い保留を通知 契約解除も - 社会
(一部引用)
福島第一原子力発電所の事故に絡み、東京電力が3月末、第一原発などの納入業者や工事の委託業者に対し、契約解除や支払いの保留を通知していたことが分かった。業者らは「協力企業の連鎖倒産が起きかねない」と反発している。
東電は3月31日付で、資材部長名の文書を業者らに配った。この文書によると、福島第一原発(福島県)、福島第二原発(同)、東通原発(青森県、建設中)で、地震発生前に契約の手続きをした、原発敷地内の様々な施設の工事や業務委託、原発の運営に使う様々な物品の購入が、契約解除や支払い保留の対象としている。福島第一に関する契約では、工事が完了した際の検査や、物品を納入する際の確認にあたる「検収」が、地震で困難になった工事や物品購入について、契約の解除に向けた協議をするとしている。
福島第二と東通では、工事や物品の納入を一時中止し、完成した工事の検査や、物品納入の際の検収、代金の支払いを保留するという。
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自分たちの給与は満額支給しておいて、外部の弱い立場の下請け企業等には、「支払いせんから、待っとけ」ということで、東電さんの金がなくなれば「影響先は広範に及ぶんだぞ、そうすると原発の作業もできなくなるんだぞ、それでもいいのか」ということで、「強請り作戦」を絶賛展開中、ということでしょうな。
何て汚い組織なんだ。
こういう企業を、社会的に認めていいのか?
彼らのようなやり口を許せば、こうした経営陣がのさばることになるのだ。末端職員には、何らの罪もないだろう。一般職員の問題ではなく、幹部や上層部の問題なのだよ。
本来であれば、電気事業法に基づく電気事業者の認可を潰してやりたいところだが、その規定がない。こうした下請け企業への嫌がらせくらいでは、改善命令等を出せる権限が経産省にはなさそうなのだ。電気事業法違反を言えないと、取り消し前提の行政指導も効かないからね。
で、他の面から、東電さんへの指導とかをできないか、考えてみましたよ。
①原子炉等規制法(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)
保安に関する措置を求めることは可能ではないか、と。
条文は以下の通り。
○第三十五条
原子炉設置者及び外国原子力船運航者は、次の事項について、主務省令(外国原子力船運航者にあつては、国土交通省令)で定めるところにより、保安のために必要な措置を講じなければならない。
一 原子炉施設の保全
二 原子炉の運転
三 核燃料物質又は核燃料物質によつて汚染された物の運搬、貯蔵又は廃棄(運搬及び廃棄にあつては、原子炉施設を設置した工場又は事業所(原子力船を含む。次項において同じ。)において行われる運搬又は廃棄に限る。次条第一項において同じ。)
(2項略)
○第三十六条
主務大臣(外国原子力船運航者については、国土交通大臣)は、原子炉施設の性能が第二十九条第二項の技術上の基準に適合していないと認めるとき、又は原子炉施設の保全、原子炉の運転若しくは核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物の運搬、貯蔵若しくは廃棄に関する措置が前条第一項の規定に基づく主務省令又は国土交通省令の規定に違反していると認めるときは、原子炉設置者又は外国原子力船運航者に対し、原子炉施設の使用の停止、改造、修理又は移転、原子炉の運転の方法の指定その他保安のために必要な措置を命ずることができる。
(2項略)
東電の場合、主務省庁は経産大臣ということで、命令が可能。
資機材や人員の調達に支障を来たすような場合であると、これら規定に抵触する可能性があるので、命令を発することは可能ではないかな、と。
②原子力災害対策特別措置法
これは、主に福島第一原発に関して、ということになろうか。
○第三条
原子力事業者は、この法律又は関係法律の規定に基づき、原子力災害の発生の防止に関し万全の措置を講ずるとともに、原子力災害(原子力災害が生ずる蓋然性を含む。)の拡大の防止及び原子力災害の復旧に関し、誠意をもって必要な措置を講ずる責務を有する。
災害復旧に関し、誠意をもって必要な措置を講ずる義務が、原子力事業者にはある、ということである。同4条3項規定により、これも大臣が指導や助言等を実施できることになっている。
③独占禁止法
東電に最も適用して欲しいのが、これだ。東電のような大企業に、こうした手口を許してはならない。協力企業という名の、下請け企業群が泣き寝入りなんてことは、絶対に許すべきではない。東電の連中は、まず己の役員報酬や給与を削ってでも、支払いに当てるべきである。まず、給与の上位40%程度の人間の給与を減額すれば、かなり払えるのではないのか?
中小、零細企業なら、そうやって従業員の給料を待ってもらってでも支払いに充てているのではないのか。これが東電さんみたいな優良大企業ならば許される、みたいな発想や風潮というのが、許容し難いのである。自ら泥水を飲む覚悟で取り組め。そういう気概を見せるならまだしも(もしそうなら、多くの人々が東電支援に賛成することだろう)、自分たちの利益確保最優先という、その姿勢や発想が許し難い。
違法取引認定をお願いしたいところである。
公取には、是正の警告とか勧告などを出して欲しいものだ。
○第2条第9項第5号
五 自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。
この条文からすると、ハの事項に該当するであろう。
簡単に言えば、優越的地位の濫用である。東電のような大企業が仕事(物品や役務)を発注、これを受ける下請け(取引先)企業=協力企業が支払遅延を受ける、ということである。
優越的地位濫用による支払遅延という違法行為ではないのか。
意図的、恣意的な支払遅延である可能性が高いはずだ。他の全ての取引先を調べれば分かるはずだろう。東電の払う先―例えば銀行の支払利息など―が遅延せず、原発関連の協力企業に遅れているなら、東電の奴らは分かっていてやっている、ということだ。
こういう行為を許すことこそ、社会全体に悪影響を与えるのである。
発注元の大企業と、その取引先の下請け中小企業、という典型的な構図だ。傲慢な大企業のやり方を許すべきでない。こういうのこそ、一罰百戒という姿勢で厳しく取り扱ってもいいくらいだ。
東電の奴らは、
「払って欲しくば、俺らを支援すると言え、政府が賠償をすると言え」
という、脅しをすればどうにかなる、と卑怯な考えをもっているんだぞ。そういうのを許すべきでない。
公取よ、これが優越的地位濫用の支払遅延に該当しないのか?
支払いをするよう、求めるのが公取の仕事なのではないのか。違法行為を摘発するのが、仕事ではないのか。
※※追記:17時半頃
東電さんのプレスリリースによれば、「役員報酬削減」とか「今期と来期の配当が無配転落」といった報道記事について、否定(そのような事実はない、確定してない)ということらしいので、この期に及んでまだ払う積もりらしいですぜ。
それなのに、下請け企業には、支払延期と?
何て汚いんだ!
株主には配当、しかし、協力企業には代金も払わないつもりか?
協力企業ばかりか、農産物の風評被害に遭った農協にも払わずに、配当とか役員報酬だけは先に支払うと?
おい、お前ら、どういうつもりなんだ?
そういうことをやってると、絶対に許さんからな。
人の道に外れたような行為を、許しておくわけには行かない。
原子炉の現場で、死に物狂いで働いている人間たちにこそ、手厚い報酬が支払われるべきだ。救うべきは、東電幹部ではない。
最前線で戦っている人間と、東電によって窮地に追い込まれた人たちである。