新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
孫たちの将来に禍根を残さないよう、よき日本を「取り戻したい」。

人間の痛みを伴なわない戦争などは存在しない

2025年01月10日 11時42分55秒 | 戦争と歴史

10日後にはトランプが4年ぶりに米国大統領に返り咲く。
 
ネット界隈でも関心が高くなり、いくつかの記事を紹介しておく。
 
トランプ再登場を甘く見るな
 

1月20日にトランプ大統領就任式が執り行われる。
11月5日の大統領選でトランプは圧勝した。
メディアはハリス推しが鮮明だったが、米国の主権者はメディアの誘導を阻止した。
このトランプが提示する政策路線は画期的なものと言える。
この点を甘く見ておかぬ方がよいだろう。
何が画期的なのか。
三つある。
まずは戦争に対するスタンスが変わる。
バイデン政権は戦争の創作者・拡大推進者だった。
典型的なのがウクライナ戦争。
戦争創作の伏線になったのが2014年のウクライナ政権転覆。
米国とネオナチ勢力の結託による政権転覆だったと言える。
現地指揮官はヴィクトリア・ヌーランド。
本国の最高指揮官はバイデン副大統領だった。
2013年11月21日から2014年2月22日にかけて、米国が仕組んだ暴力革命による政権転覆劇が演じられた。
樹立された暴力革命政府はロシア系住民に対する人権侵害と武力攻撃を行った。
結果としてウクライナ内戦が勃発。
2014年と2015年に内戦収束のための「ミンスク合意」が締結された。
2015年のミンスク2は国連安保理で決議された。
国際法の地位を獲得した。
東部2地域に高度の自治権を付与することで内戦を終結させることで決着した。
ところが、ウクライナ政府はこの合意を踏みにじった。
2019年4月に登場したゼレンスキー大統領はミンスク2の履行を公約に掲げたが実行しなかった。
米国でバイデンが大統領に選出され、ロシアが先に手を出すように誘導した。
ドイツのメルケル首相はミンスク合意がウクライナが戦争を準備するための口実だったと吐露した。
その結果発生したのがウクライナ戦争だ。
戦争は早期終結の流れだったが英国のジョンソンと米国のバイデンが阻止した。
米国は戦争の長期化と大規模化を誘導した。
この戦争は米国の軍産複合体が利潤追求を目的に創作したものと考えられる。
これに対してトランプは戦争を希求しない。
ウクライナ戦争を早期終結させることを公約に掲げている。
米国で最強の影響力を持つ軍事資本に服従しない例外的な米国大統領がトランプである。
トランプは第1期に北朝鮮和平を指向した。
これを阻止したのは軍産複合体だ。
しかし、トランプは第2期においても北朝鮮和平を指向する可能性がある。
日本に対しては駐留米軍の費用負担拡大を求める可能性がある。
本来は、この機会を活用して米軍の日本からの撤退を誘導するべきだ。
千載一遇のチャンスになる。
トランプは厚生長官にロバート・ケネディ・ジュニアを起用した。
ケネディはワクチン懐疑論を唱えている。
コロナの本質は「ワクチンのためのコロナ」だったと考えられる。
トランプとケネディはワクチンに対する強い警戒感、懐疑感を有している。
ケネディが厚生長官に起用された意味は極めて重大だ。
トランプはエネルギー長官にクリス・ライトを起用。
地球温暖化CO2起源説を否定する人物。
国連がCO2起源説を広め、世界各国で企業による「財政収奪」が展開されている。
しかし、CO2起源説の説得力は極めて乏しい。
石炭、原油、天然ガスを主軸にするエネルギー活用がもっとも効率的である。
戦争・ワクチン・CO2で米国の基本政策が転換する。この影響を軽視することはできない。

 
「戦争・ワクチン・CO2で米国の基本政策が転換する」だけではなく、一部からは「陰謀論者」と言われているこの御仁はトランプの突拍子もない発言に踏み込んでいる。
 
トランプの米州主義
    
ドナルド・トランプが昨年末、グリーンランド、カナダ、パナマ運河について、米国領になるべきだという趣旨の発言をした。トランプは12月22日に駐デンマーク大使(Ken Howery)を指名した際、米国は安保強化などのためにグリーンランドをデンマークから買収すべきだと表明した。
トランプは、グリーンランドやパナマ運河を武力で併合することも否定せず、人々(関係者やリベラル派)を怒らせる策をやっている。デンマークもパナマもカナダも親米国であり、トランプは(覇権放棄屋・隠れ多極派として)同盟関係潰しをやっている。
その後、トランプは息子のジュニアや側近たちに、買収の下見さながらにトランプの専用機でグリーンランドを旅行させ、併合発言を冗談として受け流そうとした権威筋などに警告を発した。
トランプは2019年からグリーンランド買収を希望している。グリーンランドはカナダのさらに北、北米大陸の北東の端の北極圏にあり、欧州やロシアを睥睨する軍事・地政学的な要衝だ。
グリーンランドは地下資源が豊富と言われるが未開発で、産業が漁業ぐらいしかない。人口も6万人しかいない。政府の財政収入の大半がデンマーク政府からの補助金だ。この補助金を上回る金額を米国側がグリーンランドに流せば、現実論として、分離独立や米国編入もあり得る。法的には、グリーンランドはデンマークから独立する権利を持っている。
トランプの1期目に閣僚だったネオコンのジョン・ボルトンは「トランプはグリーンランドにカジノを作りたい(その税収をグリーンランド政府に流す)んだ」と言っている。なるほど。
トランプは12月24日のクリスマスのメッセージの中で、カナダは米国に併合されて米国の51番目の州になった方が税金が安くなるし経済も発展するので良いぞ、どうだねトルドー州知事よ、みたいな表明をした。
リベラル派のトルドーは、経済政策が失敗続きで党内の批判が強まり、1月7日に辞意を表明した。カナダでは少し前までリベラルが席巻していたが、今では、かつて誹謗中傷しかされていなかった保守派の人気が高まっている。米国の保守派であるトランプのカナダ併合希望の発言は、トルドー辞任の直接の引き金ではないが、同じ流れの中にある。
トランプは同じクリスマスメッセージの中で、中国軍がパナマ運河の周辺に駐屯していると非難した。パナマ運河の東西の出入り口の港湾は中国(香港)の企業が管理を請け負っている(そこに中国軍がいるかどうかは不明)。
トランプは「米国が多くの犠牲を払ってパナマ運河を建設し、その後運河の権利をパナマ共和国に譲渡したのに、パナマは恩を仇で返すかのように米国の船からも法外な通行料を取っている。これは譲渡時の約束に違反しているので、米国は運河をパナマから取り戻すべきだ」という趣旨も述べている。

私から見ると、トランプのこれらの言動は「覇権放棄」と表裏一体の「米州主義」に沿っている。今後の米国は、世界覇権を喪失・放棄して、「北米」や「南北米州」を重視する米州主義になっていく。その始まりが、これらの発言だ。
グリーンランドは欧州(デンマークの自治領)でなく米州でなければならない。カナダは英国の傀儡(=リベラル主義)を離脱せねばならない。パナマ運河の運営を「他の極」である中国に任せてはならない。などなど。世界のことより、米州のことが重要だ。
従来の米国は全世界を支配していた。グリーンランドが米州なのか欧州なのかは、どうでも良かった。どっちにしても米国の支配下・NATO領域だった。
戦略的に重要なパナマ運河を中国が運営しても、中国が米覇権に楯突かずおとなしくしている限り問題なかった。米英は金融(債券システム)と軍事力が圧倒的に強いことが重要で、実体経済は金融の下請けだった。米国は、中国に下請けさせる認識で、パナマ運河の港湾運営をやらせていた。
米国は、英国と一緒に世界覇権を仕切っているので、カナダは英傀儡でかまわなかった。英国は米覇権(諜報界)の黒幕であり、米民主党など米国のエリートも英傀儡だった。
だがしかし、リーマン危機やウクライナ開戦を経て、米覇権は大幅に縮小し、非米側が結束して世界の大半を握り始め、世界は多極化した。
米国側を支配する米諜報界では長らく英国系(単独覇権派)と多極派(ロックフェラーなど)が暗闘してきたが、911以来、多極派の要員(ネオコンとか)が英国系のふりをして単独覇権戦略を稚拙にやってわざと大失敗し、米覇権を自滅させて世界を多極化した。
共和党・子ブッシュ政権(2001-09年)のテロ戦争が失敗して自滅した米覇権の立て直しのために民主党のオバマが出てきた(2009-17)が、多極派に加担するイスラエルなどに妨害されて失敗した。
オバマの覇権立て直し策を逆流させるために出てきたのが、次の一回目のトランプ政権(2017-21)で、トランプは欧州やNATOに邪険にして、米覇権の中心である欧米同盟を破壊しようとした。
経済では米中分離策を推進し、冷戦後の米覇権の基盤の一つだったグローバリゼーション(世界経済の一体化)を破壊しようとした。トランプは多極派だった。
多極派のトランプは、英国系である米マスコミ権威筋に徹底敵視され、2020年の大統領選は米諜報界の英国系が民主党に郵送投票などを使った大規模な不正をやらせてトランプを落選させ、英国系の傀儡であるバイデンを政権につけた。
多極派が、子飼いのトランプを落とす選挙不正を黙認したのは、バイデンにウクライナ戦争をやらせて多極化(非米側の結束と米欧の自滅)を加速するためだったとも思える。トランプは4年間の下野の後、今年から政権に返り咲く。
返り咲きの流れの中でトランプが放ったのが、今回のグリーンランドとカナダとパナマ運河の併合話だ(トランプはほかに、メキシコ湾をアメリカ湾に改名する提案なども放った)。北米は地理的に、グリーンランドからパナマ運河までだ。
グリーンランドを欧州から割譲させ、パナマ運河をパナマ共和国や中国から取り返す。カナダも米国の傘下に入れて「非英化」する。これ
厳密には、トランプの策は帝国主義でない。帝国主義は、英仏独などの欧州列強が、中近東やアジアやアフリカを植民地にすることであり、欧州の諸大国が、欧州以外のアフリカ中近東アジアといった「他の極」を支配した話だ。
対照的にトランプの帝国策は、グリーンランドからパナマまでの北米を米国が支配強化する構想だ。トランプの今回の構想は、多極型の世界体制において許されている「自分の極の地域内を支配強化する」策だ。他の極を侵害していない。「家庭内暴力」というか「親父のゲンコツ・しつけ」というか、という話だ、
米国側のマスコミ権威筋は、トランプの表明を米州主義の発露として全くとらえていない。そのような分析は皆無だ。トランプは冗談または頓珍漢な不合理を言っているか、もしくは、自分より弱い国を併合しようとする理不尽な帝国主義だと批判している。
米国側のマスコミ権威筋は、米覇権の縮小自滅や覇権多極化を無視している。多極化と表裏一体の、トランプが米州主義に基づく言動を続けても(今のところ)全く無視されている。
これまでの米国は、英国の傀儡として単独覇権を運営していた。米国が覇権を放棄して「米州の極」に転換すると、米国を握っていた英国は振り落とされて「貧乏な沖の小島」に成り下がる。それはダメなので、英国系はトランプを嫌い、多極化や覇権放棄を徹底的に無視している。
多極派は、それを逆手にとり、諜報界傘下のマスコミ権威筋に、米覇権縮小や多極化の現実を無視させ、その一方で温暖化人為説やコロナの超愚策や覚醒運動など米側を自滅させるリベラル全体主義を急拡大させることで、米国側が多極化を阻止せず自滅・破綻していくように仕向けている。
米国側のほとんどの人々は、多極化・米覇権自滅に気づいていない(諜報界DSが気づかせてくれない)。だから、多極化の一環として、トランプが米州主義に基づいてグリーンランドやパナマ運河やカナダの併合を言い出していることの意味にも気づいていない。
頭のおかしなトランプ・・・。いやいや、頭がおかしいのはあんたたちの方だよ。
トランプの米州主義は、まだ冗談めかした言動しか発せられておらず、私も曖昧な分析しかできていない。これからトランプが大統領になるといろいろ出てくると期待される。さらに分析していく。


 
本人も「曖昧な分析しかできていない」と自認しているので、トランプの就任後の発言からは目が離せないだろう。
 
しかし就任前にトランプは主要なスタッフを決めており特に「政府効率化局」(DOGE)の共同代表の人物の言動には要注意であろう。 
『F-35戦闘機なんか要らない!』イーロン・マスクが主張する真意
 
■有人戦闘機は時代遅れ
昨年末の拙稿「トランプに寄生し「アメリカ支配」を目論むイーロン・マスクの飽くなき野望」では、マスクのビジネスに焦点を当てた。今回は、ドナルド・トランプ新政権下で新設される「政府効率化局」(DOGE)の共同代表に就くマスクの「連邦予算から2兆ドルをむしり取る」戦略の一つにスポットライトを当てたい。第5世代ステルス戦闘機F-35ライトニングII(「F-35」、下の写真)の予算削減問題である。
マスクは昨年11月24日、「F-35のような有人戦闘機をまだ製造しているバカもいる」とXに投稿した。彼は別の投稿(下を参照)で、「F-35の設計は要求レベルで破綻していた」と書き、設計段階から疑問を呈している。 そのため、「F-35は高価で複雑な 『何でも屋』になってしまった」という。さらに、彼はつぎのように決定的な批判をしている。
 

 
「ドローン(無人機)の時代には、有人戦闘機は時代遅れなのだ。 パイロットが殺されるだけだ」
■「有人戦闘機不要論」
そこで、マスクの意見を尊重して、航空戦力にかかわる「有人戦闘機不要論」について論じてみたい。
第一に、F-35について言えば、その高額な価格や巨額の開発費に対する疑問が問題になる。昨年8月27日付の「ニューヨーク・タイムズ」は、「F-35戦闘機は1機あたり8000万ドルもする」と報じている。
昨年11月26日に公表された「Forbes」の記事は、運用試験・評価局の年次報告書によると、F-35開発プログラムは予定より10年遅れ、予算は1800億ドル超過していると推定されていると書いている。
米国政府説明責任局(GAO)は昨年4月15日付で、「F-35の維持コストは上昇を続ける一方で、計画された使用と利用可能性は減少」という資料を公表している。それによると、「国防総省は現在、約630機のF-35を運用しており、2040年代半ばまでに合計2500機を調達する計画である」。
さらに、「国防総省は2088年までF-35の使用を継続する予定であり、取得と維持に2兆ドル以上を費やす計画である」と記されている。
F-35が、いかに「金食い虫」であるかがわかるだろう。耐用年数が延長されたとはいえ、国防総省が2088年までのF-35戦闘機群の維持にかかる費用を予測したところ、その額は増加し続けている。
具体的には、維持費の予測額は2018年の約1兆1000億ドルから2023年には約1兆5800億ドルへと、44%も増加している。
その半面、飛行時間は減少している。2020年の年間コスト見積もりでは、F-35艦隊が定常状態で年間38万2376時間飛行すると報告した(これは2030年代半ば頃の予測)。
2023年度の年間コスト見積もりでは、定常状態における飛行時間の推定値は30万524時間に修正された。これは、年間飛行時間が約8万2000時間、つまり21%減少することを意味している。
■ドローンの効率性
第二に、ドローンの方がはるかに安価で効率的ではないかという議論がある。それを教えているのがウクライナ戦争だ。
2023年8月に公表された「ウクライナでは、数百万ドル相当の最高級戦車や高価な重装甲車が、わずか数百ドルの安価な爆発ドローンに狙われている」という記事によれば、ウクライナ戦争では、機体にカメラと映像伝送装置を取り付け、操縦者側の受信機で映像をゴーグルやモニターに投影することで、その映像を見ながらドローンを操縦する、ファースト・パーソン・ビュー(First Person View, FPV)ドローン(無人機)が大活躍している。
その結果として、ウォロディミール・ゼレンスキー大統領は2023年12月、ウクライナは2024年中に100万機のFPVドローンを軍に提供するとのべた。
同年8月に公開された動画では、FPVドローンがロシア製戦車T-90Mと思われるものに激突した。
先の記事は、「T-90Mは、推定価格が450万ドルと、1機数百ドルのドローンよりもはるかに高価な最新型ロシア戦車である」と説明している。こうした攻撃に使用される「FPVドローンの価格は、1台あたり400ドルから500ドル程度」という。つまり、「費用対効果」でいうと、たしかにドローンは圧倒的に安価で有効であるようにみえる。
具体的には、2022年にウクライナで組織された非営利団体Escadroneが製造するFPVペガサス攻撃ドローンの価格は、「341ドルから462ドル」と記されている。
なお、米国が提供した自爆突入型ドローン(徘徊型兵器)は「6万ドルから8万ドル」という。もっとも高価な軍事用ドローンの一つが「MQ-9 リーパー」だが、その価格は「F-35戦闘機の約4分の1の価格」という情報がある。
もちろん、有人戦闘機の重要性を唱える意見も根強い。有人でなければ、人間にかかる重力を考慮せずに超音速兵器を開発できるが、いまのところ、ドローンの性能は有人戦闘機と比べて必ずしも高くない。しかも、航続距離や積載量などでもドローンは見劣りする。
このため、現状では、「米軍が優先するインド太平洋地域での戦争のように、広大な地域での航空戦や、海戦がより多く発生する状況では、これらの無人機は速度が遅く、搭載量や航続距離も不十分」と考えられている(「ビジネス・インサイダーを参照)。
■米軍の「レプリケーター構想」
それでも、無人戦闘機の開発は闇雲(やみくも)に進んでいるようにみえる。そのイメージは、有人戦闘機1機の周辺に「ロイヤル・ウィングマン」(忠実な僚機)と呼ばれる「協調戦闘機」(CCA)としてドローンを配備するという計画だ。
ドローンの群れが形成され、一つのまとまった集団として同期しながら飛行するようにして、難なく分解・再編成しながら、初期モデルは、おそらく偵察や空中給油、戦闘機が目標に誘導する空対空ミサイルの運搬など、基本的な任務を遂行することになる。
米国は、F-35が高すぎるため、協調戦闘機として知られる新世代のAI無人機(ドローン)の開発に重点を移しつつある。
たとえば、人間のパイロットの「ロイヤル・ウィングマン」として、パイロット付きの戦闘機の前方を飛行し、早期にリスクの高い監視を行うことができるドローンを開発中だ。人間が操縦する飛行機には危険すぎると考えられる陸上ミサイルの標的を、危険を冒して打ち落とすという大きな役割を果たすこともできる。
米軍がいま、もっとも重点的に投資しているのは、「レプリケーター構想」(Replicator Initiative)である。これは、米国軍が5年後や10年後ではなく、今必要としている技術革新の採用を加速させることに焦点を当てている。2023年8月28日に発表されたレプリケーターは、国防総省(DOD)の国防技術革新ユニット(DIU)が主導する国防総省のイニシアチブであり、今年8月までに無人システムを数千台配備することを目的としている。
Replicatorの最初の取り組み(「Replicator 1」)は、全領域対応型消耗可能自律型(ADA2)システムの配備である。消耗可能なシステムは、比較的低コストのシステムであり、国防総省はシステム損失のリスクをある程度許容する。昨年9月27日付のメモで、ロイド・オースティン国防長官は、レプリケーターの第2の取り組み(「Replicator 2」)は、小型無人航空システムへの対抗に焦点を当てることを発表した。
■もはや自律型無人戦闘機の時代に
恐ろしいのは、昨年6月に「The Economist」が公表した長文の記事「AIは戦争をどう変えるか」のなかで、つぎのような記述がみられることである。
「ロシアもウクライナも、無人機が「自律型」兵器システムなのか、それとも単なる「自動化」されたものなのかということにはあまり注意を払っていない。彼らの優先事項は、妨害を回避し、可能な限り多くの敵の装甲車両を破壊できる兵器を開発することである。これまでに1000以上のウクライナの医療施設を爆撃してきたロシア軍にとって、また、自国の存続をかけて戦っているウクライナ軍にとって、誤爆は大きな懸念事項ではない」
ここで紹介したような最新の動きを知ると、現実は、倫理や道徳を無視しながら、先へ先へと闇雲に変遷しているようにみえる。有人戦闘機が存続するにしても、もはや自律型無人戦闘機中心の時代に突入しているように思えてくる。しかも、誤爆を半ば肯定している。
「AI規制は核兵器への規制と同じくらい重大な問題」と主張してきたのは、ヘンリー・キッシンジャーである。
2021年刊行の『AIの時代と私たち人類の未来』という共著(Henry A. Kissinger, Eric Schmidt, & Daniel Huttenlocher, The Age of AI and Our Human Future AI, 2021)のなかで、GPT-3のレベルにあったAIを前提に、AI 規制の必要性が語られている。
さらに、キッシンジャーの死後に刊行された共著(Henry A. Kissinger, Crag Mundie, and Eric Schmidt, Genesis: Artificial Intelligence, Hope, and the Human Spirit, Little, Brown and Company, 2024)では、「AIによる戦争には、愛や憎しみ、ましてや勇敢さといった概念は存在しないだろう」と指摘している。
そう考えると、まったく新しい戦争の時代が近づいていると言えるかもしれない。だからこそ、「有人戦闘機なんかいらない」というマスクの主張には、無視できない重要な論点が含まれているのだ。

 
昔から国同士の「戦争」は自然発生するのではなく、特定の人物らたちの「愛や憎しみ、ましてや勇敢さといった概念」が錯綜していたのだが「新しい戦争の時代」になれば無機質なロボット同士の争いとなり、人間の関与が不可能な時代になってしまうのではないだろうか、とオジサンは思う。  
   

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