突然だが、以下のパネルを記憶している人も多いと思う。
今から5年前に元経産省キャリア官僚で当時の「報道ステーション」に出演した古賀茂明の手製のプラカードである。
その後、2015年2月25日に東京・有楽町の日本外国特派員協会で、「報ステ『降板』と『I am not Abe』発言との関係 『元経産』古賀氏が『(局)トップの意向』を解説」という会見を開いていた。
その頃からテレビメディアの政権への忖度振りが露になったことは言うまでもない。
「I am not Abe」と批判されたご本人は、その後はたびたびテレビメディアに顔を出す機会が多くなった。
とりわけ「アベ様のNHK」と揶揄される公共放送は、1日数回の定時のニュースでは、国会での安倍晋三の都合の良い「答弁」場面だけを切り取り、「やってる感」の演出に余念がなかった。
「モリ・カケ」疑惑問題の時は、関係省庁である財務省や文科省の官僚たちに自分の不始末を尻ぬぐいさせて切り抜けてきたが、昨年の「サクラ疑惑」関連はすべて安倍晋三事務所が主犯であるため、窮地に追い込まれていることは確かである。
そして降ってわいたような「COVID-19」と命名された新型コロナウィルス感染症に関しては、武漢にチャーター機を飛ばし「日本人」を緊急帰国させるというパフォーマンスで「水際作戦」がうまくいっていたと思い込んでいたらしい。
その後、東南アジア各地を寄港しながら横浜港にやってきたクルーズ船により「COVID-19」に対する的確な対策ができず、結果的には陰性と判断された乗客によって日本各地に感染者が拡大てしまった。
日本中の国民の不安が増大するにつれて、国家最高責任者の決断が求められてきたのだが、残念ながらメディア対応は厚労相に丸投げ状態で、この数日間は顔を見せていないので、「安倍晋三はどこへいったのか?」といった声が海外メディアから上がっていた。。
「'Where's Abe?' critics ask, as coronavirus spreads in Japan」
ロイター通信が「安倍首相はどこに?」コロナ問題で首相の姿が消えた、リーダーシップに問題、と報道。他国の早い対策と違い日本はコロナ対策に失敗したので感染者数は激増するだろう。首相は楽観視し現実を否定したいんだろうが五輪開催どころか日本経済が落ち込む、とhttps://t.co/9RM9kQqLWf
— dia feliz (@diafeliz_latin) February 25, 2020
'Where's Abe?'
— 盛田隆二??Morita Ryuji (@product1954) February 25, 2020
安倍晋三はウイルス対応の舵取りに失敗し、加藤に任せっきりだ。中国からの感染阻止より習近平との関係を優先した。リーダーシップの欠如で国民の支持を失った。五輪キャンセルの話をするのはまだ早い(ロイター記事はこんな感じ。ニュアンスの違いは勘弁)https://t.co/U1smmZLrW3
一体どこで何をしていたのか、ネット民は鋭い。
安倍首相がランサーズ社長と会食とあるけど、ランサーズってネット工作してる会社なのな。これガンガン広めないと。
— サキオタ (@sakiota48) February 25, 2020
首相動静(2月25日):時事ドットコム https://t.co/xXGnY9Ls19 @jijicomさんから pic.twitter.com/sn5CqaL1lf
【速報】安倍首相、25日に総理大臣公邸にTwitterなどSNS上で世論誘導を図るランサーズ秋好陽介社長と会食 首相動静 https://t.co/WIapKTOXx8 pic.twitter.com/9TIwjQvyco
— ??箱コネマン?? (@HAKOCONNEMAN) February 25, 2020
安倍晋三、21日の稲田朋美のお誕生日会には2時間以上も出席し、他の日も経団連やスポンサー企業の宴会や会食に2時間も3時間も連日出席しているのに、新型コロナウイルス対策会議には平均9分、過去最長だった今日の会議もわずか19分。全国の皆さん、こんな人物に首相を任せていて、ホントにいいの?
— きっこ (@kikko_no_blog) February 25, 2020
どうやら、すでに安倍晋三は、「彼がより頻繁に現れると、悪いイメージだけが残るので、それを避けるために、彼はできるだけ人前に現れない。」という烙印を押されたようである。
それでは丸投げされた加藤勝信厚労相は国民を安心させることができたのか?
山井和則議員「累計でPCR検査を何件やったのか? トータルで把握してないのか」
— にゃん吉 (@nyankichi_uiy) February 25, 2020
加藤勝信大臣「オールジャパンの数字は持ってない。陽性の報告しか受けてない」
なんですか、これ。
PCR検査を行った人数を把握してないなんてあり得ない。
無能過ぎて話にならないって話。 pic.twitter.com/UFylQUtGQY
や、これは衝撃的。国会で山井議員に散々質問され、加藤厚労相はシドロモドロだったけど、PCR検査の全体数を把握していないと恥ずかしげもなく答えてる。概算さえ分からない様子。
— 盛田隆二??Morita Ryuji (@product1954) February 25, 2020
にしても、この動画は必見。目を泳がせつつ他人事のように喋ってるけど動揺はあからさま。こんな政府には任せられないね https://t.co/BKaPyyQZ97
軍のトップが「敵の戦力も総数もわからない」って言ってるに等しい。この指揮官ではこの戦争負けます。→感染検査の総数「分からない」 新型コロナ、衆院予算委で厚労相 https://t.co/lD2pkrBu5j新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べる検査に関し、実施した総数は「分からない」と述べた。
— 建築エコノミスト森山高至 (@mori_arch_econo) February 25, 2020
加藤厚労大臣がすごいことを言い出した。
— Tad (@TadTwi2011) February 25, 2020
「みなさまが一丸となってコロナウィルスに立ち向かっていく」
いよいよ戦時中になって来たぞ。70年前から何も変わってないな。 pic.twitter.com/IWf5wYE9rV
まさに「唖然」としてしまう無能振り。
この発言は「厚労相はコロナ対策のトップとして機能していない」と告白しているようなものであり、例えば民間会社で管理職が売り上げ把握してなかったら即左遷であろう。
さて、ノンフィクションライターで企業の危機管理・メディア対応のコンサルティングもしている窪田順生が、ITmedia ビジネスオンラインに興味深い記事を書いていた。
<「新型コロナには一致団結で!」と叫ぶ組織が、残念な結果を招く理由> 2020年02月25日 ITmedia カルロス・ゴーン被告が仕掛けた「日本の司法は中国や北朝鮮と同じ」キャンペーンに続いて、またしても日本の「オレ流」が国際社会で叩かれている。 新型コロナウイルスがいたるところにまん延するクルーズ船に3711人を閉じ込めて、感染対策の専門家に「アフリカや中国よりもひどい」と指摘されるようなずさんなゾーニングをしたことが各国から「ウイルスの培養器に閉じ込めたようなもの」「日本には防疫の概念がないのか」なんて感じであきれられてしまっているのだ。 そこに加えて、世界をドン引きさせているのが、二次感染者がでるなどあきらかに感染対策が失敗しているにもかかわらず、ヤケクソ的に乗客たちを下船させていることだ。「せめてあと2週間は施設で隔離しないと感染が広がってしまう」と海外の専門家から批判が相次ぐなかで案の定、公共交通機関で自宅や本国へと帰った乗客のなかから、「陽性」の人たちがポロポロ現れてきている。 このような日本の対応を、ロシアのプーチン大統領の側近や外務省の報道官が「犯罪行為」とボロカスなように、「日本=感染対策が怪しい国」というイメージを抱く国が増えている。実際、”お友だち”のアメリカでもCDC(疾病予防管理センター)が日本渡航の注意を呼びかけ始めた。 という話を聞くと、「英国船籍で米国企業のクルーズ船という制約下で、日本ができることは『上陸させない』という対応だけだったのだ!」とか「CDCも英国政府がなにも動かなかったなかで、日本政府はよくやったほうだ!」と日本の正当性を主張する方も多いことだろう。 なかには、「インフルで毎年もっとたくさん死んでいるのに、欧米の連中は騒ぎすぎだ!」なんて感じで、そもそも新型コロナの脅威を懐疑的に見ている方もいらっしゃるかもしれない。 ただ、どういう言い訳をしても、国際社会が警戒する未知のウイルスの感染拡大を防ぐことに、日本が失敗し、「適切」と胸を張った船内から多数の二次感染者がでている事実をひっくり返すことは難しい。他国の批判に顔を真っ赤にして反論したり、感染対策の専門家を憎々(にくにく)しくディスったところで、日本の評価は上がるどころかイメージダウンをしていくだけである。要は、「惨敗」なのだ。 壮絶にコケる組織 では、なぜ優秀な医療従事者や専門家が多くいて、そこら辺の国よりも感染対策のレベルも高いと言われる日本が「実戦」で惨めな結果を招いてしまったのか。 マンパワー不足、現場でのオペレーションがうまくいかなかった、そもそも緊急時の指針や体制が用意されていなかった……など既にさまざまな問題が指摘されているが、個人的には、現場で指揮にあたった人々が掲げた大方針が誤っていたことが最もマズかったのではないか考えている。 その大方針とは、「一致団結」だ。 なにかしら「危機」が発生したとき、「問題解決のために一致団結しよう」とか「全員野球で乗り切ろう」みたいな大方針を掲げる組織の危機管理は、ほぼ間違いなく失敗する。このように「和をもって問題解決にのぞむが壮絶にコケる組織」と同じにおいが今回の感染対策の現場からはプンプン漂ってくるのだ。 その中でも分かりやすい例が、ダイヤモンド・プリンセス号内部の感染対策がアフリカや中国よりもずさんだ、とYouTubeで告発した岩田健太郎氏に対する「バッシング」だ。ご存じのように、岩田氏のとったアクションについては現場を指揮していた政府の人間や、一部の専門家から否定的な意見が出た。 いわく、船内は適切な感染対策をしていたのに、わずか2時間程度で一部しか見てない部外者が不安をあおるようなことを言うな。いわく、仮に感染対策が不完全だったとしても、不安や疑念が交錯するときだからこそ一致団結していかなければいけないんだから、スタンドプレーで船内に潜り込んで一方的な批判だけするのはいかがなものか……など、中には岩田氏の「人格」を攻撃する人まで現れている。 これらの主張をまとめると要するに、「船内のずさんな感染対策」より、「現場の規律を乱した人間」のほうがはるかに大きな問題だというのだ。ただ、筆者に言わせれば、批判する者をマウンティングして黙らせようとするのは、危機管理に失敗する組織の典型的な末期症状なのだ。 …中略・・・ 「おかしい」と声をあげる者はいない ほとんどの組織は悪事を働こうと思って「隠ぺい」や「改ざん」をするわけではない。みな「危機」と向き合って、それをどうにか対応しようと考えてやってしまう。 もちろん、その中には保身や責任逃れなどもあるが、多くは「組織のため」である。こうしている今も現場で汗をかき、問題解決のために寝る間も惜しんで働く同僚や仲間たちのため、彼らを「一致団結」させるため、情報の公表を拒み、うそをつ。だから、こうした不正に手を染める人たちに実際に会ってみると、「マジメな組織人」「善良な市民」ばかりなのだ。 今回、岩田氏の「告発」を受けて、ハフィントンポスト日本版に、現場の医療従事者から「声をあげられないスタッフの代弁をしてくれた」という感謝の声が寄せられた。また、厚労省の職員や検疫官からも感染者が出ており、岩田氏の指摘が妥当であったことが徐々に明らかになっている。 |
この記事の筆者が指摘しているような事態がすでに、「森会長の『マスクなしで頑張る』発言に“精神論”と厳しい声続出」と、現れている。
さらにはこんなツートもあった。
みんなが以下の内容を理解し、落ち着いて行動すれば乗り切れます。我々の民度が試されています。みんなで一致団結して頑張ろう!!
— 上念 司 (@smith796000) February 24, 2020
「今後1~2週間が瀬戸際」国の専門家会議が見解【全文】|特設サイト 新型コロナウイルス|NHK NEWS WEB https://t.co/TFFfoPOfeU
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言った安倍晋三は、今度は「こんなCOVID-19には負けるわけにはいかない」と勇ましくテレビで叫んでほしいものだ、とオジサンは思う。