全国的に今日からは9連休となり各地の観光地は最高の人手を期待する時期なのだが、不幸なことに緊急事態宣言発令中の5月のゴールデンウィーク同様、最近の感染者急増の都市や県ではまたしても自粛要請のオンパレードとなってしまった。
とりわけ滑稽なのは全国一の感染者数を誇る東京都では「特別な夏」らしく、夏休み中の子供たちの期待を裏切るかのような会見を行い、対照的に政府側は「帰省は規制しない」とチグハグなことを言っており、最終的には「自己責任論」になっている。
「感染拡大キャンペーン」の最大の被害者は沖縄県であり、「沖縄のコロナ感染者、人口比で全国3位 東京・大阪に次ぐ」状態になっており、五輪延期決定前の東京のように、「沖縄県の感染者、繁華街も離島も急増 検査対象絞る方針」となったという。
県内の離島では満足な隔離治療はできず、このままでは医療崩壊は目に見えているが、政府に歯向かっている沖縄県知事に対しては、菅義偉官房長官は冷酷な「沖縄差別」むき出しのコメントをしていた。
そして、驚くべきことに最近では、こんな本音がこの人の口から発せられた。
「菅官房長官、アベノマスクしないのは『暑そうで』 ネット番組で」
マジで安倍総理との関係こじれ始めているらしいな
— CDB (@C4Dbeginner) August 7, 2020
菅義偉官房長官は7日のインターネット番組で、政府が各世帯に配布した布マスクを着用していない理由について問われ、「暑そうなので使っていない」と答えた。
アベノマスク「暑い」 菅官房長官(時事通信) https://t.co/OfbcDb6aL4
使いもしないで、暑そうと思うレベルのものを全世帯に配り、更に菅官房長官よりも高齢者が多い高齢者施設に配って、感染拡大をどうやって防ぐのか?
— 伊東憲儀 (@noriseaze) August 7, 2020
頭が悪い https://t.co/KAeruK1TOT
この記事を最初に目にした時には安倍晋三が「暑そうなので」新しいマスクに替えた話かと思ったが、菅義偉官房長官本人だったとは、側近にこんなことをネット番組で言われてしまったら、もうおしまいなのだが、もはや我が国は「指揮者」不在の三流のオーケストラのような状態になっている。
本来ならばその有能な指揮ぶりを国民から期待されているはずの安倍晋三の頭の中には、何が何でも来年の東京五輪開催に漕ぎつけたい一心で、「有効なワクチンが開発され、ウィルスに打ち勝った証を世界に証明したい」とばかりに、各国のワクチンを買い漁る指示を厚労省に出していた。
その結果があきらかになってきた。
◆7月20日
「ワクチン確保へ弁護士チーム発足 厚労相、英製薬などと交渉へ」
◆7月31日
「6000万人分ワクチン供与合意 政府、コロナで米製薬大手と」
◆8月7日
「コロナワクチン供給合意へ 英アストラゼネカから1億回分超」
かなり前から水面下での交渉が続けられていたようであり、国民にとっては「朗報」に聞こえるが、 例えば6000人分は誰に行うのか。1億回とは、1人で何回うけられるのはなどは全く不明である。
すでに「ワクチン開発競争」が世界的に繰り広げられているのだが、その実態はどうなのだろうか。
「新型コロナウイルス 治療薬・ワクチンの開発動向まとめ【COVID-19】」によると、WHOの7月31日時点のまとめでは現在、臨床試験に入っているCOVID-19ワクチン候補は26種類。このほかに139種類が前臨床の段階にあるという。
英国の「The Guardian」紙の記事の翻訳版が2か月ほど前に掲載されていた。
「新型コロナ、人類はワクチンを手にすることができないのか?」
■ワクチン開発がうまくいかないケースとその理由 ワクチンの原理はシンプルだが、実用となるとそう簡単にはいかない。理想的なのは、感染および感染拡大を安全に阻止してくれるワクチンの開発だろう。しかし、これまでに開発されたものを見ると、簡単に実現できるものではないことが一目で分かる。 エイズ(AIDS、後天性免疫不全症候群)を発症させるエイズウイルス(HIV)が科学者によって同定されたのは30年以上も前だが、ワクチンはいまだ存在していない。1943年に初めて見つかったデング熱を発症させるデングウイルスのワクチンは昨年、米国でようやく承認された。ワクチンに対する懸念が残る中での承認となり、事実、一部では感染症の悪化も見られた。これまでで最もスピーディーに開発されたワクチンは、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)用のものだ。それでも4年かかった。 コロナウイルスのワクチン開発は、過去にも行われていた。そのため、今回はゼロからの出発ではない。これまでにも多数の死者を伴うコロナウイルスの大流行が起きている。重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)では、感染症に対抗するためにワクチンの研究が進められた。しかしSARSは徐々に消え、MERSは中東地域に限定的だった。こうしたこともあり、どちらのワクチンも承認が下りることはなかった。しかし、こうした研究を通じて、これまでに分かっていることが、新型コロナウイルスのワクチンを開発するための手助けにはなるだろう。このウイルスについて学ぶべきことは、まだ山ほどある。 主な懸念事項は、免疫効果が長期にわたって得られないと考えられることだ。一般的なかぜの約4分の1は、ヒトコロナウイルスにより引き起こされる。しかしその免疫反応はあまりにも急速に弱まるため、感染が繰り返し起きてしまう。 コロナウイルスを長年研究している米アイオワ大学のスタンリー・パールマン博士は、「特に難しいのはそこだ」と話す。「重い感染症でない限り、自然感染では大した免疫が得られないということならば、ワクチンの場合はどうなのだろうか? 効果はあるのかもしれないが、私たちには分からない」 ウイルスの遺伝的安定性も重要だ。ウイルスの中には、インフルエンザのように目まぐるしく突然変異するものがあり、それに対応するためにはワクチンをその都度調整する必要がある。エイズのワクチンがまだ存在しないのもHIVのそのような変化が主な理由となっている。 |
さらに5年前に流行った「今冬のSARS対策について」によると、SARSのワクチンは「国立感染症研究所や国立療養所近畿中央病院等が共同で、SARSワクチンの開発に取り組んでおり、DNAワクチンや不活化ワクチンの開発に着手したところです。しかし、ワクチン開発にはウイルスの病原性や免疫機能等の解明に関する基礎的な研究が必要であり、また、ワクチンの安全性や有効性の確認のために年単位の期間を要しますので、開発にはさらに数年かかると考えられます。」となっており、現在でも国内で承認されたワクチン存在しない。
「ワクチン開発、急ぐべきでない 免疫学の第一人者が警鐘」
【東京新聞より】
新型コロナウイルス収束の鍵と期待されるワクチン。政府は海外の大手製薬会社から早期に大量調達しようと動いている。日本免疫学会長などを務めた大阪大免疫学フロンティア研究センターの宮坂昌之招聘教授は、コロナはワクチンが作りにくい厄介なウイルスだと指摘し「国内で慎重に臨床試験をしないと効果は確かめられず、期間を短縮すると重大な副作用を見逃す恐れもある」と警鐘を鳴らす。(森耕一) ◆抗体できても役に立たない場合も 宮坂さんには苦い経験がある。かつて研究で飼育していたマウスの間で、コロナウイルスの大量感染が起きた。「調べると、感染したマウスは抗体を作るが治らない。免疫を回避する能力の高い厄介なウイルスだと思った」と振り返る。 ワクチン開発で世界のトップを走る製薬会社は、バイオテクノロジーを駆使する「遺伝子ワクチン」という技術を活用。「接種したら抗体ができた」と効果を発表している。宮坂さんは「遺伝子ワクチン技術は有効である可能性が高い」と認める一方、「できた抗体の量が十分かどうかも分からない。コロナの場合、抗体ができても役に立たない場合がある」と指摘する。 ◆「悪玉抗体」が作られる恐れ それどころか、感染時にかえって病気を悪化させる「悪玉抗体」が作られる恐れがあるという。悪玉抗体がウイルスと結びつくと、全身の免疫細胞の1種が感染してしまう。抗体依存性免疫増強(ADE)と呼ばれる症状だ。新型コロナに近いSARSの動物実験で確認されており、宮坂さんは「コロナウイルスが手ごわい理由」と話す。 こうした副作用を防ぐため、ワクチン開発ではまず動物実験から始め、次に少人数の接種、最後は数千~1万人規模で接種して効果と安全性を調べる必要がある。ADEは個人差も大きく、宮坂さんは「安全性や予防効果は、大規模な接種から1年程度経過しないとわからない」とみている。 海外の臨床試験で承認されたワクチンが、すぐに国内でも承認される可能性が高い。宮坂さんは「過去には海外の承認薬をそのまま国内で使って重大な副作用が起きた例がある。人種差もあるので国内で試験をするべきだ」と訴える。 ◆手順を踏まずに接種をすれば人体実験に 開発を急ぐあまり、試験に時間をかけない動きには「きちんと手順を踏まずに接種をすれば人体実験になってしまう。効果の低いワクチンで安心し、かえって感染を広げることも。効いたらもうけものだという考えではだめ。有効なワクチンの開発には2年はかかるだろう」と指摘する。 |
安倍晋三の最後で唯一の政治的レガシーであろう「五輪開会式出席」のために多くの日本人をワクチンの人体実験にすることは許されない、とオジオサンは思う。