なぜなのか国内のテレビニュースにおけるウクライナ国内の状況を伝える映像は固定化しているようだ。
もっとも日本の組織ジャーナリストは戦渦の地域には企業が派遣を認めないのだから、正確でタイムリーな情報は得ることが困難であろうから、したがってこんな無難な記事が出てしまう。
金子勝立教大学大学院特任教授が経済学者の立場からこんな記事を書いていた。
「チグハグの対ロ制裁 アベのツケで専制国家にエネルギー安保を委ねる意味不明」
ロシアによるウクライナ侵攻をめぐり、国連総会は緊急特別会合で「即時無条件撤退」を求める決議を圧倒的多数で採択した。人権理事会でラブロフ外相がビデオ演説を始めると、各国の外交官が一斉退席した。 日本にとって大きな問題は、欧米に足並みをそろえて対ロ経済制裁に踏み切ったものの、方向性が見えないことだ。ロシア極東の石油ガス開発事業「サハリン2」から英石油大手シェルが撤退を決めたが、三井物産や三菱商事は対応を決めあぐねている。岸田政権はエネルギー安全保障の観点から撤退を求めないとするからだ。経産省、伊藤忠や丸紅などが出資中の「サハリン1」からはエクソンモービルが撤退するが、政府の態度は曖昧だ。専制国家のロシアにエネルギー供給を依存し続けることのどこが安全保障なのか。おまけにサハリン2では液化天然ガスの採掘技術を提供するおバカぶりだ。 経済同友会の桜田謙悟代表幹事はサハリン2について「ロシアが国際法違反を繰り返しながら、何もなかったかのように取引をしていくことは多分考えられない」と指摘。国際ビジネス感覚からいって、サハリン2を通じてロシアに戦争財源を与えるようなプロジェクト継続は無理だ。遠からず撤退を迫られることになるだろう。当然だ。安倍元首相が北方領土返還を政権のレガシーにしようともくろみ、前のめりで3000億円規模の投融資をした一環でサハリン2は延命した。利益の大半を国営エネルギー会社ガスプロムに持っていかれるのを承知で安倍が推進したのだ。巡り巡って対ロ制裁がチグハグな結果となり、日本は国際社会でみっともない姿をさらけ出している。 岸田首相が会見で省エネを呼びかけたのもマヌケだった。エネルギー戦略を抜本的に見直さなければ、安倍政権時代の失策のシワ寄せで日本経済はますます傾く。肩入れした原発輸出戦略はすべて失敗。主要なエネルギー源を再生可能エネルギーや蓄電池へ移行しなかったツケをいま払わされている。アベノミクスによる金融緩和と財政赤字の垂れ流しで利上げできず、円安が輸入物価高を招き、庶民の暮らしを圧迫している。混乱に乗じて核共有議論をブチ上げたのも許しがたい。維新の連中が乗っかろうとしているが、大阪の新型コロナウイルス失策をごまかそうという算段なのだろう。核共有は抑止力になるどころか、戦争に巻き込まれるリスクを高めることになる。 何をさておいても「STOPプーチン」だ。 |
結局のところ、安倍晋三の過去の負のレガシーと岸田文雄の政策批判に終始したようである。
それは毒にも薬にもならない内容なので、本人も「どうでもよい話」と思ったらしく、時節柄なのか、最後にとってつけたように「STOPプーチン」と脈絡のない一言で〆ていた。
ウクライナ侵攻を命じたロシアのプーチンをまともに批判しながら安倍晋三の「火事場ドロボー」的な発言を批判する記事もあった。
「これが戦争の狂気 とまらない殺戮と憎悪の連鎖で交渉不能」
■プーチンを怒らせたドローン攻撃 国際世論は「ロシアが悪、ウクライナが善」という単純な構図になっているが、ウクライナに全く非がないわけではない。 そもそも、プーチンの怒りに火をつけたのは、昨年10月、“ミンスク合意"を破って、ウクライナ側が親ロシア派が事実上支配するウクライナ東部地域にドローンで攻撃を加えたことだ。 ミンスク合意を受けて20年7月に強化された協定では、ロシアとウクライナ双方にドローンなど航空戦力の使用を禁じている。ところが、ウクライナは協定を破って攻撃に打って出たのだ。さすがにこれには、協定締結に汗をかいたドイツからも批判が上がったほどだ。 しかも、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両州では、もともとウクライナ語を母国語とする市民が全体の3割で、ロシア語を母国語とする市民が7割を占めていたのに、ウクライナ政府はロシア語を公用語として認めず、ウクライナ語を話せない人を公的職場から排除してしまった。これが原因となり、親ロシア派の独立運動が起こり、武力衝突にまで発展したとみられているのだ。 しかも、ウクライナは、NATOに加盟する方針を憲法に入れてしまった。 外交交渉は両者が譲歩しなければ成立しない。このままでは、プーチンが国際世論に包囲されて白旗を揚げるか、ウクライナが焦土化するまで戦争が続いてしまうのではないか。 国際社会は、それぞれのメンツが立つ妥協点を大急ぎで用意すべきだ。さもないと、第3次世界大戦に突入する恐れだって捨てきれない。 ■戦争に便乗する自民党議員 戦争に興奮し、冷静さを失っているのは、日本も同じだ。 安倍元首相などは、「ウクライナは核兵器を放棄したからロシアに侵略された」という理屈を持ち出し、公然と“核シェアリング"を訴える始末だ。自民党や維新からも、次々に“核シェアリング"論が噴き出している。突然、日本の国是である“非核三原則"を捨て去るべきだという主張が横行している。
さらに、原油の高騰を受けて「原発再稼働論」まで高まっている状態だ。ウクライナの原発が、ロシア軍の攻撃のターゲットになり、原発を保有するリスクが明らかになったのに、目の前の原油高騰に慌てふためいている。 ロシアのウクライナ侵攻をきっかけに、日本国内も狂いはじめている。 プーチン大統領の狂気が、世界を一変させている。原油も食料も急騰し、世界中の株価が暴落。どの国も軍備拡大に動こうとしている。 一刻も早く、この戦争の出口を見つけないと、世界は破滅に向かってしまう。 |
「仲介役に必要なのは、それぞれの立場を理解し、双方のメンツが立つようにすることです。メルケル首相には、その手腕があったということです。ところが、いまどこにも適任者がいない。ロシア軍は、昨年からウクライナの国境沿いに集結していた。アメリカもEUも、いくらでも仲介できたはずなのに、動こうともしませんでした」
「政治家の本質は、非常時にこそ分かる。極端なことを主張して国民をあおる者、迎合する者、あるいは非常事態に便乗する者。“核シェアリング論"や“原発再稼働論"は、典型的な便乗です。世の中が浮足立ち、落ち着いた議論をやれそうにない時に一気に野望を実現させてしまおうということでしょう。でも、火事場ドロボーのようなやり方は、ロクな結果にならない。この状態は非常に危険です」
(法大名誉教授・五十嵐仁=政治学)
「ウクライナは、ロシアに侵攻の口実を与えてしまったのも同然です。ロシア語も母国語とすることを認めれば、親ロシア派が武装化することはなかった可能性がある」
「プーチン大統領は、米国が約束を破ったと思っているはずです。1990年にベルリンの壁が崩壊した時、当時のベーカー米国務長官は、『NATOの東方拡大はしない』と旧ソ連に約束している。ところが、約束は守られず、ポーランドやハンガリーなどが次々にNATOに加盟した。いわば“敵陣営"であるNATOへの加盟国が増え続け、ロシアに迫っていることに対してプーチンは強い危機感を持ったはずです。さすがに、国境を接するウクライナのNATO加盟だけは、絶対に認められなかったのでしょう」
(元外務省国際情報局長の孫崎享)
「プーチン大統領の狂気」という上記の記事に対してはこんな批判的な声があった。
「文脈からなぜ「プーチン大統領の狂気」になるのかさっぱりわからない。
ゼレンスキー政権の過去数年に亘るロシアに対する好戦・挑発的姿勢こそ「狂気」ではないのか?
自国および自国民を「盾」として国際社会に高値で売り込み、
国内での人種差別を大いに助長し、東部地域ではロシア系住民の人権を蹂躙し、
ネオナチの流れを引く右翼過激派を養成し、
加盟要件も満たさないまともな国でもないのに、NATO加盟を勝手に言い始め、
つまり、ゼレンスキー政権は愛国者を気取ったその実は戦争マフィアではないのか?」
国内ではウクライナ大統領のゼレンスキーを、侵略者プーチンと戦う英雄視するような単純な人も見受けられるのだが、まったく事実はその反対であるというフランス人ジャーナリストが証言していた。
ウクライナ危機、フランス人ジャーナリストが証言「ウクライナを爆撃しているのはロシア軍ではない」CNEWS 2022/03/01ウクライナ危機、フランス人ジャーナリストが証言「ウクライナを爆撃しているのはロシア軍ではない」CNEWS 2022/03/01
「この女性の告発に皆、動揺していますね、かなり怪しい戦争で裏がありそうと常に思っていました、この動画はかなり確信を突いているようです、貴重な情報をありがとうございます。」
「これは本当に凄いニュースですね。
フランス人の女性ジャーナリストが2014年からドンバスとドネツクで取材を続けていた事に驚愕します。 こういう人が本当のジャーナリストですよね。
TVで対談していた男性はそこには行ったと言っていますが、自分の見たい物だけを見て判断していたのでしょう。
アンさんの身が安全である事を祈ります。
ウクライナの現実を伝えて頂き本当にありがとうございました。
マタタヒさん、この動画をUPしてくださりありがとうございました。」
「フランス人の記者の方の情報がウクライナの真実だと思います。貴重な情報有難うございます🙇♀️✨
日本は戦争を知らない人が多い時代になったのですぐに戦争に反対しメディアを信じて人道支援しますがかえって敵に塩を贈ることになり兼ねません。」
「小耳にした話ではこうした内容の情報を聞いてはいたけれど、正直疑ってはいましたが本当だったとは…。
メディアのこれまでの大の統の領の選やコロの情報を踏まえれば、またかとする思った次第です。
貴重な情報に感謝いたします。」
「ジャーナリズム、ジャーナリスト、本当のジャーナリストとはこう言う方のことを指すと思います。間違っても現地に行かず、あるいは日本のマスコミのようにYouTubeの動画であるとか、ネオコンの流す情報をそのまま流すのはジャーナリズムとは言わないと思います。
この動画の内容が真実かどうかについて、一般の我々には断定はできませんが、この数年世界中で起きていることを考えると個人的には正しいのではないかと推測します。
この動画は無視できない、そう思います。」
参考までに、「優勢なロシア、行き詰まる米欧、多極化する世界」と題した記事を掲載しておく。
国連事務局が職員あてのメールで、ウクライナの事態を「戦争」とか「侵攻」と呼ぶことを禁止し、公平性を保つために「紛争」とか「軍事攻撃」と呼ぶよう求めていることが3月8日に報じられた。メールは同時に、国連職員がインターネットでの書き込みで、ウクライナを支持する意味でウクライナ国旗の絵をつけるのをやめるよう要請している。国連はロシアを非難せず、中立の姿勢をとることにした。 今回のウクライナの事態をめぐっては、米欧日(米国側)が「戦争・侵攻」という言葉を多用してロシアを非難・敵視している半面、中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカといったBRICS諸国や、中露と親しい非米諸国は、戦争や侵攻という言葉を使うことを否定し、ロシアへの非難や敵視も拒否し、中立な姿勢をとっている。この図式に当てはめると、国連は、米国側でなくBRICS非米側の傘下に入ったことになる。今回、国連を主導する5大国(安保理常任理事国、P5)のうち米英仏は米国側で、中露は非米側であるが、国連自身は非米側に入った。国連では、米国より中露の方が強いことが示されている。3月1日に国連人権理事会でロシア外相のビデオ演説が始まる ・・中略・・ (私から見ると、露軍とウクライナ軍・民兵団の間で戦闘が起きているのでこれは「戦争」だと思うし、露軍がウクライナに越境して進軍したのだから「侵攻」だと思う。戦争や侵攻という言葉は中立的な意味で使える。私は2014年以来のウクライナの事態に関してロシアより米国の方がはるかに悪く、米英が加害者で、ロシアとウクライナは被害者だと考えているが、それと別の話として、今後もウクライナの事態に対して戦争、侵攻という言葉を使うのをやめない) (ロシアは正義のためにウクライナに侵攻するかも) 国連がウクライナの事態を戦争・侵攻と呼ぶのをやめたのとほぼ同時に、習近平の中国も、戦争・侵攻という言葉を使わないことにしたと発表し、ロシアを制裁・敵視することにも反対を表明した。国連がウクライナを戦争と呼ばなくなったのは中国の意向が大きい感じだ。ここ数年、中国は国連での影響力が飛躍的に増大し、コロナになってからは国連が中国の傀儡機関になった観すらある。中国はBRICSや非米諸国の盟主でもある。中国側が世界を席巻し、米国側が孤立していく感じが増している。 サウジアラビアが主導するアラブ連盟も2月28日に、ロシアを非難することを避けつつ「ウクライナ問題は話し合いで解決すべき」とする中立宣言の決議を出している。アラブ連盟は少し前まで、サウジやUAEやエジプトやヨルダンなど米傀儡諸国の集合体だったが、いまや対米従属をやめて非米諸国の側に転向している。サウジやUAEなどアラブ連盟には産油国がいくつもあるが、それらの石油利権は今や米国よりも中国に近い存在になっている。サウジのMbS皇太子は、バイデンからの電話に出ず、代わりにプーチンと電話している。 そんな状況なのにバイデン米大統領は、ロシアから石油ガスを輸入しない対露制裁をやる分の石油輸入の穴埋めとして、サウジからの輸入を増やしたいと考え、春にサウジを訪問することを検討し始めた。以前の米国は電話1本でサウジから石油をいくらでも買えたのに、今では米大統領がサウジを訪問して媚びないと売ってもらえない。これまで米国はさんざんサウジに意地悪してきたので、サウジは露中の側に転向した。今ごろ間抜けぶりをさらして何やってんだ、もっと戦略的に動けよ、という感じだ。米国は、かなり前から覇権国として失格だ。それなのに同盟諸国がぶら下がり続けたので、米国はますますダメになった。 米国はロシアだけでなく中国も猛烈に敵視しているが、中国から見ると、こうした米国(欧日)、の戦略は「腹立たしい」というよりも「間抜けだなあ。馬鹿じゃないか」という感じだ。習近平は、米欧が今のように強烈にロシアを経済制裁し続けると、ロシアでなく世界(主に米国側)の金融システムやエネルギー体制、経済そのものが破綻するぞと警告している。中国はロシアと経済関係を続けるので、欧米が買うはずだったロシアの石油は中国が買う。ロシアはこの日に備え、ウラルの石油を西(欧州)にも東(中国)にも送れるようになっており、バルブを開け閉めするだけだ。ロシアは開戦前の2月に、手持ちの中国国債を中国政府に売る形で戦費を得ている。ロシアは自国の石油ガス鉱物を担保に中国から軍資金を借りている。今後も、中国に売ったり借りたりするかたちでロシアは資金を得られる。工業製品なども中国から調達し続けられる。ロシアは、欧米から経済制裁されても大して困らず、欧米に石油ガスや鉱物資源を売らない報復的な逆制裁をやっている。 10年以上前から世界の石油ガス利権は、米欧側から中露側に移転する傾向が続いてきた。米欧側は、地球温暖化の妄想に取り憑かれ、米国のシェール革命(実はコスト高)もあり、石油ガス利権をどんどん放棄してきた。今やサウジもイランもイラクもカタール(ガス大国)も非米側だ。アフリカの石油利権も中国が買い占めた。米国側はイラクを占領したのに石油利権をとらず、中国に持っていかれた。全く馬鹿だ。米欧側は石油ガス利権を放棄して中露側に与えてしまった挙げ句、今回の対露制裁をやり出した。実は最初から米欧側が負けている。おそらく今後ずっと、米欧日が買える石油ガスの値段は下がらない。米欧日の生活水準は下がっていく。中国は経済大国であり続ける。すでに勝負はついている。 (反米諸国に移る石油利権) (歪曲が軽信され続ける地球温暖化人為説) もし米欧が今回のような決定的なロシア外し・対露制裁をやらなかったら、中国はそれほどロシア寄りにならなかっただろう。しかし米欧は決定的にロシアを外した。中国は、外されたロシアを丸ごと受け取る以外に選択肢がない。中国がプーチンを助けなければ、プーチンは弱体化して政権転覆され、ロシアはプーチン以前のような米英傀儡に乗っ取られた国になる。中央アジア諸国も米国側に奪われ、地政学的に中国自身が弱体化させられてしまう。だから中国がプーチンを見捨てることはない。ロシアは中国の10分の1しか人口がいない。中国がロシアを経済的に助けるのは簡単だ。2-3年ぐらいなら、中国は余裕でロシアの戦争を支援できる。ロシアは見返りに石油ガス利権を中国にくれる。中国は、米欧に外されたロシアを喜んで丸ごと受け取る。そうすれば米欧は石油ガスを買う先がなくなり自滅していく。中国は好きなように多極型世界を運営していける(中国はコスト高な世界覇権など要らない。多極型を好む)。中国にとってこんなおいしい話はない。 (中露の非ドル化) (中露に米国覇権を引き倒させるトランプ) 中国に助けられて勝算があるので、プーチンは今回の戦争でとても強気だ。米欧から経済制裁されても態度を軟化せず、ウクライナが非武装の中立国(米英の傀儡に戻らないようロシアの監視下にある国)になるまで戦争(特殊作戦)を続けると言っている。プーチンは、仲裁役をかって出たイスラエルのベネット首相が驚くほどの不動の強気だ。マスコミは「プーチンの誤算」みたいな記事を出しているが、誤算したのは米欧の方だ。ロシア国内でのプーチンの人気は下がらず、むしろ上がっているようだ。ロシア政府が3月11日に自国と世界のインターネットの間に中国製のファイアーウォールを挟み込むという話もある。ビザやマスターカードが撤退し、ロシアのクレジットカードは中国の銀聯になった。ロシアは「中国化」して生き延びる。 ロシア政府は「欧州がロシアを制裁し続けるなら、ロシアはドイツやフランスに天然ガスを送っているノルドストリーム1のパイプラインを止めるぞ」と言い出している(2は不稼働になったが、1は10年ぐらい稼働している)。ドイツのエネルギー源の半分近くがロシアのガスだ。ノルドストリーム1を止められたら、ドイツは経済的に殺されてしまう。フランスも同様だ。開戦直後はロシアに対して強硬だった独仏が、ここにきて急に対露和解的になっている。死にたくないから融和的になるしかない。ドイツは「ロシアからの石油ガス輸入がないとやっていけないので、わが国はロシアを制裁しません」と宣言した。ドイツ首相はウクライナ側に「貴国はNATOに入れません」と宣告した。フランスのマクロン大統領は「ロシアの人々の尊厳は守られるべきだ」と言って対露和解の姿勢を強めている。習近平は、独仏に対して一緒に和解交渉を仲介しようと誘ったと言っており、中独仏が(米国抜きで)ロシアとウクライナの交渉を仲裁しているようだ。 中独仏は、ウクライナのゼレンスキー大統領に譲歩しろと加圧しているようでもある。ゼレンスキーは3月8日、NATO加盟をあきらめ、クリミアのロシア帰属を認め、ドンバスの分離独立を認める方向でロシアと話し合っても良いと言い出している感じだ。ロシア側はそれらの3点だけでなく、ウクライナの権力構造を、大統領が権力を握っていた従来の構図から、大統領はお飾りで首相が権力を握る構図に転換し、ゼレンスキーはお飾りの大統領として残り、新たに強権を持つ首相にロシアと親しい政治家を就ける案を飲めとゼレンスキーに要求しているらしい。ゼレンスキーは、失権するが最低限の延命はできる。 ゼレンスキーがロシアの要求を飲めばウクライナ戦争は終わっていき、米欧とロシアとの制裁合戦は終わり、石油ガスの価格が下がる。だが、本当にそうなるかどうか怪しい。米大統領府は、対露制裁が引き起こすガソリンなどの高騰は長期化しそうだと言っている。間もなくゼレンスキーがロシアと和解しそうなら、米国がこんな予測を言わないはずだ。今後、中独仏が和解を成功させそうになると、米国が邪魔して潰すのでないか。米国は諜報界の隠れ多極主義者に動かされている観が強く、米欧とくに欧州がロシアとの制裁合戦に負けて潰れていく展開をこっそり好んでいる。中露も、欧米が自滅して自分たちが強くなる多極化を好んでいる。ゼレンスキーが譲歩してロシアとウクライナが和解したとしても、米国による過激な露中敵視が続くとか、他のシナリオもあり得るが、ウクライナをめぐる対立自体はたぶん長引く。( バイデンの米国はロシアから石油ガスなどを買わないことにしたが、それを穴埋めするため、これまで敵視・制裁してきた南米の産油国ベネズエラと和解することを模索している。米国がユーラシア大陸のロシアと縁を切り、代わりに南米ベネズエラから石油を買うことは、米国の「西半球化」「孤立主義」を意味している。きたるべき多極型世界において米国は、西半球つまり南北米州の地域覇権国になる。米国でバイデン政権を操っている勢力(諜報界=深奥国家)は、米国の西半球化、世界の多極化を誘導しているように見える。 これを田中宇の妄想と切って捨てられない現実が、少し考えると見えてくる。米国はロシアからの石油を輸入しなくても、ベネズエラやカナダや米国内シェール油田の石油があるので何とかなる。米国は、世界が多極型になっても米州内で自活できる。しかし欧州は対照的にロシアから石油ガスを輸入し続けないとやっていけない。すでに述べたように、イランやサウジなど中東の産油国は、以前よりはるかに非米側であり、欧州に石油ガスを売ってくれるとしても以前よりかなり高い値段になる。これまでのように中露イランを敵視したままだと、誰も欧州に石油ガスを売ってくれない。欧州が行き詰まって米国に相談しても、米国は何もしてくれず、「うちは西半球の国だからね」と言われる。 欧州だけでなく日本も同様だ。中露と敵対し続けていると石油ガスを得られなくなっていく。サハリン油田は大事にすべきだ。ロシアや中国で服を売り続けるユニクロが、これからのビジネスモデルとして正しい。逆に、軍産傀儡の道を行く楽天の経営者は、今後の世界が見えていない(軽信者ばかりの日本国内向けだけの演技なら、こっちの方が良いのかな?。一億総自滅。哀しいね)。多極化を妄想と言って軽視していると、日本はしだいに貧しくて行き詰まった状態になっていく。今ならまだ間に合う。それとも一億総自滅の方が楽か? |
少なくとも米国は自国で石油と天然ガスはある程度は調達できている。
したがって資源的にはロシアの影響は全く受けないのだが、米国の思惑と中露戦略に乗って日本がロシア制裁を声高に叫ぶようならば、いつかは厳しいエネルギー不足に襲われる可能性が大であろう、とオジサンは思う。