かつて赤旗のインタビューに「共産党に期待することは、マルクスの教えのもっとも本質的なところ、すなわち『ものごとを根底的にとらえる』という意味でラディカルな政党であってほしいということです」と答えていた、武道家でもある内田樹。
オジサンと同世代で東大の入試が中止になった年に、予備校に入ったことまでは似ているが、その後の歩みは雲泥の差であることは言うまでもない。
先日も紹介した内田樹の「桜を見る会再論」の中のこの指摘が改めて思い起こされたのが昨日の衆院予算委員会。
「自分の知性が健全に機能していないということを「切り札」にしている人間を「理詰め」で落とすことはできない。」
「首相は「自分は論理的に思考しないので、『論理的にあり得ない』ことがあっても別にそれが不思議だと思わない。言葉の語義はわかるけれども、それが含意しているコノテーションはわからない」という『おのれの知性が普通の人よりも不調である』という主張によって有罪性を免れようとしている。」
安倍晋三と「桜を見る会」の前夜祭、昭恵夫人からの推薦:2/5 衆院・予算委
「この委員長『棚橋泰文』は、質問に答えず誤魔化し時間稼ぎご飯論法を繰り返す安倍に対して何一つ注意を促すことをせず、野党側の抗議を無視し時間を止めることすら意図的に避ける。これほどまでに太々しい態度で露骨な政権忖度を行う委員長は初めてでないだろうか?国会の委員長として公平性の微塵の欠片もない。棚橋よ、恥の極みを知れ!」と、相変わらず杜撰な議事進行を繰り返す棚橋泰文委員長への批判は絶えなかった。
衆院予算委
— 但馬問屋 (@wanpakuten) February 5, 2020
大串議員
「先週、総理が答弁した『多少のキャンセルが出てもよいということで契約した』…。この契約や了解をしたのは安倍事務所ではなかったのか?」
話をそらす安倍首相。
大串議員「聞かれたことだけ答えて」
安倍首相
「契約というのは訂正。合意をしている」
…合意?はぁ? pic.twitter.com/h3rJRCeROL
衆院予算委
— 但馬問屋 (@wanpakuten) February 5, 2020
大串議員
「参加者が個々に契約をしたというのは、民法上の契約か?」
安倍首相
「確認ぐらいさせてくださいよ。何か正確性を欠く言葉を言って、その揚げ足取りをしようとする意図があるのではないか?」
揚げ足取りも何も、全て正確性を欠くだろ。
それにしても、理解不能な答弁だわ。 pic.twitter.com/W2DhVUZrw0
いつものように、質問には答えず自分の言い分だけをしつこく答弁する。
野党議員がいくら止めても無視して、立て板に水を流す如く持論の展開。
これはある意味、「個人芸の域に達している」と誰かさんが言っていた。
この日も、「まさに」「いわば」を枕詞にして「合意、対価、参加者、主体は個々人」を入れつつ、合いの手に「いちいち」も入れてた答弁の連続。
さらに安倍晋三の特徴は、「民主党政権もやっていた」を必ず持ち出す。
「他の政権がやっていたから」が、自分が酷い事をやっていた事の免罪符になっているらしいのだが、そのレベルは大きく異なることは言うまでもない。
こんな安倍晋三をどうやって葬り去ることができるのか?
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」という有名な諺がある。
その意味とは少々異なるが、「軽くてパー」として担がれた安倍晋三を射るには、担いだ連中や支えているキーマンを射ることが先決となる。
そんな思いに馳せてしまう記事があった。
<菅官房長官辞任なら自民党内で「菅の乱」も 安倍一強終焉か> 2020.02.06 07:00 週刊ポスト 自民党の「河井夫妻」をめぐる公職選挙法違反容疑での捜査をはじめ、“影の総理”とまで言われた菅義偉官房長官にさまざまな逆風が吹き、「2月辞任説」と「6月辞任説」という具体的な見立てまで飛び出している。実際、自民党のなかにも、菅氏の辞任を望む声もあるという。 「菅氏を辞めさせたい」勢力には、安倍晋三首相-麻生太郎副総理-今井尚哉官房長官(現在は総理首席秘書官だが、菅氏の次の官房長官との声もある)という新たな政権中枢ラインの形成と、党務は二階俊博幹事長を交代させて岸田文雄幹事長が握る陣容を想定していることが透けて見えてくる。 しかし、ひとたび菅氏が野に下れば、安倍首相にとって強敵として立ちはだかるはずだ。菅義偉という政治家の本質は、体制の変革を求める根っからの改革派で「乱」を好む。 その政治経歴を見ると、小渕派時代は総裁選で小渕恵三氏に反旗を翻した梶山静六氏に従った。その後、宏池会に移ってからは、「加藤の乱」に参加して森内閣不信任案に欠席するなど「造反」の繰り返しだ。それがゆえに党内長老からは“反骨精神が過剰な要注意人物”とも見られていた。 安倍首相には忠実に仕えているように見えるが、それも体制改革で一致したからだ。菅氏は内閣人事局をつくって官僚の人事権を掌握し、官僚主導政治を政治主導に転換させた。それが安倍長期政権の原動力となった。政治ジャーナリストの藤本順一氏が言う。 「いま政治を動かしているキーマンは菅さんです。官房長官を解任すれば、安倍さんは霞が関ににらみが利かなくなる。スキャンダルを防いでいた防波堤がなくなり、間違いなく安倍長期政権は瓦解に向かい始める」 そうなった時、切り捨てられた菅氏が安倍首相に忠誠を尽くし、政権を支える理由はなくなる。菅氏に近い二階派ベテラン議員が“菅の乱”が起きると予言する。 「これまで自民党内に反安倍勢力といえるものはなかったが、菅官房長官の更迭、岸田幹事長となれば、政権中枢を追われた形の菅、二階、それに竹下派や大乱を望む石破派、改憲反対の谷垣グループなど非主流派を加えて党内に大きな反安倍勢力ができる。そうなると安倍一強の時代ははっきり終わる」 総裁選は安倍首相の鶴の一声で岸田氏に決まるという状況ではなくなる。 「菅さんが引き立ててきた河野太郎や小泉進次郎といった発信力の強い政治家の存在感も高まる。自民党に権力闘争が蘇れば政治は安倍の次の時代に進む。だから、“菅辞任情報”は菅さんにとっても都合がいいとさえ言える」(二階派ベテラン) 追い詰められたかにみえる菅氏にとって、官房長官辞任の一手は、実は安倍政治をひっくり返すという大政局の始まりにつながる。そう見ると、辞任情報は逆の意味を帯びる。 「私が辞めたら政権の命運は尽きる。それでもいいのか」 菅氏が安倍首相に突きつけた“最後通牒”かもしれない。 ※週刊ポスト2020年2月14日号 |
「いま政治を動かしているキーマンは菅さんです。官房長官を解任すれば、安倍さんは霞が関ににらみが利かなくなる。スキャンダルを防いでいた防波堤がなくなり、間違いなく安倍長期政権は瓦解に向かい始める」かもしれないが、瓦解後の展望が見えなければ何も変わらない。
いわゆる政権の「受け皿」である。
気になる記事があった。
「慎重な枝野、動く前原…野党戦線の混迷で安泰の安倍政権」
この記事によれば、「飛び出して自分らで新党をつくろうかと画策している人が5人も6人もいる」のだという。
・「国民民主党の参院議員の中には自民党の石破茂を引き出してポスト安倍政権を目指すという構想」
・「前原が数人をかき集めて日本維新の会と連携しようと思うがどうだという話」
・「国民民主党を離党した桜井充参院議員は国民から何人かを引き連れて自民党に行きたい」
・無所属の馬淵澄夫はれいわとの連携を探っている」
・「連合ヒモ付きの参院議員の中には『原発推進』で別党をつくるという工作」
世も末の状態で、これでは安倍政権がいくら衰退しても転換の機会は訪れないどころか、ますます弱小野党が生まれる可能性もあり、有権者の政治離れと政党離れが進んでいくのではないだろうか、とオジサンは思う。