今月号のサイクルスポーツ誌に、僕がここ数ヶ月研究していたことの答えのほとんどが書かれていたので覚書として記す。
僕のライディング・フォームは、エ◯ゾ早川全盛期のバイシクルクラブ誌がその基礎にあるので、引き足を積極的に使いながらくるくると90rpm以上で回すものであった。そのため、セッティングもサドルが後ろ気味で背中を丸めて走ってきたが、最近はむしろ速く走るためにペダルを踏む乗り方の方が主流になってきたように思う。おそらく踏む方がレースなのでは主流の乗り方だろうと考えていたのだが、実際にどうすれば良いのかなかなか答えが出なかった。踏む、正確には体重を乗せるペダリングのヒントとしてきたのは、一つはいわゆるやまめの学校式のおじぎ乗り、もう一つが千葉のサイクル◯リーダムの店長が最速店長の連載や日記で伝える走り方である。
おじぎ乗りは、体重をペダルに交互に乗せ続けることで「夢の永久機関」と呼ばれる体重で勝手にペダルがくるくると回る乗り方を目標としている。この乗り方については、僕はうまく再現ができなかったことと、主催者が述べるステム高めサドル低めのセッティング等が納得できなかったので、頭に留めはしたものの実践はしていなかった。(なお、やまめの学校の理論と理想はとても面白いので、一読を勧める)
サイクル◯リーダムの店長の記事や発言については、まとまったものが出ていないので、HPの日記などから概要を拾ってきた。
・ハンドルとサドルの落差は大きい方がいい。(その方が有効なエアロポジションが取れ、体重がハンドルに乗らないからか)
・自分の教える乗り方なら、42km/hはそこそこ筋肉がある人であれば誰でも維持できる。鍛えれば45km/hも行ける。
・主動力は大腿四頭筋。ハムストリングスとか尻とか腰とかいろいろ言うけれど、結局全部大腿四頭筋で踏むことのバリエーション。
・とはいえ、筋肉を使うことよりも体重を使うことが大事。自分の筋肉だけで走ったら、37km/hも出ない。
・ケイデンスは低め(高くできる人もたまにいるが)。そのため、心拍数はあまり上がらない、最終局面まで心拍は取っておく。
・自分の乗り方には、ボーラのしなり方が合っている。
・腹筋をたくさんしている。
やまめとサイクル◯リーダムについては、ペダルに体重を乗せるということ以外対照的であり、僕にとっては夢みたいなこの二つの乗り方を結び実現する方法を考えていたが、今月号のサイクルスポーツ誌の特集に、宇都宮ブリッツェンのプロ選手の乗り方ということで答えが書いていた。
記事の表現に沿えば、僕の乗り方は「レベル2:後ろ気味に座って接線方向に入力する」の乗り方で脚を前に蹴り出し引き足にトルクを感じる乗り方であった。この乗り方のメリットはペダリングにトルクがムラなくかかり続けるので、ヒルクライム(や負荷をかけた固定ローラー)のような負荷がかかり続ける状況に強いことと、ハムストリングスという中程度の出力を長時間出し続けられる筋肉が主体なので、持久力があることである。僕が、体重が重い割にそこそこに登れる理由の半分はこれである。エン◯早川が勧めていた乗り方も、一応これに分類されるのであろう。(この乗り方も習得に結構時間がかかると思われるが)
一方、今回重要なのが「レベル3:瞬間的に入力してあとは惰性に任せる」乗り方である。3時に体重をぽんと乗せペダルを押し下げ、引き足は腸腰筋でネガティブトルクが出ない程度に脚を持ち上げる。慣性を感じ、任せる。ケイデンスは80rpmがもっとも調子が良い。胴回りが逞しい。まさにサイクル◯リーダム的である。さらに、固定ローラーで手放し前傾をすることで、ペダルに体重が乗りペダルが勝手にくるくると回り出す、というやまめの学校と全く同じことも言っている。サイクル◯リーダムとやまめの学校は異質なもので、正直なところ繋がるとは思っていなかったが、同じものを目指しているのかもしれない。
早速、固定ローラーで手放し前傾をやってみたが、僕はさっぱりできなかった。サドルから前にずり落ちてしまうのと、上体が支えられなかったためである。まずは、腹筋を含めた体幹を鍛え直すことだなと。それに、大腿四頭筋で体重を乗せて踏むという意識がなかなか持てないので、ローラーでイメージトレーニングが必要だ。
興味のある人は、写真もふんだんに使って説明されているのサイクルスポーツ誌を読んだ方が早い。保存版。
なお、おそらく負荷をかけた固定ローラーに乗り続けると「レベル2」になりやすいと思われる。引き足も積極的に使わないと、全然ペダルが回らないので。
さらに、この「レベル3」乗りの究極はおそらくペテル・サガンがツール・デ・フランドルでカンチェラーラから逃げ切った際の高速巡航。腕を上ハンに預け、上半身を脱力しているのだが、脚がおそろしく軽くクルクル回っていた。過酷なレースの最終盤でかなり脚にも来ていたはずだが、体重をペダルに乗せることで、「夢の永久機関」を実現し続けることで効率的に走っていたのだろう。世界チャンピオン恐るべし。