「冬の小鳥」を観ようと朝11時頃岩波ホールに着いたら、30分前なのにチケット売場に人の列。結局私ヌルボの数人前で次回(14:30~)回しに。連休最後の日で、天気もいいし、ということで大勢やってきたのか、それとも作品自体の人気か?
さて、この「冬の小鳥」の感想ですが、思っていたよりもはるかに良かったです。
1970年代。父親に詳しい説明もなく捨てられてカトリックの児童養護施設に入れられ、養子の受け入れ先を待つ女の子ジニの姿は、ウニー・ルコント監督自身の実体験とのことです。具体的な展開のほとんどは創作とのことですが、「9歳だった時の心のままに書いた」という監督の思いがストレートに伝わってくる感じで、子どもの孤独や不安感、悲しみといったものがなんとも痛切に感じられます。(ヌルボのような第三者でも、大人の1人として罪責感のようなものに捉われてしまいます。かつてわが子を養子に出した親はこの映画を観続けることができるでしょうか?)
韓国では、以前から海外への養子が多いことは知っていました。
ホ・ヨンマンの漫画「食客」第1巻にも、<入養(입양.イビャン)>してアメリカに渡った子どもが成人後<思い出の米>を探し求める話がありました。
パンフレットに、石坂浩一先生が「韓国の海外養子の歴史」という一文を寄せています。それによると、韓国から海外に渡った養子は1953~2004年に15万6242人。実際は20万人に上るともいわれるそうです。海外養子の契機は朝鮮戦争中の米軍兵士と韓国女性との間に生まれた戦争孤児。その後も貧困児童を対象に、主にアメリカへの入養が続いたとのことです。
また、56年に設立されたキリスト教原理主義のホルト児童福祉会がこれまでの海外養子の半分を送りだしている、ということも初めて知りました。
ドラマ関係はくわしくないのですが、ソ・ジソプがオーストラリアへの<入養児(입양아.イビャンア)>だった青年を演じた「ごめん、愛してる」や、アイルランドに入養したがアイルランド紛争で家族を失い韓国を訪れた女性をイ・ナヨンが演じた「アイルランド」も90年代以降の海外養子問題への関心の高まりのあらわれといえるようです。
ウニー・ルコント監督は渡仏後初めて1990年に韓国を訪れ、実母にも会っているそうです。子どもがちゃんと成長して幸せになっているならいいですが、たとえば「韓国 養子」でネット検索するとその反対の事例・事件がいろいろあって、考えさせられます。
映画の中でも、「食母(식모.シンモ.家政婦)にさせられてしまう!」と養女に行きたくないと泣き出す少女がいます。十分以上にありうるケースなのでしょう。
この映画の原題は「旅行者(여행자)」ですが、日本題の「冬の小鳥」の方が(めずらしく)いいように思います。
ジニ役のキム・セロンの、ほとんど笑い顔を見せない表情が印象的です。韓国の今年の大ヒット作「アジョシ」でウォンビンと共演しているのが彼女なんですね。ソチラの方も観てみたいです。
【「冬の小鳥(原題「旅行者」)韓国版のポスター。】
さて、この「冬の小鳥」の感想ですが、思っていたよりもはるかに良かったです。
1970年代。父親に詳しい説明もなく捨てられてカトリックの児童養護施設に入れられ、養子の受け入れ先を待つ女の子ジニの姿は、ウニー・ルコント監督自身の実体験とのことです。具体的な展開のほとんどは創作とのことですが、「9歳だった時の心のままに書いた」という監督の思いがストレートに伝わってくる感じで、子どもの孤独や不安感、悲しみといったものがなんとも痛切に感じられます。(ヌルボのような第三者でも、大人の1人として罪責感のようなものに捉われてしまいます。かつてわが子を養子に出した親はこの映画を観続けることができるでしょうか?)
韓国では、以前から海外への養子が多いことは知っていました。
ホ・ヨンマンの漫画「食客」第1巻にも、<入養(입양.イビャン)>してアメリカに渡った子どもが成人後<思い出の米>を探し求める話がありました。
パンフレットに、石坂浩一先生が「韓国の海外養子の歴史」という一文を寄せています。それによると、韓国から海外に渡った養子は1953~2004年に15万6242人。実際は20万人に上るともいわれるそうです。海外養子の契機は朝鮮戦争中の米軍兵士と韓国女性との間に生まれた戦争孤児。その後も貧困児童を対象に、主にアメリカへの入養が続いたとのことです。
また、56年に設立されたキリスト教原理主義のホルト児童福祉会がこれまでの海外養子の半分を送りだしている、ということも初めて知りました。
ドラマ関係はくわしくないのですが、ソ・ジソプがオーストラリアへの<入養児(입양아.イビャンア)>だった青年を演じた「ごめん、愛してる」や、アイルランドに入養したがアイルランド紛争で家族を失い韓国を訪れた女性をイ・ナヨンが演じた「アイルランド」も90年代以降の海外養子問題への関心の高まりのあらわれといえるようです。
ウニー・ルコント監督は渡仏後初めて1990年に韓国を訪れ、実母にも会っているそうです。子どもがちゃんと成長して幸せになっているならいいですが、たとえば「韓国 養子」でネット検索するとその反対の事例・事件がいろいろあって、考えさせられます。
映画の中でも、「食母(식모.シンモ.家政婦)にさせられてしまう!」と養女に行きたくないと泣き出す少女がいます。十分以上にありうるケースなのでしょう。
この映画の原題は「旅行者(여행자)」ですが、日本題の「冬の小鳥」の方が(めずらしく)いいように思います。
ジニ役のキム・セロンの、ほとんど笑い顔を見せない表情が印象的です。韓国の今年の大ヒット作「アジョシ」でウォンビンと共演しているのが彼女なんですね。ソチラの方も観てみたいです。
【「冬の小鳥(原題「旅行者」)韓国版のポスター。】