いよいよ米朝首脳会談です。
焦点はもちろん「非核化」。アメリカは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を追求するとか。ただ、北朝鮮の非核化なのか朝鮮半島の非核化なのか?は不明確。
それに対して北朝鮮側は「体制保証」を求めているとか。
今朝の毎日新聞によると、ポンペオ国務長官は昨日(11日)夜の記者会見で金正恩政権に「特別な体制保証」を提供する用意があると表明したとのことです。
ところで、この「体制保証」とは具体的にどういうことを指すのでしょうか?
私ヌルボが思ったのは、金正恩の支配体制の維持を求めているのかな?ということ。
しかし、その政権の存廃や、体制の維持(or転換等)はその国の人たちが決めるのが当然で、他国に求めることではないし、まして北朝鮮の場合金日成以来3代続く独裁政権の下で住民の生存権をはじめとする基本的人権の侵害が続いているのに、その体制の保証をするのは論外じゃないの?という疑問を持ってきました。
この疑問に対して、初めて目にした記事は、これまでも何度か本ブログで紹介した朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)社会部長の「北朝鮮の体制保証と「韓国並みの繁栄」は同時に可能なのか」という5月25日のコラムです。(日本語版→コチラor→コチラ)
要点を抜粋します。
北朝鮮政権の支持者たちは、北朝鮮経済の破たん原因を外的要因にすり替える。西側諸国の敵対政策・圧力・封鎖のせいだというのだ。これもやはりうそだ。(中略)
北朝鮮経済の失敗の原因は内部矛盾にある。北朝鮮内部矛盾の根にも頂点にも「唯一体制」があることはほとんどの学者が認めている。簡単に言えば、唯一体制とは首領(北朝鮮のトップ)1人がすべてを決定し、人民がそれに服従する体制をいう。(中略)唯一体制は共産独裁とは違う。開発独裁とも全く違う。この体制に会った瞬間、収奪と引き換えに得た日本の資産、共産陣営の援助、西側諸国の好意的投資は、砂漠にまかれた水のように蒸発してしまった。それは今後も同じだろう。
トランプ米大統領は「北朝鮮が核兵器を放棄すれば体制を保証する」と言った。その上、「韓国並みの繁栄」まで約束した。これほどの矛盾はない。体制を保証すればいかなる繁栄も不可能だ。繁栄のためには体制を変えなければならない。究極のことを言えば、体制の変更なしには完全な非核化も達成できない。北朝鮮の体制を支える唯一の力が核だからだ。この回りに回った矛盾を知りながら、口にしない。今の局面が崩れるのではないかとみんな恐れている。
後に知ったことですが、この記事より先の5月17日に団藤保晴氏(ネットジャーナリスト、元朝日新聞記者)による「北朝鮮が米に苛立つのは体制保証への無理解か」という記事(→コチラ)があることを知りました。
南北閣僚級会談を一方的に中止し米朝首脳会談の再考を言い出した北朝鮮。既に始まった軍事演習を理由にしつつも、ポンペオ米国務長官が持ち出した体制保証が求めているモノではないと拒否したのではないでしょうか。金正恩国務委員長ら支配層が求める体制保証は強権的な権力支配構造の維持であり、国民全体を豊かにする普通の国への転換ではないと考えられます。むしろ、国全体が豊かになれば社会が民主化に走って権力は失われます。民主化を阻止するために必要な、中国が「ブラックテクノロジー」でしている国民を監視・管理する技術も資源もありません。
朝鮮日報では、6月4日 イ・ドンフンデジタル編集局政治部長が「「北朝鮮の体制保障」を心配する文在寅大統領」と題したコラム(→コチラ)で次のように書いています。
北朝鮮の体制を心配する文大統領に尋ねずにはおれない。一体どこまで保障するつもりなのか。米国の軍事攻撃からの保護? 相互不可侵? こういうものであれば、助けてやれる。韓半島(朝鮮半島)で戦争を防がなければならないという韓国の立場からは、当然のことだ。
だが、内部の矛盾で自壊を避けられない体制の問題となると、話は別だ。この場合、韓国は金正恩体制の安全を保障できないし、保障してはならない。カダフィの最期を知っている北朝鮮は、「リビア」の話を持ち出すだけで過敏に反応するが、カダフィを殺したのは米国ではなく反乱軍の銃弾だったことを北朝鮮も理解している。「金正恩体制の保障」とは、カダフィのように人民の手で殺されないようにしてくれ、ということなのか。人民の蜂起を米国が防いでやらなければならないのか。
北朝鮮の政権は、いわゆる「白頭の血統」を中心にした少数の既得権を守るため、類例のない反人権政策を繰り広げ、時代に合わない閉鎖経済を維持した。(中略)こんな北朝鮮の体制の安全を、国際社会が保障してやる方法はない。
北朝鮮に対する、完全かつ検証可能で不可逆な体制保障? トランプ大統領ではなく、神が来てもそれはできない。すべきでもない。口癖のように民意と人権を語ってきた学生運動関係者が中心の文在寅政権も同様だ。金正恩体制の保障は、米国や韓国ではなく、北朝鮮人民の手にかかっている。
このような北朝鮮の体制に対する批判的論調は保守紙の筆頭格の朝鮮日報だからこそなので、韓国のメディアあるいは一般の韓国人の全体から見れば少数派でしょう。
ほぼ同様の趣旨で、私ヌルボが共感しつつ読んだのが知日派ジャーナリスト崔碩栄(チェ・ソギョン)氏の6月6日の記事「北朝鮮の「体制保証」と「人権改善」は両立できない」(→コチラ)です。
両国が最も重視している問題は「完全な非核化」と「金正恩体制維持」である。(中略)
もし米国が北朝鮮の段階的非核化を容認し、それに対する見返りとして、北朝鮮の体制を保証して、経済制裁を解除すればどうなるだろうか?
朝鮮半島から核と戦争の脅威がなくなり、南北が経済・文化交流を通じて繁栄を成し遂げる平和の時代が訪れるだろうか?
少なくとも、文在寅政権をはじめとする北朝鮮に信頼と支持を送る人々にはそのように見えているようだ。しかし、北朝鮮の非核化と体制維持が実現されることはあっても、その結果として平和の時代が訪れることは不可能である。少なくとも北朝鮮という「国家」においては。なぜなら、北朝鮮の体制維持と北朝鮮の人権の改善は同時達成が不可能だからだ。
(中略)現在の金正恩体制を維持するためには、人権弾圧は続けるしかない。そうしなければ、体制の維持は不可能だからである。
徹底的に閉鎖された社会で生きてきた北朝鮮住民に開放と交流という経験は動揺をもたらし、それは自然に統治体制への不満と反発という連鎖を起こすだろう。金正恩にとってこれほどの脅威はない。もし米国が非核化の見返りに、金正恩体制の維持を保証したならば彼は依然として国民に閉じられた世界での生活を強いるに違いない。そうすれば内部の動揺が広がることはない。しかし、北朝鮮内では何一つ変われず地獄のような状況が続くだろう。(中略)
外部からの軍事的脅威より怖いのが、内部の反発から始まる体制の崩壊である。それは過去のソ連をはじめ東欧の共産国家が外部からの力の圧力ではなく、内部の反発と抵抗から崩壊した歴史がよく証明している。北朝鮮の立場からすれば、非核化より受け入れがたいのが自国内の人権問題への干渉かもしれない。
ところが、大多数の日本の新聞等は「体制保証」の内容を具体的に説明した記事は探してもなかなか見つかりません。
そんな中、6月5日付の中日新聞・城内康伸記者の「<激動 米朝首脳会談>(2) 体制保証」という記事(→コチラ)を読みました。そこで「アレレ?」と思ったのは右画像の「北朝鮮が求める体制保証」という表の内容。もっぱらアメリカ相手の軍事関係のことしか記されていません。城内康伸氏は東京新聞ソウル支局長だったこともあり、韓国・朝鮮について詳しい人ですが、決していわゆる<親北>ではありません。ただ、この表については疑問を感じたのでいろいろ他の記事を探ってみたというわけです。
記事本文には、次のように書かれています。
専門家は体制保証について「米国が軍事的脅威を解消し、北朝鮮特有の独裁体制を認め、安全を保証することだ」と解説する。
その具体策として、韓国政府高官は(1)朝鮮戦争の終結を宣言した上で休戦協定を平和協定に転換(2)米朝が相互不可侵を約束-などを挙げる。北朝鮮は最終的には、米国との国交正常化を念頭に置くほか、敵視政策の表れと見なす経済制裁の解除も求める。
北朝鮮関係筋は「米国では政権交代がある。口先だけでなく、約束を担保する制度的保証が重要だ」との考えを示している。
・・・ということで、どうも右の表は何のことはない、「韓国政府高官」の考える体制保証ということのようです。つまり、アメリカの「軍事的脅威」の方が「北朝鮮特有の独裁体制」よりずっと問題があるという認識があるようですね。
※朝鮮戦争の終結については、東京新聞の五味洋治編集委員が昨年12月「朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか」(創元社)というタイムリーな本を刊行しています。
最初に記すことだったかもしれませんが、ここで私ヌルボの北朝鮮に対するスタンスを示しておきます。それは「北朝鮮だけではなくどの国についても同様ですが、政府(指導者)とそこの住民を峻別すること」。そしてもちろん、北朝鮮(及び世界各国の)人々の人権を尊重することです。
そんな観点から、北朝鮮住民の生存権をはじめとする基本的人権を否定し続け、政敵を多数粛清してきた金日成以下3代の独裁政権は到底許すことはできません。よほど思い切った改革に踏み出さないかぎりは滅亡を期待するしかありません。(ただし外国からの軍事攻撃は住民や兵士を犠牲にし、その後の国際情勢も不透明になるのでダメ。) 北朝鮮住民の人権問題を重視する観点からは、北朝鮮だけでなく、中国をはじめ韓国・日本・アメリカ・ロシアも共犯といえるかもしれません。住民の人権よりも東アジアの政治的安定を優先してきたから。
もしかしたら、今回の米朝会談もそういう形で終わってしまいそうな気がします・・・。
この記事を書き始めたのが午前10時。ずっと日経の→<米朝首脳会談ライブ>を見ながら書いてきました。
今はもう14:58。「トランプ大統領と金正恩委員長は署名した合意文書を手にして並びました。ワーキング・ランチを含めて約5時間の歴史的な首脳会談が終わりました。」というところです。
はたして、会談の中身はどういうことになっているのか?
この記事、こんな会談当日ではなく、もっと前に書くべきだったですね。
焦点はもちろん「非核化」。アメリカは「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)を追求するとか。ただ、北朝鮮の非核化なのか朝鮮半島の非核化なのか?は不明確。
それに対して北朝鮮側は「体制保証」を求めているとか。
今朝の毎日新聞によると、ポンペオ国務長官は昨日(11日)夜の記者会見で金正恩政権に「特別な体制保証」を提供する用意があると表明したとのことです。
ところで、この「体制保証」とは具体的にどういうことを指すのでしょうか?
私ヌルボが思ったのは、金正恩の支配体制の維持を求めているのかな?ということ。
しかし、その政権の存廃や、体制の維持(or転換等)はその国の人たちが決めるのが当然で、他国に求めることではないし、まして北朝鮮の場合金日成以来3代続く独裁政権の下で住民の生存権をはじめとする基本的人権の侵害が続いているのに、その体制の保証をするのは論外じゃないの?という疑問を持ってきました。
この疑問に対して、初めて目にした記事は、これまでも何度か本ブログで紹介した朝鮮日報の鮮于鉦(ソヌ・ジョン)社会部長の「北朝鮮の体制保証と「韓国並みの繁栄」は同時に可能なのか」という5月25日のコラムです。(日本語版→コチラor→コチラ)
要点を抜粋します。
北朝鮮政権の支持者たちは、北朝鮮経済の破たん原因を外的要因にすり替える。西側諸国の敵対政策・圧力・封鎖のせいだというのだ。これもやはりうそだ。(中略)
北朝鮮経済の失敗の原因は内部矛盾にある。北朝鮮内部矛盾の根にも頂点にも「唯一体制」があることはほとんどの学者が認めている。簡単に言えば、唯一体制とは首領(北朝鮮のトップ)1人がすべてを決定し、人民がそれに服従する体制をいう。(中略)唯一体制は共産独裁とは違う。開発独裁とも全く違う。この体制に会った瞬間、収奪と引き換えに得た日本の資産、共産陣営の援助、西側諸国の好意的投資は、砂漠にまかれた水のように蒸発してしまった。それは今後も同じだろう。
トランプ米大統領は「北朝鮮が核兵器を放棄すれば体制を保証する」と言った。その上、「韓国並みの繁栄」まで約束した。これほどの矛盾はない。体制を保証すればいかなる繁栄も不可能だ。繁栄のためには体制を変えなければならない。究極のことを言えば、体制の変更なしには完全な非核化も達成できない。北朝鮮の体制を支える唯一の力が核だからだ。この回りに回った矛盾を知りながら、口にしない。今の局面が崩れるのではないかとみんな恐れている。
後に知ったことですが、この記事より先の5月17日に団藤保晴氏(ネットジャーナリスト、元朝日新聞記者)による「北朝鮮が米に苛立つのは体制保証への無理解か」という記事(→コチラ)があることを知りました。
南北閣僚級会談を一方的に中止し米朝首脳会談の再考を言い出した北朝鮮。既に始まった軍事演習を理由にしつつも、ポンペオ米国務長官が持ち出した体制保証が求めているモノではないと拒否したのではないでしょうか。金正恩国務委員長ら支配層が求める体制保証は強権的な権力支配構造の維持であり、国民全体を豊かにする普通の国への転換ではないと考えられます。むしろ、国全体が豊かになれば社会が民主化に走って権力は失われます。民主化を阻止するために必要な、中国が「ブラックテクノロジー」でしている国民を監視・管理する技術も資源もありません。
朝鮮日報では、6月4日 イ・ドンフンデジタル編集局政治部長が「「北朝鮮の体制保障」を心配する文在寅大統領」と題したコラム(→コチラ)で次のように書いています。
北朝鮮の体制を心配する文大統領に尋ねずにはおれない。一体どこまで保障するつもりなのか。米国の軍事攻撃からの保護? 相互不可侵? こういうものであれば、助けてやれる。韓半島(朝鮮半島)で戦争を防がなければならないという韓国の立場からは、当然のことだ。
だが、内部の矛盾で自壊を避けられない体制の問題となると、話は別だ。この場合、韓国は金正恩体制の安全を保障できないし、保障してはならない。カダフィの最期を知っている北朝鮮は、「リビア」の話を持ち出すだけで過敏に反応するが、カダフィを殺したのは米国ではなく反乱軍の銃弾だったことを北朝鮮も理解している。「金正恩体制の保障」とは、カダフィのように人民の手で殺されないようにしてくれ、ということなのか。人民の蜂起を米国が防いでやらなければならないのか。
北朝鮮の政権は、いわゆる「白頭の血統」を中心にした少数の既得権を守るため、類例のない反人権政策を繰り広げ、時代に合わない閉鎖経済を維持した。(中略)こんな北朝鮮の体制の安全を、国際社会が保障してやる方法はない。
北朝鮮に対する、完全かつ検証可能で不可逆な体制保障? トランプ大統領ではなく、神が来てもそれはできない。すべきでもない。口癖のように民意と人権を語ってきた学生運動関係者が中心の文在寅政権も同様だ。金正恩体制の保障は、米国や韓国ではなく、北朝鮮人民の手にかかっている。
このような北朝鮮の体制に対する批判的論調は保守紙の筆頭格の朝鮮日報だからこそなので、韓国のメディアあるいは一般の韓国人の全体から見れば少数派でしょう。
ほぼ同様の趣旨で、私ヌルボが共感しつつ読んだのが知日派ジャーナリスト崔碩栄(チェ・ソギョン)氏の6月6日の記事「北朝鮮の「体制保証」と「人権改善」は両立できない」(→コチラ)です。
両国が最も重視している問題は「完全な非核化」と「金正恩体制維持」である。(中略)
もし米国が北朝鮮の段階的非核化を容認し、それに対する見返りとして、北朝鮮の体制を保証して、経済制裁を解除すればどうなるだろうか?
朝鮮半島から核と戦争の脅威がなくなり、南北が経済・文化交流を通じて繁栄を成し遂げる平和の時代が訪れるだろうか?
少なくとも、文在寅政権をはじめとする北朝鮮に信頼と支持を送る人々にはそのように見えているようだ。しかし、北朝鮮の非核化と体制維持が実現されることはあっても、その結果として平和の時代が訪れることは不可能である。少なくとも北朝鮮という「国家」においては。なぜなら、北朝鮮の体制維持と北朝鮮の人権の改善は同時達成が不可能だからだ。
(中略)現在の金正恩体制を維持するためには、人権弾圧は続けるしかない。そうしなければ、体制の維持は不可能だからである。
徹底的に閉鎖された社会で生きてきた北朝鮮住民に開放と交流という経験は動揺をもたらし、それは自然に統治体制への不満と反発という連鎖を起こすだろう。金正恩にとってこれほどの脅威はない。もし米国が非核化の見返りに、金正恩体制の維持を保証したならば彼は依然として国民に閉じられた世界での生活を強いるに違いない。そうすれば内部の動揺が広がることはない。しかし、北朝鮮内では何一つ変われず地獄のような状況が続くだろう。(中略)
外部からの軍事的脅威より怖いのが、内部の反発から始まる体制の崩壊である。それは過去のソ連をはじめ東欧の共産国家が外部からの力の圧力ではなく、内部の反発と抵抗から崩壊した歴史がよく証明している。北朝鮮の立場からすれば、非核化より受け入れがたいのが自国内の人権問題への干渉かもしれない。
ところが、大多数の日本の新聞等は「体制保証」の内容を具体的に説明した記事は探してもなかなか見つかりません。
そんな中、6月5日付の中日新聞・城内康伸記者の「<激動 米朝首脳会談>(2) 体制保証」という記事(→コチラ)を読みました。そこで「アレレ?」と思ったのは右画像の「北朝鮮が求める体制保証」という表の内容。もっぱらアメリカ相手の軍事関係のことしか記されていません。城内康伸氏は東京新聞ソウル支局長だったこともあり、韓国・朝鮮について詳しい人ですが、決していわゆる<親北>ではありません。ただ、この表については疑問を感じたのでいろいろ他の記事を探ってみたというわけです。
記事本文には、次のように書かれています。
専門家は体制保証について「米国が軍事的脅威を解消し、北朝鮮特有の独裁体制を認め、安全を保証することだ」と解説する。
その具体策として、韓国政府高官は(1)朝鮮戦争の終結を宣言した上で休戦協定を平和協定に転換(2)米朝が相互不可侵を約束-などを挙げる。北朝鮮は最終的には、米国との国交正常化を念頭に置くほか、敵視政策の表れと見なす経済制裁の解除も求める。
北朝鮮関係筋は「米国では政権交代がある。口先だけでなく、約束を担保する制度的保証が重要だ」との考えを示している。
・・・ということで、どうも右の表は何のことはない、「韓国政府高官」の考える体制保証ということのようです。つまり、アメリカの「軍事的脅威」の方が「北朝鮮特有の独裁体制」よりずっと問題があるという認識があるようですね。
※朝鮮戦争の終結については、東京新聞の五味洋治編集委員が昨年12月「朝鮮戦争は、なぜ終わらないのか」(創元社)というタイムリーな本を刊行しています。
最初に記すことだったかもしれませんが、ここで私ヌルボの北朝鮮に対するスタンスを示しておきます。それは「北朝鮮だけではなくどの国についても同様ですが、政府(指導者)とそこの住民を峻別すること」。そしてもちろん、北朝鮮(及び世界各国の)人々の人権を尊重することです。
そんな観点から、北朝鮮住民の生存権をはじめとする基本的人権を否定し続け、政敵を多数粛清してきた金日成以下3代の独裁政権は到底許すことはできません。よほど思い切った改革に踏み出さないかぎりは滅亡を期待するしかありません。(ただし外国からの軍事攻撃は住民や兵士を犠牲にし、その後の国際情勢も不透明になるのでダメ。) 北朝鮮住民の人権問題を重視する観点からは、北朝鮮だけでなく、中国をはじめ韓国・日本・アメリカ・ロシアも共犯といえるかもしれません。住民の人権よりも東アジアの政治的安定を優先してきたから。
もしかしたら、今回の米朝会談もそういう形で終わってしまいそうな気がします・・・。
この記事を書き始めたのが午前10時。ずっと日経の→<米朝首脳会談ライブ>を見ながら書いてきました。
今はもう14:58。「トランプ大統領と金正恩委員長は署名した合意文書を手にして並びました。ワーキング・ランチを含めて約5時間の歴史的な首脳会談が終わりました。」というところです。
はたして、会談の中身はどういうことになっているのか?
この記事、こんな会談当日ではなく、もっと前に書くべきだったですね。