ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [4月5日(金)~4月7日(日)]

2019-04-09 23:56:41 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▸7日・8日に「バイス」「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」を鑑賞。これも「ナディアの誓い」と「バハールの涙」のように続けて観て大正解でした。あの2001年の9.11テロ以降、アメリカでは愛国心の高まりの中で03年3月のイラク侵攻に突き進んで行きますが、子ブッシュ政権の中でラムズフェルド国防長官とともにその流れを主導したのが「バイス」の主人公のチェイニー副大統領だったわけで、私ヌルボも当時から「人相のよくない連中だなー」と思ってました。<バイス>は英語で<vice>。もちろん< vice president(副大統領)>とをかけているんですね。それにしても、「大量破壊兵器」などという薄弱でうさんくさい根拠にもかかわらず、アメリカ国内はもとより、よく多数の国々が多国籍軍としてそれに追従したものです。もちろん日本も。
 その結果はというと、米軍兵士の死亡者数(約4千人)は9.11テロの犠牲者数(3千人弱)を上回り、イラクの民間人の死亡者はというと数十万人か、もしかしたら百万人を超えるとも・・・。愛国心の果ては無残なものです・・・。
 その当時、NYタイムズまでが政府によるプロパガンダをそのまま載せているだけだった中、ナイト・リッダー社ワシントンD.C.支局の記者たちだけは子ブッシュ政権に懐疑的な姿勢をとり続け、政府内の人物等にも聞き込み取材をしたりして真実を追求した・・・というのが「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」の梗概。
 さて、アメリカではこのように時すでに遅しとはいえ、後日事実が明らかにされ、これらの映画まで作られたのは良しとしましょう。(これらの作品製作のウラでたとえば民主党(のバイデンとか?)が関わっていたとしても・・・。)

▸一方日本はというとナサケナイかぎり。小泉首相も謝罪や反省の言葉もなく済んでしまったし、その後民主党政権下で見直しが進められた(!)武器輸出三原則は結局第2次安倍政権の2014年防衛装備移転三原則に取って代わったし・・・。(平和を愛する日本国民も兵器で儲けることはむしろ歓迎してるってことか?)
 そして何よりも、近年のメディアの惨状は嘆かわしいかぎり。また上記のような映画も作られそうにない・・・。
 ・・・と思ったら、なんと! 6月28日松坂桃李シム・ウンギョンがダブル主演の映画「新聞記者」が公開されるのですと。(→コチラと→コチラ参照。)
 また、その作品というのがあの東京新聞の望月衣塑子記者による同名のノンフィクションを原案に「1人の新聞記者の姿を通して報道メディアは権力にどう向き合うのかを問う作品」とのこと。う~む・・・。

▸このところ映画のパンフはあまり買いませんが、「記者たち~衝撃と畏怖の真実~」のパンフ(700円)はオトク感がありました。とくに小西克哉氏の「メディア敗北の構図」という一文と、これも彼作成の年表・用語の的確さ。90年代の初め頃、テレ朝で朝早く放映していたCNNデイブレイクを懐かしく思い出しました。(川瀬眞由美アナとのやりとりが絶妙だった!)

▸今後、近所のシネマ・ジャック&ベティと横浜シネマリンで観る予定の映画。
 ◇シネマ・ジャック&ベティ 芳華(ほうか) Youth(4/12~)・眠る村(4/13~)・希望の灯り(4/27~)・オアシス(5/18~)・主戦場(6月以降)
 ◇横浜シネマリン 月夜釜合戦(4/20~)・洗骨(4/20~)・ビル・エヴァンス タイム・リメンバード(4/27~)・天皇と軍隊(4/27~)・国家主義の誘惑(4/27~)
 他の映画館では、早稲田松竹で13日からの「アンダーグラウンド」と「ジプシーのとき」の2本立てがすごい。観てない人はぜひ! 「君の名は。」しか観てない人は下北沢のトリウッドで新海誠監督特集もいいかも。5作品まとめて観られ、料金もおトク。

         ★★★ NAVERの人気順位(4月9日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(-) 痛いほど愛する(韓国)  9.81(89)
②(2) RBG 最強の85才  9.69(70)
③(1) グリーンブック  9.62(5,302)
④(3) カペナウム  9.60(2,583)
⑤(-) 僕のワンダフル・ライフ  9.55(1,195)
⑥(4) ボヘミアン・ラプソディ  9.43(39,077)
⑦(-) ロマン(韓国)  9.40(301)
⑧(6) 漆谷の少女たち(韓国)  9.26(368)
⑨(-) パウロ 愛と赦しの物語9.18(1,908)
⑩(8) 劇場版恐竜メッカ―ド:タイニーソアの島(韓国)  9.16(1,918)

 ①⑦の2作品が新登場です。
 ①「痛いほど愛する」は、長い間フィリピンで医療活動に携わってきた(オンヌリ教会の)パク・ヌガ宣教師のドキュメンタリー。まともな医療施設さえなく、残念な死が日常になってしまっているフィリピンの奥地。そこの人々に最初に手を差しのべた異邦人が彼、故パク・ヌガ宣教師でした。彼は医学生の頃参加した東南アジア奥地医療サービスをきっかけに1989年からフィリピンでの医療宣教を繰り広げ、メディカルバス1台で30年間医療サービスを続け、<フィリピンのシュバイツァー>と呼ばれたりもしました。その間、フィリピンだけでなくインドネシア、マレーシア、ネパール、カザフスタン、中国等を回って病気の人だけでなく飢えや貧困に苦しむ人々に福音を伝え教会を建てたりもし、06年のインドネシア、08年の中国四川省の大地震に際しては緊急支援活動に乗り出したりもしてきました。ところが自身も1992年に膵臓がんの手術を受け、その後も胃がん、肝硬変、糖尿病等に苦しんできた患者でした。ついには2007年余命1年との宣告も受けますが、それでも医療活動を続けたとか・・・。そして18年8月に永眠。そんな彼の人生をたどります・・・。原題は「아픈 만큼 사랑한다」です。
 ⑦「ロマン」については後述します。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 顔たち、ところどころ  8.86(7)
②(2) 女王陛下のお気に入り 8.20(10)
③(3) 映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(日本)  7.50(6)
④(4) コールド・パシュート  7.50(2)
⑤(6) カペナウム  7.33(9)
⑥(7) 川辺のホテル  7.33(3)
⑦(8) グリーンブック  7.29(7)
⑧(9) Us/アス  7.22(9)
⑨(10) 運び屋  7.20(5)
⑩(-) COLD WAR あの歌、2つの心  7.17(6)

 新登場の作品はありません。⑩「COLD WAR あの歌、2つの心」は、6月28日日本公開予定のポーランド・英・仏合作作品です。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績4月5日(金)~4月7日(日) ★★★
           日本より2週早く公開のアメリカ映画「シャザム!」が1位に

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(41)・・シャザム!・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/03・・・・・・・・・・354,850 ・・・・・・・500,653 ・・・・・・・4,410 ・・・・・・1,148
2(47)・・誕生日(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・4/03 ・・・・・・・・・・276,022 ・・・・・・・375,466 ・・・・・・・3,187・・・・・・・・862
3(2)・・金(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/20 ・・・・・・・・・・230,049・・・・・・3,117,366 ・・・・・・26,584・・・・・・・・747
4(1)・・Us/アス ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/27・・・・・・・・・・210,650・・・・・・1,344,566 ・・・・・・11,451・・・・・・・・712
5(5)・・イタズラなKiss[台湾版]・・・・・・・3/27・・・・・・・・・・・88,696 ・・・・・・・318,778 ・・・・・・・2,580・・・・・・・・438
6(4)・・キャプテン・マーベル・・・・・・・・・3/06・・・・・・・・・・・59,374・・・・・・5,649,947 ・・・・・・50,202・・・・・・・・421
7(3)・・ダンボ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/27・・・・・・・・・・・56,850 ・・・・・・・296,253 ・・・・・・・2,387・・・・・・・・520
8(20)・・ロマン(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・4/03・・・・・・・・・・・20,625 ・・・・・・・・46,938・・・・・・・・・372・・・・・・・・399
9(8)・・コレット・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3/27・・・・・・・・・・・・4,496 ・・・・・・・・35,224・・・・・・・・・287・・・・・・・・・47
10(新)・・ルイスとルカ・・・・・・・・・・・・・・4/07・・・・・・・・・・・・3,927 ・・・・・・・・・5,158・・・・・・・・・・40・・・・・・・・183
      ビッグ・チーズレース
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回の新登場は1・2・8・10位の4作品です。
 1位「シャザム!」は、アメリカの定番のヒーロー物、といっても、今回の主人公は見た目は大人なのに心は子供という異色の(?)ヒーロー。日本でも4月19日公開で、すでに予告編が流されてますが、たしかに「こんなのでダイジョブなの?」と心配になっちゃいますが・・・。韓国題は「샤잠」です。
 2位「誕生日」は、韓国のドラマ。2014年4月。あのセウォル号の沈没以降の、残された家族の物語。先に世を去った息子スホ(ユン・チャニョン)の思い出を抱いて生きるジョンイル(ソル・ギョング)とスンナム(チョン・ドヨン)の夫婦。今年もスホの誕生日がめぐってきて、家族たちの懐かしさは大きくなっていきます。その誕生日に 家族や友人は一緒に集まって、互いに大事な記憶をプレゼントとして語ります。1年にただ1日。あなたのために、私たち皆が再び会う日です・・・。原題は「생일」です。
 8位「ロマン」は、韓国のロマンス(?)。75歳のチョ・ナムボン(イ・スンジェ)と71歳のイ・メジャ(チョン・ヨンスク)は認知症のカップルです。結婚45年目の、心も体もよく似た夫婦は、まるで世の中にただ2人だけのように暮らしています。日々の記憶は薄れていきますが、忘れていたロマンは逆に深まります・・・。原題は「로망」です。
 10位「ルイスとルカ ビッグ・チーズレース」(仮)は、ノルウェーのアニメ。カササギのルイスは、臆病者のルッカ、発明家のレオドールおじさんとシンシン村に住んでいます。何につけても勝負欲が一杯のルイスは、ある日68年前勝負の決着がつかなかった隣のカンカン村との間のチーズレースの話を聞いて夢中になります。ついに自分が真のレーシングチャンピオンであることを証明するチャンスだ!と思った彼は、ルカとレオドールおじさんを仲間に入れます。彼の対戦相手クラプトンは地元のチーズ工場のディレクター。ところが、そのチームが風変わりなコメディアンや恐ろしいゴリラのデスペラドスが加勢していると知って、彼の自信は粉々になります。ルイスは勝利を当て込んで、ひそかにレオドールおじさんの作業室と家を賭けに出しちゃったりもしているのですが・・・。あ、そもそもチーズレースというのは何かというと、動画を見たところでは小さな手押し車のようなものに各3人乗って速さを競うといったもののようです。韓国題は「고릴라와 슈퍼레이스(ゴリラとスーパーレース)」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(新)・・私の小さな詩人に・・・・・・・・・・・・・・4/04・・・・・・・・・・2,734 ・・・・・・・・・4,947・・・・・・・・・・・・40 ・・・・・・・・・46
2(1)・・グリーンブック・・・・・・・・・・・・・・・・・1/09・・・・・・・・・・2,282 ・・・・・・・424,050 ・・・・・・・・・3,574 ・・・・・・・・・18
3(3)・・RBG 最強の85才 ・・・・・・・・・・・・・・・・3/28・・・・・・・・・・1,437 ・・・・・・・・・6,712・・・・・・・・・・・・53 ・・・・・・・・・23
4(10)・・遠回りの道(韓国)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・908 ・・・・・・・・・2,064・・・・・・・・・・・・18 ・・・・・・・・・・2
5(新)・・デッドエンドの思い出(日・韓)・・・・4/04 ・・・・・・・・・・・705 ・・・・・・・・・1,680・・・・・・・・・・・・18 ・・・・・・・・・・2

 1・4・5位の3作品が新登場です。
 1位「私の小さな詩人に」(仮)は、アメリカのドラマ。幼稚園で子供たちを教えるリサ(マギー・ジレンホール)は、退屈な日々の繰り返しの中で、詩を通して芸術的欲望を満たそうとするものの才能がついてきてくれません。そんな中、たまたま自分が持った5歳の園児ジミーが詩に天才的な才能があることを発見し、その子の詩を自分の詩の授業で発表することになりますが・・・。この作品は、幼稚園の先生と園児が詩を通じて共鳴し、園児の才能を開花させ・・・といった感動物語ではなく、評論家チョン・ユミ氏によると「女性の心理を徹底的に掘り下げる心理スリラーに近い」とのことです。英題の「The Kindergarten Teacher(幼稚園の先生)」ではちょっとボンヤリしているので、韓国題の「나의 작은 시인에게」を訳して仮題としました。日本公開は未定のようです。
 4位「遠回りの道」は、ナヌム(分かち合い)の家で生活する元慰安婦の李玉善(イ・オクソン.1927~)をはじめとしたハルモニ(おばあさん)たちの生活を綴ったドキュメンタリー。各様各色のハルモニたちで静かな日のないナヌムの家での彼女たちの生活と向かい合います。歌がとても好きな朴玉善ハルモニから自由奔放な姜日出ハルモニ、多才多能な裴春姫ハルモニ(2014年6月死去)まで。こんなに情愛深いハルモニたちに出会ったでしょうか? 苦難と逆境の道ではなく、共に歩む温かい道。李玉善ハルモニは今日も美しく咲いた花と向き合います・・・。16歳の時に日本軍によって中国に連れて行かれた後、58年ぶりに韓国に帰ってきたとのことですが・・・。(→ウィキペディアの記述自体不明確な点あり。) 原題は「에움길」です。私ヌルボ、慰安婦関係のドキュメンタリーでは土井敏邦監督「“記憶”と生きる」(2015)、朴壽南「沈黙-立ち上がる慰安婦」(2017))を観ましたが、とくに反発を感じることがなかった、いやむしろ良い映画だと思ったのは、日本人&在日コリアンの監督だからか(??)過度の思い込み・思い入れがなかったからかも・・・。コチラの「遠回りの道」は、上記の宣伝文を見るとどうも<聖女化>傾向がなきにしもあらず? しかしネチズンの感想を読むとふつうの日常生活を撮った点が「主張したり苦痛を訴えたり・・・」といった先入観から外れていてむしろ新鮮だったような・・・。なお、裴春姫さんは2014年6月死去しましたが、そのすぐ後、彼女についての→ハンギョレの記事と、→朝日の武田肇記者のツイート、→朴裕河教授等の記事とのズレにも注目。(あー、ホントにかったるい・・・。)
 5位「デッドエンドの思い出」は、日韓合作のラブロマンス。韓国でも知られているよしもとばななの小説が原作です。韓国題は「막다른 골목의 추억」。日本では2月16日に公開されています。
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