ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [6月28日(金)~6月30日(日)]

2019-07-03 15:45:09 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
  

▸6月27~30日、所用で金沢に2泊3日の旅。ちょうど7月1日の<氷室の日>直前で、各和菓子屋さんでは氷室饅頭が一斉に販売されていました。<氷室の日>は本来は旧暦6月1日で、<氷の朔日(ついたち)>、<氷室の朔日>などと呼ばれ各地で行事が行われたり、氷餅を食べる慣習があって、所によっては今も続いているとか。
 その旧暦6月1日は、今年は7月3日。つまり今日です。江戸時代、この日に正月をやり直した年が5回あったといいます。疫病や災害等の良くないことが続いたため厄払いがそのねらいだったそうです。
 ということで、私ヌルボも今年の上半期をいろいろ振り返ってみました。(かなーり無理っぽいツナギ方だな(^^;))
 上半期でちょうど60本の映画を観ました。(すべて劇場or公共施設) 例年より2割以上多いです。知人から「自己記録更新(年間104本)を目指してるんじゃないの?」と言われたりもしてますが、自分としては減らしたいところ。読書、ブログ更新等、他のことができなくなるとか、何といってもお金がかかるので。一方韓国映画は12本。去年は19本観たのに・・・。韓国映画でこれはぜひ観たいという作品も、すごく感動した作品もかつてより少なくなっているように思います。
 さて、その60本の中から「感動した!」「多くの人に薦めたい!」という作品をずらっと挙げておきます。評価順ではなく、観た日を時系列で並べたものです。
 「半世界」「バジュランギおじさんと、小さな迷子」「グリーンブック」「ブラック・クランズマン」「ナディアの誓い - On Her Shoulders」「沖縄スパイ戦史」「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」「RBG 最強の85才」「僕たちは希望という名の列車に乗った」「リトル・フォレスト 春夏秋冬」。韓国映画の注目作「バーニング 劇場版」はいろいろ論議のあるところ。同じイ・チャンドン監督の「オアシス」は恥ずかしながら初めて観ましたが何というか・・・、時間をかけて慎重に検討します。(康京和外交部長官の言い方に染まってしまった。)
 韓国映画の注目作「バーニング 劇場版」はいろいろ論議のあるところ。同じイ・チャンドン監督の「オアシス」は恥ずかしながら初めて観ましたが何というか、時間をかけて仔細に検討します。

▸→6月5日の記事で5月31日発行の「週刊金曜日」(1234号)に載っていた四方田犬彦さんの<韓国映画のナショナリズム自己陶酔は、これでいいのか?>と題した今の韓国映画、とくに「金子文子と朴烈」を批判した記事を紹介しました。四方田さんにしては甚だトンチンカンな印象を受けたので、疑問点とともに「もしかして、「週刊金曜日」誌上でさらに論議が続くかな?」と書いたら、6月21日発行の同誌(1237号)に<四方田犬彦氏への疑問>という投書が載っていました。あげられている3つの疑問は①「クッポン映画」という用語は定着しているものか? 安易なレッテル貼りではないか? ②他の映画評等では金子文子をアナキストとしているものが多いが、四方田氏がテロリストとしている。違いをどう理解したうえで発言しているのか? ③四方田氏は監督が1930年代の日本についてなんの知識も持たないと酷評しているが、30年代がこの映画になぜ必要なのか? ・・・といったもの。さらには『世界』4月号のインタビューで監督は「韓国は日本をもう国家主義や民族主義にとらわれた感情で見るべきではない」と語っているが(四方田氏は)読んだのか? 結論ありきの自己主張ではないか?とも。①の<クッポン>については本誌のこの号の記事<朝鮮戦争を描いた映画>で成川彩さんが「過度に愛国主義的な映画のこと」と説明しています。おそらく四方田さんの記事を意識して書いたものかな? 付記すると<クッポン>は2013年頃から広まった言葉。(→参考記事。) また<クッポン映画>は愛「国」なので親北朝鮮の「民族」愛映画にはあたらない。) ②については私ヌルボも書いたように国家権力を否定するアナキストが<クッポン>映画の主人公にはならない。③についても、朴烈事件は関東大震災(1923年)直後だし金子文子の自殺(?)は1925年で、なんで30年代?といった感じ。・・・というわけで、どう見ても四方田さんに反論の余地ナシ、と私ヌルボは思いました。

▸28~30日に「神と共に 第二章:因と縁」「26年」「リトル・フォレスト 春夏秋冬」と韓国映画を3つ連続して鑑賞。「神と共に 第二章:因と縁」は当然原作の勝ち、「26年」もやっぱり原作の勝ち。映画だと視覚効果を重視するため、原作の持ち味が失われがち。とくに「神と共に」は原作者チュ・ホミンの飄々とした味わいがほとんど感じられないのが残念。ただしトクチュン役のキム・ヒャンギは原作のイメージぴったり。「リトル・フォレスト 春夏秋冬」、イム・スルレ監督作品は「飛べ、ペンギン」「牛と一緒に7泊8日」等々好きなものばかり。これも彼女らしい穏やかな優しさが漂っています。主演のキム・テリもいいフンイキ。

▸→先週の記事で「正直なところ「かったるそう」なのでパス。」と書いたら、yabさんから誠意に満ちたコメントをいただきました。江川紹子さんのツイートをめぐる議論(→コチラ)も興味深く読みました。そこで私ヌルボ、これに答えるべく、「かったるく感じられる理由」をあれこれ書き始めたところ、なかなか収拾がつかず。おりしも7月1日付の清義明さんの<映画『主戦場』で語られなかった慰安婦問題の核心>(→コチラ)を読み、共感を覚えました。ついでに、やはり清義明さんの<「非暴力はウソ」香港の反政府デモ、私が見た真実を明かそう>(→コチラ)もいい記事だと思います。
 で、「主戦場」はまだみていません。(いつになるのだろう?)

<花開くコリア・アニメーション>at名古屋会場は7月6日(土)・7日(日)開催。上映スケジュール等詳細は→コチラ
 また、7月27日(土)にはシネ・リーブル池袋 シアター1で<夢見るコリア・アニメーション>が開催されます。詳細は→コチラ。プログラムAでは、あの韓国アニメの佳作「Green Days 大切な日の夢」(→過去記事)のアン・ジェフン監督「にわか雨」(2017)が日本で初公開され、またアン監督が来場して「この世界の片隅に」の片渕須直監督との対談が予定されています。

▸うー、観る予定の映画が増える一方・・・。ソウルで観た「カペナウム」はいつの間にか「存在のない子供たち」という邦題で7月20日公開か。6月28日公開の「新聞記者」、シム・ウンギョンさんのインタビュー記事は→コチラ。ウンギョンさん、大したものです。見落としていた「幸福なラザロ」は渋谷アップリンクで明後日まで。他にも気になる作品がいくつも。やれやれ・・・。

         ★★★ NAVERの人気順位(7月2日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
       ※[記者・評論家による順位]とも、評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
        「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(1) 痛いほど愛する(韓国)  9.71(140)
②(4) アラジン  9.46(18,187)
③(5) アベンジャーズ/エンドゲーム  9.39(67,273)
④(3) ゴーイング・バーティカル  9.39(267)
⑤(6) RBG 最強の85才  9.37(169)
⑥(7) ソウニの膝(韓国)  9.35(23)
⑦(-) 遠回りの道(韓国)  9.32(38)
⑧(10) ポロロ劇場版 宝島大冒険  9.29(2,371)
⑨(8) 教会のお兄さん(韓国)  9.29(1,379)
⑩(-) アニエスによるヴァルダ  9.19(36)

 今回新登場の作品はありません。

     【記者・評論家による順位】

①(1) 寄生虫[パラサイト](韓国)  9.06(16)
②(2) 幸福なラザロ  8.40(5)
③(3) トイ・ストーリー4  8.20(10)
④(4) アニエスによるヴァルダ  8.00(6)
⑤(5) アベンジャーズ/エンドゲーム  7.62(13)
⑥(6) キム君(韓国)  7.57(7)
⑦(7) サスペリア  7.40(5)
⑧(9) チェ 28歳の革命  7.25(4)
⑨(-) アマンダと僕  7.00(5)
⑩(-) ポロロ劇場版 宝島大冒険  7.00(3)

 ⑨「アマンダと僕」が新登場です。日本では韓国より5日早く6月22日から公開されています。韓国題は「쁘띠 아만다(プチ・アマンダ)」です。

      ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績6月28日(金)~6月30日(日) ★★★
           「アラジン」が2度目の返り咲き1位

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・・・累積収入・・・上映館数
1(2)・・アラジン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5/23 ・・・・・・・・・909,441・・・・・・8,271,833・・・・・・・・70,606 ・・・・・・1,199
2(1)・・トイ・ストーリー4・・・・・・・・・・・・6/20 ・・・・・・・・・702,950・・・・・・2,250,850・・・・・・・・19,253 ・・・・・・1,128
3(5)・・ジョン・ウィック:パラベラム・・6/26 ・・・・・・・・390,495 ・・・・・・・605,801・・・・・・・・・5,785・・・・・・・・848
4(4)・・寄生虫[パラサイト](韓国) ・・・・・5/30 ・・・・・・・・・227,550・・・・・・9,576,654・・・・・・・・81,848・・・・・・・・649
5(新)・・アナベル 死霊博物館 ・・・・・・・・6/26・・・・・・・・・・174,101・・・・・・・291,328・・・・・・・・・2,439・・・・・・・・644
6(3)・・Long Live the King・・・・・・・・・・・・6/19・・・・・・・・・・137,591・・・・・・1,024,459・・・・・・・・・8,689・・・・・・・・595
       :木浦の英雄(韓国)
7(47)・・ビースト(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・6/26・・・・・・・・・・86,852 ・・・・・・・177,340・・・・・・・・・1,400・・・・・・・・624
8(7)・・天路歴程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/13・・・・・・・・・・34,939 ・・・・・・・199,791・・・・・・・・・1,520・・・・・・・・188
9(35)・・グレタ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/26・・・・・・・・・・18,858 ・・・・・・・・37,437 ・・・・・・・・・・315・・・・・・・・189
10(13)・・アベンジャーズ/エンドゲーム・・4/24 ・・・・・・12,837・・・・・13,918,761・・・・・・・122,048・・・・・・・・・35
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 日本でも順調に数字を伸ばしている「アラジン」が韓国でも800万人を超え、勢いは衰えず。「トイ・ストーリー4」を抜き返して1位に。「寄生虫[パラサイト]」にはまだ100万人以上の差がありますが、もしかしたら逆転もあるかな?
 今回の新登場は5・7・9位の3作品です。
 5位「アナベル 死霊博物館」は、アメリカのホラーシリーズ第3作。ある日クラスメイトのメアリーとデニースは超常現象研究家のウォーレン夫妻に頼まれて留守中の一晩10歳の娘ジュディのベビーシッターをすることに。その際、呪われた人形アナベルが保管されている博物館には入らないように言われていたのですが・・・。韓国題は「애나벨 집으로(アナベル 家へ)」。日本公開は9月20日です。
 7位「ビースト」は、韓国の犯罪&スリラー。韓国を恐怖に陥れる殺人事件が起こります。手段と方法を選ばず犯人を捕まえてきた凶悪事件担当班のエース格の刑事ハンス(イ・ソンミン)は、後輩刑事ジョンチャン(チェ・ダニエル)と共にこの殺人事件の犯人を捕まえるために捜査に乗り出します。一方麻薬ブローカーのチュンベ(チョン・ヘジン)は、自分が犯した殺人事件を隠蔽してくれれば引き換えにと、ハンスに殺人魔の決定的な手がかりを提供しますが、ハンスのライバル刑事のミンテ(ユ・ジェミョン)がその事実に気づいてしまい、事件は収拾がつかなくなっていきます・・・。原題は「비스트」です。
 9位「グレタ」は、アメリカのスリラー。ニューヨークに住む若い女性フランシス(クロエ・グレース・モレッツ)は地下鉄で持ち主のいないハンドバッグを見つけます。バッグの持ち主は、独り暮らしの中年の女性グレタ(イザベル・ユペール)。フランシスはバッグを届けてあげます。母親を亡くして喪失感に陥っていたフランシスはこれを縁にピアノ教師のグレタと年齢を超えて親しくなります。ところがある日、夕食に招待されたフランシスは、偶然グレタがハンドバッグをエサに若い女性たちと親しくなるという事実を知ります。そしてグレタの偏執的な本性が剥き出しになっていき、フランシスがそれに気が付いたときにはもう身の毛のよだつような恐ろしい状態になっていました・・・。韓国題は「마담 싸이코(マダム サイコ)」。日本公開は未定のようです。

【独立・芸術映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・・・上映館数
1(1)・・天路歴程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6/13 ・・・・・・・・・34,939 ・・・・・・・199,791・・・・・・・・1,520・・・・・・・・・・188
2(新)・・魔女の宅急便(日本) ・・・・・2007/11/22 ・・・・・・・・・11,578 ・・・・・・・・44,962 ・・・・・・・・・316・・・・・・・・・・180
3(5)・・教会のお兄さん(韓国)・・・・・・・・・・5/16 ・・・・・・・・・・3,814 ・・・・・・・・94,397 ・・・・・・・・・760・・・・・・・・・・・23
4(3)・・ビリーブ 未来への大逆転 ・・・・・6/13 ・・・・・・・・・・3,778・・・・・・・・39,324・・・・・・・・・・310・・・・・・・・・・・38
5(4)・・ブック・クラブ ・・・・・・・・・・・・・・・・6/20 ・・・・・・・・・・3,385・・・・・・・・15,333・・・・・・・・・・116・・・・・・・・・・・34

 2位「魔女の宅急便」が新登場です。日本での初公開は1989年なのに、なんで韓国では18年後なの? ・・・というと、金大中政権の1998年日本映画が限定付きで初解禁となり、2004年に全面解禁になったから。しかし「もののけ姫」(1997)の韓国公開が2003年、「千と千尋の神隠し」(2001)は2002年と、日本とは逆の時系列になっているのは、今世紀初頭の時点での話題作から順に公開していったということかな?(推定) 韓国題は「마녀배달부 키키(魔女配達婦 キキ)」です。
コメント (5)
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